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菅内閣による「天下り規制骨抜き」に関する質問主意書
参議院 第175回 第8号趣旨が明らかではない ×2
質問本文
菅内閣は本年六月二十二日、国家公務員の「退職管理基本方針」を閣議決定し、「「官を開く」との基本認識の下、中高年期の職員が公務部門で培ってきた専門的な知識・経験を民間等の他分野で活用するとともに、他分野での勤務を経験することにより公務員のコスト意識・現場感覚を高める観点から、任命権者が、官民の人事交流等の拡充を図るためにとるべき措置」の指針が定められた。これによれば、指定職俸給表の適用を受けるべき職員(いわゆる審議官以上の幹部クラス)を「官民交流」を名目に民間企業に現職出向させるという新たな天下りシステムが盛り込まれている。さらに、独立行政法人等の役員公募については、「各大臣等の任命権の下、職員が役員出向する場合」は例外扱いする旨が明記されており、退職前公務員の「お手盛り出向」及び退職金算定期間の延長に伴う公務員退職金費用の肥大が懸念される。
さらに、同日付で総務大臣が決定した「人事管理運営方針」によれば、「民間との間の人事交流については、(中略)企業・府省間の交流希望情報の交換等を行う」とある。これは天下り規制を骨抜きにする規定である。自公政権時に役所が天下りを斡旋することは全面禁止された。しかし、この規定により、役所から企業に対して退職間際の幹部公務員の「現役出向」の打診が可能となり、退職後に引き続き雇用されることを禁止しなければ、天下りの「青田刈り」となることが懸念される。
このような、菅内閣の「天下り規制骨抜き」に対し、国民は疑念を抱いている。そこで以下を質問する。
一 本年一月一日から八月二日までの間に行われた、指定職俸給表の適用を受ける職員の民間への人事交流の実績を、対前年及び対前々年との対比とともに省庁別に明らかにされたい。
二 本年一月一日から八月二日までの間に行われた、職員の独立行政法人等(特殊法人、認可法人、特別の法律により設立される民間法人等の法人、公益法人及び大学法人を含む。以下同じ。)への役員出向(大学法人への出向については教員としての出向を含む。以下同じ。)の実績を、対前年及び対前々年との対比とともに省庁別に明らかにされたい。
三 職員の独立行政法人等への役員出向の拡大による公務員退職金費用の肥大を回避するため、当該出向期間を退職金算定期間から除外する必要があると考えるが、菅内閣の見解を明らかにされたい。
四 民主党は「天下り根絶」を標榜していたのではないのか。菅内閣はなぜこのような「天下り規制骨抜き」を実施したのか。その理由を明らかにされたい。
五 公明党は国家公務員法改正案として、退職前の職務に関連した企業等への再就職の一定期間の禁止といういわゆる「事前規制」を提案している。前記のような官民交流を活発化させるに当たり、事前規制の復活が必要と考えるが、菅内閣の見解を明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
お尋ねの「職員の民間への人事交流」の趣旨が必ずしも明らかではないが、指定職俸給表の適用を受ける職員で、平成二十二年一月一日から八月二日までの間において、国と民間企業との間の人事交流に関する法律(平成十一年法律第二百二十四号。以下「官民人事交流法」という。)に基づいて民間企業に交流派遣されたものはいない。平成二十年及び平成二十一年においては、平成二十一年に内閣府から三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社に一名が交流派遣されている。
二について
平成二十二年一月一日から八月二日までの間並びに平成二十年及び平成二十一年の同期において、国家公務員退職手当法施行令(昭和二十八年政令第二百十五号)第九条の四に掲げる法人(以下「役員出向法人」という。)に役員として出向した者(以下「役員出向者」という。)並びに国立大学法人及び大学共同利用機関法人に職員(教員に限る。)として出向した者(以下「教員出向者」という。)について、その人数を府省等別に示すと、次のとおりである。
内閣府本府 役員出向者 平成二十一年 一人、教員出向者 平成二十年 一人、平成二十一年 二人、平成二十二年 三人
国家公安委員会 役員出向者 平成二十年 一人、平成二十一年 二人、教員出向者 平成二十年 一人
金融庁 教員出向者 平成二十二年 一人
総務省 役員出向者 平成二十年 二人、平成二十一年 三人、平成二十二年 十五人、教員出向者 平成二十年 一人、平成二十一年 六人、平成二十二年 三人
法務省 役員出向者 平成二十年 一人
外務省 役員出向者 平成二十年 一人、平成二十一年 三人、平成二十二年 二人、教員出向者 平成二十年 二人、平成二十一年 一人
財務省 役員出向者 平成二十年 一人、平成二十一年 六人、平成二十二年 二人、教員出向者 平成二十年 一人
文部科学省 役員出向者 平成二十年 三十五人、平成二十一年 三十六人、平成二十二年 三十四人、教員出向者 平成二十年 五人、平成二十一年 十二人、平成二十二年 五人
厚生労働省 役員出向者 平成二十年 六人、平成二十一年 四人、平成二十二年 六人、教員出向者 平成二十年 二人、平成二十一年 二人、平成二十二年 一人
農林水産省 役員出向者 平成二十年 八人、平成二十一年 十二人、平成二十二年 四人、教員出向者 平成二十年 一人
経済産業省 役員出向者 平成二十年 五人、平成二十一年 六人、平成二十二年 六人、教員出向者 平成二十年 一人、平成二十一年 一人、平成二十二年 二人
国土交通省 役員出向者 平成二十年 六人、平成二十一年 九人、教員出向者 平成二十年 三人、平成二十一年 五人、平成二十二年 三人
環境省 役員出向者 平成二十年 一人、平成二十二年 二人
三について
国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)の規定に基づき計算される、役員出向法人に役員として出向した経歴を有する者の在職期間は、当該者が出向をせず、引き続き国家公務員であったと仮定した場合の在職期間と変わらず、当該出向の有無による退職手当額の増大はない。
四について
現内閣においては、天下りあっせんの根絶を図ることとしており、「退職管理基本方針」(平成二十二年六月二十二日閣議決定)において、国家公務員の再就職に関し、天下りのあっせんの根絶を図るため、任命権者は、公務の能率的な運営を確保しつつ、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号。以下「国公法」という。)に規定された再就職等規制を厳格に遵守するとともに情報公開を進める等により、公務に対する国民の信頼確保を図ることとし、このための一連の措置を定めているところである。
また、「退職管理基本方針」に基づく官民人事交流や独立行政法人等への役員出向の拡大については、「官を開く」との基本認識の下、中高年期の職員が公務部門で培ってきた専門的な知識・経験を民間等の他分野で活用するとともに、他分野での勤務を経験することにより公務員のコスト意識・現場感覚を高めることを目的として、大臣の任命権の下で実施するものであり、いずれも、職員の国への復帰を前提としている。
さらに、御指摘の「人事管理運営方針」における「民間との間の人事交流については、(中略)企業・府省間の交流希望情報の交換等を行う」との記述は、国と民間企業との間の人事交流のすそ野を広げるため、総務省及び人事院のホームページへの掲載等により、国と民間企業双方の交流希望情報をより広く周知すること等を意図しているものである。官民人事交流の実施に当たっては、官民人事交流法において、従来より、①所管関係等にある民間企業については、派遣先企業での業務内容等に制限を設ける、②人事院が交流計画の認定や交流の実施状況の国会等への報告を行う、等官民癒着との疑念を招かないよう必要な措置を講じているところである。
以上のことから、「天下り規制骨抜き」との御指摘は当たらない。
五について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「退職間際の幹部公務員の「現役出向」」のケースを含め、今回、「官を開く」との基本認識の下に拡大を図った民間との間の人事交流は、そもそも職員の国への復帰を前提としており、また、府省等が職員を営利企業等に再就職させる目的で情報提供等の行為を行うことは国公法第百六条の二第一項の規定により既に禁止されているとともに、職員が再就職の約束をした場合における国公法第百六条の二十三第一項の届出を契機に再就職の経緯を確認することも可能である。したがって、御指摘の「事前規制」を措置しなくとも、民間との間の人事交流の適切な運用を図ることはできるものと考えている。
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