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横浜APECと日米首脳会談に関する質問主意書
参議院 第176回 第140号趣旨が明らかではない ×2個別の事案 ×2
質問本文
我が国外交にとって重要な三か国、つまり米国、中国、ロシアとの二国間関係は、民主党政権樹立後、行き詰まっており、その立て直しが求められている。
そういう中で、去る十一月十三日、これら三か国の首脳と個別の会談が実現でき、修復への兆しが見られ、ひとまずは区切りがついたとも言えよう。しかし、この機会に、包括的な外交戦略づくりと、それを推進する態勢の練り直しが求められているのではないか。
領土問題をめぐる中国、ロシアの強硬姿勢の背景として、普天間問題による日米関係の揺らぎを指摘する意見が少なくない。
そこで、以下質問する。
一 横浜APECにおける日米首脳会談と日米同盟について
日米関係については、鳩山前総理大臣、菅総理大臣とも我が国外交の基軸と位置付けながら、一番重要な日米間の信頼関係が損なわれ、乖離していった。昨年十一月の日米首脳会談で日米同盟の深化の協議開始が確認されたものの、その後協議は進展せず、日米安保条約締結五十周年の本年にその成果を発表することができなかったことは非常に残念なことである。来年春の総理大臣訪米時に延期されたが、より充実されたものをつくらなければならない。
日米同盟の深化とは何なのか、今何故必要なのか、そして政府は今後それをどのように進め、取りまとめていきたいと考えているのか、政府の見解を示されたい。
二 在日米軍駐留経費負担について
日米首脳会談では、在日米軍駐留経費負担についての基本的な考え方が日米間で一致したことに言及している。野党時代に民主党は同経費負担の減額を主張していたが、前記の基本的な考え方とはどのような内容なのか明らかにされたい。
また、現行の在日米軍駐留経費負担特別協定(平成二十年一月二十五日署名)交渉の際の合意事項として、「両政府は、より効率的で効果的な在日米軍駐留経費負担とするために、包括的な見直しを行うことで一致」していた。この包括的な見直しは行われたのか、併せて明らかにされたい。
三 普天間飛行場移設問題について
日米首脳会談では、普天間飛行場移設について、菅総理大臣から、本年五月の日米合意に基づき進めていきたい、自分(総理大臣)自身も沖縄の理解を求めつつ最善の努力をしていきたい旨述べたと発表されている。
鳩山前総理大臣は、「私を信じてほしい」といいながら、何も解決できなかったばかりか、事態をより一層困難にした。菅総理大臣は自らの言葉の重みをかみしめ、来春までに普天間移設の道筋をつける責任を負わなければならない。総理大臣を始め関係閣僚は職を賭してこの問題の解決を図る覚悟はあるのか如何。
本年八月二日の衆議院予算委員会において菅総理大臣は、「いろいろな機会をつくって、それがより効果的であるならば、何度と決めることなく足を運ぶ用意は十分にあります。」と答弁していたが、その後一度も沖縄に足を運ぶことはなかった。総理大臣自らが行動を起こすことが必要ではないか。沖縄県知事選後、できるだけ早く沖縄に赴き、地元の理解を得る努力をすべきと思うが、認識如何。
四 中国の南シナ海権益における「核心的利益」の取り下げ発言について
中国は本年三月、スタインバーグ米国務副長官らに、南シナ海を「核心的利益」とする方針を伝え、さらに、五月の「米中戦略・経済対話」において、戴秉国国務委員がクリントン米国務長官に中国政府の立場として正式に伝えた。
中国は沖縄県・尖閣諸島や、南シナ海のほぼ全海域を自国の権益圏とみなし、領有権を主張した。特に軍事、通商の要衝に当たる南シナ海について、国家の本質的な利益に直結していることを意味する「核心的利益」と位置付け、権益確保のための軍事活動を活発にすることを示唆したが、その後、大きな変化が起こった。
報道等によれば、中国政府は米政府に対し、これまでの発言を否定し、核心的利益を取り下げるとの発言をした。
しかし日本政府は、中国の「核心的利益」の姿勢に本質的な変化はないと判断すべきであり、決して南シナ海などの領海等の警戒を怠るべきではない。現に中国は漁船保護を理由に監視活動を常態化する方針を表明しており、日本の領海進入の恐れが十分にあり得ることを考えると、万全の監視体制、警告活動を行うべきである。
日本政府は中国の核心的利益の取り下げ発言をどのように認識しているのか、見解を示されたい。
併せて、中国漁船等による公務執行妨害など日本の法律違反が発生したときは、毅然として、日本の法律により具体的に執行すべきである。正に法と証拠に基づいて行うべきであると考えるが、見解を示されたい。
さらに、中国漁船等が日本の領海内に不当にとどまる際、国内法が未整備のため退去させることができない。国際法にのみ一方的に頼るのではなく、日本の国益を守る視点から、欧米先進国が整備しているような国内法についても十分検討し、早急に整備を行う必要があると考えるが、見解を問う。
五 法務大臣の指揮権発動にかかる処分請訓規程の改訂について
一般的に法務大臣の指揮権とは、個々の事件について検事総長を指揮することを指すものであるが、処分請訓規程は、本年十一月十八日の参議院予算委員会においても議論になった。
昭和二十三年法務庁検務局秘第三六号訓令として出された法務省の訓令である処分請訓規程と、昭和二七年法務府検務局秘第一五七〇号訓令として出された破壊活動防止法違反事件請訓規程は、法務大臣が指揮権発動すべきものである。即ちこれらは、検事総長が法務大臣の指揮を受けるべき事件として「内乱罪、外患罪、国交に関する罪等」、「破壊活動防止法違反」など国家のアイデンティティに深く関わる犯罪があげられている。
指揮権発動問題に関しては、最も権威があるとされる伊藤栄樹元検事総長の「逐条解説 検察庁法」(良書普及会)に明確に示されている。特に重要な事件について、捜査の着手または起訴、不起訴の処分について、法務大臣の指揮を受けるべき旨を、一般的に定めており、これにあたる場合には、具体的事件について、検事総長から法務大臣に対して請訓が行なわれ、これにこたえて法務大臣が指揮をすることとなっている。それが、前記の処分請訓規程と破壊活動防止法違反事件請訓規程に定める若干の事件である。
両規程には国家のアイデンティティに深く関わる犯罪があげられているが、正に尖閣諸島沖の領海における漁業行為、公務執行妨害は、単なる日本の国内法違反ではなく、国家主権に関わる事件である。同事件は、沖縄の一地検の判断に任せるのではなく、政府自ら判断すべきことであった。処分請訓規程は昭和二十三年に出されているが、前記四で質問したように時代背景は大きく変化している。
今後、今回のような国家のアイデンティティに深く関わる犯罪、事件についても処分請訓規程の対象にすべきではないか。このことも今回のような事件発生に対しての抑止効果の一つとして働き得るものと考えられる。見解を問う。
六 核廃絶へ向けての今後の取組について
公明党は、本年八月六日、「核廃絶へ向けて――公明党の五つの提案」を発表した。それは、①オバマ米大統領の広島・長崎・沖縄への訪問、②核兵器の非保有を宣言、③核廃絶サミットを広島、長崎で開催、④核不使用宣言地域の設置、⑤核兵器禁止条約へ取組み、からなるものである。
今回の日米首脳会談では、核セキュリティ・核軍縮・核不拡散分野における協力についてとり上げられ、「核リスク低減に関する日米協力」の文書が発出された。
これらは、我が党が重要な課題と認識する核廃絶へ向けてのものと理解するが、今後、具体的にはどのような取組を進めようとしているのか、政府の見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
昨今のアジア太平洋地域の情勢を考えると、日米関係は新たな安全保障環境に直面しており、日米同盟の深化は喫緊の課題であると認識している。日米同盟は、我が国の外交・安全保障の基軸であり、本年十一月十三日の日米首脳会談において両首脳間で一致をみたとおり、日米同盟を二十一世紀にふさわしい形で、安全保障、経済、文化・人材交流を三本柱として更に深化・発展させ、オバマ米国大統領から招待があった来年前半の菅内閣総理大臣の訪米の機会に、二十一世紀の日米同盟のビジョンを共同声明のような形で示すべく、日米両政府間で緊密に議論してまいりたい。
二について
日米両政府は、在日米軍駐留経費負担をより安定的なものとするとともに、より効率的かつ効果的なものにしていく上での基本的な方針について一致したところであるが、その内容の詳細について明らかにすることは、米国との関係もあり差し控えたい。
在日米軍駐留経費負担については、政府としては、この基本的な方針に基づき、その重要性を十分に認識しつつ、我が国の厳しい財政事情にも十分配慮し、国民の理解が得られる経費負担となるよう、米国政府と協議を行っているところである。
三について
政府としては、普天間飛行場の移設問題について、本年五月二十八日の日米安全保障協議委員会の共同発表に基づき取り組むと同時に、沖縄県に集中した基地負担の軽減にも全力を挙げて取り組む考えであり、沖縄県を始め地元の方々からの御意見も伺いながら、誠心誠意説明し、理解を求めていく所存である。
お尋ねの菅内閣総理大臣の沖縄への訪問については、今後、適切に判断してまいりたい。
四について
御指摘の報道については承知しているが、お尋ねについてお答えすることは、政府の情報収集の内容等について明らかにすることになり、今後の情報収集等に支障を来すおそれがあることから、差し控えたい。
我が国領域内で行われた犯罪に関しては、今後とも、個別具体的な事情に応じて、法と証拠に基づき適切に対処する考えである。
御指摘の「欧米先進国が整備しているような国内法」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、政府としては、法務省、水産庁、海上保安庁等関係省庁の連携の下、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)、外国人漁業の規制に関する法律(昭和四十二年法律第六十号)、領海等における外国船舶の航行に関する法律(平成二十年法律第六十四号)等の現行法令を適切に執行することにより、我が国の領海における外国船舶・外国人等の航行等の秩序の維持と安全の確保に努めているところであり、今後とも、我が国の国内法令にのっとり取締りを行う等適切に対応してまいりたい。
五について
検察庁法(昭和二十二年法律第六十一号)第十四条の規定により、法務大臣は、個別具体的な事件に関する「取調又は処分」については、検事総長のみを指揮することができるとされているのは、指揮権の行使の在り方に関しては、司法権と密接不可分な関係にある検察権の独立性確保の要請に十分に配慮する必要があるからであると考えている。
その上で、お尋ねの「国家のアイデンティティに深く関わる犯罪、事件」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではないが、処分請訓規程(平成十七年法務省刑総訓第千四十五号)及び破壊活動防止法違反事件請訓規程(昭和二十七年法務府検務局検務秘第千五百七十号)に規定されていない犯罪に関する事件であっても、法務大臣が承知しておくべきものと認められるものについては、検察当局から適時適切に報告がなされ、法務大臣は、このような報告等を契機として指揮権を行使することができるのであり、御指摘のような処分請訓規程の改正については、その要否等につき慎重な検討を要するものと考えている。
六について
我が国としては、人類に多大な惨禍をもたらし得る核兵器が将来二度と使用されることがないよう、平和で安全な核兵器のない世界を目指した現実的かつ着実な核軍縮努力を重ねていくことが重要であると考えている。
かかる観点から、我が国としては、日米両政府が核セキュリティ、核軍縮及び核不拡散の分野において核リスクの低減に向けた協力及び連携を深めるとともに、本年五月に開催された核兵器の不拡散に関する条約(昭和五十一年条約第六号)の運用検討会議において全会一致で採択されたいわゆる「行動計画」を着実に実現していく努力を進めて行く必要があると考えている。特に、包括的核実験禁止条約の早期の発効並びに兵器用核分裂性物質生産禁止条約の即時の交渉開始及びその可能な限り早期の妥結については、今後の核軍縮の道筋を築いていく上で優先的に取り組むべきものと考えている。
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