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香港民間団体による尖閣諸島上陸事件に関する再質問主意書
参議院 第180回 第254号
質問本文
平成二十四年八月十五日、香港の民間団体である「保釣行動委員会」の船が我が国領海に侵入し、乗組員の一部が、尖閣諸島の魚釣島に上陸した。沖縄県警等がこれら上陸者等を出入国管理及び難民認定法第三条等の違反容疑で現行犯逮捕したが、同法第六十五条の適用により、これら被疑者に対して強制送還の措置がとられた。
同法第六十五条では、他に罪を犯した嫌疑のないときに限り、刑事訴訟法の規定にかかわらず、当該被疑者を入国警備官に引き渡すことができるとされているが、一部公開された海上保安庁撮影・編集の録画映像によれば、当該船舶及び乗組員による出入国管理及び難民認定法第三条等の違反容疑以外に、我が国法令に違反する複数の事案が発生していたと認識せざるを得ない。
右の点を踏まえ、以下質問する。
一 海上保安庁が公開した映像には、当該船舶に対する放水、接舷規制、挟撃等を実施していたものの、当該船舶は航行を続け、停船しない映像が映し出されていた。
海上保安庁の巡視船は、当該船舶に対する領海等における外国船舶の航行に関する法律第六条に基づく立入検査実施を通告したのか。また、立入検査実施を通告していた場合、前記映像では、当該船舶が停船せず、立入り若しくは検査を妨げている行為が明らかにされており、同法第十二条に規定される立入検査忌避に該当すると認識しているが、今回、何故、同法第十二条が適用されなかったのか、明らかにされたい。
二 仮に同海域の波が高く、海上保安庁の巡視船の接舷による移乗が困難であった場合、海上保安庁のヘリからのリペリング降下等によって、当該船舶への移乗は可能であったと考えているが、何故、実施されなかったのか、明らかにされたい。
三 前記映像には、当該船舶の乗組員が、海上保安庁の巡視船上の海上保安官へ向けて、れんがのようなものを投擲する映像が映し出されていたが、この行為は、刑法第二百八条に規定される暴行罪に該当するものであると認識している。
暴行罪は、人の身体に向けられた有形力(物理力)の行使であり、必ずしも人の身体に接触することを要しないとされているが、今回、何故、暴行罪が適用されなかったのか、判例等に照らして論理的に明らかにされたい。
四 当該船舶が、魚釣島に乗り上げ、不開港場である同島に乗組員を上陸させたことは、船舶法第三条に抵触するものであると認識している。これに対して、平成二十四年九月三日に開かれた参議院決算委員会において、吉田国土交通副大臣は「今回の場合は一時的に海岸に乗り上げたものということで、不開港場への寄港に当たらないと判断をしたというふうに報告を受けております」と答弁した。
しかしながら、同法は、日本船舶に非ざれば不開港場に寄港し又は日本各港の間に於いて物品又は旅客の運送を為すことを得ずと規定している。今回の不法上陸は、荒天や海難からの避難や海難事故による一時的乗り上げではなく、外国の船舶が不開港場である同島に上陸させる目的をもって旅客を降ろしたものであり、そのことが同法に抵触するものであると認識しているが、何故、同法第三条が適用されなかったのか、論理的に明らかにされたい。
五 今回の不法上陸事案に関して、政府が、出入国管理及び難民認定法第六十五条の適用により、これら被疑者の強制送還措置を優先すべく、前述の領海等における外国船舶の航行に関する法律、船舶法等の法令をあえて適用しなかったと認識せざるを得ない。今回の対応が、同海域における外国船舶及び同乗組員による不法行為への抑止力低下につながることを懸念しているが、政府の見解如何。
右質問する。
政府答弁書
一及び二について
平成二十四年八月十三日に開催した関係省庁会議で確認した「抗議船等の海上での排除に全力を尽くす」という政府としての対処方針の下、海上保安庁の巡視船が、御指摘の「「保釣行動委員会」の船」に対し、可及的速やかに領海外へ退去させるための警告、放水及び接舷を繰り返し行うこととなったものであり、航行の理由を確かめるための領海等における外国船舶の航行に関する法律(平成二十年法律第六十四号)第六条第一項に基づく立入検査は実施しておらず、そのための停船を命じることや、海上保安官による御指摘の「リペリング降下」は実施しなかった。
三について
御指摘の事案においては、御指摘の「「保釣行動委員会」の船」に乗船していた者から海上保安庁の巡視船に向けてれんが片等の投てきがあったものであるが、当該行為は、同船に乗船していた海上保安官に対するものとは認められなかったことから、第十一管区海上保安本部長(以下「本部長」という。)において、暴行罪には当たらないと判断したところである。
四について
御指摘の事案は、御指摘の「「保釣行動委員会」の船」が、魚釣島に一時的に乗り上げたものであり、当該行為の態様等に照らして、本部長において、船舶法(明治三十二年法律第四十六号)第三条の規定に違反する「寄港」とは判断しなかったところである。
五について
政府としては、我が国法令に基づき適切に対処するとの基本方針を確認し、関係機関は、これに沿って適時に適切な措置をとったところであるが、御指摘の事案が発生したことは誠に遺憾である。
御指摘の事案の発生を受け、外交ルート等を通じて中国政府等に対し、再発防止に向けてしかるべき措置を講ずるよう強く申入れを行っているが、今後も必要に応じて、同国政府等に対し、適切な対応をとるよう申入れを行っていくほか、関係機関が緊密に連携しつつ、情勢に応じて海上保安庁の警備体制を強化するなど、対策に万全を期してまいりたい。
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