ことばで探す › 参議院 第186回
商品先物取引における「不招請勧誘」に関する質問主意書
参議院 第186回 第57号お答えすることは困難 ×1
質問本文
商品先物取引においては、突然の電話で大きく儲かることのみを殊更に強調して、強引に取引に引き込み、一たび取引に引き込んだ後は、顧客に「客殺し」とも呼ばれる悪質な勧誘を用いて、甚大かつ悲惨な被害を与え続けてきたことは、既に国民生活センター等、国の機関においても再三警告、報告されてきたところである。
それ故に、参議院財政金融委員会における平成十八年六月六日の附帯決議も、商品先物取引について「今後のトラブルが解消していかない場合には、不招請勧誘の禁止の導入について検討すること」と決議する等国会の意思も示されたので、平成二十一年の商品取引所法改正及び施行令によって、継続的な取引関係を持たない者に対しては、原則として電話勧誘、訪問勧誘を禁止する「不招請勧誘」禁止が導入され(商品先物取引法第二百十四条第九号、同法施行令第三十条)、これによって被害が大幅に減少するに至った(国民生活センターのPIO-NET情報によると、商品先物取引に関する相談件数は、不招請勧誘禁止前の平成二十二年は三千五百九十四件であったが、禁止後の平成二十三年には千五百十件と激減している)。やはり先物取引被害から国民を守るためには不招請勧誘禁止が有効であった。
ところが、一方において証券・金融、商品先物取引を横断的に一括して取り扱う「総合取引所」構想のもと、平成二十四年、金融商品取引法が改正され、商品先物取引に関しても同法によって規制されることになり(改正法第二条第二十四項第三号の二)、他方、金融商品取引法においては「不招請勧誘」が禁止されていないため(同法第三十八条第四号、同法施行令第十六条の四)、総合取引所がスタートした後は先物取引に関して「不招請勧誘禁止」が解除されてしまうことになる。
この点につき、昨年六月十九日、衆議院経済産業委員会における総合取引所に関する議論の中で、寺田金融担当副大臣(当時)は、「商品先物取引についても、金融と同様に、不招請勧誘の禁止を解除する方向で推進していきたい」と答弁している。
しかし、商品先物取引においては、平成二十四年度でもなお二百十三件もの相談(国内取引所取引のみ)が国民生活センター等に寄せられる等、悪質な被害が多数報告されている。そもそも商品先物取引と、その他金融商品取引とは、被害の実情や規制の歴史が全く異なり、取引所が統合されるだけをもって、規制も形式的に統一してしまっては、せっかく減少した商品先物取引被害がまたぞろ復活し、かつて社会問題にまでなった、商品先物取引による一家離散や自殺等、悲惨な被害が増大する危険が極めて大きい。
ついては、政府に対して次のとおり質問する。
一 商品先物取引の被害の実態について、どのような調査に基づいて、どのように認識しているか。
二 昨今の商品先物取引における取引量減少の原因は何か。
三 政府内部において、商品先物取引被害に関する情報は共有されていないのか。
平成二十六年三月二十七日の参議院内閣委員会において、不招請勧誘が禁止された前後における被害件数の推移を質問したところ、岡田金融担当副大臣は「金融庁としては把握しておりません。」と答弁している。しかしながら、PIO-NET情報による相談件数の激減は前記のとおりであるから、消費者庁から金融庁及び経済産業省、農林水産省へ報告するなどして、政府として情報を共有するべきではないか。
四 平成二十五年六月十九日の寺田金融担当副大臣(当時)の前述の答弁は政府の方針か。
五 「商取ニュース」平成二十六年三月二十八日の記事によれば、日本商品先物振興協会の同月十九日の総会において、同会の岡地和道会長は、不招請勧誘に関して「この緩和に関しては当協会も様々な関係方面の方々にご理解を得るべく積極的に活動してきました。(中略)そういったことを通じて、何とか一定の理解を得て不招請勧誘の一部見直しが検討されることとなりまして、近く、何らかの方向性が示されるのではないかと思っております」と述べている。
右、岡地氏が言うところの、
①様々な関係方面の方々とは誰か。
政府へ働きかけがあったのか。
②「一定の理解」とは何か。
寺田金融担当副大臣(当時)ら政府関係者は「理解」したのか。
③「近く何らかの方向性」とは何か。
六 衆議院消費者問題に関する特別委員会における平成二十一年四月十六日の附帯決議は「内閣総理大臣、関係行政機関の長等は、消費者委員会からの建議又は勧告に対して、迅速かつ誠実に対応すること。」と述べているところ、消費者委員会は、平成二十五年十一月十二日付けの商品先物取引における不招請勧誘禁止規制に関する意見において、「商品先物取引における不招請勧誘禁止規制を緩和すべきではない」と述べている。
右消費者委員会の意見に対して、政府はどのように対処するか。
七 不招請勧誘が禁止された結果、取引量が減少して、手数料収入の減少などを被ったのは誰か。
逆に、不招請勧誘が禁止された結果、商品先物取引による被害(損失)を免れたのは誰か。
したがって、不招請勧誘の禁止を「解除」してしまうことは、誰の利益のために、誰を犠牲にすることになるのか。
右質問する。
政府答弁書
一について
政府としては、経済産業省及び農林水産省における苦情受付件数、独立行政法人国民生活センターが運営する全国消費生活情報ネットワーク・システムに集約された消費生活相談情報等を通じ、商品先物取引の被害の実態把握に努めているところであり、商品先物取引に関する苦情及び相談の件数は、減少傾向にあるものと認識している。
二及び七について
商品先物取引の取引量については、平成十六年から平成二十五年まで減少しており、その原因としては、平成十七年五月一日に施行された商品取引所法の一部を改正する法律(平成十六年法律第四十三号)により導入された再勧誘禁止規定等の累次の行為規制の強化等が考えられるが、商品先物取引を行う者によってその取引の内容、方法、結果等が様々であり、また、商品先物取引に伴う経済効果は様々な者に及ぶことから、お尋ねの商品先物取引の取引量が減少して手数料収入が減少した者、不招請勧誘禁止規定によって商品先物取引による被害を免れた者及び不招請勧誘禁止規定を廃止することにより利益を受ける者又は犠牲となる者について、特定することは困難である。
三について
御指摘の答弁は、「不招請勧誘が禁止された前後における」商品先物取引が金融庁の所管外の事項であって、金融庁として「被害件数の推移」をお答えする立場にはないことを踏まえたものであり、政府としては、商品先物取引に関する相談を含めた消費生活相談情報について、全国消費生活情報ネットワーク・システム等を通じて関係省庁間で情報の共有化に努めているところである。
四及び六について
四において御指摘の答弁は、「規制改革実施計画」(平成二十五年六月十四日閣議決定。以下「閣議決定」という。)において、「総合取引所の創設を通じて市場における取引を活性化するための環境整備を行う」とされ、かつ、金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第八項第一号に規定する商品関連市場デリバティブ取引に係る金融商品取引業者の行為規制について、証券・金融と商品の「垣根を取り払い横断的に市場環境を整備するとの基本的な考え方の下で、関係法令を整備する」とされたことを踏まえたものである。いわゆる総合取引所における商品関連市場デリバティブ取引に係る諸規定については、本年三月十一日から施行されたところであるが、当該商品関連市場デリバティブ取引に係る行為規制の内容については、閣議決定の内容や御指摘の消費者委員会の意見の趣旨等も踏まえつつ、現在、我が国金融商品市場の国際競争力の強化及び投資者に対する多様な投資機会の提供の確保並びに投資者の保護の確保の観点から、更なる検討を行っているところである。
五について
日本商品先物振興協会が、「取引所取引に対する不招請勧誘禁止規制の撤廃を求める意見書」を公表していることは承知しているが、御指摘の記事の内容については、政府としてお答えする立場にはない。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。