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IR実施法案とギャンブル依存症対策に関する質問主意書
参議院 第196回 第211号趣旨が明らかではない ×2
質問本文
平成二十八年十二月、第百九十二回国会において、異例ともいえる会期延長を経て、「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(以下「IR推進法」という。)が成立した。政府はIR推進法の規定に基づき、特定複合観光施設区域整備法案(以下「IR実施法案」という。)を提出しているが、カジノの設置により、ギャンブル依存症をはじめとした多くの弊害が発生することの懸念が指摘されている。
厚生労働省の最新の調査では、ギャンブル依存の人は五百三十六万人に上り、国際的にも日本は際立って高い状況である。カジノの解禁は、ギャンブル依存をより悪化させる危険がある。これに関連し、以下質問する。
一 カジノを中核とするIR施設が開設された場合、カジノに起因するギャンブル依存症患者は、どの程度生じると予測しているか。
二 カジノを中核とするIR施設が開設された場合、カジノでのギャンブルに起因する多重債務者の発生が予測される。このギャンブルに起因する多重債務者の増加をどの程度と予測しているか。また、それに対して、どのような対策を立てているか。
三 衆議院での審議では、入場料の性格について、安易な入場を抑止する観点から依存症の予防のために採られている施策であって、すでに依存症になってしまった顧客対策ではない旨、答弁がなされている。
IR実施法案では、入場回数制限を行うことによる依存症対策が想定されているが、最も効果がある依存症対策ともいえる、カジノ施設への日本人の入場禁止については検討しなかったのか。検討したのであれば、なぜカジノ施設への日本人の入場禁止をIR実施法案に規定しなかったのかを併せて明らかにされたい。
四 カジノが解禁されれば、二十四時間、いつでもカジノでギャンブルに接することができるほか、既存の公営競技等と比べて賭け金の額も大きくなることが想定され、依存症の問題はより一層深刻になるおそれがある。依存症の発症を防止するためには、営業時間の制限や賭け金の限度額の設定などといった既存の公営競技、パチンコ等に起因する依存症対策より高い水準の規制が求められると考えるが、より高い水準の規制は検討しなかったのか。検討したのであれば、なぜより高い水準の規制をIR実施法案に規定していないのか、明らかにされたい。
五 政府は、IR推進法の成立を契機として、ギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議を設置して、既存の公営競技、パチンコ等に起因する依存症対策を進めていると承知している。その中で、相談窓口の設置、本人あるいは家族の申告によるアクセス制限の導入、購入限度額の設定などの取組が進められている。これらの取組は、現時点で効果を上げているといえるのか。
六 既存の公営競技、パチンコ等に起因する依存症対策の強化は、昨年、本格的に始まったばかりだが、この効果が明確にならないまま、「既存の依存症対策を強化したので、カジノも問題ない」とは言えないのではないか。
IR推進法において、法律の施行後一年以内を目途として必要となる法制上の措置を講ずるとされたことを受けて政府はIR実施法案を提出しているが、既存の依存症対策の効果を検証した上でIR実施法案の議論を進めるべきであり、現状のままでは、IR実施法案に盛り込まれた施策が依存症対策として効果があるかどうかは分からないのではないか。
右質問する。
政府答弁書
一及び二について
御指摘のような「カジノに起因するギャンブル依存症患者」や「カジノでのギャンブルに起因する多重債務者」が発生するとの懸念に関しては、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(平成二十八年法律第百十五号)第十条第一項において、「カジノ施設の入場者がカジノ施設を利用したことに伴いギャンブル依存症等の悪影響を受けることを防止するために必要な措置に関する事項」について必要な措置を政府が講ずるものとすることが規定されており、また、同法の国会審議における附帯決議においても、依存症予防等の観点から厳格な入場規制を導入すること等が求められている。
このため、平成三十年七月二十日に成立した特定複合観光施設区域整備法(平成三十年法律第八十号)においては、御指摘の懸念について応えるべく、カジノ行為への依存防止に関し、日本人及び本邦内に住居を有する外国人を対象として、入場回数の制限、入場料の賦課及びカジノ事業者による貸付の制限を行うとともに、全ての入場者を対象として、入場者又はその家族等の申出によるカジノ施設の利用を制限する措置、カジノ行為に対する依存による悪影響を防止する観点からカジノ施設を利用させることが不適切であると認められる者のカジノ施設の利用を制限する措置等を講ずることをカジノ事業者に義務付けるほか、認定区域整備計画の数の上限の設定、一の特定複合観光施設区域におけるカジノ施設の数の限定、カジノ施設に係る面積の制限、カジノ事業又はカジノ施設に関する広告及び勧誘の規制を行う等の重層的・多段階的な取組を制度化し、万全を期したものである。
三について
特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律では、カジノ施設の利用に関し、第十条第二項において「外国人旅客以外の者に係るカジノ施設の利用による悪影響を防止する観点から、カジノ施設に入場することができる者の範囲の設定その他のカジノ施設への入場に関し必要な措置を講ずる」こととされ、日本人のカジノ施設の利用を一律に禁止することとはされていない。
これを踏まえ、特定複合観光施設区域整備法では、「カジノ施設への日本人の入場禁止」ではなく、一及び二についてでお答えしたとおり、カジノ行為に対する依存防止に関し、重層的・多段階的な取組を制度化し、日本人も含め、適切な対策を講じたものである。
四及び六について
御指摘の「より高い水準の規制」及び「既存の依存症対策を強化したので、カジノも問題ない」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一及び二について及び三についてでお答えしたとおり、特定複合観光施設区域整備法は、カジノ行為に対する依存防止に関し適切な対策を講じているものである。
なお、政府としては、ギャンブル等依存症対策については、ギャンブル等依存症対策基本法(平成三十年法律第七十四号)において、ギャンブル等依存症対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、ギャンブル等依存症対策の推進に関する基本的な計画を策定するとともに、三年ごとに、ギャンブル等依存症問題の実態を明らかにするため必要な調査を行うこととされていることも踏まえ、定期的な実態調査に基づいてPDCAサイクルを推進することで、不断に取組を強化していくこととしている。
五について
お尋ねの「現時点で効果を上げている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、ギャンブル等依存症対策について、御指摘の取組を含め、「ギャンブル等依存症対策の強化について」(平成二十九年八月二十九日ギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議決定)等を踏まえ必要な取組を講じているところである。
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