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ギャンブル依存症問題の監督体制に関する質問主意書
衆議院 第196回 第278号趣旨が明らかではない ×2検討してまいりたい ×1
質問本文
我が国ではすでに多くのギャンブルが公営競技として認められており、加えて実質的にギャンブルと同等のサービスが提供されているパチンコが広く普及している。このように我が国は既に世界に冠たるギャンブル大国であるが、他方でギャンブル産業の負の側面であるいわゆるギャンブル依存症に関わる問題(以下「ギャンブル依存症問題」という)については政府は見て見ぬ振りを続け、なんら有効な対策が打たれず放置され続けてきた。
平成二十九年度に厚生労働省調査班によって行われた調査では直近一年のギャンブル依存症が疑われる者の割合は成人の〇・八%、約七十万人、生涯罹患率では成人の三・六%、約三百二十万人と推計されており、また大半の罹患者の依存対象はパチンコであることも明らかになっている。ギャンブル依存症はその罹患した当人のみならず、家族や親族といった近親者の生活へも強い負の影響を及ぼすことが知られており、直近一年に限っても依存症が疑われる七十万人弱に限らず、その近親者を含む数百万人が当事者としてギャンブル依存症問題に苦しんでいることが推測される。
こうした状況を踏まえて、今国会までにギャンブル依存症の対策を実施するための法案が複数提出されている。しかし他方で二〇一六年十二月に公布・施行された「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(IR推進法)」に基づき、カジノという新たなギャンブルを解禁する内容を含むいわゆる「IR実施法案」が政府から提出され国会で審議されることも見込まれている。さらにパチンコ行政に関しては、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則が大幅に改正され、新たな制度の運用が始まろうとしている。
このように今国会は我が国のギャンブル行政の大転換点になる可能性があり、個別の制度についてそれぞれ議論するのみならず、関連法律・規則改正について横断的な視点で検討することが必要不可欠となる。このような視点から、本質問主意書においては、ギャンブル依存症対策に向けた政府の問題意識、IR実施法案におけるカジノの監督体制、パチンコ産業等におけるギャンブル依存症・のめりこみ対策、等に関する政府の総合的な取り組みの詳細について以下確認する。
一 二〇〇九年度から二〇一七年度までの間に、ギャンブル依存症問題への対策を直接の目的とする事業に対して実際に執行された政府予算額の推移、および二〇一八年度の政府予算に計上された同問題への対策を直接の目的とする事業の金額を示されたい。ただし上記金額には薬物依存症、アルコール依存症への対策費は含まないものとする。
二 いわゆるアルコール依存症に対する支援の枠組みを定めたアルコール健康障害対策基本法では第五章において「アルコール健康障害対策関係者会議」の設置が規定されているが、同関係者会議が設置された目的およびアルコール健康障害対策において現に果たしている役割について問う。
またアルコール依存症とギャンブル依存症の対策には共通点が多く、ギャンブル依存症対策においても同様に関係者会議を設置することを検討すべきように思うが、政府の見解を問う。
三 政府においてはカジノに関するギャンブル依存症防止対策として、入場回数制限、入場料の賦課等の入場制限が検討されているが、これら入場制限措置がギャンブル依存症対策として有効であることを示す科学的根拠を提示されたい。仮に科学的根拠が存在しないならばその旨も示されたい。
また、特定複合観光施設区域整備推進会議における議論では当該入場料は「一般財源として公益目的に用いることとすべき」とされているが、これにギャンブル依存症対策を行う民間事業者への助成は含まれるか。
四 平成二十九年八月二十九日にギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議で発表された「ギャンブル等依存症対策の強化について」と題する報告書では、競馬に関して本人・家族申告によるアクセス制限を実施する方針が記載されている。当該報告書では具体的に「今後は、各競馬主催者において、実態に即した、より具体的なマニュアルを本年中に策定することとしている。また、こうした運用を踏まえつつ、家族申告によるアクセス制限の仕組みを構築する。」としているが、現状のマニュアル作成および家族申告によるアクセス制限の仕組み構築の進捗、利用状況についてご教示されたい。
五 特定複合観光施設区域整備推進会議における議論では、「カジノ関連機器については、政府が技術的な基準を設定し、当該基準への適合を義務付けるべき」とされており、また、電磁的カジノ関連機器等に関しては型式検定制度によって基準適合性を確認するものとされている。このような制度は遊技機における型式検定制度と酷似している。
他方で遊技機に関しては、平成二十七年度にパチンコメーカーが業界ぐるみで不正に釘の角度を改変し、検定機と性能の異なる可能性がある遊技機を大量に出荷する大規模な不正改造事案があったことが判明している。当然カジノに関する制度設計には、当該不正改造事案の原因を調査しその反省点を活かすべきと考える。この点平成二十九年三月八日の衆議院内閣委員会において、松本純国家公安委員長は「現在、警察では各パチンコメーカーから報告を求めるなど、検定機と性能の異なる可能性のある遊技機が出荷された原因等の調査を行っている」と答弁したが、当該調査は終了したのか。
また当該調査が終了しているのならば、その結果を公表する予定はあるのか。これほどの大規模な不正改造事案があったにも関わらず、当該調査の結果を公表することを予定していない場合はその理由についても併せて問う。
六 パチンコメーカーはわずか三年前に業界ぐるみで大規模な不正改造事案を引き起こしたことを考えると、パチンコメーカーのカジノ業への参入には厳しい姿勢で臨むべきと考えるが、政府の見解を問う。
またパチンコメーカーを監督する立場にありながら大規模な不正改造事案を予防できなかった国家公安委員会、都道府県公安委員会についても、カジノ事業を監督するには不適切であり、別の機関にカジノ産業の監督権限を与えるべきと考えるが、政府の見解を問う。
政府の見解は如何か。
右質問する。
政府答弁書
一について
お尋ねの「薬物依存症、アルコール依存症への対策費」を含まない「ギャンブル依存症問題への対策を直接の目的とする事業」としては、「ギャンブル障害の疫学調査、生物学的評価、医療・福祉・社会的支援のありかたについての研究」等の事業があり、これらの事業に対する予算執行額は、平成二十八年度及び平成二十九年度が、それぞれ、六千九百四十一万八千円及び八千二百三十八万三千円であり、平成三十年度の予算額は、千九百四十二万七千円である。なお、これらの事業の内容としては、平成二十八年度及び平成二十九年度については、三か年度の事業である当該研究の一環としての国内のギャンブル等依存に係る大規模調査等を行ったところであり、平成三十年度については、当該調査結果の解析等を行うこととしている。
二について
御指摘のアルコール健康障害対策関係者会議は、政府が、アルコール健康障害対策を総合的かつ計画的に推進するに当たり、アルコール関連問題に関し専門的知識を有する者並びにアルコール健康障害を有し、又は有していた者及びその家族を代表する者の意見を聴くために、アルコール健康障害対策基本法(平成二十五年法律第百九号)第二十六条第一項の規定に基づき置かれているものであるところ、同会議は、同条第二項において、アルコール健康障害対策推進基本計画に関し同法第十二条第五項に規定する事項を処理すること及び同法第二十五条第一項の連絡調整に際してアルコール健康障害対策推進会議に対し意見を述べることとされており、現在までに十七回開催され、所定の役割を果たしている。
また、「ギャンブル依存症対策においても同様に関係者会議を設置することを検討すべき」との御指摘については、既にギャンブル等依存症対策に係る法律案が議員立法として国会に複数提出されていると承知しており、これらの法律案の内容に関わるものであることから、政府としては、国会での議論の推移を見守ってまいりたい。
三について
お尋ねの「科学的根拠」については、その意味するところが必ずしも明らかではないが、特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ(平成二十九年七月三十一日特定複合観光施設区域整備推進会議)(以下「取りまとめ」という。)において、入場回数制限については、「カジノ施設への入場に当たって本人確認を厳格に行うことにより、入場回数は客観的に把握できる指標であること、一般論として入場回数が多くなるにつれて、依存が進むリスクが大きくなると考えられること、諸外国でも入場回数制限の導入例があること」から、「入場回数制限を設け、常態的にカジノ施設に入場できる環境をつくらないことが適切である」とされ、また、入場料の賦課については、「依存症対策としての入場料の効果についての科学的知見は必ずしも確立されていない」が、「入場料を賦課することにより、入場料を徴収する際に、入場回数制限のための本人確認を確実に行えること、カジノ施設への安易な入場を抑止できること、徴収した入場料を公益目的に還元できること、といった制度的なメリットがあることから、カジノ施設への入場者に対し、入場料を賦課することとすべきである」とされ、さらに、依存防止対策については、「有識者からのヒアリング概要」に「カジノ施設の利用者に対する制限等としては、本人や家族の申告によるアクセス制限や入場料の徴収、入場回数の制限等、様々な方策が考えられる」と記載されている。
また、お尋ねの入場料の使途については、取りまとめにおいて、「一般財源として公益目的に用いることとすべきである」とされているが、これは、御指摘の点も含め、その具体的な使途については毎年度の予算編成において適切に対応すべきであるとの趣旨と承知している。
四について
御指摘のマニュアルは、中央競馬については日本中央競馬会が昨年十二月に、地方競馬については全ての地方競馬主催者が本年三月末までに策定したと承知している。
また、インターネット投票における家族申告によるアクセス制限については、中央競馬においては昨年十二月から、地方競馬においては本年四月から実施しており、本年四月末時点で、中央競馬では七件の適用実績があり、地方競馬では適用実績がなかったと承知している。一方、競馬場及び場外馬券売場における家族申告によるアクセス制限については、その仕組みを今後構築することとしているが、その具体的な実施方法については現在検討中である。
五について
御指摘の「調査」は、本年一月までに終了している。
当該調査は、日本遊技機工業組合から警察庁に対し、平成二十七年十一月に、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)第二十条第四項の検定を受けた型式に属するぱちんこ遊技機としてそれまでに出荷された遊技機の中に、その出荷の時点において既に当該遊技機が属するとされた型式のぱちんこ遊技機と性能の一部が異なる可能性のあるものが含まれていた旨の報告があり、その後の警察庁による指導等を踏まえ、平成二十八年二月に、その原因について、工場における製造工程の適正台数を超えて製造された遊技機については遊技くぎの管理が不十分であった旨の報告があったこと等から、警察庁が遊技機の製造業者に対して行ったものであり、その調査結果としては、当該原因についての報告と相違する内容は認められなかったものである。当該調査結果は、求めがあれば、外部に提供することとしている。
六について
お尋ねの「カジノ業への参入」及び「カジノ産業の監督権限」の意味するところが必ずしも明らかではないが、今国会に提出した特定複合観光施設区域整備法案では、第四十一条第一項においてカジノ事業の免許の審査基準として「申請者が、人的構成に照らして、カジノ事業を的確に遂行することができる能力を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者であること」等の厳格な要件を規定するなど、カジノ事業者、カジノ関連機器等製造業者等の廉潔性を十分に確保し得る参入規制を導入することとしており、また、カジノ事業者、カジノ関連機器等製造業者等の監督については、新たに設置するカジノ管理委員会が行うこととしている。
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