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安倍総理の「人種平等」に関する所信表明演説が歴史の曲解及び捏造であることに関する質問主意書

参議院 第200回 第121号お答えすることは困難 ×4趣旨が明らかではない ×2個別の事案 ×1

提出者
参議院
提出日
2019年12月9日
内閣転送 2019年12月9日
答弁書受領日
2019年12月20日
提出から11日
答弁の項目数
11
質問 2,525字/答弁 2,511字

質問本文

安倍総理は、本年十月四日の参議院本会議での所信表明演説において、「提案の進展を、全米千二百万の有色の人々が注目している。百年前、米国のアフロ・アメリカン紙は、パリ講和会議における日本の提案について、こう記しました。一千万人もの戦死者を出した悲惨な戦争を経て、どういう世界をつくっていくのか。新しい時代に向けた理想、未来を見据えた新しい原則として、日本は人種平等を掲げました。世界中に欧米の植民地が広がっていた当時、日本の提案は、各国の強い反対にさらされました。しかし、決してひるむことはなかった。各国の代表団を前に、日本全権代表の牧野伸顕は、毅然としてこう述べました。困難な現状にあることは認識しているが、決して乗り越えられないものではない。日本が掲げた大いなる理想は、世紀を超えて、今、国際人権規約を始め国際社会の基本原則となっています。」と述べている。

これに関して、以下の事項を質問する。

一 安倍総理が「日本は人種平等を掲げました」とするところの「日本の提案」とは、パリ講和会議において、牧野伸顕日本全権代表が大正八年二月十三日と四月十一日に国際連盟規約に挿入することを求めた人種差別撤廃規定に係る提案のことを指しているのか。なお、人種差別撤廃規定との文言及び当該規定の内容並びにその提案の経緯については、日本外交文書(大正八年第三冊上巻 外務省編纂)の四百四十三頁以下に記されているところである。

二 「日本の提案」の内容について、当時の日本がどのような提案を行ったのかについて政府の認識するところを具体的に示されたい。その際には、なぜ、当該提案が「人種平等を掲げました」と評価できるのかについての理由も示されたい。

三 「世界中に欧米の植民地が広がっていた当時、日本の提案は、各国の強い反対にさらされました。」とあるが、「各国の強い反対にさらされ」た理由について、政府は、「人種平等」に関する「日本の提案」が当時の欧米各国による植民地の広がりやそれに関する人種差別等の植民地政策と矛盾するために欧米各国は当該提案に対して反対したと考えているのか。

四 安倍総理が「日本は人種平等を掲げました」とするところの「日本の提案」とは、当時の欧米各国による植民地の広がりやそれに関する人種差別等の植民地政策に反対する趣旨を含むものであったのかについて、政府の見解を示されたい。含むものであると考える場合はその根拠について具体的に示されたい。

五 パリ講和会議の当時、日本は朝鮮半島及び台湾を植民地としていたが、「人種平等」に関する「日本の提案」は、日本が朝鮮半島及び台湾を植民地としていたことと矛盾しないものであったと考えているのか。矛盾しないものと考える場合はその根拠を示されたい。

六 日本がパリ講和会議以降の朝鮮半島を植民地として統治している間に行ったいわゆる創氏改名について、政府の見解を示されたい。また、パリ講和会議での「人種平等」に関する「日本の提案」の内容が、この創氏改名と矛盾しないかどうかについて政府の見解を示されたい。なお、矛盾しないと考える場合は具体的な根拠を示すこと。

七 「国際人権規約を始め国際社会の基本原則」とは具体的に何を指すのかを説明されたい。特に、例示されている国際人権規約においては、どの規定を指すのか、また、当該規定のどの文言を指すのかについて具体的に示されたい。

八 パリ講和会議において日本が掲げたという「人種平等」と、人種に係る「国際人権規約を始め国際社会の基本原則」とは内容として同趣旨のものと考えているのか。同趣旨のものと考える場合はその理由について、違いがあると考える場合はその違いについて具体的に示されたい。

九 人種に係る「国際人権規約を始め国際社会の基本原則」は、どのような経緯によって国際法として形成されたものと認識しているか政府の見解を示されたい。

十 「国際人権規約を始め国際社会の基本原則」の形成に当たり、パリ講和条約において日本が「人種平等」を掲げたことが具体的にどのような影響を与えたと考えているのか、具体的に示されたい。

十一 「日本が掲げた大いなる理想」の内容について具体的に示されたい。

十二 「新しい時代に向けた理想、未来を見据えた新しい原則として、日本は人種平等を掲げました。・・・日本が掲げた大いなる理想は、世紀を超えて、今、国際人権規約を始め国際社会の基本原則となっています。」との見解について、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約の第一条第三項においては「この規約の締約国は・・・自決の権利が実現されることを促進し及び自決の権利を尊重する」とされているところ、政府は、当該条項の制定にはパリ講和会議での「日本が掲げた大いなる理想」なるものが何らかの影響を与えたと考えているのか。影響を与えたと考える場合はその具体的根拠を示されたい。

十三 安倍総理が「日本は人種平等を掲げました」とするところの「日本の提案」とは、日本国憲法が定める国際協調主義と合致するものであるのかについて政府の見解を示されたい。合致すると考える場合は、具体的な根拠を示されたい。

十四 パリ講和会議で日本が提案した事項は、国際連盟加盟国内における日本人への差別の解消のみを企図したものであり、欧米及び日本による人種差別に基づく植民地を有していた事実や各国の自決の権利の実現の促進及び自決の権利の尊重等を定めた国際人権規約を始めとする現在の国際社会の基本原則とは整合し得ないものであり、「新しい時代に向けた理想、未来を見据えた新しい原則として、日本は人種平等を掲げました。・・・日本が掲げた大いなる理想は、世紀を超えて、今、国際人権規約を始め国際社会の基本原則となっています。」との主張は歴史の曲解かつ歴史の捏造というべきものではないか。

十五 当該所信表明演説の「人種平等」に関する部分は誰の発案によるものなのか。安倍総理自身なのか、総理秘書官等によるものなのか、具体的に示されたい。また、このような内容を当該演説で行った目的や意図は何かについて、具体的に示されたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

御指摘のとおりである。

二から四までについて

お尋ねの「日本の提案」については、大正八年二月十三日に牧野伸顕日本全権代表が、国際連盟規約に「The equality of nations being a basic principle of the League of Nations, the High Contracting Parties agree to accord, as soon as possible, to all alien nationals of States members of the League equal and just treatment in every respect, making no distinction, either in law or in fact, on account of their race or nationality」との文言の追加を提案し、また、同年四月十一日に同規約の前文に「by the endorsement of the principle of equality of nations and just treatment of their nationals」との文言の追加を提案したと認識しており、これらの提案の文言から、人種平等を掲げたと評価している。また、「「各国の強い反対にさらされ」た理由」に関するお尋ねについて、政府として断定的にお答えすることは困難である。

五及び六について

安倍内閣の歴史認識については、平成二十七年八月十四日の内閣総理大臣談話において示されているとおりである。その上で、個別具体的な歴史的出来事に関する評価については、歴史家の議論に委ねるべきと考える。

七について

お尋ねの「国際人権規約を始め国際社会の基本原則」とは、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(昭和五十四年条約第六号。以下「社会権規約」という。)、市民的及び政治的権利に関する国際規約(昭和五十四年条約第七号。以下「自由権規約」という。)等に含まれる人種平等に関する内容を指し、例えば、社会権規約第二条2においては「この規約の締約国は、この規約に規定する権利が人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位によるいかなる差別もなしに行使されることを保障することを約束する」と、自由権規約第二条1においては「この規約の各締約国は、その領域内にあり、かつ、その管轄の下にあるすべての個人に対し、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位等によるいかなる差別もなしにこの規約において認められる権利を尊重し及び確保することを約束する」と規定されている。

八について

御指摘の「パリ講和会議」における提案の内容については二から四までについてでお答えしたとおりであり、また、「国際人権規約を始め国際社会の基本原則」については七についてでお答えしたとおりであるが、いずれについても、人種平等に関する内容を含んでいると考える。

九について

お尋ねについて網羅的にお答えすることは困難であるが、昭和二十年に署名された国際連合憲章(昭和三十一年条約第二十六号)第一条3は、国際連合の目的の一つとして、「人種、性、言語又は宗教による差別なくすべての者のために人権及び基本的自由を尊重するように助長奨励することについて、国際協力を達成すること」と規定している。また、昭和二十三年に国際連合総会において採択された世界人権宣言では、「すべての人間は生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳及び権利について平等である」と宣明している。さらに、昭和四十年にあらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(平成七年条約第二十六号)が、昭和四十一年に社会権規約及び自由権規約が、同総会においてそれぞれ採択された。

十及び十二について

お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、「「国際人権規約を始め国際社会の基本原則」の形成」及び「当該条項の制定」に対し、御指摘の「日本が「人種平等」を掲げたこと」及び「「日本が掲げた大いなる理想」なるもの」が具体的にどのような影響を及ぼしたかについて、政府として断定的にお答えすることは困難である。

十一について

お尋ねについては、安倍内閣総理大臣が、令和元年十月四日の所信表明演説において、「一千万人もの戦死者を出した悲惨な戦争を経て、どういう世界を創っていくのか。新しい時代に向けた理想、未来を見据えた新しい原則として、日本は「人種平等」を掲げました。」と述べたとおりである。

十三について

お尋ねの趣旨が明らかではなく、お答えすることは困難である。なお、国際協調主義については、憲法前文第二段及び第三段がその立場に立つことを宣明したものであり、憲法第九十八条第二項が我が国が締結した条約及び確立された国際法規の遵守義務を規定しているのも、その現れの一つであると解している。

十四について

お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「日本が提案した事項」は、二から四までについてでお答えしたとおりであり、当該提案の文言からは、「国際連盟加盟国内における日本人への差別の解消のみを企図したもの」とは必ずしも確認できないと考える。

十五について

御指摘の「所信表明演説」は、内閣として閣議決定する過程で、文案が確定したものである。

お尋ねの「このような内容を当該演説で行った目的や意図」については、安倍内閣総理大臣が、令和元年十月四日の所信表明演説において、「今を生きる私たちもまた、令和の新しい時代、その先の未来を見据えながら、この国の目指す形、その理想をしっかりと掲げるべき時です。現状に甘んずることなく、未来を見据えながら、教育、働き方、社会保障、我が国の社会システム全般を改革していく。令和の時代の新しい国創りを、皆さん、共に、進めていこうではありませんか。」と述べたとおりである。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×4趣旨が明らかではない ×2個別の事案 ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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