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公的機関の職員の国籍に関する質問主意書
参議院 第212回 第31号趣旨が明らかではない ×2
質問本文
私が令和五年六月十五日に提出した「公的機関の職員の国籍に関する再質問主意書」(第二百十一回国会質問第一〇九号)に対する答弁書(内閣参質二一一第一〇九号。以下「本件再答弁書」という。)の送付が内閣からあった。
本件再答弁書の一についてでは、「一定の時点における全ての職員の国籍を把握することは独立行政法人において膨大な時間を要」するとしている。しかしながら、我が国の公的機関に外国籍の職員が採用され在籍している実態を正確に把握し、適切に管理されているかを確認することは、我が国の主権に関わる重要事項であり、時間がかかるから調査できないで済まされる問題ではない。
令和五年六月には、国立研究開発法人である産業技術総合研究所の研究データを中国企業に漏らしたとして、国防七校の教授を兼務していた中国籍研究員が逮捕されたという不祥事(以下「本件事件」という。)があったばかりであり、この事件の教訓からも、実態調査とそれに見合った情報保全措置を含む対策の確立が必須である。
同様に、私が令和五年五月十八日に提出した「公的機関の職員の国籍に関する質問主意書」(第二百十一回国会質問第七八号)に対する答弁書(内閣参質二一一第七八号。以下「本件答弁書」という。)の二についてにおいて、「外国籍職員の国籍及び国籍別の人数並びに所属及び役職を明らかにすることにより、個人が特定されるおそれがあり、プライバシー保護の観点から、答弁を差し控えたい」と答弁し、プライバシーを理由に、右のとおり二度にわたり質問主意書への答弁を行っていない。しかしながら、「外国籍職員の国籍及び国籍別の人数並びに所属及び役職を明らかにすることにより、個人が特定されるおそれがあり」との文言は意味不明と言わざるを得ないものであるとともに、問題のすり替えである。氏名等の個人情報が開示されていない状態で直ちに「個人が特定」されることとはならない。
実際、過去においては、独立行政法人のうち研究開発型法人について、在籍する常勤外国人研究者の国籍(地域別)の内訳を内閣府が調査して公表している(平成三十年度独立行政法人等の科学技術関係活動等に関する調査(平成二十九事業年度))。
また、私が令和五年五月二十三日に提出した「我が国の防衛技術開発を忌避する日本学術会議が中国の軍事技術開発を担う国防七校と我が国の大学機関との共同研究等の提携を不問にしている矛盾に関する質問主意書」(第二百十一回国会質問第八一号)に対する答弁書(内閣参質二一一第八一号)では、国防七校から、三十九人が日本の大学に留学していたことが明らかにされている。これらの際にプライバシーが問題とされたことはない。
外国籍職員が「日本国民全体に対する奉仕者」として職務に従事する上での担保(宣誓や職制)をどのように実施しているのか示すことさえ、プライバシーを理由に拒否するとすれば、我が国の公務員のあり方の根幹を揺るがすとともに、国民のために奉仕する公的機関を外国の影響とコントロール下にさらすという由々しき事態を招くことになる。国民全体の福祉と安全に責任を負うべき政府が、公務員の採用に際してその者の国籍を把握し、データを公表することは国民に対する義務と言うべきである。
以上を踏まえ質問する。
一 以下の独立行政法人について、在籍している外国籍職員の総数、国籍及び国籍別の人数を示されたい。
1 国立研究開発法人産業技術総合研究所
2 国立研究開発法人科学技術振興機構
3 国立研究開発法人物質・材料研究機構
4 国立研究開発法人理化学研究所
二 政府は、本件答弁書及び本件再答弁書において、「各独立行政法人においてその業務の遂行に必要な人材を適切に確保している」としているが、前記一で取り上げた諸機関の外国籍職員の採用方法は、推薦によるものか、公募によるものか、もしくは別の方法か、明らかにされたい。
三 政府は、本件再答弁書において、国籍把握をすることは、「海外に事務所を設置する独立行政法人においては、現地での採用活動や事務所の運営に影響を及ぼすおそれがあることから、現地で採用する職員について国籍を確認すること自体が困難な場合がある」としている。国籍把握をすることが「現地での採用活動や事務所の運営に影響を及ぼすおそれがある」とは、具体的にどのようなことなのか、示されたい。
四 外国籍職員が「日本国民全体に対する奉仕者」として職務に従事する上での担保をいかなる措置で保障しているのか。本件再答弁書において、「服務規律の保持のための宣誓」について回答されたが、宣誓がやぶられた場合の機関としての処分や刑事責任の追及の具体的なあり方、さらにそれぞれの機関が担保として実施している措置について示されたい。
五 本件事件のような、外国籍職員を採用した国の機関からの技術・情報の海外流出を防止するために、いかなる再発防止策を講じる計画か。具体的に示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下「産業技術総合研究所」という。)については、外国籍職員(令和五年四月一日時点で各独立行政法人に在籍する常勤職員であって、採用時に日本国籍を有していなかったものをいう。以下同じ。)は百四十六人であり、その国籍・地域別の内訳は、アメリカ合衆国が五人、インドが四人、インドネシア共和国が七人、ウクライナが二人、英国が三人、オーストラリア連邦が二人、オランダ王国が二人、ケニア共和国が一人、スロバキア共和国が二人、タイ王国が三人、大韓民国が二十七人、台湾が六人、中華人民共和国が四十一人、チュニジア共和国が一人、チリ共和国が一人、デンマーク王国が一人、ドイツ連邦共和国が三人、トルコ共和国が三人、ニュージーランドが一人、ネパールが二人、パキスタン・イスラム共和国が一人、バングラデシュ人民共和国が一人、フィリピン共和国が二人、フィンランド共和国が一人、ブラジル連邦共和国が二人、フランス共和国が九人、ベトナム社会主義共和国が三人、ベルギー王国が一人、ポーランド共和国が一人、マレーシアが一人、メキシコ合衆国が三人、ヨルダンが一人、ラトビア共和国が一人、ロシア連邦が二人であり、国立研究開発法人科学技術振興機構については、外国籍職員は十六人であり、その国籍別の内訳は、インドが一人、オランダ王国が一人、スウェーデン王国が一人、大韓民国が四人、中華人民共和国が七人、ブラジル連邦共和国が一人、マレーシアが一人であり、国立研究開発法人物質・材料研究機構については、外国籍職員は百七十九人であり、その国籍・地域別の内訳は、アメリカ合衆国が二人、イラン・イスラム共和国が一人、インドが三十八人、インドネシア共和国が五人、ウクライナが一人、英国が四人、エジプト・アラブ共和国が六人、オーストラリア連邦が一人、オーストリア共和国が一人、カナダが三人、コロンビア共和国が一人、スペイン王国が三人、スリランカ民主社会主義共和国が一人、タイ王国が六人、大韓民国が十二人、台湾が二人、チェコ共和国が一人、中華人民共和国が五十八人、ドイツ連邦共和国が一人、トルコ共和国が一人、ネパールが四人、パレスチナが一人、バングラデシュ人民共和国が二人、フィリピン共和国が一人、フランス共和国が三人、ベトナム社会主義共和国が七人、ベルギー王国が二人、マレーシアが三人、ルーマニアが一人、ロシア連邦が七人であり、国立研究開発法人理化学研究所については、外国籍職員は四百八十一人であり、その国籍・地域別の内訳は、アイルランドが一人、アメリカ合衆国が二十九人、アルゼンチン共和国が二人、アルバニア共和国が一人、イタリア共和国が九人、イラン・イスラム共和国が八人、インドが三十七人、インドネシア共和国が十二人、ウクライナが六人、英国が二十一人、エクアドル共和国が一人、エジプト・アラブ共和国が三人、オーストラリア連邦が十二人、オーストリア共和国が一人、オランダ王国が一人、ガーナ共和国が一人、カザフスタン共和国が一人、カナダが十一人、クロアチア共和国が二人、コスタリカ共和国が一人、コロンビア共和国が二人、シンガポール共和国が二人、スウェーデン王国が二人、スペイン王国が五人、スリランカ民主社会主義共和国が二人、スロバキア共和国が二人、タイ王国が五人、大韓民国が二十四人、台湾が十六人、中華人民共和国が百三十八人、ドイツ連邦共和国が二十二人、トルコ共和国が四人、ニュージーランドが三人、ネパールが一人、パラグアイ共和国が一人、パレスチナが一人、ハンガリーが二人、バングラデシュ人民共和国が二人、フィジー共和国が一人、フィリピン共和国が八人、フィンランド共和国が二人、ブラジル連邦共和国が四人、フランス共和国が十八人、ベトナム社会主義共和国が十三人、ペルー共和国が一人、ベルギー王国が二人、ポーランド共和国が五人、ポルトガル共和国が一人、香港が六人、マレーシアが七人、南アフリカ共和国が一人、メキシコ合衆国が七人、ヨルダンが一人、リトアニア共和国が一人、ルーマニアが二人、ルワンダ共和国が一人、ロシア連邦が六人である。
二について
お尋ねについては、いずれの独立行政法人においても公募による採用を原則としていると承知している。
三について
お尋ねについては、従業員の採用時に国籍を確認しないことが通例である地域においては、独立行政法人が現地で採用する職員について国籍を確認することによって、応募が行われなくなったり、独立行政法人の事業活動に対する信頼が損なわれたりする可能性があることである。
四について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、独立行政法人の職員の服務規律に違反する行為への対応については、各独立行政法人において、職員の服務及び懲戒について定める就業規則等に基づき適切に対応することとなる。なお、各独立行政法人の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定める法律においては、職員の秘密保持義務及び当該義務違反に対する罰則や、独立行政法人の職員への刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については法令により公務に従事する職員とみなすことが規定されている場合がある。
五について
御指摘の「本件事件のような、外国籍職員を採用した国の機関からの技術・情報の海外流出」の具体的に意味する範囲が必ずしも明らかではないが、令和五年六月に産業技術総合研究所の職員が不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)違反の容疑で逮捕されたことを踏まえ、「研究活動の国際化、オープン化に伴う新たなリスクに対する研究インテグリティの確保に係る対応方針について」(令和三年四月二十七日統合イノベーション戦略推進会議決定。以下「対応方針」という。)に示す研究の健全性及び公正性の確保のための取組を進めるよう改めて周知を行っており、加えて、対応方針の取組状況についてフォローアップを行うこととしているほか、産業技術総合研究所における再発防止策等に関して、その他の国立研究開発法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第三項に規定する国立研究開発法人をいう。以下同じ。)への情報共有を図っている。
なお、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律(平成二十年法律第六十三号)第四十一条第二項において、研究開発法人(同法第二条第九項に規定する研究開発法人をいう。)は、その研究開発の成果について、我が国の国際競争力の維持に支障を及ぼすこととなる国外流出の防止に努めるものとされているほか、各国立研究開発法人の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定める法律において、職員の秘密保持義務及び当該義務違反に対する罰則が規定されているなど、技術の厳格な管理が求められている。