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中国における日本人の安全対策に関する質問主意書
参議院 第214回 第4号趣旨が明らかではない ×1
質問本文
二〇二四年九月十八日、中国深センにおいて、日本人学校に通学中の児童が中国人に刃物で襲われ、翌十九日に死亡するという悲惨な事件が発生した。近年、中国国内では日本人を対象とした攻撃や犯罪行為が急増しており、今回の事件はその一例にすぎない。同年六月には日本人学校のスクールバスが刃物を持った男に襲われる事件があり、同年四月には日本人男性が路上で襲撃されるなど、同様の事件が続発している。さらに、日本人学校への投石や卵の投げ込みといった嫌がらせも報告されており、日本人に対する暴力や嫌がらせは深刻化している。
こうした事件の背景には、かつて日本が中国国内にスパイ学校を開設していたという誤った情報が中国のインターネット上で広まり、現在も日本人学校にその影響が残っていると信じられていることが、不当な攻撃を引き起こしているとの見方がある。
これらの事件は、日本人一人一人の安全を脅かすのみならず、日本と中国の国際関係にも悪影響を及ぼしている。特に、日本政府が中国側に対して再発防止策や日本人保護を強く求めてきたにもかかわらず、依然として日本人が狙われる事件が相次いでいる現状は、政府の対応が不十分であることを示しているといえる。加えて、米国やオーストラリア、韓国など、環太平洋の先進国が中国への渡航に係る危険レベルを引き上げる中、日本だけが依然としてレベルを「ゼロ」としている現状も問題視されるべきである。
また、日本人への暴力行為だけでなく、中国国内では反日デモや政府による日本人の不当拘束が問題視されており、日本人の安全は更なる危険に直面している。これらの状況を放置すれば、日本人への被害が更に拡大する懸念がある。
よって、政府にはこれまでの対応を徹底的に見直し、実効性のある具体的な措置を早急に講じることが強く求められる。さらに、被害の再発を防ぐため、日本人に対する注意喚起や渡航制限の強化、そして中国側との対話を通じた協力的な解決策の模索が必要不可欠である。政府は、日本人の安全を守るため、具体的な行動を即時に開始すべきではないか。
以上を踏まえて質問する。
一 六月のスクールバス襲撃事件後、九月に再度事件が発生したが、政府はこの再発をどのように受け止め、再発防止のために中国政府にどのような具体的対応を求めたのか。また、再発を防ぐために有効な措置を講じる考えはあるか。
二 日本人学校への襲撃事件が続く中、政府としてこれまでにどのような安全対策を講じてきたのか。例えば、六月にスクールバス襲撃事件が発生した後、外務省は二〇二五年度予算案の概算要求に中国でのスクールバスの警備費として三億五千万円を計上したとされるが、更に迅速かつ効果的な対応が必要ではないか。今後、どのように安全対策を強化する予定か、具体的な行動計画を示されたい。
三 近年の日本人に対する犯罪行為や日本人学校への襲撃事件を踏まえ、中国全域に対する渡航に係る危険レベルの引上げを政府として検討しているのか。米国は危険レベルを「レベル三」とし、渡航を再考するよう警告を発し、不当な拘束のリスクを指摘しているほか、オーストラリアやカナダ、韓国なども危険レベルを引き上げている。我が国においても、日本人やその家族に対する強い注意喚起に加え、中長期的な安全対策の強化を早急に検討すべき時期ではないか。
四 このような状況下で、一部の日本の学校が修学旅行の行き先として中国を推進することに対し、政府はどのように考えているか。安全上の懸念を踏まえた政府の見解を示されたい。
五 最近の日本人に対する犯罪行為の背景には、SNSやその他の情報プラットフォーム上での誤解や偏見が影響している可能性があるとも考えられる。政府として、このような情報が日本人の安全に与える影響をどのように認識しているか。また、SNSなどで拡散される反日的なコンテンツや誤情報に対して、正確な情報発信や国際的な協力を通じた対応をどのように進めていく考えか明らかにされたい。
六 中国における日本人保護を強化するため、他国と連携して外国人全体の安全確保に向けた取組を進める考えはあるか。また、国際的な情報共有を行い、国際世論に対して安全対策の必要性を訴える予定はあるか。
右質問する。
政府答弁書
一、二及び五の前段について
御指摘の広東省深せん市における事件の発生を受け、我が国政府としては、例えば、令和六年九月十九日の記者会見における上川外務大臣(当時)の「そもそも外務省といたしましては、本年六月の蘇州における事件の発生を受けまして、これまで日本人学校、補習授業校等に対しまして、安全対策の再点検を早急に行うよう伝達の上、各在外公館からも安全対策の指導を行ってきたところであります。・・・そうした中で本件事案が起きてしまったことを大変残念に思っております。」との発言のように受け止めており、中国政府に対し、例えば、令和六年九月二十三日(現地時間)の日中外相会談において、同大臣(当時)から王毅中国外交部長に対し、「(一)犯人の動機を含む、一刻も早い事実解明と日本側への明確な説明、さらには犯人の厳正な処罰と再発防止、(二)中国に在留する日本人、とりわけ子どもたちの安全確保のための具体的措置、(三)日本人学校に関するものを含む、根拠のない悪質で反日的なSNSの投稿等は、子どもたちの安全に直結し絶対に容認できないとして、早急な取り締まりの徹底を強く求め」る等、様々なレベルで、これらの対応を強く求めているところである。
中国における日本人学校の安全対策を強化するために、我が国政府としては、これまでも、中国における我が国の在外公館から中国各地の日本人学校に対し、警備に要する費用に対する支援のほか、早急な安全対策の再点検を含む安全対策指導を行ってきており、また、このような事件の再発を防ぐために、在留邦人等の要望を踏まえつつ、中国各地の日本人学校が警備員を増員するために要する費用を支援する等、必要な対応につき検討を進めているところである。
三について
御指摘の「危険レベル」については、政府としては、渡航・滞在するに当たって特に注意が必要と考えられる国・地域に関して、日本国民の生命又は身体に対する脅威を考慮しつつ、中長期的な観点から、当該国・地域の治安情勢を始めとする政治情勢、社会情勢等を総合的に判断して決定してきており、お尋ねの「中国全域に対する渡航に係る危険レベル」についても、これらの観点を踏まえ、引き続き適切に判断してまいりたい。
四について
学習指導要領における特別活動に位置付けられる修学旅行の行き先等の内容については、地域や学校の実態及び児童・生徒の心身の発達の段階や特性等を十分考慮して、各学校において定めるべきものであるが、海外への修学旅行における児童・生徒の安全確保等については、各学校における修学旅行先の決定に当たって外務省が発出する海外安全情報を参考に慎重な検討を行うべきこと等を各都道府県教育委員会等に対し、周知しているところであり、各学校においては、これを踏まえて適切に対応しているものと認識している。
五の後段及び六について
お尋ねの「外国人全体の安全確保」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、我が国政府としては、中国における日本人の安全対策を一層強化するため、外国政府との間で平素から情報共有を含めたやり取りを実施してきており、国際世論に対する正確かつ効果的な対外発信の在り方についても、御指摘の「反日的なコンテンツや誤情報」への対応を含め、中国における日本人の安全確保のために何が最も効果的かという観点から不断に検討しつつ、適切に対応していく考えである。