ことばで探す › 衆議院 第198回
小学生の登下校における安全の確保に関する質問主意書
衆議院 第198回 第202号
質問本文
本年五月二十八日に神奈川県川崎市登戸にて、スクールバスを待つ小学生児童と付き添いの保護者が次々に刃物で刺され十九人の方々が死傷するという残忍な事件が起きた(以下、「本事件」という)。お亡くなりになったお子さんと外務省の方のご冥福をお祈りするとともに、それぞれのご家族にお見舞い申し上げたい。また重傷・軽傷の傷を負った皆さんの一日も早いご回復をお祈りする。
同様の事件を今後減らす、あるいは起きた際の被害を抑えるための対策に関して以下質問する。
一 本事件は、報道によれば、スクールバスを学校が走らせ、そこに教頭先生が乗って児童が安全に乗車するように見守るなど、学校として安全確保に相当の注意を払っていながらも起きてしまった事件である。また事件が起きた場所も非常に落ち着いた住宅街であり、とても本事件が起きるとは想像しがたい地域である。
すでに政府では「登下校防犯プラン」などによって登下校時における総合的な防犯対策の強化に向けた取り組みを進めている。防犯対策として、学校安全ボランティア(スクールガード)の養成や青色回転灯装備車(青パト)を運転する防犯ボランティア団体への援助などが盛り込まれている。
また本事件を受けて政府は五月二十九日「登下校時の子供の安全確保に関する関係閣僚会議」を開いた。この会議では警察官によるパトロールの強化などが決定されている。政府の指示に従い、神奈川県警は本事件の周辺地域へのパトロールを六月まで強化する予定である。
小学校に通う児童の登下校時の事件対策には、警察官のパトロールによる抑止効果が重要である。全国でこの取り組みを進めるためには、政府は警察官の職員増や待遇改善をはじめ、警察官OBの活用による学校安全ボランティア(スクールガードリーダー)の増員、民間ガードマンによる警備の拡大、地域の見守りボランティアの増員を図る必要があると考える。これらの取り組みに関する政府の見解如何。
二 海外ではAI(人工知能)を使い、「攻撃性が高まった状態」にある「不審者」を機械的に察知し、この者に警察官が事情聴取することで犯罪を防ぐ取り組みが始まっている。人権やプライバシーへの配慮を加えた上で、子どもの安全のためにスクールゾーンにこのシステムを導入することを検討しても良いと考えるが、見解如何。
三 すでに「登下校防犯プラン」にも盛り込まれているが、子どもが危険予測・回避能力を身につけることができれば、本事件と同様の事件があっても被害が抑えられる可能性がある。
すでに各校で「安全教育」が実施されているところであるが、児童が防犯ブザーを持っていても、いざ事件のときに防犯ブザーを鳴らしたり大声を出して助けを求めたりするのは子どもたちにとって容易ではない。
これに対して、例えば二〇〇一年(平成十三年)に殺傷事件があった大阪教育大学附属池田小学校では、「安全科」という教科として安全教育及び危機管理教育を実施しており、また不審者侵入事件の対応訓練も教職員によって実施されている。今後起こりうる事件の対策として、全ての小学生について少なくとも年に一度、学校内・登下校中の事件を想定して、防犯ブザーの使用や大声を出して助けを求める、怪しい人がいたら近づかない、安全マップの確認などより具体的な「防犯訓練」が実施されるようにすべきだと考えるが、政府において検討する考えはあるか。
四 すでに、子どもの犯罪被害や不審者に関する情報を共有する防犯メールのサービスが各地の警察・自治体によって進められている。プライバシーに配慮しつつも、不審者情報の共有をさらに広げ、周辺に住む児童の保護者全員に共有する取り組みが必要ではないか。
五 中長期的には、本事件の加害者のように社会から孤立し「疎外感」を覚えている人たちに対して、いわゆる「社会的包摂」を進めることが犯罪抑止につながると考える。自治体や民生委員、社会福祉協議会の方々はそれぞれ努力して、一人暮らしなど孤立している住民に声かけしたり地域の行事に参加を呼び掛けたりするなど様々な取り組みを行っている。
法務総合研究所による『研究部報告五十 無差別殺傷事犯に関する研究』(二〇一三年)によれば、本事件のような「無差別殺傷事犯者」の多くが、(年齢が低い層を除いて)単身で生活しており、配偶者や家族と円満な家庭生活を送っている者は少なく、友人との関係を見ても、交友関係が希薄か険悪である例が多数。就労経験があっても長続きせず、犯行時に無職や非正規雇用などの不安定な就労状況にある者がほとんどと指摘されている。総じて、周囲との活発な人間関係がなく、社会的に孤立した中で困窮型の生活を送っていた者が多く、性格傾向が敏感で自己批判・卑下しがちであり、自信がなくひがみがちな傾向が多いと考えられるという。
以上のような状況にあり、孤立感を覚えている人たちが犯罪にまで至らないように、まずは「居場所」と「出番」をつくることが必要である。就労支援も重要である。また、上記研究によると無差別殺傷事犯者が心身に何らかの課題を抱えている者が複数みられるが、犯行時に適切なケアや治療などを受けている例は少ないとも指摘されている。そこで質問するが、孤立している人、経済的に困窮している人たちの居場所づくりや出番づくり、就労支援、生活保護など各種の生活支援の拡充と、心身等の課題に関する取り組みをさらに進めることについて政府の見解如何。
右質問する。
政府答弁書
一から四までについて
政府においては、これまでも、登下校時における子供の安全を確保するための総合的な防犯対策の強化が急務であるとの認識の下、「登下校防犯プラン」(平成三十年六月二十二日登下校時の子供の安全確保に関する関係閣僚会議決定)に従って、�@関係者が防犯対策について意見交換等を行う「地域の連携の場」の構築等による「地域における連携の強化」、�A通学路における防犯カメラの緊急的な整備のための支援等による「通学路の合同点検の徹底及び環境の整備・改善」、�Bプライバシーに配慮した上での警察署と学校との間の不審者情報等の共有等による「不審者情報等の共有及び迅速な対応」、�C学校内外で見守り活動等を行う学校安全ボランティアの養成、防犯ボランティア団体の活動の支援等による「多様な担い手による見守りの活性化」、�D子供に危険予測・回避能力を身に付けさせる実践的な防犯教育の推進等による「子供の危険回避に関する対策の促進」等に取り組んできたところである。
今般、御指摘の事件の発生を受けて、令和元年五月二十九日に「登下校時の子供の安全確保に関する関係閣僚会議」を開催し、安倍内閣総理大臣から関係閣僚に対して、子供の安全を何としても守らなければならないとの決意の下、�@徹底した捜査による当該事件の全容解明と関係省庁での情報の共有、�A警察官の重点的な警戒・パトロールの実施等による通学路の安全確保の徹底、�B警察や学校が把握した不審者情報の共有の仕組みの強化等による不審者情報の共有と迅速な対応の徹底の三点について取組を進めるよう改めて指示を行ったところであり、「登下校防犯プラン」に従った取組に加え、まずは政府一丸となってこれらの三点の取組を早急に進めていきたいと考えている。
五について
お尋ねについては、例えば、社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に基づき、地域社会からの孤立等の福祉サービスを必要とする地域住民が日常生活を営み、あらゆる分野の活動に参加する機会が確保される上での各般の課題の解決に資するため、各市町村において当該課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備が進められているほか、生活困窮者自立支援法(平成二十五年法律第百五号)に基づき、生活困窮者の自立の促進を図るため、各都道府県等において生活困窮者に対する就労支援も含めた包括的な支援が行われているところであり、政府としては、引き続きこれらの取組が着実に実施されるよう必要な支援を行っていく考えである。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。