Kurage 質問主意書アシスト

ことばで探す › 参議院 第217回

消費税減税がインフレを加速させる旨の主張に係る政府の見解に関する質問主意書

参議院 第217回 第181号お答えすることは困難 ×3趣旨が明らかではない ×1

提出者
参議院
提出日
2025年6月12日
内閣転送 2025年6月18日
答弁書受領日
2025年6月24日
提出から12日
答弁の項目数
4
質問 2,690字/答弁 2,024字

質問本文

消費者物価高騰が続く中、国民の間では税負担の軽減を求める声が急速に高まっている。令和七年五月に実施された複数の世論調査(FNN「五月世論調査」、朝日新聞「五月世論調査」、選挙ドットコム×JX通信社「ハイブリッド意識調査」)では、消費税の減税や廃止を求める意見がいずれも七十パーセントを超えており、減税支持の世論が過去最高水準に達していることが明らかとなった。こうした国民の声に対して、一部の言論人やインフルエンサーが「消費税減税はインフレを加速させ、国民生活を更に苦しめる」等と主張している。その背景には、政府が物価高騰対策として減税や給付を検討しているという報道や、財政再建を重視する立場からの反発があるものと考えられる。

しかし、これらの言説には、金融政策・世界経済・物価構造・財政運営・制度設計等の複数の観点から、実証的かつ政策的に不適切であるとの疑義がある。さらに、過去の消費税増税時における政府の見解を参照すると、消費税率の引上げによる経済への影響を緩和するため、軽減税率の導入やポイント還元制度などの対策が講じられてきた。例えば、平成三十年十月十五日の臨時閣議における総理発言では、消費税率引上げによる経済的影響を確実に平準化できる規模の予算を編成する旨が示されている(首相官邸「消費税率引上げとそれに伴う対応について」)。

このように、消費税減税がインフレを加速させるとの見解は政策的・統計的に妥当性を欠くものである可能性があり、現時点における我が国の消費税減税を巡る以下の論点について、質問する。

一 金融政策とインフレ見通しについて

日本銀行は令和六年、マイナス金利を解除し、金融政策の正常化を進めている。この状況下での消費税減税は、金融引締めの補完的効果を持ち得るため、過度にインフレを加速させるとは考えにくい。「金融政策決定会合の議事要旨」(令和七年一月二十三日、二十四日開催分)等から明らかであるように、政策金利の引上げはインフレ目標の達成に向けた調整の一環とみなすことが合理的であると考える。

1 平成二十五年六月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針(以下「骨太の方針」という。)」において、「日本銀行による量的・質的金融緩和の着実な推進と、政府による機動的なマクロ経済政策運営や成長力強化への取組等が相まって、デフレからの早期脱却と持続的な経済成長を実現していく」旨の方針が掲げられた。過去の政府見解及び日本銀行の金融正常化等の金融政策を踏まえた上で、消費税減税がインフレを加速させるとの主張は妥当か否か、その根拠と併せて政府の見解を示されたい。

2 前記一の1について、消費税減税がインフレを加速させるおそれがあるとの見解の場合、その前提条件及び可能性の程度について、具体的なエビデンスと併せて示されたい。

二 世界経済と内需の乖離について

平成二十六年四月に消費税率引上げが行われた後、内閣府は同年五月、「月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料」において、日本経済の先行きについて「駆け込み需要の反動により弱さが残るものの、次第にその影響が薄れ、各種政策の効果が発現するなかで、緩やかに回復していくことが期待される。ただし、海外景気の下振れが、引き続き我が国の景気を下押しするリスクとなっている」と評価している。現在の世界経済について、IMF及びOECDによる令和七年の世界経済見通しでは、世界経済は低成長・高不確実性の状態にあり、外需主導の景気回復が困難な状況である。これらを踏まえると、内需を下支えする政策が求められており、消費税減税はその有力な選択肢であると考える。以上を踏まえ、消費税減税が日本経済に与える影響について、政府の現在の評価及びその根拠を明らかにされたい。

三 インフレ構造の変化について

近年の物価上昇は主にコストプッシュ型インフレであり、エネルギー価格や輸入物価が安定化する中、今後はむしろデフレ懸念の再燃が指摘されている。需要過熱によるインフレリスクを過大視するのは非現実的である。エネルギー価格の安定化によりコストプッシュ型インフレが沈静化する中で、消費税減税と物価の関係に関する政府の見解を示されたい。

四 社会保障費及び歳出改革の可能性について

「消費税減税はインフレを加速させ、国民生活を更に苦しめる」との主張の背景として「社会保障費は削減できない」との見解が見受けられるが、財政制度分科会(令和五年九月二十七日開催)議事録にあるとおり、令和六年度の社会保障給付費は約百四十兆円であると推計されていた。そのうち二~三パーセントの効率化は決して不可能ではないと考える。対象を限定したり、ICT導入により医療費の適正化を図ったりするなど、改革の選択肢は複数存在する。社会保障制度について、私は第二百十七回国会において複数の質問主意書を提出し多数の問題点を指摘している。

1 社会保障給付費の一部を見直すことにより、消費税減税の財源とすることの実現可能性について、制度的・技術的観点から政府の見解を示されたい。

2 財務省の「令和六年度税収見積りに関する説明資料」等によると近年の税収予測は実績と乖離が生じており、直近三年間では計約十兆円程度の上振れとなっており、税収予測と実績にかなりの乖離がみられる。このことから、直近三年間で計約十兆円程度の財源は考慮せず減税しても何ら我が国の財政に影響がないと考える。減税政策において財源を示すことの必要性について、政府の見解を示されたい。

五 税制改正・予算編成の制度改革について

毎年十二月に与党税制調査会において税制改正大綱が決定する現在のプロセスは、六月に閣議決定される骨太の方針における戦略的意思決定を妨げている。「骨太の方針への税制の方針の明示は財政民主主義の強化につながると考える。しかし、税制の方針は、骨太の方針の段階では具体的に示されておらず、年末の与党税制調査会による非公開協議によって実質的に決定される。このような現在のプロセスでは、歳出改革との整合を前提とした一体的な財政運営が困難である。現在の税制の意思決定プロセスを改め、骨太の方針において税制の方針を決定すべきと考える。現在の意思決定プロセスを改める必要性について、理由と併せて政府の見解を示されたい。

質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内の答弁となっても私としては差し支えない。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一から三までについて

一のお尋ねについて、消費税率の引下げが日本経済や物価に対して及ぼす影響は、一時的に物価を引き下げることも考えられる一方、物価の引下げに伴う購買力の増加や、それにより物価が一定程度押し上げられることも考えられるなど、様々なものが考えられるところ、これらは、内外経済状況等様々な要因によってその程度が異なるため、一概に申し上げることはできない。なお、諸外国の例については、令和七年五月二十六日の参議院決算委員会において、加藤財務大臣が「諸外国では付加価値税という形になりますが、コロナ禍で税率を引き下げた事例がありますが、例えば、ドイツにおいては引下げ前後で価格が変更されていない商品が多数存在をした、あるいはイギリスにおいても飲食店の多くは値下げをしていなかったとの報道もあるものと承知をし、税率引下げ時に相当する値下げがなされたとはなかなか言い切れない、こうした状況もあったのではないかというふうに推察をしております」と述べているとおりである。

また、二及び三のお尋ねについて、消費税は、急速な高齢化を背景に社会保障給付費が大きく増大する中で、国民が広く受益する社会保障に係る費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点から、社会保障の財源として位置付けられており、消費税率を引き下げることは考えていないため、消費税率の引下げを前提とした検討を行っておらず、お尋ねについてお答えすることは困難である。

四の1について

お尋ねの「制度的・技術的観点」の意味するところが必ずしも明らかではないが、令和七年度予算においては、地方交付税分を除いた国分の消費税収は二十・一兆円である一方、国の社会保障四経費(制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する費用)は三十四・〇兆円と当該税収を大幅に上回っており、その結果、十三・九兆円を国債の発行等により確保する必要がある。こうした中で、消費税については、一から三までについてで述べたとおり、消費税率を引き下げることは考えていないため、消費税率の引下げを前提とした検討を行っておらず、お尋ねについてお答えすることは困難である。

四の2について

消費税については、一から三までについてで述べたとおり、消費税率を引き下げることは考えていないため、消費税率の引下げを前提とした検討を行っていないが、その上で、お尋ねについては、令和七年五月十二日の衆議院予算委員会において、加藤財務大臣が「現在の財政や経済の状況、またGDP、金利動向を含む経済状況の今後の見通し、また人口減少、少子高齢化、気候変動といった構造的な変化の動向、さらには、これまでの財政運営に対する評価や今後の財政運営に対する政府の姿勢、また、それを支える制度面の枠組みなども含めた今後の財政運営に対する見通しなどを総合的に勘案した結果として、大事なことは、市場参加者の皆さん方から財政の持続性に対する評価が下されるということでございます」、「我が国として、これまでも厳しい財政事情の中で、災害、コロナなど予想外の事態にも対処してまいりました。そうした中でも対処できたということも、やはりこれまでの財政健全化に対する取組があり、また、それに対する市場からの信認を維持してきたからだと考えているところでございます。」及び「同時に、将来、国民の安全と安心を預かる政府として、今後起こり得る様々な有事に備え財政余力を確保することも重要であると考えておりますので、恒久的な歳出増や歳入減につながる施策については安定的な財源の確保を行っていく、こういった姿勢で取り組んでいくことが必要と考えております。」と述べているとおりである。その上で、同年三月二十五日の参議院財政金融委員会において、同大臣が「これまでも恒久的な措置については安定財源が必要であるという基本的な考え方をお示しをし、その旨説明させていただきました。」と述べているとおりである。

五について

毎年度の「経済財政運営と改革の基本方針」(以下「基本方針」という。)では、税制改革を含む政府の経済財政政策に関する基本的な方針を示しており、「経済財政運営と改革の基本方針二〇二五」(令和七年六月十三日閣議決定)においても、今後の税制改革の方針を示しているところである。

その上で、毎年度の税制改正に当たっては、税制は国民に広く負担を求めるものであることから、政府としては、基本方針の下、翌年度予算の閣議決定と併せて、与党税制調査会の議論等を踏まえた具体的な税制改正案を「税制改正の大綱」として閣議決定し、当該閣議決定に係る法律案を国会に提出しているところであり、御指摘のように「現在のプロセスでは、歳出改革との整合を前提とした一体的な財政運営が困難である」とは考えておらず、また、「現在の意思決定プロセスを改める」ことは考えていない。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×3趣旨が明らかではない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

この論点で次の質問を書くなら

アシストで並べる