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日本国国章損壊罪の制定に関する質問主意書
参議院 第221回 第33号趣旨が明らかではない ×1
質問本文
国章損壊罪の制定に係る議論が活発化しつつある。選挙中の日章旗等の損壊について報道されたが、日章旗が他者の所有物である場合、刑法(一九〇七年法律第四十五号)第二百六十一条に規定する器物損壊等として処罰が可能である。日章旗が自身の所有物である場合、政治的メッセージや表現の一種として日本国憲法第二十一条で保障される表現の自由の範疇と捉えることが可能と考える。また、日本国憲法第十九条において思想・良心の自由が保障されている我が国において、思想に踏み込んだ処罰要件の制定は問題と考える。そこで、国旗及び国歌に関する法律(一九九九年法律第百二十七号。以下「国旗国歌法」という。)第一条に規定する日章旗と国章損壊罪の議論に関する政府の姿勢を確認すべく、以下質問する。
一 二〇二五年十月二十日の「自由民主党・日本維新の会連立政権合意書」では、二〇二六年通常国会において「日本国国章損壊罪」を制定することが合意された。同罪の立法事実及び具体的な必要性について、政府の認識を示されたい。
二 刑法第九十二条は、外国国章の損壊等について規定している。同条の法益は「外交上の国家利益を守るためのもの」との指摘もあるが、同条の法益に係る政府の見解を示されたい。また、日章旗を損壊する罪を制定する場合の法益について、政府の見解を示されたい。
三 国旗国歌法第一条は、「国旗は、日章旗とする。」と規定しているが、国章に係る規定はないと承知している。報道によれば、日本国国章損壊罪の制定に関する議論は日章旗を対象としているようであるが、現行の法律上、国章に係る規定はあるか示されたい。ある場合、国章の指す具体的な内容を示されたい。
四 国旗国歌法の制定過程である一九九九年六月二十九日、小渕恵三内閣総理大臣(当時)は衆議院本会議において、「法制化に伴い、国旗に対する尊重規定や侮辱罪を創設すること」、「国旗の掲揚等に関し義務づけを行うこと」は考えていないと答弁した。また、政府は同年七月二十一日の衆議院内閣委員会において、「国民が掲揚の義務を課されたり、あるいは斉唱の義務を課されるということは一切ない」と答弁した。これは、思想・良心の自由及び表現の自由を制約しないための答弁であったと考えるが、これらの政府見解に変更がないか示されたい。
五 前記四の政府見解に変更がある場合、憲法上の権利を脅かす可能性があり問題と考えるが、政府の認識を示されたい。政府見解に変更がない場合、日章旗に対する思想・良心の自由及び表現の自由を侵害するおそれのある法整備が進められることは、主権者に不利益であり、政府見解にも反すると考えるが、政府の認識を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一、二の後段及び五について
御指摘の「日本国国章損壊罪」については、「自由民主党・日本維新の会連立政権合意書」において提起され、現在、自由民主党及び日本維新の会において、議論が行われている事柄であると承知していることから、政府としてお答えすることは差し控えたい。
二の前段について
刑法(明治四十年法律第四十五号)第九十二条第一項は、外国に対して侮辱を加える目的で、その国の国旗その他の国章を損壊し、除去し、又は汚損した者は、二年以下の拘禁刑又は二十万円以下の罰金に処する旨規定しているが、同条は、同法第二編第四章の「国交に関する罪」の中に置かれているとおり、我が国の外交作用の円滑、安全等を考慮して、かかる行為を処罰することとしたものと考えられる。
三について
我が国の現行の法律において、「国章」という文言を使用しているものは刑法のみである。同法第九十二条第一項における「国章」については、一般に、国家を象徴する物件であり、陸海空軍の軍旗等がこれに当たると解されていると承知している。
四について
御指摘の「思想・良心の自由及び表現の自由を制約しないための答弁であった」の意味するところが明らかではないが、平成十一年六月二十九日の衆議院本会議において、小渕内閣総理大臣(当時)が「今回の法制化の趣旨は、これまで長年の慣行により、国民の間に広く定着している国旗と国歌を成文法で明確に規定するものでありますことから、法制化に伴い、国旗に対する尊重規定や侮辱罪を創設することは考えておりません。」及び「御指摘の政府の見解は、政府としては、今回の法制化に当たり、国旗の掲揚等に関し義務づけを行うことは考えておらず、したがって、国民の生活に何らの影響や変化が生ずることとはならないと考えている旨を明らかにしたものであります。」と、また、同年七月二十一日の衆議院内閣委員会において、大森内閣法制局長官(当時)が「ただいま御審議いただいております法律案、これは、二条立てで、極めてシンプルでございます。「国旗は、日章旗とする。」「国歌は、君が代とする。」こういうことでございまして、この法律自体から生ずる効果といたしましては、国民が掲揚の義務を課されたり、あるいは斉唱の義務を課されるということは一切ないわけでございます。」と答弁しているところ、これらの答弁の内容について変更はない。