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中小企業の海外投資に関する質問主意書
参議院 第71回 第16号検討してまいりたい ×2
質問本文
最近におけるわが国の中小企業をめぐる内外情勢は激しい変化を示しており、さきのドル・ショックの場合などに端的に見られたように、多くの中小企業に対し、きびしい試練を迫つている。中小企業がこの環境変化に積極的に対応するためには、従来以上に近代化・構造改善につとめる必要があることはもちろんのこと、事業の転換、海外投資等の推進も必要であろう。
ところで、わが国の中小企業は、発展途上国への海外投資の意欲が最近になつて高まつてはきているが、人材不足、資金調達の困難、海外投資に関する情報の収集難、海外投資経験の不足、現地に適切なパートナーがいないなどの問題があり、中小企業の海外投資の円滑化のための国の施策が強く要請されているといえよう。
よつて次の諸点について政府の見解を明らかにされたい。
一、中小企業の海外投資の現況について
わが国の中小企業の海外投資は、昭和四十七年十二月末現在で、六一七件に達しているが、概して、投資をしてみたものの、現状では利益すら計上できない企業が多い。
また、投資リスクが比較的小さく投資環境が安定している近隣地域向けの場合は、集中進出がみられ、この結果、現地企業との競合を生じ、現地産業の育成を阻害し、また、タイ国における旭硝子(株)の子会社タイ・カセイソーダ会社の排水がメナム川を汚染しているのではないか等の非難を呼ぶケースも多く伝えられている。
よつて次の諸点について政府の回答を求める。
1 国別、年次別の中小企業海外投資件数および金額実績について。
2 業種別、年次別の中小企業海外投資件数および金額実績について。
3 進出年次別の中小企業海外投資の収益状況について。
4 現地で公害等の非難があつた具体的な事例について。
二、中小企業海外投資協力事業団の設立について
発展途上国の要請に積極的に対応するとともに、中小企業の海外投資の円滑化を図るため、中南米、アフリカ等の発展途上国における合弁事業を中小企業とともに推進する一貫した機能を持つた機関として中小企業海外投資協力事業団を設立すべきであると考えるがどうか。
三、海外貿易開発協会による中小企業海外投資協力事業について
本年七月一日から発足した海外貿易開発協会による中小企業海外投資協力事業が創設されたが、無利子融資の経済協力というワクがあるため、相手方の資本が参加しなければならないとか、現地合弁に限るとか、相手方政府機関からの要請があるとかといつた厳しい条件および手続きが課せられている。これを少なくとも「ドル対策法」の対象となつている業種については、特例を考慮して、この種の中小企業の海外投資を促進すべきであると考えるがどうか。
四、中小企業の海外投資に対する国の施策について
現状では、中小企業の海外投資は、人材、情報、資金等の各面での障害が大きいことにかんがみ、国の指導、援助の充実が強く望まれている。そこで政府が、今後採ろうとしている中小企業の海外投資に対する具体的な施策について伺いたい。
右質問する。
政府答弁書
一、について
1 国別、年次別の中小企業海外投資件数及び金額実績については、別表一のとおりである。
2 業種別、年次別の中小企業海外投資件数及び金額実績については、別表二のとおりである。
3 進出年次別の中小企業海外投資の収益状況については、別表三のとおりである。
4 わが国企業の海外投資は、最近、急速に増加してきているが、海外進出した企業でその企業行動が非難された事例は極めて少なく、次の事例程度である。
事例(1)
タイにおいて、昨年十一月、日本商品不買運動が発生したおり、わが国企業に対し、(イ)受入国の必要に応じた投資を行うこと、(ロ)受入国に資本参加の機会を与えること、)(ハ)再投資を促進すること、(ニ)受入国人を登用することが要請された例。
事例(2)
本年三月、シンガポールの中小商社五〇〇社が加盟している六つの商業組合がシンガポール政府に対し、(イ)日本企業は、当初シンガポール輸入商を代理店として活用するが、後にこれを解約したりして、その権益をおかしていること、(ロ)日本商社は小口入札まで割りこんで、シンガポールの中小企業に競争をいどんでいること、(ハ)日本商社は、通貨変動によつて生じた為替差損を、シンガポール輸入商に一方的になすりつけている旨の決議文が送付された例。
なお、御指摘のメナム川汚染の問題は、現在現地政府において真偽を調査中の模様である。
二、について
発展途上国は、工業化への重要な柱として中小企業業種に属する労働集約的産業の育成に努めており、この分野における協力要請は、近年一段と高まりをみせている。
かかる発展途上国からの要請に応え、わが国中小企業の海外投資の円滑化を図るためには、情報の収集提供、経営・技術の指導、資金的助成等の措置を総合的に講じ得るよう施策を確立することが必要であるので、昭和四十八年度から新たに政府資金をもつて財団法人海外貿易開発協会を通ずる中小企業海外投資協力事業を開始することとしたところである。
今後とも本事業については、実施機関の整備拡充の問題を含め、事業内容の一層の充実について積極的に検討してまいりたい。
三、について
最近発展途上国のナシヨナリズムは急速な高まりをみせており、わが国企業が発展途上地域に進出するに当たつては、相手国との摩擦を引き起こすことがないよう十分配慮する必要がある。
海外貿易開発協会が行う中小企業海外投資協力事業も、発展途上国における中小企業業種の産業の育成発展を目的として、発展途上国側の経済的社会的事情に十分適合した形でわが国中小企業の海外投資を円滑に進めようとするものである。
今後発展途上国に対する海外投資は、投資先国との協調融和のもとに進められることが何よりも肝要であり、中小企業海外投資協力事業における融資のための諸条件は、発展途上国に対する望ましい投資行動の確保という観点からすれば、決して厳しいものではないと考える。
また、「ドル対策法」の対象業種の一部に見られるように、国内産業構造の高度化、合理的国際分業への移行等の観点から海外進出が必要とされる業種については、政府系金融機関等による助成制度の充実等を通じ、その一層の円滑化に努めてまいりたい。
四、について
(1) 中小企業の海外投資のあり方については、昨年八月の中小企業政策審議会の意見具申「七〇年代の中小企業のあり方と中小企業政策の方向について」の中で、
(イ) わが国中小企業は、円切り上げに象徴される国際経済環境の変化に対処して、国際分業に適応する生産構造へのシフトを図りつつ、事業活動の場を広く海外にも求めていくべきこと
(ロ) その際の海外投資は、投資先国の経済発展段階に見合つた秩序あるものであり、投資受入国の経済発展に寄与する効果を持つものであるべきこと
という方向が与えられている。
(2) 政府としては、この意見具申の基本方向に沿いつつ、その具体策を検討しているところであるが、当面は、
(イ) 海外貿易開発協会に本年度から創設された中小企業海外投資協力事業の拡充
(ロ) 政府系金融機関による中小企業の海外投資に対する助成の拡充
(ハ) 日本商工会議所、ジエトロ等を通ずる中小企業への海外情報提供事業の拡充などにより、中小企業の海外投資における障害を解消するとともに、投資受入国の経済発展に寄与するよう指導してまいりたい。
〔別表 一〕 1/2
〔別表 一〕 2/2
〔別表 二〕
〔別表 三〕
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