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能登中核工業団地建設に関する質問
参議院 第80回 第47号
質問本文
能登中核工業団地建設に関する質問主意書
石川県羽咋郡志賀町に建設される能登中核工業団地は、昭和五十二年起工式を行い、本格的な着工の段階に入つた。
この建設にあたつては計画段階においても、着工された今日においても誘致企業が確定しないばかりか、団地の重要な一環である米町川ダム建設についても地域住民の同意が得られておらず、団地建設計画達成の客観的な見通しが立つていない。
また、深刻な地方財政の危機のなかで、志賀町の財政負担能力に余る関連公共事業が見込まれており、他方、その公共事業も大企業に独り占めされるような計画になつている。
米町川ダムについては、上・下流ばかりでなく、高浜港への影響も指摘されているにもかかわらず、必要な総合的防災アセスメントも行われていない。
一方、同町の赤住地区には、かねてより北陸電力株式会社が原子力発電所の建設を計画し、用地買収は今日でも進められている。しかし、団地建設による人口の増加を考えるならば、安全性の見地から原子力発電所の立地にはふさわしくない地域となつている。このことはまた、地域開発、振興政策が総合的に行われていないことを示す典型例とさえいえるものである。
長期の不況、町財政のひつ迫のなかで、団地建設が住民本位のものになるか、また、ダムや原子力発電所の建設によつて環境がどのようになるのか、と住民が大きな不満と不安を抱いているのは当然のところである。
私は、開発政策、工業振興政策の策定にあたつては、地元住民の意見を反映する民主々義の原則が貫かれなければならないし、「環境の整備、その他環境の保全及び雇用の安定に配慮しつつ推進する措置を講ずること」(工業再配置促進法第一条)は、政府の当然の責務であると考える。
したがつて、以下の事項について政府の見解を求める。
一 志賀町赤住地区への北陸電力株式会社による原子力発電所建設計画については、隣接地域での工業団地建設にともない、安全性を確保する見地から再検討が求められている。政府は北陸電力の当該計画の再検討と、その結論のでるまでの建設の決定の延期を指導すべきであると考えるがどうか。
二 団地建設にともなう石川県および志賀町の財政負担は約七十億円と見込まれている。これは、志賀町にとつて過大な財政負担であり、しかも誘置企業が確定していない今日、財政負担だけが先行する危険性がある。志賀町の財政負担を可能な限り軽減するため、関連公共事業の大半を占める下水道工事については誘置企業が建設費の相当分を負担するよう強力に指導するとともに、地域振興整備公団の「立替施工制度」を積極的に活用する必要があると考えるがどうか。
三 団地建設および関連公共事業には、県道の改良、舗装、下水道工事、河川改修事業などが含まれている。これら事業のうち第一期造成工事では工事量の八十五パーセントを大企業が占める計画となつている。これら工事の発注に際し、地域産業振興の立場から、地元中小企業、中小建設業者などが共同受注などで受注量が拡大できるよう指導すべきであると考えるがどうか。
四 工業団地の建設にともない、生活施設はもとより、教育施設の整備が必要となる。団地計画では、地域外から一千世帯の転入が見込まれており、対応する教育施設の整備が急がれている。当面、第一期造成完成年度である昭和五十三年度に合わせて、志賀町住民はもとより、新規転入者の児童、生徒の教育に支障をきたさないよう学校建設を行う必要がある。
その際、町財政に過大な負担とならないよう適切な財政措置をとるとともに、地域振興整備公団が、文教施設の「立替施行」を行えるよう制度の改善を含め、実情に合わせて具体的に指導すべきであると考えるがどうか。
五 団地の雇用期待人員は約四、五〇〇名とされているが、志賀町の就業人口は約三、〇〇〇名である。団地企業への就業を優先するならば、同町の農業、繊維産業に重大支障をきたすことになる。政府は、農業や地場産業の重要な役割にかんがみ、その育成のための施策を明らかにし、その施行について県、町にたいし指導すべきであると考えるがどうか。
六 団地への進出企業に就業する地元の労働者は企業の収益動向や不況の影響等による解雇や一時休業などの一次的な対象とされる事態が考えられるので、政府はかかる事態が安易に起ることのないよう、雇用条件、労働条件等について厳しく監督すべきだと考えるがどうか。
七 団地に要する工業用水を確保するため、米町川ダム建設が計画されているが、建設を急ぐあまり十分な調査・研究を行わないまま建設されようとしている。
不測の災害や環境の悪化をまねくことのないよう、ダム建設の方式を含め、建設に伴う農地および農業用水への影響、河床の変化、河川改修の必要性、さらには高浜港への影響等について総合的な防災アセスメントを早期に実施し、その内容を住民に公開し、住民の納得をえてから建設に着手するよう政府は県当局に対し、指導すべきであると考えるがどうか。
右質問する。
政府答弁書
一について
原子力開発に当たつては、従来よりその安全性の確保に努めているところであり、御指摘の北陸電力株式会社の原子力発電所建設計画についてもそれが具体化した段階で関係法令に基づき十分な安全規制を行うことになつている。
二について
能登中核工業団地をはじめ地域振興整備公団(以下「公団」という。)の行う中核工業団地は、地域の開発を希望する地方公共団体の要請に基づき造成されるものであり、また、工場の導入により地元地方公共団体の財政収入の増加が期待される。
公団が中核工業団地を造成するに当たつては、環境の保全に十分配慮し、下水道の整備等を行うよう指導しているところであるが、これらの事業の実施が地元の地方公共団体の負担能力をこえる場合には、公団と地元地方公共団体との間で十分協議を行い、必要に応じ立替施行制度の活用を図るよう指導してまいりたい。
三について
公団の中核工業団地造成工事及び国の補助に係る関連公共施設の建設事業の発注については、関係事業主体に対してできるだけ中小建設業者の受注機会の確保を図るよう指導している。
能登中核工業団地については、まだ工事が開始されたばかりであり、今後事業が進展するに伴い地元中小業者の受注額は大幅に増大すると見込まれる。
四について
能登中核工業団地基本計画によれば、完全操業時には、約一千世帯の転入があると予測されるため、地元地方公共団体において企業の能登中核工業団地への入居状況をみながら教育施設の整備について検討していく必要があると考えるが、工場の導入に伴い地元地方公共団体の財政収入の増加が期待されるほか、教育施設整備に係る国庫補助金制度もあり、これらによつて施設の適切な整備が図られるものと考えられる。
なお、現在、児童生徒急増地域については、小中学校校舎の新増築事業に係る国庫負担率を三分の二(一般地域は二分の一)に引き上げているほか、特に小中学校用地取得に対する国庫補助を行つているところであり、これらの措置により、学校施設整備の円滑な実施が図られると考える。
五について
能登中核工業団地基本計画によれば、能登中核工業団地の完全操業時には、団地内企業への就業者が四千五百人程度になると考えられるが、このうち地元志賀町からの通勤者は約千四百人と試算される。現在、志賀町の就業者約一万人のうち約三分の一が農業を中心とした一次産業に、他の三分の一が繊維を中心とした二次産業に就業しており、今後の経済情勢の変化により、新たな雇用機会の確保を必要とする側面もあり能登中核工業団地に期待するところが大きいと考えられるが、工場の導入に当たつては、地元において労働面で摩擦が生じないよう指導してまいりたい。
六について
企業の収益動向や不況の影響等による雇用調整の問題については、できるだけ労使で十分話し合いを尽くして解決すべきであると考える。なお、工業団地への進出企業に限らず、労働基準法等の適用事業場が同法を遵守しなければならないことは当然であり労働基準監督機関を通じて監督指導に努めてまいりたい。
七について
米町川ダム建設事業(以下「本事業」という。)は米町川沿岸の洪水被害の軽減を主要な目的とし、併せて、ダム下流のかんがい用水等の補給及び能登中核工業団地に必要な工業用水の供給を行い、もつて地域住民の民生の安定と生活水準の向上に資するものである。
本事業の実施のため、石川県において昭和四十六年より必要な諸調査を地元住民の理解と協力の下に行つてきたものであり、今後とも、本事業の実施に当たつては、地域住民の十分な協力を得て進めるよう県当局を指導してまいりたい。
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