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山口県上関町の原発新規立地計画および未買収用地に関する質問主意書

衆議院 第151回 第76号

提出者
社会民主党・市民連合
提出日
2001年5月31日
内閣転送 2001年6月4日
答弁書受領日
2001年6月29日
提出から29日
答弁の項目数
6
質問 1,542字/答弁 3,377字

質問本文

経済産業省・資源エネルギー庁は五月一六日、今二〇〇一年度の国の電源開発基本計画に、中国電力が山口県上関町に計画している上関原子力発電所の建設計画を組み入れることを発表した。原発の新規立地決定は、一九九九年九月の茨城県東海村のJCO臨界事故以降では初めてである。国民や地元住民に不安があるなか、原発計画を進める姿勢や態度、見解を明らかにするため、質問する。

(一) 山口県上関町における原発立地の手続きが進められている。九九年のJCO臨界事故によって多くの国民が原発に不安を抱いている中、新たな原発立地の手続きに入るには慎重な対応が求められると考えるが、今回の電源開発基本計画への建設計画組み入れは二井関成・山口県知事も「予想外」だと述べたともされるほど性急な決定だったという。そうした声に対してどう考えるか。

決定は当時の与党幹部からの要請によってなされたとも言われている。事実か。合わせて経済産業省・資源エネルギー庁が四月六日、二井知事に意見照会をした経緯反応を明らかにせよ。

(二) 原子力発電所建設計画について朝日新聞は昨二〇〇〇年一二月一七、一八日の両日、上関町で町民を対象とした世論調査を行い、反対四六パーセント、賛成三三パーセントと、半数近くの住民が反対の意思表示を示す結果となった。地元住民の半数近くが反対しているなか、また反対が賛成を上回っているなかで、原発計画を進める根拠を示せ。政府が述べる「地元の理解」とは具体的にどういったことを指すと考えているか、合わせて明らかにせよ。

(三) 中国電力が「山口県上関町が原発建設の有力地」であることを発表して一九年、同社九八年の有価証券報告書によると、これまで建設準備等に使われた額は四五〇億円にも達している。旧通産省や旧科学技術庁、そして現経済産業省等政府は、この計画にあたって何にいくら拠出してきたか。それらは有効に使われてきたと考えているか。またそうした中にあっても一九年間、原発計画が進められなかったのは、なぜだと考えるか。

(四) 日本生態学会中国四国地区は二〇〇一年五月一三日、「中国電力(株)上関原子力発電所一、二号機計画の総合資源エネルギー調査会・電源開発分科会への上程について」と題する声明を発表し、「強い憂慮の念を表明」した。環境大臣および二井・山口県知事両者の意見についても「予定地とされる長島とその周辺の海域の類をみない生物多様性の貴重さを無視したもの」とも述べている。こうした意見についてどう考えるか。

(五) この原発の計画予定地の陸地分一四五�fのうち、およそ八割近い一一二�fは取得したが、残りの三三�fは現在においてもなお未買収であり、買収の目途もたっていないという。そうした中にあって総合エネルギー調査会電源開発分科会が五月一六日、上関原発を電源開発基本計画に組み入れることを承認したのはなぜか。未買収地についてどう考えているのか。

(六) 上関原発立地計画地にある未買収地には、神社地も含まれている。宗教法人法一八条第五項には「その保護管理する財産については、いやしくもこれを他の目的に使用し、又は濫用しないようにしなければならない」とされている。

さらに、神社本庁憲章第一〇条は「神社の境内地等の管理は、その尊厳を保持するため次の各号に定めるところによる」とし、第二項では「境内地、社有地、施設、宝物、由緒に関はる物等は、確実に管理し、みだりに処分しないこと」とある。これは宗教法人法一八条第五項にのっとったものといえ、そうした視点から宮司が「人間と神域の緑を守る」と売却を強く拒否しているのが実態である。そうした地が未買収であることを宗教法人法との関係でどう考えるか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

(一)について

経済産業省においては、原子力発電は、燃料の供給及び価格の安定性に加え、発電過程において二酸化炭素を発生しないという環境特性を有していることから、環境保全や効率化の要請に対応しつつエネルギーの安定供給を実現するとの我が国のエネルギー政策の基本目標に照らし、望ましいものであると考えている。

中国電力株式会社(以下「中国電力」という。)の上関原子力発電所立地計画(以下「本件立地計画」という。)については、(1)将来の中国地方の電力需要を満たすための供給力として必要な電源であると認められること、(2)昨年十月に開催された第一次公開ヒアリングにおいて、本件立地計画に対する賛成及び反対に係る意見を聴取したところであり、これにより地元の理解が深まったものと認められること、(3)環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)及び電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)に基づく環境影響評価準備書に対する通商産業大臣の勧告等を踏まえ、中国電力が必要な調査等を行った上で昨年十月に提出した中間報告書について、通商産業省の環境審査顧問会が同年十一月に了承したこと等の状況を総合的に判断し、経済産業省において、本件立地計画を平成十三年度電源開発基本計画(以下「平成十三年度基本計画」という。)に組み入れることが適当であると判断したものである。

発電所の建設については地元の理解を得ることが重要であることから、資源エネルギー庁は、従来から、個別の発電所の立地計画を電源開発基本計画に組み入れるに当たっては、その建設が予定されている都道府県の知事に対し意見照会を行ってきており、本件立地計画を平成十三年度基本計画に組み入れることについても、本年四月六日、山口県知事に対し意見照会を行ったものである。当該意見照会に対しては、同月二十三日に、同県知事から提出された「中国電力株式会社上関原子力発電所一、二号機計画について(回答)」と題する文書(以下「山口県回答文書」という。)において、「上関原子力発電所計画を電源開発基本計画に組み入れることについても理解できるところであります。」との回答を得ている。また、資源エネルギー庁長官が山口県回答文書を同県副知事から受領するに当たって、本件立地計画を平成十三年度基本計画に組み入れることについて同意したものと理解してよいかと確認したところ、同県副知事から「そのように理解していただいて結構である。」との回答を得ている。

その上で、経済産業大臣は、電源開発促進法(昭和二十七年法律第二百八十三号)第三条第一項の規定に基づき、国の関係行政機関の長に協議してその同意を得るとともに、総合資源エネルギー調査会から異存はない旨の意見を得て、平成十三年六月十一日に平成十三年度基本計画を決定したものである。

右のような経緯に照らすと、平成十三年度基本計画が性急に決定されたとの御指摘は当たらないものと考えている。

また、いわゆる与党関係者からの要請を受けて本件立地計画を平成十三年度基本計画に組み入れたという事実はない。

(二)について

(一)についてで述べたとおり、本件立地計画を平成十三年度基本計画に組み入れるに当たっては、山口県知事から同意を得ているところであり、同県知事においては、県議会での本件立地計画に係る議論、昭和五十七年の上関町長の原子力発電所建設の誘致表明以降の上関町の誘致活動、周辺二市五町(光市、柳井市、大島町、大畠町、田布施町、平生町及び大和町)からの意見等を踏まえた上で同意したものと理解している。このようなことから、本件立地計画については現段階において地元の理解は得られていると考えている。

(三)について

発電所を建設するに当たっては、地元の理解と協力を得ることが重要であり、昭和五十九年に上関町が中国電力に対して原子力発電所の立地に係る調査を要請して以降、経済産業省においては、そのための広報活動等を行ってきたところであり、また、中国電力においては、地元の理解と協力を得るよう努めるとともに、用地取得や漁業補償に係る交渉を進めてきたものと承知している。

本件立地計画については、電源開発促進対策特別会計法(昭和四十九年法律第八十号)及び電源開発促進対策特別会計法施行令(昭和四十九年政令第三百四十号)に基づき、山口県、上関町及び柳井市に対し、電源立地等初期対策交付金として、昭和五十九年度から平成十二年度までの間に、発電用施設等の設置の必要性に関する知識の普及事業及び地域の振興に関する計画の作成に必要な情報収集事業に約七億四千六百万円、医療施設整備事業に約八千七百万円、社会福祉施設整備事業に約七億五千七百万円、温排水の有効な利用に関する調査事業に約六億五千三百万円、種苗生産施設整備事業に約十二億二千四百万円の総額約三十四億六千八百万円を交付しており、また、広報・安全等対策交付金として、平成六年度から平成十二年度までの間に、広報・安全等対策事業に、総額約一億九千八百万円を交付してきている。なお、中国経済産業局(平成十三年一月五日までは、中国通商産業局)においては、電源立地推進調整等委託費として、平成元年度から平成十二年度までの間に、総額約一億四千二百万円を支出し、本件立地計画に係る原子力関連広報事業を行ってきている。

本件立地計画に係る交付金及び委託費は、パンフレット広報、新聞広報、先進地調査等を通じた本件立地計画に対する地元の関心の増大、上関町の高齢者保健福祉施設の整備を通じた高齢者在宅福祉の増進等の効果を挙げたものと承知している。

(四)について

平成十三年度基本計画は、電源開発促進法第三条第一項の規定に基づく協議における環境大臣の意見(平成十三年五月十一日環政評第九十九号。以下「環境大臣意見」という。)も踏まえて決定されたものであり、環境大臣意見は、日本生態学会の要望等も踏まえて検討を行った上、本件立地計画の実施に当たって、ハヤブサの生息環境に影響を及ぼさないよう適切な措置を講ずること等の環境保全のために必要な措置に係る見解を示している。また、山口県回答文書は、環境保全の見地から、経済産業大臣に対して、本件立地計画の実施に当たって周辺の自然環境の保全及び景観等との調和にも十分配慮すること等を求めている。

経済産業省においては、本件立地計画の実施に当たって環境保全に万全を期するべきものと考えている。このため、中国電力が実施した環境影響評価において、環境大臣意見で示された見解、山口県回答文書で示された要請等を適切に反映するよう指導し、平成十三年六月十五日に中国電力から提出された環境影響評価書について、環境影響評価法及び電気事業法の規定に基づき、厳正な審査を行っているところである。

(五)について

電源開発基本計画は、今後の電源開発に係る基本的な計画を定めるものであり、個別の発電所の立地計画を電源開発基本計画に組み入れるに当たって、当該立地計画の実施に必要な用地のすべてが取得されている必要はない。

経済産業省においては、今後、中国電力に対し、本件立地計画に要する用地を取得するに当たっては、当該用地の所有者との間で円満な解決を図るよう強く指導していくこととしている。

(六)について

発電所建設のための用地の取得は、電気事業者と土地所有者との間の協議によってされるものであるが、その際には、関係法令の規定に従って行われるべきことは、当然であると考えている。

宗教法人における財産処分を含む事務については、宗教法人法(昭和二十六年法律第百二十六号)第十八条第四項において、当該宗教法人の規則(以下「規則」という。)の定めるところにより、責任役員が決定し、また、規則に別段の定めがなければ、同法第十九条において、責任役員の定数の過半数で決することとされており、お尋ねの未買収地に含まれる宗教法人の所有地の処分についても、これらの規定に従って決定される必要があると考えている。

なお、御指摘の同法第十八条第五項は、宗教法人の代表役員及び責任役員による財産管理に係る規定であり、同法第十八条第四項又は第十九条の規定に基づく財産の処分を制限するものではないと理解している。

衆議院の原文

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