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危険物規制に関する質問主意書

衆議院 第100回 第8号

提出者
衆議院
提出日
1983年10月21日
内閣転送 1983年10月22日
答弁書受領日
1983年11月8日
提出から18日
答弁の項目数
3
質問 1,331字/答弁 573字

質問本文

衆議院議長 福田 一 殿

危険物規制に関する質問主意書

昨年八月、大阪府堺市のダイセル化学工業堺工場において爆発火災が発生、工場内で死者六名を含む三十二名が死傷したほか、その被害は広く周辺地域に及び、付近住民百七十八名が負傷、千二百四十八戸もの住宅などが爆風による被害を受けた。この事故の原因については、警察の捜査及び堺市高石市消防組合の事故調査報告書などで、工場側に重大な過失のあつたことが明らかとなつているが、この事故は、住宅密集地に隣接して立地する化学工場が爆発し、付近住民に多大な被害をもたらしたものであり、今後の危険物規制に関する行政にとつても多くの教訓を含むものである。

以上の見地から、以下のとおり質問する。

一 現行の消防法に基づく危険物規制において、土盛りなど爆発を想定した対策は「指定過酸化物」に限られている。そのため、この事故による被害は最大一・四キロメートル先にまで及んでいるにもかかわらず、本工場の法定の保安距離は十メートルであるなど、爆発を想定した対策は皆無に近い。そこで、本事故の原因物質となつたアクリロニトリルなど、爆発性混合気を容易に形成し爆発性の高い危険物についても、少なくとも住宅密集地に隣接する工場の場合は、「指定過酸化物」と同様、土盛り、外壁の強化、保安距離の延長など、爆発を想定した対策を検討すべきであると思うがどうか。

二 この事故は、停電がそのきつかけとなつたが、この停電という異常事態の発生から事故に至るまで約四十二時間を要しており、化学工場における事故の場合、このように最初の異常事態発生から一定の時間を経過して事故に至る場合が少なくない。本事故の場合、たまたま第一次の小爆発があつたため、消防当局への連絡及び説明はなされていたが、消防法による通報義務は「危険物の流出その他の事故」発生時であり、堺市高石市消防組合の事故調査報告書が提言しているように、事業者に対し、事故となるおそれのある異常事態の発生の場合についても、消防当局等への通報の義務を課すべきであると思うがどうか。

三 危険物を取扱う化学工場の場合、非常時の作業標準の作成の必要性は、前出の事故調査報告書、また、昨年十一月三十日付の各都道府県消防主管部長宛の消防庁危険物規制課長の通達によつても指摘されているが、本事故の場合も、事故のおきたモノマー混合槽についてのそれが十分整備されていなかつたことが事故要因の一つとなつている。危険物取扱工場においては、消防法の規定によつて、事故予防のための予防規程を作成し、市町村長等の認可を受けることが義務付けられているが、こうしたモノマー混合槽など事故の要因となりうるものについては、すべてこれを予防規程による非常時の作業標準作成の対象とし、事業者に対し、これを十分整備することを義務付けるべきであると考えるがどうか。

四 消防力整備については、全国的に人員面を中心に多くの問題を残しているが、特に多様化する危険物の防災については、本事故調査報告書が指摘しているとおり「専門消防職員の養成充実」が急務である。こうした立場から、政府としても、この点については特別の努力を行うべきだと思うがどうか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

御質問の化学工場爆発事故の原因は、スチレンモノマーとアクリロニトリルとを重合する過程において暴走反応が生じたことによるものと推定されているが、これらの物質は、それぞれ単独では、「指定過酸化物」と同様の爆発危険性を有するものではなく、この事故は、暴走反応が生じないよう適正な取扱いを行うことによつて避け得たものと考えている。今後とも、危険物施設における危険物の適正な取扱いについて、その徹底を図つてまいりたい。

二及び三について

消防法に基づく予防規程には、平常時における危険物の貯蔵又は取扱いのみならず異常が発生した場合の対応の方法を含め、緊急時における措置事項も定めるべきものとされており、これらの観点から、作業標準を始めとする予防規程に含まれるべき事故防止対策の見直し等を図るよう、昭和五十七年十一月三十日付け各都道府県消防主管部長あて消防庁危険物規制課長通達により指示しているところである。

四について

御指摘の点については、国にあつては消防大学校の危険物保安科の課程において、また、地方公共団体にあつては消防学校の専科教育の課程において、それぞれ、危険物の防災に係る専門消防職員の養成が行われているところである。

なお、今後とも、多様化する危険物の災害に対処するため、専門消防職員の資質の向上に努めてまいりたい。

右答弁する。

衆議院の原文

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