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沖縄の農事用電力料金引下げ等に関する質問主意書

衆議院 第100回 第9号

提出者
衆議院
提出日
1983年10月25日
内閣転送 1983年10月26日
答弁書受領日
1983年11月8日
提出から14日
答弁の項目数
6
質問 3,280字/答弁 1,112字

質問本文

衆議院議長 福田 一 殿

沖縄の農事用電力料金引下げ等に関する質問主意書

沖縄農業の振興を図るうえで、台風や干ばつなどの自然災害に強い農業作りが不可欠となつている。自然災害に強い農業にするためには、大きく立ち遅れている農業基盤整備を促進させると同時に沖縄電力株式会社の農事用電力料金の改善が緊急の課題となつている。

沖縄電力株式会社の農事用電力料金の改善は、農業基盤整備事業に直接係る大きな問題である。沖縄電力株式会社は復帰後相次いで五回も電気料金の値上げを行つてきた。特に、昭和五十五年には「原油価格の値上げ」と「設備投資による経費の増大」を理由に二月に四二・四%、十月に一九・一八%と二回にわたり大幅な値上げを行つた。このため、沖縄電力株式会社の現行料金は、本土の九電力平均料金の電灯・電力合計の総合単価一キロワット時当たり二十三円四十四銭(昭和五十七年度)に比べ一七・七%も割高となつている。農事用電力料金に至つては、九電力平均の総合単価一キロワット時当たり十四円八十三銭(昭和五十七年度)に対し、沖縄電力株式会社は四十円三十二銭と二・七倍も割高となつている。

沖縄振興開発特別措置法に基づき国と県が一〇〇%出資している沖縄電力株式会社の電気料金が、民間電力企業よりも高いこと自体問題であるが、さらに沖縄電力株式会社は、電力を使用しない時期でも高い料金を支払わなければならない年間契約制度を農事用電力料金に採用しているのである。

このため、巨額のお金をかけて設置したかんがい施設も十分利用されない事態さえ生じている。今夏の干ばつでも、農事用電力料金がもつと安ければスプリンクラーなどのかんがい施設がもつと普及し、被害は最小限に食い止めることができたとして、生産農家から沖縄電力株式会社の農事用電力料金の改善要求が強く出されている。

干ばつ常襲地域と言われる沖縄の農業の将来を考える場合、農事用電力料金の早急な改善が必要である。

従つて、次の事項について質問する。

一 前回の電気料金の値上げ時に比べて、原油価格の値下がりなど電気料金の原価に極めて大きな影響を及ぼす供給条件に変化が生じている。政府は、「原油価格が引下げられた場合の電気・ガス料金の取扱いについては、電気・ガス事業者の経理状況の見通しの上に立つて、今後慎重に判断していくべきである。」(昭和五十八年三月八日、我が党の岩佐恵美衆議院議員提出の「原油値下げに伴う電力・ガス料金及び石油製品価格の引き下げに関する質問主意書」に対する政府の答弁書)としている。

特に沖縄電力株式会社の電気料金については、先の私の「沖縄電力の民営移行に関する質問主意書」に対する政府の答弁書(昭和五十八年一月二十八日、以下「答弁書」と言う。)で、「沖縄の振興開発のために重要であることにかんがみ、種々の措置を講じ、沖縄県における電気の供給コストの引下げに努めているところである。」と答えている。

政府は、沖縄電力株式会社の農事用電力料金を含む電気料金の引下げについて、具体的にどのような検討を行つてきたのか。

二 政府は私の質問主意書に対する「答弁書」で、「沖縄電力株式会社の電気料金についても原価主義の原則に基づき定められている」と回答している。

このため、沖縄電力株式会社の農事用電力料金は北陸電力に比べ、低圧の基本料金で七二・三四%、電力料金で九四・一二%も割高となつている。昭和五十七年度の九電力の農事用電力料金の総合単価で比べると、実に二・七倍にも達している。

公共料金としての電気料金が地域的にこのような大幅な格差が生じていることについて、政府はどのような認識を持つているのか。

三 沖縄電力株式会社は、電気料金引下げの要請に対して原油価格の値下げによつてある程度の黒字は見込めるが、累積赤字があるため先々の見通しをつけた上、九電力の平均水準に持つていきたいとの趣旨の発言をしている。

沖縄電力株式会社の累積赤字については、昭和五十六年四月二十四日の衆議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会で当時の資源エネルギー庁植松公益事業部業務課長が、「沖縄県民の負担によつて解決するということはできませんので国等が負担することによつて解消せざるを得ない」と答弁している。政府は、現在沖縄電力株式会社に対して事業税の軽減など種々の措置を講じているとしているが、極めて不十分なものと言わざるを得ない。

沖縄電力株式会社の累積赤字の解消については特別の対策が必要であると考えるが、政府の見解を伺いたい。

四 北海道電力を除く本土八電力は、農事用電力料金について季節契約制度を採用している。

ところが、沖縄電力株式会社は農家より要望があるにもかかわらず、使用しなくても電力料金を支払わなければならない年間契約を農家に強要しており、言語道断である。

政府は大株主として沖縄電力株式会社に全面的な経営責任がある。さらに沖縄電力株式会社は沖縄振興のため、沖縄振興開発特別措置法に基づき設立された特殊法人である。この点から言つても、沖縄電力株式会社は政府が直接責任を有する電力会社である。

政府は、農事用電力料金の使用契約について、他の電力会社と同様季節契約を採用するよう沖縄電力株式会社に対して、行政指導を行うべきであると思うがどうか。

また、農事用電力料金の使用時間について、北海道電力が午後八時から翌日の午後五時までとなつている外、他の八電力では終日使用できることとなつている。

しかし沖縄においては、午後九時から翌日の午後一時までとなつている。沖縄電力株式会社についても、農事用電力の使用時間は農家の実状に沿つたものに改善すべきであると考えるがどうか。

五 本土九電力と比べても割高となつている沖縄電力株式会社の農事用電力料金は、政府が沖縄振興開発計画に沿つて進めている国営かんがい排水事業に大きな影響を及ぼすものである。宮古島の宮古地区で、受益面積八千二百四十ヘクタールに及ぶ大規模な国営かんがい排水事業が予定されている。

ところが同地区では、「六二〇ヘクタールのほ場に灌漑施設が整備されているが、高い電力料金に対応しきれず、施設の機能が半減している」(昭和五十八年度県・市町村行政連絡会議資料)として、関係自治体から農事用電力料金の低減措置について要望が出されている。八重山地域の白保地区では、構造上も電力を余計使うようにできているためもあつて全く施設が遊休化している。

政府はかかる事態をどのように認識しているのか。農事用電力料金の改善は農業基盤整備を促進するうえで必要であると考えるが、政府の明確な見解を伺いたい。

六 農事用電力料金の改善とともに立ち遅れている農業基盤整備の促進が重要である。政府自らが、沖縄の農業基盤整備について「沖縄農林漁業の動向」(昭和五十八年三月沖縄総合事務局農林水産部)で、「依然として農業生産基盤の整備状況は本土に比べて立ち遅れており、沖縄農業の低生産性と農業経営の不安定性の原因となつている」と指摘している。

1 宮良川地区(沖縄県石垣市)国営かんがい排水事業は昭和五十年度に着工され、総事業費百七十億円で十年間で完成する予定であつたが、着工から九年間たつた昭和五十八年度までで達成率はわずか四一%に過ぎず、工期は昭和六十五年度までとなつている。

政府はこれ以上の遅れを出さないため、どのような措置をとるつもりなのか。

2 宮古地区の国営かんがい排水事業について、沖縄県土地改良事業団体連合会などから昭和五十九年度に全体実施設計採択の要望が出されている。

政府は、環境保全を考慮しながら宮古地区の国営かんがい排水事業について昭和五十九年度に全体実施設計の採択を行い、早期着工を図るべきと考えるがどうか。

3 政府は、農業用水の確保、かんがい排水施設、ほ場など農業基盤を総合的・計画的かつ早期に整備するため、どのような対策を今後講ずるのか、政府の具体的な見解を伺いたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

沖縄電力株式会社の電気料金問題の取扱いについては、原油価格の引下げといつた収益改善要因があるものの、今後の為替レートの動向、中東情勢の推移等の不確定要因もあること等から、料金の長期安定の要請を踏まえつつ、今後とも慎重に判断すべき問題であると考えている。

二について

電力会社により料金水準が相違するのは、電源構成の相違のほか、電灯・電力等の需要構成の相違等多様な要素の相違の反映の結果であり、電気料金が電力会社別に原価主義に基づいて定められることとなつている以上、各社の料金水準にある程度の差異が生ずることは、やむを得ないことと考えている。

三について

政府としても、安定的かつ適正な電気の供給の確保が沖縄の振興開発のために重要であるとの観点から、沖縄電力株式会社の一層の経営努力を期待するとともに、現在、主として次に掲げるような措置を講じ、同社の経営基盤の強化に努めているところである。

(1) 沖縄振興開発金融公庫による沖縄電力株式会社に対する長期特利融資

(2) 沖縄電力株式会社の行う電気供給業に対する事業税の軽減等の税制上の優遇措置

(3) 電源開発株式会社が沖縄県石川市で建設を進めている石炭火力発電設備の建設費に対する補助

四について

沖縄電力株式会社の農事用電力の使用条件は、農事用電力需要家の使用実態及び同社の需給の実態を勘案の上定められているが、今後、これをどのように運用していくかについては、これら実態の変化を見極めつつ慎重に検討を行う必要があると考えている。

五について

沖縄電力株式会社の農事用電力料金については、需要家が契約上使用できる時間を需要水準の高い時間帯を避けることによつて通常、新増設需要に対し適用される特別料金を適用しないこととしているほか、一般料金でみてもかなり低い水準の料金率が設定されており、同社の需給構造、原価実態からみて妥当な水準に設定されたものであると考えている。

なお、現行農事用電力の効果的使用方法については、沖縄電力株式会社に対して農業団体等への広報活動を充実させるよう指導しているところである。

六について

1 国営かんがい排水事業宮良川地区については、既に完成した施設をかんがいの用に供しつつ、予定どおり完了すべく、今後とも努力してまいりたい。

2 地下ダムを水源とする国営かんがい排水事業宮古地区については、昭和五十九年度から全体実施設計を行うべく検討を進めているところである。

3 沖縄県の農業基盤整備については、従来から採択基準の緩和、補助率の引上げ等により、その推進に努めてきたところであり、今後とも積極的に対処してまいりたい。

右答弁する。

衆議院の原文

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