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SDI研究参加協定に関する質問主意書

衆議院 第109回 第42号

提出者
衆議院
提出日
1987年9月19日
内閣転送 1987年9月19日
答弁書受領日
1987年10月30日
提出から41日
答弁の項目数
15
質問 2,153字/答弁 1,286字

質問本文

衆議院議長 原 健三郎 殿

SDI研究参加協定に関する質問主意書

さる七月二十二日、日本政府はワシントンで戦略防衛構想(SDI)に日本企業が研究参加するための「SDI研究参加協定」をアメリカ政府と締結した。

これは、わが国の国是である非核三原則を踏みにじり、宇宙平和利用の国会決議に反するなど重大な問題を多々含むものであるが、ここでは同協定の締結にともなう秘密保護の諸問題に関する次の事項について質問する。

一 「SDI研究参加協定」の第三条では「戦略防衛構想における研究のための個別の契約その他の取決めに従つた作業の実施のために提供され又は実施の過程において創出された秘密の情報を保護することを目的として、両政府は、それぞれの国の国内法及び日本国とアメリカ合衆国との間の協定の枠内において、すべての必要かつ適当の措置をとる」とある。はじめにこの第三条について問う。

1 この第三条で使われている用語の内容について

(1) 条文中「その他の取決め」とあるが、この「その他の取決め」とは具体的に何を指しているのか。

(2) 「その他の取決め」とは、参加条件の細目を定めた秘密扱いにしている「実施取決め」(了解覚書・Memorandam of Understanding on SDI)を指しているのか。

(3) 条文中「…従つた作業の実施のために提供され」とあるが、ここでいう「提供」の主語はどれか。またこの「提供」には、日本政府、日本の研究機関および企業も含むのか。

(4) 条文中「両政府は、それぞれの国の国内法」とあるが、具体的に日本における「国内法」とは何を指すのか。またアメリカにおける「国内法」とは何を指すのか。

(5) 条文中「日本国とアメリカ合衆国との間の協定の」とあるが、「SDI研究参加協定」および「実施取決め」(了解覚書)以外に何の協定を指すのか。

2 政府は「SDI研究参加協定」第三条に従い秘密保護のための新たな立法措置を講ずる考えがあるのか。

3 「SDI研究参加協定」第三条の「…又は実施の過程において創出された秘密の情報」とあるが、この「秘密の情報」は、�@誰が指定するのか(秘密の指定権者は誰か)、�A秘密指定にするための手続きは、具体的にどのようなものか。

二 「SDI研究参加協定」により、通産省の進めている秘密保護規定について問う。

1 通産省が省内訓令として秘密保護規定の作成を進めているといわれるが、事実か。

2 事実ならば、その秘密保護規定の内容はどのようなものか。

3 また、秘密保護規定が想定する秘密はどの範囲のものか。

4 また、秘密保護規定の罰則の対象範囲には、通産省の職員のほかに報道関係者などの民間人も含むのか。

三 「SDI研究参加協定」と「日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法」(昭和二十九年法律第一六六号。以下「MSA秘密保護法」と略す。)との関連について問う。

1 報道によればSDI研究の秘密保護のため、政府はMSA秘密保護法を援用する考えといわれる。政府はそのような考えを持つているのか。

2 MSA秘密保護法は、MSA協定により、アメリカ政府から自衛隊に供与された装備品およびその装備品についての情報に限定して「防衛秘密」として秘密保護の対象としている。そこでSDI研究の秘密保護との関連で、次の点を問う。

(1) SDI研究の秘密保護を含めるとした場合、MSA秘密保護法の改正の必要性が生じるのでないか。

(2) 政府は、SDI研究の秘密保護を「防衛秘密」として扱う考えがあるのか。

四 「SDI研究参加協定」とココム規制との関連を問う。

1 報道によれば、秘密に付されている「SDI研究参加協定」の「実施取決め」(了解覚書)のなかに「日米両政府は機微な技術移転を阻止する措置を講じる」とあるといわれるが、SDI研究参加はココム規制順守を条件にしているのか。

2 SDI研究参加の項目とココム規制の品目は、相互に関連しあつているのか。

五 SDI研究参加の秘密の範囲について問う。

1 SDI研究参加により、企業および研究機関が秘密としなければならない秘密の範囲はおおよそどの範囲までおよぶのか。

2 1の秘密の範囲は、SDI研究の研究テーマ、開発目標、技術説明書、コンピューター・ソフトなどのいわゆるソフト情報も含むのか。

3 アメリカでは、SDIの中核技術として国防総省高等技術開発庁(DAPRA)が、一九八三年より向こう十年間におよぶ戦略コンピューター計画を進めている。これにほぼ見合うのが、通産省の肝入りで作られた新世代コンピューター開発機構(ICOT)による第五世代コンピューター開発計画である。アメリカ政府が、日本のSDI研究参加を理由にかかる高度なコンピューター開発計画を秘密にするよう要請してきた場合、政府はどのような措置を講ずるのか。

4 SDI研究参加により、アメリカ政府が秘密にしてきたものが、日本国内で秘密保護を順守しているかどうか査察の必要が生じるようにおもえるがどうか。もし、アメリカ政府がSDI研究参加の日本企業および研究機関の査察の要請をしてきた場合、政府はどのような措置を講ずるのか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一の1(1)及び(2)について

協定3にいう「その他の取決め」とは、SDI研究の個々の研究事業に実際に参加するために個別に結ばれる取決めを指す。

一の1(3)について

「提供」の主体は、米国政府あるいは我が国政府である。

一の1(4)について

それぞれの国内法とは、我が国については、例えば、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)、外務公務員法(昭和二十七年法律第四十一号)、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)、日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法(昭和二十九年法律第百六十六号)を、また米国については、例えば、EXECUTIVE ORDER 12356(米国大統領令一二三五六)を指す。

一の1(5)について

「日本国とアメリカ合衆国との間の協定」とは、例えば、日米相互防衛援助協定を指す。

一の2について

政府としては、我が国のSDI研究参加のために秘密保護に関し新たな立法を行うことは考えていない。

一の3について

個別の契約その他の取決めに従つた作業の実施の過程において米国の資金によつて創出された情報の秘密指定の権限は、米国政府が有し、その指定は、米国の基準に従つて行われることとなる。

二の1について

通商産業省は、秘密保護に関する省内訓令である規程(以下「規程」という。)を制定している。

二の2について

規程の内容は、

�@ 秘密を取り扱う者の範囲を必要最小限とすること

�A 秘密の保護の責任者を明確にすること

�B 秘密の表示を明確に行うこと

�C 受渡し、複製等秘密の取扱いについての手続を厳格にすること

�D 秘密の保管を厳重に行うこと

等である。

二の3について

規程の対象となる秘密は、SDI研究に係る我が国と米国との間の技術の交流に係る秘密である。

二の4について

規程は、通商産業省の職員を対象とするものであり、同職員以外の者に適用されるものではない。また、規程には罰則の規定はない。

三について

米国政府より提供された情報が日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法第一条第三項に規定する防衛秘密に該当する場合には、同法の対象となるが、政府としては、我が国のSDI研究参加のために同法の改正を行うことは考えていない。

四について

我が国よりの輸出規制の問題については、SDI研究への参加に関する政府間協定の有無にかかわらず、我が国の国内法に基づき行われるものである。

五の1及び2について

いかなる情報が秘密指定されるかをあらかじめ一般的に述べることはできないが、個別の契約その他の取決めの締結の過程において秘密情報の指定範囲が個別に明らかにされるので、個々の参加者は、取決めの締結の段階で、いかなる情報が秘密指定されるか知り得る立場にある。

五の3について

第五世代コンピュータ開発計画のようなSDI研究とは無関係に行われている計画に係る情報について、我が国の企業等のSDI研究参加を理由に米国政府が秘密指定を行うことはあり得ない。

五の4について

我が国国内において米国政府が御指摘の査察を行うことはあり得ない。

右答弁する。

衆議院の原文

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