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国史と国語に関する質問主意書

衆議院 第110回 第4号

提出者
衆議院
提出日
1987年11月11日
内閣転送 1987年11月11日
答弁書受領日
1987年11月17日
提出から6日
答弁の項目数
2
質問 1,217字/答弁 1,195字

質問本文

衆議院議長 原 健三郎 殿

國史と國語に關する質問主意書

凡そいづれの國にもその國自らの歴史がある。之を國史といふ。國史はその國民が之を尊ぶ時、その國は興り、之を輕んずる時、その國は亡びる。

いづれの民族・部族にもその民族特有の言語がある。之を國語といふ。國語はその民族が之を正す時、その民族は榮え、之を亂す時、その民族は衰へる。

ここに國史と國語との一體的因果があり、國民をして絶えず自國の歴史と國語とに高い誇りと愛着尊敬の思ひを致させ、不斷の努力を以つて、之を純正正確に傳承せしめること、即ち正しい自國の歴史を、正しい自國の國語を以つて語らしめることこそ、立國の大本であるべきものである。

我國は、昭和二十年八月十五日の敗戰によりその主權が聯合軍により制限され、教育においては國史を廢し、國語を輕んじた。然も、昭和二十七年の講和條約により獨立を恢復して後も之を舊に復さず、今日に至つてゐる。

かくて戰後四十有二年、國民の多くは日本民族の發祥と建國の神話・歴史を知らず、國語また大いに亂れ、あたかも無國籍的國民と化しつつある。誠に悲しむべき現實であり、速かに之を改めなければならない。

世界にはフランスにおける翰林院(アカデミー・フランセーズ)の正統辭書編纂の歴史や、ドイツにおけるグリム兄弟とその弟子たちによる民族傳説の集成と辭書編著の事業、或いは我國における水戸藩の大日本史發行の如く、官民ともに國史・國語を正しく守り傳へた尊い事例は決して尠くない。今日の我國にあつても、之等のことに學び、國史・國語の正統を守る運動が待たれるところである。

然もそれは政府自らが速かに對處すべきことである。故に之に關し質問する。

一 國史について

1 我國の建國は神武天皇御即位にあることは、二月十一日を以つて「建國紀念の日」と定めた國民祝日の法規に明らかなところである。ついては、國史において神武建國の精神的原點を確認し、その祝賀行事等は政府自らが主催するなど適切な方策をとる考へはないか。

2 我國の近現代史にあつては、東京裁判による日本侵略者論的視點に立つ記載が學校教科書等の大勢を占めてゐる。然し、之は一方的かつ一面的史觀であつて、必ずしも正當ではない。政府においては速かに之を正すため、適當な方策を講ずべきと信ずる。所見如何。

3 學校教育にあつて、社會科を改めて日本史(國史)を重視し、之を獨立科目とするなど賢明な對策を講ずる考へはないか。

二 國語について

1 國語を重んじ、これを正すため、「常用漢字」「現代假名遣ひ」をともに廢して、舊來・本然の國語・國字を恢復する考へはないか。

2 日本語の記述は本來縦書であつた。政府においては、公文書等を須く原則縱書とし、學校教科書等も之によらしめるべきである。これについての見解如何。

3 戸籍法竝に同施行規則を改めて、人名として用ゐ得る漢字の制限を解除する考へはないか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

1 建国記念の日は、建国をしのび、国を愛する心を養うという趣旨により設けられた国民の祝日であるが、建国記念の日を祝う式典は、民間団体が行い、関係府省がこれを後援してきているところであり、特に政府が主催することは考えていない。

2 教科書の検定においては、教科用図書検定基準に基づき、教科書の記述が客観的かつ公正で、適切な教育的配慮が施されたものとなるよう検定を行つているところである。

現在使用されている教科書は、教科用図書検定基準に照らし、適切なものであると考えている。

3 現在、我が国の歴史については、小学校、中学校及び高等学校の各学校段階において、それぞれ生徒の発達段階に即した教育を実施しているところであり、国民としての自覚を養う観点から、今後ともその教育内容の改善・充実を図つてまいりたい。

二について

1 「常用漢字表」及び「現代仮名遣い」は、政府が、国語審議会の答申を尊重して、法令、公用文書、新聞、雑誌、放送など、一般の社会生活において、分かりやすく通じやすい文章を書き表すための漢字使用の「目安」又は仮名遣いの「よりどころ」として定め、これらを一般社会に周知するとともに、政府部内において実施しているものであり、これらを廃止する考えはない。

なお、これらは、科学、技術、芸術その他の各種専門分野や個々人の表記にまで及ぼそうとするものではなく、伝統的表記を否定するものでもない。

2 公用文の書き方については、「公用文改善協議会報告『公用文の改善』について」(昭和二十四年四月五日閣議了解)において、「一定の猶予期間を定めて、なるべく広い範囲にわたつて左横書きとする」こととされ、また、その後、昭和二十六年十月、国語審議会の「公用文改善の趣旨徹底について」の建議において同様の内容の提言がなされ、各省庁にその趣旨の徹底を図つてきたところである。

既に左横書きが広く実施されており、縦書きに統一する考えはない。

教科書を縦書きにするか、横書きにするかについては、検定上特に基準を設けていない。現行の教科書は、各教科・科目等に応じて適宜縦書き又は横書きとなつており、指導上特に問題はないと考えている。

なお、国語科の教科書は、縦書きが慣例となつているところである。

3 現行戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)施行前においては、子の名に用いられた漢字には極めて難解なものがみられ、これにより本人及び第三者に与えた社会生活上の不便は少なくなかつた。このため、昭和二十二年に全面改正された現行戸籍法において、名に難解な文字を用いることによつて生ずる本人及び社会一般の不便を避けるため同法第五十条が設けられたものであり、以来時日の経過とともに子の名に用いることのできる文字の制限は、広く社会一般に受け入れられたものと考えるので、戸籍法による制限を撤廃する考えはない。

衆議院の原文

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