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四国ドック株式会社の労使紛争に関する質問主意書

衆議院 第112回 第13号

提出者
衆議院
提出日
1988年2月25日
内閣転送 1988年2月27日
答弁書受領日
1988年3月25日
提出から29日
答弁の項目数
8
質問 1,587字/答弁 2,103字

質問本文

衆議院議長 原 健三郎 殿

四国ドック株式会社の労使紛争に関する質問主意書

高松市朝日町一丁目三番二十三号に本社を置く四国ドック株式会社(以下単に「会社」と言う。)では、昭和五十五年五月、親会社の三井造船株式会社常務取締役河面良治氏が社長に就任して以来現在まで、自己の好まざる労働組合の壊滅をめざす露骨な不当労働行為が継続して行われ、労使紛争が絶えない。

会社には総評所属の全日本造船機械労働組合四国ドック分会(以下単に「分会」と言う。)と同盟所属の全国造船重機械労働組合連合会四国ドック労働組合(以下単に「第二組合」と言う。)とが併存するが、河面社長は第二組合を賞讃する一方、分会を敵視する労務政策をとり続け、昭和五十六年以降毎年春闘時の賃上げや夏季及び年末一時金要求に対して、殊更分会が受入れがたいことが予測される労使関係協定書の改定や新協約を前提条件として提案し、分会がこの前提条件を受諾しない限り賃上げや一時金に関する協定の締結を拒否する態度をとり続けたばかりか、分会との団体交渉をも拒否する戦術をとつてきた。

一方第二組合は常に会社提案を受諾するため、賃上げ及び一時金についての協定は難なく成立してその組合員が新賃金及び一時金の支払を受けるのに反し、分会所属の組合員は毎年数ヵ月遅れ、ひどい時は一年三ヵ月も遅れて支払を受ける差別的取扱いのパターンが続き、生活に困窮する分会組合員に対する会社の脱退工作によつて組合員の離脱が相次ぎ、従業員の半数以下の少数組合になつた。

会社は分会の壊滅を図るため、今回の造船不況を好機として昨年五月、差別的退職強要によつて分会組合員を多数退職させている。

参議院寺田熊雄議員が昭和六十年十二月に参質第四号をもつて質問したところであるが、会社の態度は全く改まつていない。

かかる事態にかんがみ、今回改めて次の事項について質問する。

一 会社は分会組合員の五十五歳以上は皆無としたが、第二組合員では多数残しているのは差別的退職強要であると思うが、その経過と現状を明らかにされたい。

二 会社は五十三年以降は年間一隻程度の受注計画を前提にして人員削減を実施したが現在は受注船の建造が人手不足で間に合わず、下請工を増員したり愛媛県の造船所でブロックを建造しているが如き多忙さである。

斯様な事態に拘らず会社は団体交渉を一方的に打ち切り、分会の執行委員長と前執行委員を指名解雇している矛盾は如何なものか承りたい。

三 会社は労使慣行を無視し分会と協議することなく、設計技術職の分会組合員のみを差別して、現業職に配置転換し退職に追い込んでいるが、その経過と現状を明らかにされたい。

四 会社は分会と協定することなく賃金を、又住宅、家族手当などの諸手当をカットしたり更に労働時間を延長しているが、これは労働基準法違反でありその経過と見解を明らかにされたい。

五 会社の分会つぶしの攻撃は非道の限りを尽くしている。これまでに分会が地方労働委員会、裁判所などに提訴してきた件数と実態を明らかにされたい。

六 会社は組合費などのチェックオフ協定を一方的に打ち切り、組合費などのチェックオフを拒否している。分会は従前どおり第二組合が締結しているチェックオフ協定と同様のものを要求しているが、会社は拒否して差別している。明らかに不当労働行為であるが政府の見解を承りたい。

七 裁判所の判例は作業服の更衣など、又後片付けは労働時間内としている。会社は作業服、安全靴、安全ベルト、ヘルメットなどを着装させ、始業五分前にサイレンを鳴らしラジオ体操をさせている。これは労働基準法違反にならないか伺いたい。

八 河面良治社長は分会つぶしの不当労働行為を繰り返しているが、この度勲四等瑞宝章を受章した。この叙勲ほどの様な審査に基づいたものなのか承りたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

四国ドック株式会社(以下「会社」という。)では、昭和六十二年三月会社から、会社の従業員で組織する総評全日本造船機械労働組合四国ドック分会(以下「分会」という。)と全国造船重機械労働組合連合会四国ドック労働組合(以下「重機労組」という。)の二つの労働組合に対し、希望退職募集を中心とする経営の合理化案が提示され、同年四月から五月までの間、希望退職の募集が実施され、その結果、両組合における五十五歳以上の従業員は、分会においては九名全員が退職し、重機労組においては二十三名のうち十六名が退職し七名となつた。

政府としては、以上のとおりであると聞いている。

二について

御指摘の組合員二名の解雇の問題については、分会等から香川県地方労働委員会(以下「香川地労委」という。)に対し、会社を被申立人として不当労働行為救済申立てが行われ、現在、香川地労委に係属中であり、政府としてとかくの見解を述べることは差し控えたい。

三について

昭和五十五年六月に河面良治氏が会社の代表取締役に就任して以降、会社においては、「組織・人員活性化対策」の一環として、昭和六十一年三月及び昭和六十二年六月に設計部門に所属する従業員の配置転換が実施されている。

1 このうち、昭和六十一年三月に実施された配置転換では、分会の組合員が五名、重機労組の組合員が一名現業部門に配置転換され、そのうち、現在までに、分会の組合員三名が退職している。

なお、当該配置転換の問題について、同年四月分会から香川地労委に対し、不当労働行為救済申立てが行われたが、昭和六十二年三月に取り下げられている。

2 また、昭和六十二年六月に実施された配置転換では、分会の組合員が七名現業部門に配置転換され、そのうち、現在までに、一名が退職している。

政府としては、以上のとおりであると聞いている。

四について

会社においては、昭和六十一年十二月に労働時間等の変更について、また、昭和六十二年四月に基本給、住宅手当、家族手当等の変更について、いずれも事業場の過半数で組織する労働組合の意見を記した書面を添付の上、就業規則変更届を所轄労働基準監督署へ届け出ており、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)違反はない。

五について

1 労働委員会に対する不当労働行為救済申立てについては、昭和五十五年六月以降、分会等から香川地労委に対し、会社を被申立人として、不利益取扱い、団体交渉拒否又は支配介入の問題に関して、九件の不当労働行為救済申立てが行われたと聞いている。

このうち、

(一)昭和五十七年五月に申し立てられた事件については、昭和五十九年十二月に取り下げられ、

(二)昭和五十九年六月に申し立てられた事件については、同年八月に取り下げられ、

(三)昭和六十年四月に申し立てられた事件については、現在、香川地労委に係属中であり、

(四)昭和六十一年三月に申し立てられた事件については、現在、香川地労委に係属中であり、

(五)昭和六十一年四月に申し立てられた事件については、昭和六十二年三月に取り下げられ、

(六)昭和六十一年六月に申し立てられた三事件については、現在、いずれも香川地労委に係属中であり、

(七)昭和六十二年八月に申し立てられた事件については、現在、香川地労委に係属中であると聞いている。

2 裁判所に対する訴えの提起等については、昭和五十五年六月以降、分会から高松地方裁判所(以下「高松地裁」という。)に対し、会社を被告又は債務者として、団結権妨害の問題及び組合事務所の占有使用妨害、チェックオフの廃止等の問題に関して、二件の訴えの提起等が行われたと聞いている。

このうち、

(一)昭和六十年十一月に提起された訴えについては、昭和六十二年三月に取り下げられ、

(二)昭和六十年十二月に行われた仮処分申請については、その一部が昭和六十一年五月に取り下げられたが、その余については、現在、高松地裁に係属中である

と聞いている。

六について

御指摘のチェックオフに関する問題については、分会から香川地労委に対し、会社を被申立人として不当労働行為救済申立てが行われ、また、高松地裁に対し、会社を債務者としてチェックオフを廃止しないことを求める仮処分申請が行われ、現在、いずれも香川地労委及び高松地裁に係属中であり、政府としてとかくの見解を述べることは差し控えたい。

七について

会社においては、始業時刻までに事業場に入場しておれば遅刻として取り扱つておらず、その後、作業服、安全靴等の着装を認めているところであり、また、始業時刻の約五分前から職場体操の放送を流しているが、労働者は、これに自主的に参加しているものであつて、この職場体操の時間は労働時間とは考えられず、労働基準法違反は認められない。

八について

河面良治氏は、多年にわたり、社団法人日本中型造船工業会副会長等として造船事業の育成発展に寄与するとともに、中央職業安定審議会委員等を歴任したものであり、これらの功労の総合的評価により、昭和六十二年秋に勲四等瑞宝章を授与されたものである。

衆議院の原文

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