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「慰安婦」問題の教科書掲載に関する質問主意書
衆議院 第141回 第1号
質問本文
本年度より使用されている中学校社会科・歴史の教科書に、第二次世界大戦下における日本軍の「慰安婦」に関連する記述がある。これらの記述と義務教育諸学校教科用図書検定基準(平成元年四月四日・文部省告示第四十三号)との整合性につき、以下の事項について質問する。
一 「第二章 各教科共通の条件」について
1 「一 範囲及び程度」において、「(三)本文、問題、説明文、注、作品、挿絵、写真、図など教科用図書の内容(以下「図書の内容」という。)は、その学年の児童・生徒の心身の発達段階に適応しており、その能力からみて程度が高過ぎるところ又は低過ぎるところはないこと。」とされている。
多くはまだ性体験そのものがないはずの中学生に対し、軍の慰安婦という極めて難しい「性」の問題をあえて教科書で取り上げ、学校教育の場で教師が教えることは、右の基準に照らして不適と考えるが、政府の見解を問う。
2 「二 選択・扱い及び組織・分量」において、「(四)図書の内容に、特定の事柄を特別に強調し過ぎていたり、一面的な見解を十分な配慮なく取り上げていたりするところはないこと。」とされてい
る。
戦地のみならず、内地においても売春が国家公認の制度として存在していたこと、また、日本だけでなく他国の軍隊も同様の事実があったということを捨象し、戦前の日本の軍隊の慰安施設だけをことさらに取り立て、現在の価値基準で一方的に批判することは、右の基準に照らして不適と考えるが、政府の見解を問う。
3 「三 正確性及び表記・表現」において、「(一)図書の内容に、誤りや不正確なところ、相互に矛盾しているところはないこと。」、「(二)図書の内容に、児童・生徒がその意味を理解するのに困難であったり、誤解したりするおそれのある表現はないこと。」とされている。
東京書籍、大阪書籍、教育出版、帝国書院の各教科書が使用している「従軍慰安婦」という表記は、軍属の身分を指し示す「従軍〇〇」という表現を、戦後になって当時の「慰安婦」に付加した通俗的な用語である。よって、各社の記述はかつて存在しなかった戦後の通俗的用語を歴史用語として使用している点で「誤り」であり、また、慰安婦の身分について「誤解したりするおそれのある表現」となっている点で不適と考える。
また、日本書籍の「女性を慰安婦として従軍させ」(二六四ページ)という記述は「不正確」であり、慰安婦の身分について、やはり「誤解したりするおそれのある表現」となっている点で不適と考えるが、政府の見解を問う。
二 「第三章 各教科固有の条件〔社会科(「地図」を除く。)〕」について
「二 選択・扱い及び組織・分量」において、「(四)未確定な時事的事象について断定的に記述しているところはないこと。」とされている。
日本書籍 「慰安婦として従軍させ」(二六四ページ)
東京書籍 「従軍慰安婦として強制的に戦場に送りだされた若い女性も多数いた」(二六三ページ)
大阪書籍 「朝鮮などの若い女性たちを慰安婦として戦場に連行しています」(二六〇〜二六一ページ)
教育出版 「多くの朝鮮人女性なども、従軍慰安婦として戦地に送り出された」(二六一ページ)
清水書院 「朝鮮や台湾などの女性のなかには戦地の慰安施設で働かされた者もあった」(二五九ページ)
日本文教出版 「慰安婦として戦場の軍に随行させられた女性もいた」(二五二ページ)
右各社の記述(傍線部)は「未確定な時事的事象について断定的に記述」したものとして明らかに不適と考えるが、政府の見解を問う。
右質問する。
政府答弁書
一の1について
中学校社会科(歴史的分野)の教科書における「慰安婦」に関する記述は、先の大戦において当時のアジア諸国の人々が受けた様々な犠牲や苦痛についての記述の中などで取り上げられている。
中学校学習指導要領(平成元年文部省告示第二十五号)においては、第二次世界大戦と日本について、昭和初期から第二次世界大戦の終結までの世界の動きと我が国の政治・外交の動き、中国などアジア諸国との関係を扱い、経済の混乱と社会問題の発生や軍部の台頭から戦争に至る経過を理解させるとともに、戦時下の国民の生活に着目させることとしているが、どのような歴史的事象を教科書に取り上げるかは、基本的にその著作者又は発行者の判断にゆだねられている。歴史教科書の検定は、著作者又は発行者によって文部大臣に検定申請された図書について、義務教育諸学校教科用図書検定基準(平成元年文部省告示第四十三号)の定めるところを検定の基準として、教科用図書検定調査審議会(以下「検定審議会」という。)において検定の時点における客観的な学問的成果や適切な資料等に照らして審議された結果に基づいて行われるものである。
「慰安婦」に関する記述については、検定審議会において審議が行われ、その結果、この問題については社会的に広く取り上げられており、また、中学生の心身の発達段階にかんがみれば、中学生が先の大戦の悲惨な状況を学習する際の歴史的事象の一つとして理解することは可能であると判断されたところである。検定は、このような審議結果に基づいて適切に行われたものと考えている。
一の2及び二について
「慰安婦」に関する記述は、先の大戦において当時のアジア諸国の人々が受けた様々な犠牲や苦痛についての記述の中などで取り上げられているものである。この記述については、検定審議会において審議が行われ、その結果、平成五年八月の政府調査結果(「いわゆる従軍慰安婦問題について」)等種々の調査研究が発表されていること、この問題が社会的に広く取り上げられていること等を総合的に勘案し、その記述が認められたところである。検定は、このような審議結果に基づいて適切に行われたものと考えている。
一の3について
「従軍慰安婦」という用語については、辞書等にも収録されるなど、広く社会一般に用いられているこ
とから、教科書においてもこの用語を許容しているところであり、検定は適切に行われたものと考えている。
なお、辞書等によれば、「従軍」とは、軍隊に従って戦地に行くことを言い、軍人、兵士等軍に所属する人が軍隊と共に戦いに行くことという意味のほかに、兵士でない者が軍隊について戦地に行くことという意味があるとされているところである。
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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。