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歴史教科書とその検定に関する質問主意書

参議院 第170回 第116号

提出者
参議院
提出日
2008年12月4日
内閣転送 2008年12月8日
答弁書受領日
2008年12月12日
提出から8日
答弁の項目数
3
質問 1,190字/答弁 653字

質問本文

歴史教科書をめぐっては、一九八二年に教科書検定を発端として中国、韓国との外交問題に発展した。この問題は「『歴史教科書』に関する宮沢内閣官房長官談話」によって解決が図られ、その後の教科書検定においては近隣諸国条項が定められ、歴史教科書に一定の方向性が定められた。

しかし、一六八国会の文教科学委員会質問でも指摘したとおり、昨今の教科書検定においては、歴史に関する記述のブレには著しいものがある。

よって、以下質問する。

一 義務教育諸学校教科用図書検定基準および高等学校教科用図書検定基準には、いわゆる近隣諸国条項があり、近現代史に関しては国際理解と国際協調の見地から配慮を行うように定めている。この条項を含む現行の基準はいずれも一九九九年に定められたものであるが、現政権はこの条項をどのように認識しているのか。またこの条項は堅持していくものと考えるが、いかがか。

二 二〇〇七年三月、二〇〇八年度から使用する高等学校教科用図書について、沖縄戦における集団自決での日本軍の強制・誘導・関与に関する記述の削除を要求する検定意見が公表されたが、この意見は近隣諸国条項の趣旨に反する内容であり、事実、中国・韓国も抗議を行っている。この検定作業と同じ時期に、大阪地裁でいわゆる沖縄ノート裁判が行われているが、この裁判における原告の提訴動機は「本件各書籍や高等学校の歴史教科書(平成一七年度検定)等の公の書物に、集団自決が日本軍の命令により強制されたかのごとく記載されているのを放置できないという点などにあるとされ、集団自決の歴史を正しく伝えていくことが本件訴訟の目的である」(控訴審判決文より)とされる。この裁判と教科用図書検定作業の時期は符合しており、また裁判での原告の要求に合わせるようなかたちで、それまでは出されなかった沖縄戦に関する検定意見が出された。このことに教科書検定に対する重大な疑義を感じざるを得ない。裁判が始まったというだけで検定のモノサシを変えたことは時期尚早ではないか。また高裁までの判決における被告無罪という結論をふまえて、政府は現在どう判断しているのか。

三 国連人権委員会は、本年一〇月、自由権規約に関する最終の対日審査報告書を公表しているが、その二二項では従軍慰安婦の問題を挙げている。その中には、「『慰安婦』問題への言及を含む歴史教科書がほとんどないこと」への懸念と、「この問題に関して生徒と一般の公衆に対して教育しなければならない」という勧告が含まれている。この勧告に従うなら、今後の歴史教育のあり方、教科書検定のあり方を見直す必要があることになる。しかし、二〇〇六年から使用されている中学校用教科書には慰安婦について記述したものが一冊もないなど、慰安婦の問題を扱う教科書は減少している。この減少に対する見解と、今後の政府の対応について問う。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

義務教育諸学校教科用図書検定基準(平成十一年文部省告示第十五号)及び高等学校教科用図書検定基準(平成十一年文部省告示第九十六号)には、「近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がなされていること」とされており、文部科学省としては、今後とも、これらの教科用図書検定基準等に従って、教科用図書検定調査審議会の調査審議に基づき、適切に教科用図書の検定が行われるべきものと考える。

二について

御指摘の検定意見は、沖縄における集団自決について、最近の著書等で軍の命令の有無が明確ではないという内容の記述があること等を総合的に勘案して、教科用図書検定調査審議会の調査審議に基づき付されたものであり、御指摘の訴訟が提起されていることを直接の根拠とするものではない。

なお、御指摘の判決は、私人間の係属中の訴訟に係るものであることから、文部科学省として当該判決の内容について見解を述べることは差し控えたい。

三について

我が国の教科用図書検定制度は、申請された図書について、教科用図書検定調査審議会の審議に基づき、文部科学大臣が教科用図書として適切かどうかを決定するものとなっており、教科用図書検定基準等に沿ったものとなっている限り、教科用図書で具体的にどのような事象を取り上げ、それをどのように記述するかは、当該図書の著作者等の判断にゆだねられている。いずれにせよ、慰安婦の問題についての政府の基本的立場は、平成五年八月四日の内閣官房長官談話のとおりである。

参議院の原文

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