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沖縄戦での「日本軍による住民の集団強制自決」の記述の回復と教科書検定意見の撤回に関する質問主意書

衆議院 第192回 第194号趣旨が明らかではない ×3個別の事案 ×1

提出者
無所属
提出日
2016年12月7日
内閣転送 2016年12月12日
答弁書受領日
2016年12月16日
提出から9日
答弁の項目数
6
質問 2,176字/答弁 1,972字

質問本文

沖縄戦での「日本軍による住民の集団強制自決」の記述の回復と教科書検定意見の撤回に関しては、平成二十七年六月十日付質問主意書第二六二号で質問を行い、六月十九日付で答弁を得たところである。

その際行った質問で、検定意見の撤回と記述の回復を行うべきではないかと質したところ、教科用図書検定調査審議会の審議に基づき付されたものであること、訴訟が提起されていることを直接の根拠とするものではないこと、記述をどのようにするかは申請図書の発行者の判断に委ねられていること、制度の見直しは考えていないこと等の理由から、検定意見の撤回や記述の回復は困難であると一蹴した答弁を行っている。

しかし、本職が平成二十八年四月十四日付質問主意書第二四七号で行った「沖縄の経済や沖縄振興予算、米軍基地等に関する公民教科書の誤記載の是正に関する質問主意書」に基づき、記述の訂正を質した結果、極めて不十分ではあるが、記述が一部訂正されるという結果に結びついた。

また、本職を始め「九.二九県民大会決議を実現させる会」の九年余の地道な活動の結果、去る十月三日に高校歴史教科書で「沖縄戦の集団自決」に関する記述についても、僅かではあるが一部訂正されており、沖縄戦の実相を子供たちに正しく伝えるという取り組みが、地道ではあるが、着実に実を結んでいるところである。

これらを踏まえて以下お尋ねする。

一 二〇一七年度から使用される山川出版社の高校歴史教科「詳説日本史B」の記述を訂正した理由と目的は何か、政府の見解を答えられたい。

二 山川出版社が訂正申請に及んだのは、文部科学省又は教科用図書検定調査審議会の指摘乃至指導、或いは文部科学省が独自に定める教科書検定に関する記述等いずれに基づくものか、政府の見解を答えられたい。

三 申請図書の発行者が記述の訂正を申し出た場合に、文部科学省又は教科用図書検定調査審議会が適当と認めて承認する理由について政府の承知するところを明らかにした上で、今回の山川出版社の訂正理由と目的に対する政府の見解を答えられたい。

四 大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判において、事実関係の争点であった原告及び被告のそれぞれの主張、最高裁判所の判断、とりわけ「渡嘉敷島の集団自決と赤松の関与」について政府の承知するところをそれぞれ明らかにした上で、確定した最高裁判所の判例に対する政府の見解を答えられたい。

五 文部科学省は、教科書の記述を検定・承認する際の各教科固有の条件として、平成二十一年三月四日付文部科学省告示第三十三号においては「義務教育諸学校教科用図書検定基準」の中で「社会科(「地図」を除く。)二(四)」として、また平成二十一年九月九日付文部科学省告示第百六十六号においては「高等学校教科用図書検定基準」の中でも「地理歴史科(「地図」を除く。)」では「一(三)」により、「公民科」では「一(五)」により、それぞれ「閣議決定その他の方法により示された政府の統一的な見解又は最高裁判所の判例が存在する場合には、それらに基づいた記述がされていること。」と基準を定めているところであるが、この基準を新たに定めて公表した背景と理由、目的をそれぞれ明らかにされたい。

六 質問四及び五に関連して、見直されて告示された「義務教育諸学校教科用図書検定基準」及び「高等学校教科用図書検定基準」は、その附則によれば、いずれも「平成二十八年度以降の使用に係る教科用図書の検定から適用する」ことになっているが、今回の山川出版社の高校歴史教科「詳説日本史B」の訂正と承認を含めて、これまで同検定基準を適用した事例について政府の承知するところを明らかにされたい。

七 質問四から六までに関連して、大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判の最高裁判所の判決が下されたのは平成二十三年四月二十一日であり、文部科学省の「義務教育諸学校教科用図書検定基準」及び「高等学校教科用図書検定基準」が見直されて告示されたのは平成二十一年の三月乃至九月である。この日時は原告側が第二審の判決を不服として最高裁判所に上告していた時である。また、沖縄戦での「日本軍による住民の集団強制自決」の記述の回復と教科書検定意見の撤回を求めるため、沖縄県民十一万六千人余が結集した県民大会が開催され、政府に大会決議の実現を要望したのは平成十九年九月二十九日であるが、この時に政府は「地方裁判所での裁判中であるからコメントできない」とした。その後、本職が平成二十七年六月十日付質問主意書第二六二号で質問したところ「検定意見は裁判とは関係ない」とするなど、二転三転の異なる対応となっている。これらを踏まえると、政府は当初裁判で勝訴することを前提として、その判例を基に「教科用図書の検定基準」とすることを目論んだのではないかと思われるが、政府の見解を答えられたい。

八 質問七に関連して、政府が「教科用図書の検定基準」の中で「最高裁判所の判例が存在する場合には、それらに基づいた記述がされていること」が明確に位置付けられているのであるから、沖縄県民が望んでいる「沖縄戦での「日本軍による住民の集団強制自決」の記述の回復と教科書検定意見の撤回」を直ちに全教科書において行うべきではないか、政府の認識と見解を答えられたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一から三までについて

教科書において、学習指導要領を踏まえどのように記述するかについては、欠陥のない範囲において申請図書の発行者等の判断に委ねられているところであり、個々の記述の理由や意図についてお答えする立場にないが、文部科学省としては、高等学校教科用図書について、高等学校教科用図書検定基準(平成二十一年文部科学省告示第百六十六号)に掲げる各項目に照らして適切であるかどうかを審査した上で、検定の決定及び訂正の承認を行っているところである。

その上で、御指摘の記述の訂正の承認を含め、沖縄の集団自決に関する記述の検定の決定及び訂正の承認については、先の答弁書(平成二十七年六月十九日内閣衆質一八九第二六二号。以下「先の答弁書」という。)五及び六についてで述べた、「平成十八年度検定決定高等学校日本史教科書の訂正申請に関する意見に係る調査審議について(報告)」(平成十九年十二月二十五日教科用図書検定調査審議会第二部会日本史小委員会)において示された「基本的とらえ方」をも踏まえて行っているところである。

四について

お尋ねは、私人間の個別具体的な事件における裁判所の判断に関するものであり、お答えを差し控えたい。

五について

文部科学省においては、平成十八年に改正された教育基本法(平成十八年法律第百二十号)にのっとってバランス良く記載され、採択権者が責任を持って選んだ教科書で子供たちが学ぶことができるよう、教科書の編集・検定・採択の各段階において、必要な制度改善を行うことを目指し、平成二十五年十一月十五日に、今後の教科書改革に向けた総合的な政策パッケージとして「教科書改革実行プラン」を発表したところであり、その一環として、平成二十六年一月十七日に、児童生徒の多面的・多角的な考察に資するよう、御指摘の義務教育諸学校教科用図書検定基準(平成二十一年文部科学省告示第三十三号)及び高等学校教科用図書検定基準(以下これらを合わせて「教科用図書検定基準」という。)について、それぞれ「閣議決定その他の方法により示された政府の統一的な見解又は最高裁判所の判例が存在する場合には、それらに基づいた記述がされていること」との規定(以下「当該規定」という。)を加える改正を行ったところである。

六について

お尋ねの「同検定基準を適用した事例」の意味するところが必ずしも明らかではないが、当該規定に基づき検定意見を付した事例としては、例えば、平成二十六年度における中学校の社会科の申請図書に係る検定において「指摘事項」が「「東京裁判」(全体)」、「指摘事由」が「政府の統一的な見解に基づいた記述がされていない」である検定意見を付した事例や、平成二十七年度における高等学校の地理歴史科の申請図書に係る検定において「指摘事項」が「「戦後補償を考える」(全体)」、「指摘事由」が「政府の統一的な見解に基づいた記述がされていない」である検定意見を付した事例がある。

七について

御指摘の「文部科学省の「義務教育諸学校教科用図書検定基準」及び「高等学校教科用図書検定基準」が見直されて告示されたのは平成二十一年の三月乃至九月である。この日時は原告側が第二審の判決を不服として最高裁判所に上告していた時である」の意味するところが必ずしも明らかではないが、教科用図書検定基準について当該規定を加える改正を行ったのは平成二十六年一月であり、御指摘の「大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判」の最高裁判所の裁判があった平成二十三年四月より後である。その上で、お尋ねの「政府は当初裁判で勝訴することを前提として、その判例を基に「教科用図書の検定基準」とすることを目論んだのではないか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、当該改正を行ったのは「平成二十一年の三月乃至九月」ではなく、当該改正は「当初裁判で勝訴することを前提」としたものではないことから、「その判例を基に「教科用図書の検定基準」とすることを目論んだのではないか」との御指摘は当たらない。

八について

一から三までについてでお答えしたとおり、教科書において、どのように記述するかについては、欠陥のない範囲において申請図書の発行者等の判断に委ねられている。また、先の答弁書五及び六についてでお答えしたとおり、御指摘の検定意見は、その当時の教科用図書検定調査審議会の専門的な審議の結果によるものであり、当該検定意見を撤回することは考えていない。

なお、先の答弁書四についてでお答えしたとおり、当該検定意見は、沖縄における集団自決について、集団自決された沖縄の住民の全てに対して、自決の軍命令が下されたか否かを断定できない中で、全ての集団自決が軍の命令で行われたと誤解されるおそれがあるとの趣旨で付されたものである。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

趣旨が明らかではない ×3個別の事案 ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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