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い草産地救済に関する質問主意書
衆議院 第144回 第2号お答えすることは困難 ×1
質問本文
熊本県のい草生産量は全国の約九割を占め、各農家で生産される畳表が日本の気候風土にあった畳文化を支えてきた。
しかし、今、この日本のい草生産が重大な事態に直面し、このままではい草産地の存続さえ危ぶまれる状況となっている。
現在、い草・い製品(畳表)の価格は、一九九七年以来急速に下落し続け、九七年四月同月と比較して約半値となり、九八年一〇月末現在の年間平均値は、大暴落した昨年同期の年間平均をさらに割り込んでいる。この価格の大幅な下落で、い草栽培農家の収入は大きく落ち込み、生産経費も出ず、負債の返済見通しもたたない中で一家の中心的な働き手が自らの命を絶つという痛ましい事態が続いている。
このい草価格の暴落の原因は、消費税引き上げ等による不況の悪化で建築需要としての畳表の需要が低迷している中で、一九九七年度には、国内需要の約四割にも相当し、八九年度の二・七倍にも及ぶ三万五七〇二トンもの中国産い草・い製品の大量輸入にある。
これに対して、熊本県下の地方議会では、八代市を始め、坂本村、千丁町、鏡町、竜北町、宮原町の各議会で「八代の農業を守るために、中国産い草をはじめ農産物の輸入を制限するための『セーフガード』を発動すること」を求める意見書を全会一致で決議し、国に対してセーフガードの発動を求めてきた。しかし、国は、セーフガードの発動を頑なに拒み、その結果、い草・い製品の価格は低迷したまま、い草産地の窮状は、さらに深刻化している。このままでは日本の伝統である畳文化が守れなくなる。
今、産地では、年末を控え、年越しの緊急融資を求める声が出されるなど、国による産地救済の対策は、緊急を要すると考える。
従って、次の事項について質問する。
一 政府は、現在のい草産地の厳しい実情をどのように認識しているか。
二 日本共産党国会議員団との交渉の際に、中川昭一農林水産大臣は、「い草、畳は、日本の文化そのものであり、熊本が支えている。日本の畳文化を守りたい」と明言したが、政府としても同様の認識か。
三 現行農業基本法では、十三条において、「農産物の輸入によつてこれと競争関係にある農産物の価格が著しく低落し又は低落するおそれがあり、その結果、その生産に重大な支障を与え又は与えるおそれがある場合において、その農産物につき、第十一条第一項の施策をもつてしてもその事態を克服することが困難であると認められるとき又は緊急に必要があるときは、関税率の調整、輸入の制限その他必要な施策を講ずるものとする。」と規定しているが、現在のい草輸入とい草の国内生産との関係は、「農産物の輸入によつてこれと競争関係にある農産物の価格が著しく低落し又は低落するおそれがあり、その結果、その生産に重大な支障を与え又は与えるおそれがある場合」に該当するのではないか。政府の見解を根拠を含めて明らかにすること。
また、現在の国産い草の現状は、「その農産物につき、第十一条第一項の施策をもつてしてもその事態を克服することが困難である」「緊急に必要がある」という十三条の規定に合致するのではないか。政府の見解を根拠を含めて明らかにすること。
四 現行農業基本法十三条の「関税率の調整、輸入の制限その他必要な施策を講ずるものとする。」の規定には、セーフガードの発動も含まれると思うが、政府の見解を明らかにされたい。
五 い草産地では、年越しの生活資金や負債返済資金がどうしても必要という切実な要望がある。政府として、生活費などにも使える条件なしの新たな緊急融資三年据え置き)を実施する考えはないか。また、年越しのための産地の切実な要望にどのように対応しようとしているのか。政府の見解を明らかにすること。
六 九八年度農業生産体制強化総合推進対策事業の未執行額三四億円余があるが、産地の市町村では水害被災地に畳表を送る事業や畳表の張り替え助成、また価格保障対策事業など様々な取り組みが計画されまた実施されている中で、政府として未執行額を利用して産地支援をするべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
七 公共施設への国産い草の優先的使用を促進するよう政府として検討を進めるべきだと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
八 い草製品の原産国表示の実施に向けての検討をするべきだと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
い草を原料とする畳表については、近年、住宅における和室の減少等により需要が減少傾向で推移する中で、平成九年六月以降、新規住宅着工戸数の大幅な減少等により需要が大きく減少し、これに伴いその価格が低落しており、原料であるい草の生産を取り巻く情勢は厳しいと認識している。
二について
畳表の原料であるい草は、大部分が熊本県で生産されており、畳は我が国の住宅等において広く用いられているとともに、茶道や華道の場においても広く活用されていると認識している。
三について
熊本県における畳表の価格は、平成九年六月から前年価格を下回る状況となったが、い草及びい製品の輸入量は、平成六年に三万九千四百六十七トン、平成七年に三万九千八百三十五トン、平成八年には三万九千九百三十ニトンとほぼ横ばいに推移した後、平成九年には三万五千七百ニトンと減少しており、輸入の増加が今回の急激な価格の低落の原因との御指摘は当たらないと考える。むしろ同時期に畳表の需要に大きな影響を及ぼす新規住宅着工戸数が大幅に減少していること等から、現在の畳表の価格の低落は、主としてこれらによる需要の減少に起因すると考える。
したがって、現在のい草輸入とい草の国内生産との関係は、農業基本法(昭和三十六年法律第百二十七号)第十三条に規定する「農産物の輸入によつてこれと競争関係にある農産物の価格が著しく低落し又は低落するおそれがあり、その結果、その生産に重大な支障を与え又は与えるおそれがある場合」には該当しないと考える。
四について
農業基本法第十三条の規定にいう「関税率の調整、輸入の制限」にはセーフガード措置の発動も含むものと解される。なお、実際のセーフガード措置の発動については、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(平成六年条約第十五号)附属書一Aの千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定(以下「関税及び貿易に関する一般協定」という。)第十九条の規定及びセーフガードに関する協定に則して、関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)又は「外国為替及び外国貿易法」(昭和二十四年法律第二百二十八号)に基づいてなされるものである。
五について
い草産地において経営難に陥った個別農家に対する支援として、営農負債借換えのための農家負担軽減支援特別資金等が既に措置されており、また、既貸付けの農林漁業金融公庫資金における償還条件の変更等の手続が円滑に進むよう、本年七月に農林水産省から農林漁業金融公庫に対する依頼を行うとともに、主産地の熊本県において、農林漁業金融公庫資金等の制度資金の償還条件の変更等が困難な農家に対する新たな借換資金の貸付けや農家の経営相談が行われているところであることから、御指摘の緊急融資等の措置を講ずることは考えていない。
六について
平成十年度の農業生産体制強化総合推進対策事業については、い草産地への支援も含めて、本事業の趣旨、他の地域等で予定されている事業との関係、事業の執行状況等を踏まえて実施しているところである。
七について
公共施設への国産い草の優先的使用の促進については、関税及び貿易に関する一般協定第三条等により、国内産品を輸入産品に比べて有利に扱うことは許されないことから困難であるが、今後とも、その需要の拡大のため、品質向上、低コスト化への取組や国産畳表についての普及啓発を支援してまいりたい。
八について
商品の表示は、本来、事業者の責任において適正になされるべきものであると考えているが、農林水産省としては、い製品の国産表示の推進がい草産地の振興を図るために必要との観点から、生産者団体が自主的に取り組んでいる畳表の国産表示について支援しているところである。
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