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沖縄県における旧日本軍による強制接収用地に関する質問主意書
衆議院 第145回 第46号お答えすることは困難 ×1
質問本文
旧日本軍が太平洋戦争遂行のため沖縄県民の土地を強制接収した、現嘉手納飛行場の一部(面積十四万五千坪)と、読谷補助飛行場(面積八十万六千坪)に関する件について質問する。
まず、嘉手納飛行場の一部と、読谷補助飛行場の強制接収の概要は、太平洋戦争が敗色濃厚となった頃、沖縄派遣第三二軍により沖縄防衛戦略上、航空戦力強化のためと称し、沖縄本島の北谷村(嘉手納含む)、読谷村、浦添村(市)、西原村(町)等で強制接収され、飛行場建設が同時並行的に突貫工事で強行された。
「嘉手納、読谷」以外の強制接収された飛行場は、米軍政下時代に旧地主の要求、要望に添ってすでに返還済みである。
ところが、旧日本軍に最も強権的に先祖代々の大事な土地を有無を言わさない形で接収され、敗戦で米軍に占領され、復帰後もその形態に何ら変更なしに今日まで約六十年近く軍事基地として継続使用されてきているのが、「嘉手納および読谷補助飛行場」である。
強制接収された両飛行場の所有権確認についての解決手段、方法は、違った経緯をたどってきているが、旧日本軍に強制接収された事実は同根である。
確かに、嘉手納飛行場の一部については、所有権をめぐっては司法上も決着がついたかのようになっているが、旧地主の方々が民法上の売買契約はなされなかった、地代は受領しなかったと主張している以上、民事上の争点の余地はあると推定できるし、何よりも、戦争遂行目的で強制的に国民の土地を接収した国家(政府)の政治的、道義的責任を免れるものではない。
そこで、次の事項について政府の回答を求める。
一 政府が、両飛行場を旧地主の要求どおりの処理をせず、国有地として扱っている理由に、両土地とも当時「法律上の手続きを経て接収した」ものだとの見解に立っている。国が、もし法的瑕疵がなかったというのであれば、それを裏付けるすべての証拠資料を改めて明らかにすべきである。
大蔵省が昭和五三年四月一七日に明らかにした調査報告書では、納得がいかない。
二 旧日本軍によって、土地を強制接収された旧地主の、�@氏名、性別及び生年月日、�A本籍及び現住所、�B地目及び地番、�C筆数及び面積、�D接収の時期、�E接収目的及びその方法、�F特に売買契約の有無、�G土地代、補償金等の支払の有無、�H支払方法及びその手続きの内容、�I土地を接収した担当部隊、その責任者の階級及び氏名等を明確にすること。
三 政府は、正当な対価を旧地主に支払ったと主張してきたが故に、接収後五六年乃至五七年余が経過しているので「二」の証拠提示は困難だと強弁するだろうが、旧地主の方々は、政府がこれまでに提示した資料や説明に全く納得せず、「怨念の土地」だとして、いまなお、原則旧地主への返還を強く求め続けている。この地主の心情を政府はどう考えるか。
四 読谷補助飛行場の場合は、司法上の対抗措置を採らずに返還、もしくは返還予定地となっていることから、読谷村が策定した「返還跡地転用計画」に基づく戦後処理として、その解決策を求めてきている。しかし、いまだに具体的な解決の方策は提示されておらず、黙認耕作地の扱いを含め政府はこの点どう考えるか。
五 沖縄本島の土地問題解決の困難さ、複雑さは、沖縄戦において土地に関する諸帳簿類がすべて焼失してしまったこと、また敗戦後も米軍占領下での混乱した社会状況下で充分な所有権認定のための調査がなされずに、これらの土地は米軍管理下におかれ、復帰に際しても、形式的な手続きで国有地に認定されたものに外ならない。政府は、是非再検討頂きたい。沖縄戦末期の国民総動員体制下で、旧日本軍部に絶対服従以外に選択の余地のなかった「嘉手納、読谷」両飛行場の旧地主の方々が、どんな想いで肥沃な農地を旧日本軍に接収されたかを。
祖国の勝利と戦争に勝てば土地は返還されると信じて、旧日本軍に最も忠実、献身的に国家のためという熱い想いで、土地を手放さざるを得なかった旧地主の方々の当時の心境を理解してもらえる政治家、行政マンがいないことを情けなく思う。
これら、旧日本軍に土地を強制収用された地主は、戦時中、そして戦後の米軍占領時から今日まで、「日米両国」から土地代もなく、塗炭の苦しみと幾多の犠牲に堪えながら他界した地主も多く、高齢になった旧地主の方々は、この「怨念の土地」問題の一日も早い解決を望んでいるのである。こんな無慈悲な仕打ちは絶対に容認できない。
嘉手納旧飛行場権利獲得期成会並びに嘉手納町当局(町長)からの重ねての要請によると、一連の訴訟を通じて明らかになった事実もあり、この土地が国有地になったことに異論があると強く訴えている。
政府は即刻、沖縄戦前後に係わる諸資料の再調査、蒐集、整理に着手し、その中で「嘉手納、読谷」両飛行場の未解決の土地問題を戦後処理の最重要課題の一つとして、旧地主の方々や、関係団体等が納得できる解決策のため、政治的大英断をなすべきである。戦後の混乱期における「聞き取り、類推等」による一方的調査結果のみで処理すべき案件では断じてありえない。
二十世紀に起きた沖縄の戦後処理を二十一世紀まで、決して持ち越すべきでない。それこそが、日本政府がいまなおなすべき沖縄に対する道義的、政治的責務だと考える。この点についても、政府の見解を問う。
右質問する。
政府答弁書
一について
昭和五十三年四月十七日、衆議院予算委員会において大蔵省が提出した「沖縄における旧軍買収地について」(以下「大蔵省報告書」という。)で記述されているとおり、直接の戦闘が行われた沖縄本島の旧軍買収地については、戦時中旧軍が買収したことを証する直接的な資料は発見されていないが、旧陸海軍の軍用地買収手続あるいは代金の支払方法等に関する資料は発見されていること、旧軍が買収したという旧軍関係者、旧官公署関係者及び旧地主等の陳述があること、旧国家総動員法に基づき強制収用されたとする証拠は全く見当たらないこと等から、私法上の売買契約により正当な手続を経て国有財産になったものと判断されているところである。
また、嘉手納飛行場における旧軍買収地に関しては、平成七年四月二十五日の最高裁判所の判決により、国有財産であることが認められた。
なお、大蔵省報告書に係る御指摘の証拠資料については、昭和五十三年六月十六日に提出しているところである。
二について
一についてで述べたとおり、直接の戦闘が行われた沖縄本島の旧軍買収地については、買収したことを証する直接的な資料が発見されていないことから、御指摘の「�@氏名、性別及び生年月日、�A本籍及び現住所、�B地目及び地番、�C筆数及び面積」については、これを明確にすることは困難であるが、「�F特に売買契約の有無、�G土地代、補償金等の支払の有無」については、一についてで述べた理由から、私法上の売買契約に基づいて土地代金が支払われたものと判断されているところである。
また、「�D接収の時期、�E接収目的及びその方法」及び「�I土地を接収した担当部隊、その責任者の階級及び氏名等」については、旧軍買収地が旧国家総動員法に基づき強制収用されたとする証拠は全く見当たらない。
なお、「�H支払方法及びその手続きの内容」については、大蔵省報告書で記述されているとおり、旧海軍は旧沖縄県の吏員に出納官吏を兼務させた上で当該吏員から、旧陸軍はその担当官から、代金を受領代理人の市町村長に支払い、市町村の吏員が各人ごとに支払を行ったものである。
三について
一についてで述べたとおり、沖縄本島の旧軍買収地は、私法上の売買契約により正当な手続を経て国有財産になったものと判断されていることから、旧地主の方々にこの点についての御理解を頂きたいと考えている。
四について
旧読谷飛行場内の国有地は、沖縄の振興開発にとって貴重な財産であると考えられるので、その活用に当たっては、地元の土地利用計画を尊重しつつ、沖縄振興開発特別措置法(昭和四十六年法律第百三十一号)及び沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律(平成七年法律第百二号)の趣旨を踏まえて対処してまいりたい。
五について
大蔵省報告書で記述されているとおり、沖縄本島の土地所有権認定作業は、米国軍政府及び民政府の布告、指令に基づき、各市町村ごとに組織された土地所有権委員会によって進められ、その結果、所有権者が明らかになった土地については、各市町村長から当該土地所有権者に対し、土地所有権証明書が交付されている。国有地については、米国民政府琉球財産管理官が管理することとなっていたので、国有地に係る土地所有権証明書は、各市町村長から同管理官に交付されたものである。この土地所有権認定作業を通じて所有権に争いがある場合には、調停制度や巡回裁判制度により所有権を確定することとされ、その旨あらかじめ周知されていた。
米国軍政府及び民政府の施政下とはいえ、このような手続の下で行われた土地所有権認定作業は、十分信頼できると考える。
いずれにせよ、沖縄本島の旧軍買収地については、可能な限りの調査を実施した結果に基づき、私法上の売買契約により正当な手続を経て国有財産になったものと判断されていることを御理解頂きたい。
なお、政府としては、今後とも、沖縄の振興開発に努める所存であり、沖縄振興開発特別措置法及び沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律の趣旨を踏まえて適切に対処してまいりたい。
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