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諫早湾水門閉め切りによる沿岸漁業への被害対策に関する質問主意書

衆議院 第150回 第13号検討してまいりたい ×1

提出者
日本共産党
提出日
2000年10月13日
内閣転送 2000年10月16日
答弁書受領日
2000年11月14日
提出から32日
答弁の項目数
6
質問 1,332字/答弁 2,369字

質問本文

国民の大きな批判を無視して諫早湾の水門が閉め切られてから約三年半が経過した。当初、この事業は周辺の水域にはほとんど影響を与えないかのような説明が繰り返されてきたが、諫早湾が閉め切られて以降、明らかにその影響と見られる変化が特に有明海における漁業の水揚げ高に見られるようになっている。

そもそも有明海は、干満の差が六メートル以上もあり、独特の干潟や粘土質のために希少な底生動物をはじめ特徴ある魚介類を育んでおり、周辺漁民は潜水漁業や海苔養殖などで生計を立てている。しかるに、私が現地を調査したところ長崎県境にある佐賀県太良町大浦の漁業関係者は、「諫早湾が閉め切られてから、潮の流れが変わった」「調整池に貯められている海水が河川から排出される汚水と混ざり、ヘドロのような泥水となって悪臭を放っていてこれが時折水門から放出されるため、魚介類が育ちにくくなっている」「諫早湾が閉め切られる前には、産卵のために数多くの魚が集まってきていたが、今では魚が寄りつかなくなった」「タイラギ(貝柱を食用とする貝)がようやく育ち始めたかと思っていると、海底でヘドロが貝を覆ってしまい、酸欠状態となるため育たない」「四代続けて潜水漁業をやってきたが、これでは後継者がいなくなってしまう」等と切実な声をあげ、水門の開放をつよく要望していた。

現に同漁港の水揚げ高をみると、クルマエビは一九九〇年の四一トンから九八年の三六トンに減少、竹崎カニの名で知られるガザミは九〇年の三二六トンから九八年の一八六トンに激減、アゲマキ貝は九〇年の五〇〇トンに対し九五年以降は〇トンと皆無の有様である。シタビラメやスズキ、コノシロなども同様に減少している。

これは、古くから「魚介類の宝庫」であった有明海の由々しき現況を示すものであり、見過ごしておける問題ではない。「宝の海」とよばれる有明海の漁業の今後の振興をはかっていくために政府の善処をつよく求めるものである。

そこで、次の事項について質問する。

一 有明海沿岸における漁業の現況、特にこの一〇年間の水揚げ高の変動及び諫早湾水門閉め切り後の状況の変化をどのように把握しているか。変化の原因をどう考えるか。

二 九州農政局が昨年度から行っている有明海域調査は、どのような調査を実施しているのか、結果から何がわかっているのか。具体的に示されたい。

三 有明海における海域調査の場所を増やし、引き続き状況の変化がわかるよう緻密な調査をするべきと考えるが、政府はどう考えるか。また、生態系の変化についても詳しく調査をするべきと考えるが、どうか。

四 有明海における各種魚介類の水揚げ高の急減に対し、水産庁は同海域における漁業振興のためにどのような施策をとるのか。

五 諫早湾干拓地造成事業の再評価の際、関係団体として有明海沿岸各県や漁業協同組合などの意見も聴取すべきと考えるが、どうか。

六 大浦、小長井、島原などの漁民は現在の段階で諫早湾の水門を開放すれば、およそ三年で有明海はもとのようによみがえると訴えている。有明海の漁業振興と環境保全、わが国の食料自給率の向上のためにも無謀な諫早湾干拓事業は中止し、水門を開放すべきと考えるが、どうか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

有明海における平成元年から平成十年までの十年間の主要魚介類の漁獲量の推移は、別表一のとおりであり、総じて平成九年四月の潮受堤防の締切りの前後でその漁獲量に著しい変化は見られない。

二について

農林水産省九州農政局においては、農地の排水対策の効果を左右する干潟について、その発達予測のための基礎データを入手するために、平成十一年度から二年間の予定で、有明海の流況、底質等の調査(以下「本調査」という。)を実施しているところである。

本調査の調査項目及び平成十一年度の調査結果の概要は別表二のとおりであるが、現在、九州農政局においては、引き続き平成十二年度の調査を実施中であり、その調査結果を待って、最終的な調査結果の取りまとめ及び分析を行っていくこととしている。

三について

本調査は、二についてで述べたとおり、干潟の発達予測のための基礎データを入手するためのものであり、その実施に当たっては、有明海の海象について専門的知見を必要とすることから、当該知見を有する学識経験者から成る助言者会議の助言を踏まえて調査地点及び調査項目を設定しており、現在、それらについて追加することは考えていない。

なお、平成十三年度以降の調査の実施については、本調査の最終的な取りまとめ及び分析を踏まえて検討してまいりたい。

四について

有明海における主要魚介類の漁獲量の推移は、一についてで述べたとおり、総じて著しい変化は見られない。

なお、有明海は全国有数の沿岸漁場であり、水産庁においてこれまでも沿岸漁場整備開発事業等により漁場の整備や養殖業の推進等に努めてきたところであり、引き続きこれらの施策を実施して漁業振興を図ってまいる考えである。

五について

お尋ねの「諫早湾干拓地造成事業」は、国営諫早湾土地改良事業(以下「本事業」という。)を指すものと考えられるが、本事業を含めた国営土地改良事業については、事業の効率的な執行及び透明性を確保する観点から、「国営土地改良事業等再評価実施要領」(平成十年三月二十七日付け農林水産省構造改善局長、畜産局長通知)に基づき、事業実施主体である国が定期的に再評価を行うこととしており、その際、関係団体の意見を聴取すべきこととしている。ここで、関係団体の範囲については、土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)において国営土地改良事業の土地改良事業計画の変更の際に農林水産大臣が直接的又は間接的に協議しなければならない相手方を勘案して運用することとしており、本事業について関係団体とは、同法に基づき本事業の事業計画の決定及び変更の際に協議を行った長崎県、諫早市、森山町、高来町、吾妻町及び愛野町であって、長崎県以外の有明海沿岸各県や漁業協同組合等は含まれておらず、これらの者から意見を聴取することは考えていない。

六について

本事業は、平坦な農地が乏しい長崎県において、かんがい用水が確保された優良農地の造成を行うとともに、高潮、洪水、常時の排水不良等に対する防災機能の強化を図るものであり、地元から事業の促進を強く求められていることから、本事業を中止し、水門を開放することは考えていない。今後とも漁場を含めた周辺環境にも十分配慮しつつ、本事業の着実な推進に努めることとしている。

別表一 有明海の漁獲量の推移

(単位トン)

\

スズキ

ガザミ類

クルマエビ

タコ類

アサリ類

サルボウ

タイラギ

平成元年

四五二

五三三

三〇〇

一、二一〇

八、九七四

一四、六一九

五、一七三

平成二年

三一二

六四四

二六三

九七五

五、一八九

一六、九三五

七、三四三

平成三年

二八二

六九三

四二七

九八四

四、〇八八

一六、一四六

五、六九九

平成四年

二六四

五八七

一九八

九五六

七、二五九

一二、五三七

四、二四九

平成五年

二二三

五二四

二一一

一、二四二

九、一一〇

一六、六八九

七二三

平成六年

一九七

四二三

三五七

八五〇

四、六三六

一七、二九九

一一〇

平成七年

二〇四

三三一

三八五

一、〇〇三

一一、一〇五

一五、四二四

八一四

平成八年

二三六

四〇九

三二一

一、〇三二

四、八一〇

一六、三二四

三、七八六

平成九年

一八四

四二四

二三四

九二二

二、八〇一

一四、一二三

三、四三二

平成十年

一六三

五五一

一八二

九七四

三、五六三

一〇、〇八七

一、一八一

別表二 平成十一年度の調査結果の概要

調査項目

調査地点数

調査結果

潮流の流向

九

干潮三時間後:北の方位が卓越

満潮三時間後:南の方位が卓越

潮流の流速

九

干潮三時間後:一秒当たり二四・六〜五三・〇センチメートル

満潮三時間後:一秒当たり三四・五〜六三・七センチメートル

水温

一一

摂氏六・八〜一二・七度

塩分

一一

二九・六〇〜三三・〇三パーミル

水質

化学的酸素要求量

一一

一リットル当たり一・三〜四・九ミリグラム

全窒素

一一

一リットル当たり〇・二二〜一・〇〇ミリグラム

全リン

一一

一リットル当たり〇・〇二〇〜〇・一四〇ミリグラム

底質

硫化物

二七

一グラム当たり〇・〇〇五未満〜〇・三三九ミリグラム

強熱減量

二七

二・五〜一二・八パーセント

全窒素

二七

一グラム当たり〇・二〇八〜二・四六ミリグラム

全リン

二七

一グラム当たり〇・二七二〜〇・九一四ミリグラム

底生生物

種数

二七

三〜一九種

個体数

二七

一平方メートル当たり五九〜六、一〇四個体

備考 一 潮流の流向及び潮流の流速は、平成十二年一月十六日から三十一日までの間に調査。

二 水温、塩分及び水質は、平成十二年一月二十二日に調査。

三 底質及び底生生物は、平成十一年十月二十三日から二十六日までの間に調査。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

検討してまいりたい ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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