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有明海の浄化と漁業環境の改善に関する質問主意書

衆議院 第169回 第184号お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×1

提出者
日本共産党
提出日
2008年3月17日
内閣転送 2008年3月19日
答弁書受領日
2008年3月25日
提出から8日
答弁の項目数
13
質問 2,662字/答弁 3,549字

質問本文

有明海は、「宝の海」と言われ、豊かな自然条件に恵まれていたが、諫早湾干拓事業、とりわけ潮受け堤防の閉め切りによって、「有明海異変」と呼ばれる環境破壊と漁業被害を発生させている。このままでは、「宝の海」である有明海が「死の海」になりかねない深刻な事態をまねくことになる。有明海の浄化と漁業環境の改善、そして有明海の真の再生が緊急に求められている。

従って以下質問したい。

一 タイラギ漁業について

1 長崎県小長井漁協では一九九三年以降、十五年間タイラギ漁は行われていない。その原因をどのように考えているのか伺いたい。

2 二〇〇三年から二〇〇五年の水産庁の調査結果を見ると、諫早湾では湾奥のみならず湾口近くまで底質が細粒化しているが、その原因をどのように考えているか伺いたい。

3 長崎県による、一九九七年、二〇〇三年、二〇〇四年及び二〇〇五年の諫早湾内の底質の粒度調査によれば、一九九七年に比べて潮受け堤防の閉め切り以後、底質は細粒化している。また小長井漁場の底質も細粒化している。有明海・八代海総合調査評価委員会の資料によれば、二〇〇七年八月に諫早湾口周辺に高濃度のタイラギ幼生が分布したが、着底した稚貝は有明海湾奥部の福岡県側にしか分布していなかった旨、述べられている。タイラギは一般に細粒化した底質にはあまり分布しないものである。

諫早湾のタイラギが消滅した原因はタイラギ漁場の底質が細粒化したためと考えられるが、どのように考えているのか伺いたい。

4 佐賀県水産振興センターの調査によれば、一九八九年に比べて二〇〇〇年の佐賀県沖の底質は細粒化して、それとともに佐賀県側のタイラギ漁業は衰退している。この不漁も、佐賀県沖の底質の細粒化がひとつの原因と考えるが、どのように考えているのか伺いたい。

二 二〇〇七年八月の諫早湾のアサリのへい死について

諫早湾では、二〇〇七年八月二十二日からアサリのへい死の報告があり、同月二十六日の調査では潮受け堤防に近いほど被害が大きかった。新聞は、「小長井漁協の被害総額は約三億円、養殖アサリの七割にあたる千二百トンが死んだ。八月二十六日の長崎県の調査では、被害は諫早湾干拓の潮受け堤防付近で、特に深刻だった。県は、八月上旬から続いた赤潮と海中に発生した貧酸素水塊が原因と見ているが、漁協の組合員からは、『北部水門から排出される調整池の汚れた淡水が原因』との声もあがっている」旨、報じている。

1 長崎県は、アサリのへい死の原因が赤潮と貧酸素水塊と考えているようであるが、農林水産省はどのように考えているのか、赤潮と貧酸素水塊が原因と考えているのであれば、赤潮の場合及び貧酸素の場合それぞれについて根拠と理由を示されたい。

2 北部水門前のS1地点の溶存酸素の記録を見ると、二〇〇七年八月二十五日二十三時から八月二十六日十三時頃まで表層の溶存酸素がほとんどゼロになっている。この表層の無酸素水がアサリ漁場に影響してアサリがへい死したと考えられるが、どう考えているか伺いたい。

3 二〇〇七年八月二十六日に大量のアサリのへい死が確認されている。その前日八月二十五日正午頃、北部排水門から四百六十万m3の調整池水が排水されたが、この排水と二十六日のアサリのへい死との関連をどのように考えているのか伺いたい。

三 再生事業について

1 国は、いわゆる「有明海・八代海特別措置法」に基づき、有明海沿岸の長崎、佐賀、福岡、熊本四県における、いわゆる「再生」事業を実施している。再生事業の内容、進捗状況、事業評価及び事業の実効性と成果について詳細に伺いたい。

2 農林水産省が、同事業の一環として行っている漁場改善事業の内容について明らかにされたい。また、事業の進捗状況とその実効性と成果とともに、事業の評価は誰がどのように行っているのかについても伺いたい。

3 農林水産省の漁場改善事業では、浚渫・覆砂が主たるものと聞いている。漁民は、「覆砂した箇所は、一時的にアサリが獲れるものの、二、三年経過するとヘドロに覆われて意味がなくなる。また、浚渫のための海底耕運は、海底のヘドロを拡散するだけでむしろ逆効果だ」と言っている。同事業が、漁場改善に繋がっていると言えるのかどうか、考えを伺いたい。

四 開門について

農林水産省は、有明海ノリ不作等第三者委員会が提案した開門調査のうち、短期開門調査を実施して、中・長期開門調査を実施していない。二〇〇四年五月に農林水産大臣は漁民に対して「中・長期開門調査を実施するとノリ漁を含めた漁業環境に影響を及ぼす可能性があり、被害防止のための措置を執らないまま調査を行うことはできない」と述べている。

1 「ノリ漁を含めた漁業環境に影響を及ぼす」とは具体的に、濁りが諫早湾内だけでなく、有明海の漁業に影響するということなのか、答えられたい。

2 有明海は濁った海として有名である。有明海における、干拓事業以前の濁りと、開門により予測される濁りの分布を示し、その上で漁業被害の根拠と理由を明確にされたい。

3 農林水産大臣は「被害防止のための措置を執らないまま調整を行うことはできない」旨、述べている。しかし、学者からは被害を防止できる開門方法が提案されており、被害防止のための措置は可能と考えるが、考えを伺いたい。

五 調整池の水質について

調整池の水質は、一九九七年の潮受け堤防の閉め切り以後、多額な予算を使ってさまざまな対策を講じてきたが、十年以上を経てもいまだに目標を達成していない。

1 このように長期にわたって水質が改善しない原因をどのように考えているのか伺いたい。

2 COD(化学的酸素要求量)濃度が高い主な原因は、調整池内に発生する濃密な赤潮と考えられるが、考えを伺いたい。

3 赤潮を抑制するには、�@開門して海域との混合を進める、�A短期開門調査で実証されたように、海水を導入して水質を改善する、�B窒素とリンの濃度を減少させるの三つが考えられる。農林水産省は、このうち�Bだけで調整池の水質を改善できると考えているのか、考えているとするならば、その根拠と理由を示されたい。

4 調整池と類似したものとして、岡山県の児島湖がある。児島湖の水質は五千から六千億円かけても浄化に成功していない。このままでは調整池も巨額の税金を投入することになる可能性が大きい。児島湖と比較して調整池の水質を改善できるという根拠と理由を示されたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一の1について

長崎県の小長井町漁業協同組合が行うタイラギ漁業は、長崎県の知事許可漁業であるが、タイラギに関する資源調査の結果、操業に十分なタイラギ資源が確認されていないことから、平成五年以降許可がなされていないと聞いている。

一の2について

御指摘の水産庁調査は、タイラギ稚貝の分布と底質環境の状態の関係を比較するための短期的調査であり、この結果のみをもって底質が細粒化しているかどうかの判断はできない。

農林水産省九州農政局が平成元年から諫早湾において行っている底質の泥分の長期モニタリングの結果によると、諫早湾の湾奥部、湾口部の測点において、泥分の明らかな変化傾向は認められない。

一の3について

諫早湾におけるタイラギ資源の減少に関しては、平成五年から平成十三年までの間、農林水産省九州農政局が学識経験者等からなる諫早湾漁場調査委員会を設けて調査・検討を行ったが、原因の解明には至っておらず、平成十八年十二月に有明海・八代海総合調査評価委員会が取りまとめた委員会報告においても、解明すべき課題とされている。

一の4について

佐賀県におけるタイラギ漁業の不漁については、タイラギ資源の減少によるものと考えているが、有明海・八代海総合調査評価委員会が取りまとめた委員会報告においては、佐賀県沖の有明海北部海域でのタイラギ資源の減少は、長期的要因としては、中西部漁場での泥化、有機物・硫化物の増加、貧酸素化といった底質環境の悪化によるタイラギの着底期以降の生息場の縮小、短期的要因としては、北東部漁場での大量へい死とナルトビエイによる食害が考えられるとされている。

二の1から3までについて

平成十九年八月の諫早湾におけるアサリのへい死については、赤潮、貧酸素水塊を始めとする様々な要因が複合的に影響したものと考えている。

なお、諫早湾干拓調整池からの排水については、平成十九年八月二十五日の正午前後に北部排水門から約四百六十万立方メートルの排水を行っているが、これ以前に既にアサリのへい死が確認されている。

三の1について

お尋ねの「再生事業」の意味するところが必ずしも明らかでないが、国は、有明海の海域の環境の保全及び改善、当該海域における水産資源の回復等による漁業の振興を図るため、有明海及び八代海を再生するための特別措置に関する法律(平成十四年法律第百二十号。以下「法」という。)第五条第一項に基づき定められた「有明海及び八代海の海域の特性に応じた当該海域の環境の保全及び改善並びに当該海域における水産資源の回復等による漁業の振興に関し実施すべき施策に関する計画」に掲げられた事業について、費用対効果分析等による事業評価を行いつつ、実施しているところであり、当該事業の主たる内容等は次のとおりである。

(1) 下水道、浄化槽その他排水処理施設の整備に関する事業

下水道、浄化槽その他排水処理施設の整備を実施する地方公共団体に補助を行っており、法第三条第一項に規定する指定地域(以下「指定地域」という。)を含む市町村における汚水処理人口普及率は、平成十四年度末時点の五十六パーセントから、平成十八年度末現在で六十七パーセントまで向上しているところである。

(2) 海域の環境の保全及び改善に関する事業

平成十六年度より有明海及び八代海のうち二千九百平方キロメートルを対象として、環境整備船により海域に浮遊するゴミの回収を行っており、平成十八年度までに約三百トンのゴミを回収する等の成果がみられているところである。

(3) 河川、海岸、港湾、漁港及び森林の整備に関する事業

河川の整備については、河川の自然再生事業により、平成十八年度から菊池川において河口部の砂浜の復元に向けて整備を実施する等しており、同砂浜は同年度において〇・四ヘクタールを整備したところである。

海岸の整備については、海岸の整備事業を実施する海岸管理者に補助を行っており、平成十五年度から平成十八年度までに有明海沿岸の十地区において実施されているところである。

港湾の整備については、港湾整備事業により、熊本港において昭和六十二年度から環境配慮型防波堤の整備等を実施しており、同防波堤は平成十八年度までに二千百六十五メートルを整備したところである。

漁港の整備については、水産物供給基盤整備事業等により、漁港の整備を実施する地方公共団体に補助等を行っており、平成十五年度から平成十八年度までに有明海沿岸の五十一地区において実施されているところである。

森林の整備については、森林整備事業及び治山事業により、森林整備等を実施する地方公共団体等に補助を行っており、平成十五年度から平成十八年度までに指定地域において約三万六千ヘクタールの間伐等を実施し、事業費で約六百八十一億円となっているところである。

(4) 漁場の保全及び整備に関する事業

漁場環境保全創造事業により、漁場の保全・整備を実施する地方公共団体等に補助を行っており、平成十五年度から平成十八年度までの有明海における実施状況は、覆砂四百四十二ヘクタール、作れい十四・五キロメートル、耕うん五千四百七十七ヘクタールとなっているところである。

(5) 漁業関連施設の整備に関する事業

強い水産業づくり交付金事業により、漁業関連施設の整備を実施する地方公共団体等に助成を行っており、平成十五年度から平成十八年度までの有明海及びその沿岸地域における実施状況は、十三件、事業費で約五十九億円となっているところである。

三の2及び3について

お尋ねの「漁場改善事業」の意味するところが必ずしも明らかでないが、漁場の保全及び整備に関する事業の内容及び進捗状況については、三の1についての(4)においてお答えしたとおりであり、同事業の評価については、行政機関が行う政策の評価に関する法律(平成十三年法律第八十六号)第六条第一項に基づき農林水産大臣が定めた「農林水産省政策評価基本計画」により、農林水産省が、費用対効果分析その他の手法により政策効果を定量的に測定・把握することを原則として事前評価を行ってきている。同事業の実施により、例えば、福岡県や熊本県によれば、アサリの漁獲量が増加する等の漁場改善の成果がみられているところである。

四の1及び2について

お尋ねの「ノリ漁を含めた漁業環境に影響を及ぼす」ことの内容並びに「開門により予測される濁りの分布」及び「漁業被害」については、平成十六年五月十一日に農林水産省が公表した「有明海の漁業関係者の皆様へ」の補足説明の「中・長期開門調査を実施することによる海域への影響と有明海の再生への取組について」において示されているとおりである。

四の3について

御指摘の「被害を防止できる開門方法」の具体的内容が必ずしも明らかではないが、排水門付近で洗掘を生じさせない開門方法としては、排水門により調整池水位を管理しつつ海水を導入する方法が考えられる。しかしながら、衆議院議員赤嶺政賢君外二名提出諫早湾干拓事業の開門調査と調整池の水質改善対策に関する質問に対する答弁書(平成十七年七月十五日内閣衆質一六二第九四号)(三)についてでお答えしたとおり、この方法では、潮位や潮流などに与える変化が小さいため、短期開門調査で得られた成果以上の知見は得られないと考えている。

五の1について

調整池の水質については、調整池の浅水域で生じる風による底泥の巻上げの抑制を図るための潜堤の設置等の対策を講じたことにより、近年、化学的酸素要求量(以下「COD」という。)の改善傾向が認められるが、調整池に流入する河川等からの有機物、窒素及びリンの削減が進んでいないこと等により、水質保全目標値に達しない状態が続いているものと考えている。

五の2について

調整池のCODに係る濃度が高い要因は、農林水産省九州農政局により設けられた諫早湾干拓調整池等水質委員会の検討結果によれば、調整池内の底泥の巻上げ、調整池への各種排水の流入、調整池内の植物プランクトンの発生の順となっている。

五の3について

諫早湾干拓調整池等水質委員会の検討結果によれば、調整池内の底泥の巻上げに係る対策の実施のほか、干拓地等における環境保全型農業や下水道、農業集落排水施設等の整備による生活排水対策の推進等により、中長期的には水質保全目標値の達成は可能であるとの見解が示されているところである。

五の4について

児島湖流域と諫早湾干拓調整池流域では、流域面積、人口の規模等が異なることから、諫早湾干拓調整池の水質の改善について児島湖のそれと一概に比較してお答えすることは困難である。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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