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旧KDDの個人情報漏えい問題に関する質問主意書
衆議院 第150回 第68号
質問本文
旧KDDの個人情報漏えい問題に関する質問主意書
旧KDD(現KDDI)が、国際電話の利用者の個人情報を代理店に漏らしていた問題が、新聞各紙に報道され、国民の関心と懸念をよんでいる。
在日中国人のKDD利用者の電話番号、住所、氏名等が中文産業という一企業に流出をし、本人の同意なく会員とさせられた上で各種セールスの対象となっていた驚くべき事件である。
旧KDDは長く国際電気通信事業を独占してきた国策会社であるのに、報道されたような事件が見過ごされてきたとすれば、当該会社だけでなく旧KDDを厳重な監督下に置いてきた郵政行政にも、国際電話利用者の不信の目が向けられかねない。
折しも個人情報保護基本法案など個人のプライバシー保護への取り組みが論議され、また、社会民主党としても電気通信分野におけるプライバシー保護の現状に重大な危機感を抱いている矢先のことである。
KDDI及び郵政省は速やかに事実を究明して、事実と今後の対応策を利用者に明示し、利用者からの信頼回復に努めるとともに、過ちがあればこれを教訓としてプライバシー保護の論議に寄与するべきである。報道された内容や、その他の関連事項について郵政省は事実を調査したうえで答弁されたい。
(1) 旧KDDの個人情報漏えいは、報道に対してKDDIが回答しているとおり、電話番号と国際電話利用料金だけか。中文産業が発行する中国語新聞や「001良友倶楽部」の会員カードが、頼んでもいない利用者に送られてきたり、新聞購読やテレビ放送の視聴の勧誘が利用者に対して行われていたりすることから、氏名や住所などの情報も旧KDDから漏えいされていたと疑わざるを得ないが、これらは漏れていなかったのか。それ以外の情報でも漏えいされたものはないのか。漏えいされた情報の種類、対象者数、漏えいの時期、方法などを明らかにされたい。
(2) また、旧KDDの元代理店が旧KDDに国際電話の割引サービス会員として紹介した日本人顧客の自宅に、中文産業から中国語新聞の購読勧誘の電話がかかっていたことを朝日新聞が報じているが、元代理店が旧KDDに提供した個人情報を、旧KDDが中文産業へ漏えいした事実はあったのか。
(3) KDDIは漏えいを「担当者の判断ミス」としているようだが、KDDIが認めているだけでも、情報漏えいは単なるミスにしては多量で長期間にわたっており、また、送り手の旧KDDと受け手の中文産業の双方がミスを犯したということも不自然である。報道は、これらの個人情報が新聞やテレビの勧誘に流用されていたと伝えており、漏えいが双方の故意で、組織的に行われていたことを疑わざるを得ない。漏えいはどのような意図で行われていたのか。
(4) 旧KDDは中国人顧客向けの「001良友倶楽部」のほかにも、韓国、フィリピン人など向けの利用者クラブを有していると聞く。これらのクラブの数、会員数はどのくらいか。利用者情報漏えいがこれらのクラブに関しては行われていなかったのかどうか。
(5) 国際電話会社の関係者は、私の調査に対して「同様の個人情報漏えいは旧KDD以外の国際電話会社も当たり前のように行っている。特に外国人の利用者情報を代理店に漏らして営業に使わせることは、外国人が被害を公に訴え出る可能性が低いため、競争が激化する一方の国際電話業界では常識だ」と証言している。国際電話業界でプライバシーの侵害が幅広く行われている可能性が否定できないが、郵政省はこれらの可能性についてどう考えているのか。また、代理店から個人情報が流出する事件が相次いでいるが、代理店との情報共有など事業者側の個人情報の取り扱いのあり方に問題はないのか。
(6) 最近問題になっている、マンションなどのドアのカギをこじ開け、空き巣に入る「ピッキング」は、犯行グループが犯行の標的とする住宅の留守を電話で確認するといわれ、そのために、売買されている個人情報を使うことは、よく知られた事実である。中文産業から流出した、旧KDDが情報源と思われる国際電話利用者名簿は、中国人犯罪組織が売買していたと言われている。多数の中国人、日本人の氏名、住所、電話番号が記載されたこれらの名簿が実際に犯罪に使われた可能性もある。こうした影響の重大性について、どう考えるか。
(7) 事業者による個人情報の取り扱い上で、個人情報保護ガイドラインへの違反行為がないかどうかをチェックする機能は、どのような実効性をもっているのか。現状では十分にチェック機能が働いていないとすれば、緊急に個人情報の流出を防ぐ策はあるか。個人情報保護基本法へ向けた今後の課題として、どのようにすれば有効にチェックが働くと考えるか。
右質問する。
政府答弁書
(1)について
株式会社ディーディーアイ(以下「KDDI」という。)からの報告によれば、以下のとおりと承知している。
国際電信電話株式会社(平成十年十二月から平成十二年九月まではケイディディ株式会社。以下「旧KDD」という。)は、平成六年十月、中国語新聞の発行等を営む中文産業有限会社(平成七年十月から中文産業株式会社。以下「中文産業」という。)との間で、旧KDDが提供していた「001国際電話サービス」の利用についての主に在日中国人を対象とする勧奨に係る業務委託契約を締結した。中文産業は、これに伴い、同サービスの利用者を会員とする任意団体として「001良友倶楽部」を設立し、主に在日中国人を対象に同団体への入会を募り、同団体の会員に対し各種特典を付与することにより「001国際電話サービス」の利用についての勧奨を行う業務を開始した。その後、平成八年七月、「001良友倶楽部」は、旧KDDが運営主体となりその運営を中文産業に委託する形態に改められた。さらに、平成十二年十月からは、「001良友倶楽部」の運営主体は旧KDDからKDDIに引き継がれた。
旧KDD及びKDDIは、中文産業が「001良友倶楽部」の会員に対する利用勧奨を行う際に参考とすることができるようにするため、中文産業に対し、平成十二年十一月までに、合計約十二万二千件の電話番号に係る会員の氏名及び住所、月ごとの利用ポイント(利用額を一定の割合で換算したもの)、割引サービス等契約状況、電話規制状況(電話の利用が制限されているか否か)並びに直近一か月又は三か月の利用額の情報(以下「既存会員管理用情報」という。)を、これらを記録したフロッピィーディスク若しくは光磁気ディスクを手渡し、又は、例外的に、記録した紙をファクシミリを使用する方法により、提供していた。
また、旧KDDは、中文産業が「001良友倶楽部」の会員を新規に募集する際に参考とすることができるようにするため、中文産業に対し、平成十二年九月までに、合計約十万六千件の電話番号に係る「001国際電話サービス」の利用者(主に在日中国人)の氏名及び住所、割引サービス等契約状況、直近一か月又は三か月の利用額並びに代金前払いカードの利用者に関する利用額の情報(以下「新規会員獲得用情報」という。)を、これらを記録したフロッピィーディスクを手渡しする方法により、提供していた。
(2)について
KDDIからの報告によれば、以下のとおりと承知している。
旧KDDは、特定の元代理店との間でも、「001国際電話サービス」の利用についての勧奨に係る業務委託契約を締結し、利用者の獲得を行っていたが、元代理店から提供を受けた「001国際電話サービス」の利用者に関する個人情報をそのまま中文産業に提供することはなかった。ただし、旧KDDから中文産業に提供されていた新規会員獲得用情報の中には、「001国際電話サービス」の利用者で中文産業以外の代理店が獲得したものに関する個人情報が一部含まれていた可能性がある。
(3)について
KDDIからの報告によれば、以下のとおりと承知している。
旧KDDは、「001国際電話サービス」の新規利用者の獲得及び既存利用者の利用の促進を目的として、中文産業との間で同サービスの利用についての勧奨に係る業務委託契約を締結し、中文産業に対し、既存会員管理用情報及び新規会員獲得用情報の提供を行っていたものである。また、中文産業においては、事業経営の一環として、旧KDDとの間で当該業務委託契約を締結し、その契約上の義務の履行に当たり、旧KDDからこれらの情報の提供を受けていたものである。
なお、KDDIが中文産業に確認したところでは、中文産業は、旧KDDから提供された個人情報を「001国際電話サービス」の利用勧奨を目的として設置された「001良友倶楽部」への加入勧誘にのみ利用しており、これとは別に、新聞購読や通信衛星(CS)を使用したテレビ放送の視聴の勧誘に流用したことはなく、また、利用者又はその家族の同意なく、中国語新聞や「001良友倶楽部」の会員カードを送付したこともないとしているが、中文産業においても、旧KDDから中文産業に提供された個人情報を含む「001良友倶楽部」の会員名簿や旧KDDから中文産業に提供された会員の利用額等の情報の一部が、中文産業から同社の意図に反して外部に流出していた事実は認めている。
(4)について
KDDIからの報告によれば、以下のとおりと承知している。
旧KDDは、中文産業における「001良友倶楽部」と同様に、他の代理店との間でも、出身国や地域等の別に、在日外国人向けの利用勧奨を目的とする業務委託契約を締結し、その中で、「001国際電話サービス」の利用者を会員とするクラブ組織の設立及び運営の委託を行っており、当該他の代理店に対し、中文産業に対するのと同様の既存会員管理用情報及び新規会員獲得用情報の提供を行っていた。
このようなクラブ組織は、「001良友倶楽部」のほか、現在四つあり、会員数は合計約七万五千人である。
(5)について
電気通信事業者が、適正に取得した利用者に関する個人情報を自社の提供するサービスの利用についての勧奨を行うために利用することや、当該利用勧奨業務について第三者に業務委託を行い、それに必要な範囲内で利用者に関する個人情報を当該業務委託先に提供することは、通常業務として行われている場合がある。
しかしながら、当該業務委託先において、委託された業務の範囲を超えて当該個人情報の利用が行われたり、第三者に漏えいされたりするならば、利用者のプライバシーを侵害するおそれが生じるため、総務省(平成十三年一月五日以前においては郵政省。以下同じ。)では、電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン(平成十年郵政省告示第五百七十号。以下「個人情報保護ガイドライン」という。)において、電気通信事業者がこうした業務委託を行うに当たっては、業務委託先として個人情報を適正に取り扱うと認められる者を選定し、委託契約等において、個人情報の適切な管理のための必要な措置や秘密保持等に関する事項について定めるものとする旨規定し、業務委託先における適切な個人情報の取扱いが確保されるように十分な監督の措置を講じるよう、電気通信事業者に対しその遵守を指導しているところである。
(6)について
中文産業から流出した「001良友倶楽部」の会員名簿が中国人犯罪組織に売買され、犯罪に悪用されているといった事実は、現在のところ確認されていないものの、仮にそのようなことがあるとすれば、その影響は極めて重大であると言わざるを得ない。このため、電気通信事業者に対し、その保有する個人情報の適正管理等について定めた個人情報保護ガイドラインに基づく取組の徹底を指導しているところである。
(7)について
個人情報保護ガイドラインに基づく適切な個人情報の取扱いを確保することについては、各電気通信事業者において、社内の体制を整備する等の取組が進められているほか、総務省においても、不適正な取扱いが認められる事業者に対し適宜改善の指導を行う等所要の措置を講じてきており、引き続き、各電気通信事業者において、個人情報保護ガイドラインの趣旨が徹底されるよう適切に対応していくこととしている。また、個人情報保護のより一層の実効性を確保するという観点から、個人情報保護に関する基本法制の整備に当たっては、個人情報取扱事業者に対する主務大臣による改善命令等、個人情報の適正な取扱いについての実効性担保措置を設ける必要があるものと考えている。
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