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ケニア共和国、ソンドゥ・ミリウ水力発電事業に関する質問主意書

衆議院 第151回 第56号検討してまいりたい ×1

提出者
社会民主党・市民連合
提出日
2001年4月18日
内閣転送 2001年4月23日
答弁書受領日
2001年5月25日
提出から37日
答弁の項目数
11
質問 5,545字/答弁 5,364字

質問本文

現在、ケニア共和国西部キスム地方のソンドゥ川において流れ込み式の発電所、ソンドゥ・ミリウ水力発電建設事業が進んでいる。本発電事業は、国際協力事業団(JICA)の支援によって一九八五年にマスタープランが作成された「ソンドゥ川多目的開発計画」の中で最初に実施される事業であり、旧海外経済協力基金(現在、国際協力銀行)によって一九八九年十月には技術協力の所要資金として六億六千八百万円、一九九七年三月には第一期分の調達資金として六十九億三千三百万円の借款契約が調印されている。現在、国際協力銀行はさらに追加の百六億円の借款供与を検討中である。

ところが、本事業に対して、地域住民及びNGOから強い懸念の声が出されており、事業がむしろ地域を貧困化させているとの声もある。一方、重債務国であり拡大HPICs対象国であるケニアへの新規円借款供与に関しても疑問の声が上げられている。政府開発援助が十分な透明性と説明責任を確保し、人権を尊重し、十分な社会・環境配慮と住民参加のもとに進められるべきものであり、貧困削減に寄与するために供与されるべきものであるとの視点において、以下質問する。

一 日本政府による支援について

(1) 本事業への政府からの支援のうち、これまでに、何のためにどれだけの金額が使われているのか、項目ごとに具体的に示されたい。

(2) 今後、政府の支援はどの部分にどれだけの金額が使われる予定なのか具体的に示されたい。

二 河川の転流による流量変化について

一九八五年十二月国際協力事業団によって行なわれた『ソンドゥ川水力発電開発計画調査書 主報告書』によるとソンドゥ川の一九四六年から一九八三年までの1JG1測水所における月平均流量の平均値は四十一・五九立方メートル毎秒となっている。ソンドゥ・ミリウ水力発電に必要な水量は四十立方メートル毎秒であるから、ソンドゥ川の流量のほとんどは発電用に取水堰から導水管を通って発電に使われることになる。特に一月から三月にかけての乾季および十月から十二月にかけての少雨季の間、六ヶ月間は川の流量が大幅に減少することになる。

(1) 取水堰から発電に利用された水がソンドゥ川の本流に戻されるまでの約十キロメートルにわたって、ソンドゥ川の生態系に大きな影響を及ぼすと考えられるが、その影響についての分析があれば示されたい。

(2) 流量の減少によってソンドゥ川の生態系に及ぼす各々の影響について、どのような緩和策が取られているのか示されたい。

(3) 一九九一年七月に日本工営株式会社によって行なわれた『環境アセスメント報告書』にはソンドゥ川を遡上する魚種バルバス(Barbus)とラベオ(Labeo)は三十年にわたる乱獲のため絶滅してしまっているとあるが、一九八五年十二月の『ソンドゥ川水力発電開発計画調査書第六巻 社会経済及び環境についての調査報告書』によるとアレステス(Alestes)、クラリアス(Clarias)、シルベ(Schilbe)も洪水時に川を遡上する魚として記述されている。これらの魚種にはどのような影響が予測されているのか根拠を示されたい。

(4) また、その影響についてどのような緩和策が取られているのか示されたい。

(5) 一九九一年七月の『環境アセスメント報告書』によると、ケニアの水資源開発省(The Ministry of Water Development)の基準により流域住民の水利用のために四・〇立方メートル毎秒の水を取水堰の下流に流す必要があるが、ニャカチ水供給プロジェクトの改善、およびソティック水供給の拡大により流域住民には飲料水の供給が可能になるため、飲料水用の四・〇立方メートル毎秒の水は流す必要がない、とあるが、これらの水供給プロジェクトの進捗状況について示されたい。

(6) 大幅に流量が変化することになるソンドゥ川の中流には、オディノの滝と呼ばれる地元住民にとって文化・宗教的に重要な場所が含まれているが、この滝を保護するためにどのような措置が取られる予定か、具体的に示されたい。

(7) この滝の周辺を生息地とする生物及び微生物に具体的にどのような影響があるのか。影響を受ける具体的な生物名・微生物名をあげるとともにこれらに対する影響を示されたい。また、影響なしとする場合、その理由を定量的なデータや科学的知見に基づき示されたい。

(8) 当方が入手した情報によると、大幅な流量変化が予測されるソンドゥ川の流域の住民は、工事が始まって二年以上たった今も流量変化について知らされていないと聞いた。事業開始前に、川の流量変化についてなど地元住民に説明がなされたのか。

三 事業に伴う立ち退き等について

(1) 当方が入手した情報によると、立ち退きを余儀なくされた地元住民はこれまでの生活を継続するために適切な代替地を提示されることもなく、政府の事業だということで強制的に立ち退きを強いられた。さらに土地の買い上げ価格(四〇〇〇〇 Kshs/ha)は新しい土地を買うのに十分な金額(六五〇〇〇 Kshs/ha)でないなど、不当な立ち退きが進められたと聞いている。ところが、四月二日の外務省資料『対ケニア円借款「ソンドゥ・ミリウ水力発電計画」』によると「住民移転への補償にあたっては適正に土地、作物、建築物の価格が計算され、市場より優遇された価格に基づいて土地所有者との交渉が行われた」とある。立ち退きの現状と外務省資料報告の違いをどう考えるか。

(2) 適正な土地補償が行なわれていないとの住民からの批判に対応するため第三者機関を設立し、調査を行うなどの方法があるがどう考えるか。

(3) 立ち退きを余儀なくされた住民、特に土地のほとんどを失ってしまった農業従事者などの住民に今後の生活設計のためにどのような対策が取られているのか具体的に示されたい。

四 工事現場での雇用・労働条件等について

(1) 当方が入手した情報によると、取水堰のコンクリート部門で仕事をしていたMauvice Odehiambo氏(労働番号六四七)は、労働条件や賃金について事業者側と交渉するために三百名ほどの労働者と一緒にストライキを行い、他の数名と共に二〇〇一年一月八日に解雇されている。本事業の工事現場では組合の結成は硬く禁じられており、組合を結成するとすぐに解雇されるとのことだが、これは事実なのか。

(2) 二〇〇一年三月現在、工事現場では千五百五十九名が雇用されているが、事業によって直接影響を受ける世帯からの雇用は六十三名と全体の四%に過ぎない。こうした現状を見る限り、事業によって直接影響を受ける人々、地域からの優先的な雇用が進められているとはいえない。このような状況は今後改善される予定なのか。

(3) 二〇〇一年三月に行った聞き取り調査によると、工事現場のガードマンの給与は二〇〇〇Kshs/月でありケニアの最低賃金三三六七 Kshs/月(二〇〇〇年)を下回っているとの報告を受けているが、これは事実なのか。

五 工事に伴う地域環境への影響について

(1) 二〇〇〇年八月十八日付でOboch保健所から出された報告書は、キャンプサイト付近から取水堰付近までのアクセス道路から五百メートル以内にある両端の十一件ずつの家族を訪問し、アクセス道路からの埃による人体、家畜、水、農作物、衣服、植物などへの影響を調査した結果を報告している。この報告書によると、工事現場へのアクセス道路付近の埃の被害によって子どもに喘息や肺病が発生する、道路際のWater Kioskの管理を行っている女性が片目の視力を失う、家畜が視力を失うなど事態は深刻で、至急に対策が取られる必要があるとしている。こうした事態に対応するためにどのような対策が取られているのか示されたい。

(2) また、すでに深刻な被害を受けている人々にどのような補償が検討されているのか。

(3) 当方が入手した情報によると、トンネル工事付近(Audit 二)からの汚水によって、バナナや芋などを栽培していた地域住民の農地耕作ができなくなったとの報告があるが、これは事実なのか確認されたい。また事実であればこのような被害が広がらないために、今後どのような対策が取られる予定か。

(4) 二〇〇〇年十月のトンネル工事の開始後に、トンネル工事付近(Audit 二)で年中涸れることのなかった周辺地域の泉や小川が突然涸れる事態が生じた。地元住民から、トンネル工事によって地下の水脈が断絶されてしまったのではないかとの指摘がなされているが、こうした泉や小川の枯渇とトンネル工事との因果関係について現在調査が進められているのか。

(5) 一九九一年七月の『環境アセスメント報告書』によると、工事現場のアクセス道路の整備は地元住民への利益として書かれているが、実際にはアクセス道路からの埃の被害は周辺住民に広がっており、深刻な健康被害をもたらしている。さらに、これらのアクセス道路は土壌の侵食などを伴い従来住民が使っていた道を破壊してしまっているとの報告を受けているが、これは事実なのか。

(6) また、工事のために特定の地域で大量の砂を採取したために土壌の荒廃が進み、その地域では農地に適さなくなってしまったとの指摘があるがこれは事実なのか。

六 地域の保健衛生について

一九九一年七月の『環境アセスメント報告書』において事業に伴うマラリア、水系伝染病や住血吸虫病等の増発の恐れが指摘される一方、工事現場へのアクセス道路における埃など工事に伴う健康被害の深刻化があるにもかかわらず、保健施設の充実など地域住民の健康に対する適切な措置が講じられていないが、今後改善の予定はあるのか。

七 事業に伴う汚職について

(1) 土地への補償金支払いの際に、土地所有者の一部の土地を土地所有者が全く知らない間に別の人物に貸し出していたことにして、補償金の一部を借り手の名義で騙し取るというケニア電力公社による汚職が告発されているが、これは事実なのか。

(2) ケニア電力公社の職員が雇用の際に不当な仲介料(七〇〇〇〜一〇〇〇〇 Kshs)を徴収しているとの報告を受けているが、これも事実なのか。

(3) こうした汚職に関する告発を受けて、事業に関わる汚職についての実態調査を行う予定はあるか。調査を行なわないのであれば、その理由を明確に示されたい。

八 事業に関わる人権侵害について

(1) 二〇〇〇年二月に開かれた本事業に関わる地元での住民集会は「違法集会」とされ、集会に参加した住民数十人が逮捕された。この時集会を取材していた日本人記者(朝日新聞及び共同通信社)も住民と共に逮捕され一時拘束されたが、彼らの話によると彼らを警察署まで搬送したのは工事を受注した日本企業「鴻池組」の車両だったと聞いた。政府はこのような事業に関わる人権抑圧をどのように捉えているのか。

(2) 二〇〇〇年十二月二十六日、本事業の社会・環境問題を指摘しているNGOのメンバーの一人、Argwings Odera氏が地域住民が自由な往来をしている場所において、「許可なくプロジェクトサイトへ立ち入った」として、鴻池組の警備員から暴行を受けた上に銃で撃たれて逮捕され、拷問を受けた。彼はその後留置所を転々とさせられて、七日間家族や弁護士と連絡を取ることも許されなかった。政府はこのような事業に関わる人権侵害をどのように捉えているのか。

(3) このような人権侵害は、ケニア国内法においても違法ではないのか。ケニア国内法上の問題を示されたい。

(4) また、国際人権規約上本件のような人権侵害は問題ではないのか。国際法上の問題点を示されたい。

(5) 二〇〇一年一月二十四日の住民集会で工事現場での不当な解雇について発言した地元住民は、会場の外で数十人の若者にナイフで襲われた。若者達はケニア電力公社に雇われていたとの報告が地元住民からなされている。これ以外にも日本政府関係者、NGOなどに問題を指摘しないようにとのケニア電力公社による地元住民への脅しが続いているとの報告がなされている。こうした、問題点を指摘しようとする人々への脅しは事業における問題を解決の方向に向けるどころか、問題を歪め、対立を助長していると考えるが、政府としてはこのような事態を受け、どう対応するのか。

(6) 政府は事業に関わる人権侵害についての実態調査を行うべきではないか。実態調査を行なわないのであれば、その理由を示されたい。

九 事業のモニタリング

(1) 一九九九年九月に政府は本案件への第二期分の借款供与についての「事前通報」を行なっているが、この時点で事業に伴う社会・環境問題、人権問題についての確認は行われていたのか。

(2) 行なわれていたのであれば、その確認を行った者の氏名と役職名を示されたい。

(3) また、確認内容について具体的に示されたい。

十 環境特別金利の適応について

(1) 本案件には環境特別金利が適応されているが、その適応基準を具体的に示されたい。

(2) 問題の多い本事業に対して環境特別金利が適応される理由を述べよ。

十一 まとめ

(1) 以上の点を十分に考慮した上で、事業の必要性、妥当性、正当性についての検証、評価は適切に行なわれているのか。行なわれているのであればその検証、評価内容を示されたい。

(2) 今後、こうした問題を事前に防ぐために政府としてどう対応されるのか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

ソンドゥ・ミリウ水力発電計画(以下「本件計画」という。)については、ケニアとの間で、平成元年六月に事業実施に先立つ調査、設計等(環境影響評価、事業規模、事業費及び事業期間の調査等)に対し六億六千八百万円までの円借款を供与することを内容とする交換公文の締結を行うとともに、平成九年一月に第一期分として土木工事の一部(取水設備、導水路、アクセス道路等の整備)及びコンサルティングサービスの実施に対し六十九億三千三百万円までの円借款を供与することを内容とする交換公文の締結を行った。

また、現在、第二期分として残りの土木工事(放水路、発電所、変電所等の整備)及び発電機等の調達に対し追加の円借款を供与することを検討中であるが、その具体的規模はいまだ確定していない。

本件計画に関連し、平成十三年一月、現地において事業実施機関であるケニア電力公社、事業実施業者、地域住民、非政府組織(以下「NGO」という。)及び有識者の参加を得て対話集会が行われ、本件計画の継続の支持、第二期分の円借款の早期供与の要望及び関係者による定期的な協議の場の設立が決議されたと承知している。これを受けて、事業実施機関、事業実施業者、地域住民、NGO及び有識者から構成される本件計画に関する技術委員会(以下「技術委員会」という。)が設立されており、本件計画の実施上の諸問題については技術委員会の場において改善に向けた議論が行われると承知している。地域住民やNGOからの苦情及び指摘については、事業実施機関において技術委員会での協議を踏まえて必要な検討が行われるものと承知しており、我が国としても、適切な対応を促していくこととしたい。

二について

本件計画による発電所が完成し、導水路にソンドゥ川の水を転流する際には、転流に伴うソンドゥ川の流量の減少による生態系等への影響に配慮し、乾季においても河川維持流量を確保することとなっている。

アレステス、クラリアス及びシルベ(以下「アレステス等」という。)はケニア国内に広く分布している魚種であり、ソンドゥ川流域の固有種ではないと承知している。また、転流が行われる区間には滝が存在しており、アレステス等は川を上する魚種であるが、滝を乗り越えられるものではないと承知している。

ソンドゥ川の流量については、雨季においては転流後も十分な水が流れる一方、乾季においても河川維持流量を確保することが計画されていることから、アレステス等に対する影響は小さく、現時点において特段の対策は不要であると考えられていると承知している。

御指摘の水供給プロジェクトは、我が国の支援によって実施されているものではないが、本件計画の実施地域に対して当該プロジェクトの計画どおりの水供給が行われていない状況にあり、この問題の改善等を含めて技術委員会の場で議論されていると承知している。また、当該プロジェクトの進ちょく状況、社会環境の変化等を考慮し、必要に応じ事業実施機関において河川維持流量の見直しが行われることになっていると承知しており、我が国としても、適切な対応を促していくこととしたい。

オディノ滝が文化的又は宗教的に重要な場所であるとの確認はされていないと承知している。また、発電開始後も河川維持流量は確保されることとなっており、この滝が消滅することはないと承知している。

野生動物については、本件計画の実施地域において固有種が生息するとの事実は確認されていない。また、本件計画の実施地域ではガゼルの一種であるディクディク等の動物の生息が認められるが、これらはケニア国内において広く分布する種とされており、本件計画が与える影響は小さく、現時点において特段の対策は不要であると承知している。なお、微生物に対する影響の調査については、現時点で十分な科学的知見の蓄積がないこともあり、一般にこのような調査を行わないことについて特段の問題はないとされており、本件計画においても調査は行われていない。

事業実施機関は地域住民に対して、土木工事の実施前から本件計画の内容に関する説明を行ってきており、ソンドゥ川の水の発電所への転流や放水路を通じての復流による流量変化についても既に説明済みであると承知している。また、事業実施機関は、今後とも定期的に地域住民との対話を行っていく予定であり、その中で更に本件計画の内容に関する説明を行うとともに、環境社会面のモニタリングの結果等について検討し、問題がある場合には、必要に応じ対策を講ずる考えであると承知しており、我が国としても、適切な対応を促していくこととしたい。

三について

地域住民に対する補償については、代替地の提供、金銭補償及び両者の組合せという三つの選択肢が提示されたが、補償対象者の大半が金銭補償を選択したと承知している。補償金額については、市場価格に基づいて交渉が行われ、更に協力費を加算した価格により契約及び支払が行われており、強制的な立ち退きが行われたとの事実は確認されていないと承知している。

また、補償手続の前には説明会が開催され、補償金の使途等についての啓発が図られていると承知している。さらに、補償後における地域住民の生活水準等の状況については、モニタリングが行われ、問題があれば技術委員会において改善に向けた検討がなされることとなると承知しており、我が国としても、適切な対応を促していくこととしたい。

四について

本件計画の実施現場では、労働組合の結成が認められており、労働組合を結成するとすぐに解雇されるとの事実はないと承知している。御指摘のストライキに際しては、事業実施業者がケニア労働省の現地事務所と協議し、その助言に基づいて労働者に対して職場復帰通告を行ったが、これに従わなかったために解雇を行ったものと承知している。

平成十三年三月現在の本件計画の実施現場における雇用者については、本件計画の実施地域であるニャンド地区及びラチュオニョ地区からの雇用者は約八百名であり、本件計画の実施地域から優先して雇用が行われているものと承知している。また、このような雇用状況については、技術委員会による調査が行われており、問題があれば技術委員会において改善に向けた議論が行われることになると承知しており、我が国としても、適切な対応を促していくこととしたい。

本件計画の実施現場における雇用者の給与がケニア政府指定の最低賃金以下であるとの事実は確認されていないと承知している。問題が発生した場合には、技術委員会で改善に向けた議論が行われ、事業実施業者において適切な対応がなされるものと承知している。

五について

本件計画の実施現場において発生するほこりの削減については、既に事業実施機関において一定時間ごとの定期的な散水、道路に段差を設けることによる車両の速度制限等の対策を実施しているが、状況の更なる改善のために、散水の間隔を短縮し、必要に応じ舗装を行う等の措置を講ずることも検討されていると承知している。また、ほこりによる地域住民の健康への影響については、御指摘のオボーチ保健所の報告書の内容も含め、技術委員会で検討が行われており、必要に応じ事業実施機関において対策を講ずることになっていると承知している。

工事に伴う排水は中性化処理を行ってから放流しており、農地に未処理のまま流れ込んだという事実はないものと承知している。なお、御指摘のとおり、トンネル工事現場付近の農地の一部に中性化処理を施した後の水が流れ込んだが、事業実施業者が工事用排水路の移設等再発防止策を講ずるとともに、被害に対する補償を行ったと承知している。

トンネル工事現場付近で泉や小川が枯渇しているとの問題については、技術委員会において検討が行われており、必要に応じ事業実施機関において対策を講ずる予定であると承知しており、我が国としても、適切な対応を促していくこととしたい。

アクセス道路の建設によって土壌の侵食が生じたとの事実は確認されておらず、住民が従来から利用していた道路が破壊されたとの事実も確認されていないと承知している。

工事用の砂の採取については、ビクトリア湖周辺地域を中心に複数箇所で分散して行われている。本件計画により、特定の地域で砂の採取がなされたことにより土壌の荒廃が進み、当該地域が農地に適さなくなったとの事実は確認されていないと承知している。

六について

本件計画の実施地域では既に保健所等は設置されているが、当該地域の人口が増加していることから、現在技術委員会において保健施設の充実の必要性について議論が行われており、必要に応じケニア側において対策が講じられる予定であると承知しており、我が国としても、適切な対応を促していくこととしたい。

七について

現在、御指摘のような汚職等が発生しているとの事実は確認されていないが、技術委員会において事実関係を調査中であると承知しており、我が国としても、十分な実態調査が行われるよう促していくこととしたい。

八について

御指摘の平成十二年二月の集会は、州知事への事前の届出をせずに行われたものであり、通報を受けた現地の警察当局が出動し、集会を解散させるとともに、記者七名を含む十七名を連行し、数時間の拘束の後、解放した経緯があったと承知している。警察署への連行の際、連行者の人数が多かったために警察車両のみでは足らず、近隣に駐車していた事業実施業者の車両が使用されたとのことであるが、本件の詳細な事実関係は必ずしも確認されていないと承知している。

平成十二年十二月にNGOに所属するアーグウイングス・オデラ氏が逮捕された事件については、現在係争中であり、今後ケニア側の司法手続の中で事実関係等が明らかにされるものと承知しており、我が国はケニア国内法上の評価を下す立場にない。

御指摘の国際人権規約とは、市民的及び政治的権利に関する国際規約(昭和五十四年条約第七号)を指すと解される。ケニアは同規約の締約国であるが、現段階では、御指摘のような人権侵害が行われたかどうかが不明であり、どのような点が同規約との関係で問題となり得るかをお答えすることはできない。

平成十三年一月の対話集会については、我が国としても自由な意見交換が行われることを希望し、参加の制限等が行われないようケニア側に申し入れるとともに、在ケニア日本国大使館及び国際協力銀行からも同集会に参加した。同集会には地域住民、NGO等から幅広い参加があり、多くの参加者が意見の表明を行ったと承知しているが、本件計画の問題点を指摘しようとする人々への脅しがあったとの事実は確認されていないと承知している。

以上の事案の事実関係については、今後ケニア側の司法手続等を通じて明らかにされるものと考えられ、我が国としては引き続きケニア側の対応を注視するとともに、ケニア側に対して十分な実態調査を行うよう促していきたいと考えており、我が国が実態調査を行う予定はない。

九について

本件計画の第二期分の円借款供与については、ケニア側の要請を踏まえ、外務省、大蔵省、通商産業省及び経済企画庁の四省庁が、在ケニア日本国大使館及び海外経済協力基金による本件計画に係る報告を踏まえて御指摘のような問題を含む種々の観点から検討を行った結果、平成十一年九月、本件計画の必要性、ケニアの経済及び社会の状況、二国間関係等を総合的に判断して、円借款供与を行うとの方針を策定し、ケニア側に事前通報を行ったものである。

なお、特に自然環境及び地域社会への影響については、ケニア側が本件計画全体に係る環境影響評価書等を作成したことを受けて、海外経済協力基金が「環境配慮のためのOECFガイドライン」に照らして審査を行い、ケニア側が行うべき環境上の措置として、河川維持流量の確保、排水の処理、水質モニタリングの実施、工事による樹木伐採地域に対する植林、移転住民への配慮等があることを確認している。

十について

特別環境案件金利は、地球環境問題対策及び公害対策に資する円借款案件に適用することとされている。本件計画は、再生可能なエネルギーである水力を用いるため、発電に伴う温室効果ガスの発生量が極めて少なく、また、火力発電所の運転に伴う化石燃料の消費を抑制する効果が期待されることから、地球環境問題対策に資する案件として特別環境案件金利の対象となると判断している。

十一について

本件計画については、海外経済協力基金(当時)による審査を踏まえた上で、ケニアとの二国間関係、ケニアの経済及び社会の状況等を総合的に勘案しつつ、円借款の供与について慎重な検討を行い、必要に応じケニア側に環境社会面の対応を求める等適切に対処してきたものである。

今後とも、在ケニア日本国大使館及び国際協力銀行を通じて、現地の状況の把握に努めるとともに、環境社会面に関する様々な立場の意見も参考にしながら、本件計画が適切に実施されるよう関心を持って見守っていく所存であり、必要に応じケニア側に対応を求める等適切に対処してまいりたい。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

検討してまいりたい ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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