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小泉内閣の政治姿勢に関する質問主意書

衆議院 第151回 第91号

提出者
民主党・無所属クラブ
提出日
2001年6月8日
内閣転送 2001年6月11日
答弁書受領日
2001年6月15日
提出から7日
答弁の項目数
11
質問 2,482字/答弁 1,935字

質問本文

小泉内閣は、「聖域なき構造改革」を掲げ一ヶ月余りを経過した現在も国民の高い支持を受けているが、「改革」の具体的な中味は示されず、これまで明らかにされた小泉内閣の政治姿勢については多くの疑問がある。従って、次の事項について質問する。

一 政治改革について

1 小泉総理のいう聖域なき構造改革で、政治改革に対しては首相公選制の提唱以外とりたてて具体的な政策が示されていないが、政治改革についての具体策を示されたい。

2 首相公選制は、様々な問題があり、世界の国でこの制度を取っている国は皆無に等しい。総理は、私的諮問機関で検討するとしているが、憲法改正を伴い、国の統治機構にかかわり、また内閣総理大臣が提案すべき案件とも思えない首相公選論をたとえ私的とは言え諮問機関を創り検討することは妥当性を欠くのではないか。

3 総理の提唱する首相公選制度の骨格を示されたい。

4 小泉総理は衆議院選挙区での一票の格差是正について、二倍以内、各県に一議席をまず配分する方式の変更を表明したが、国民の一票等価の原則からも適切である。実現のためには衆議院議員選挙区画定審議会設置法の改正を速やかに行い、同審議会で二〇〇〇年国勢調査速報値に基づいて区割を検討すべきだが、総理の責任で、今国会で改正案を提出し成立させる考えはあるか。

5 少なくとも、この改正なしに次期総選挙は行わないというのが小泉内閣の見解と理解してよいか。

6 選挙制度は民主主義の基本である。与党三党は連立政権合意で「健全な議会制民主主義確立のため、二〇〇〇年国勢調査を踏まえ、衆議院の現行制度の見直しについて早急に結論を得る」としているが、総理は現行の衆議院選挙制度の小選挙区比例代表並立制度の変更を目指しているのか。小泉内閣として現行の選挙制度は健全な議会民主主義確立にそぐわないと考えているのか明らかにされたい。

7 総理は派閥の解消を公約としてきたが、自民党の派閥解消を指示し、推進しようとしないのは公約違反である。また、来るべき参議院選挙で自民党公認候補者の派閥離脱を提案しながら、各自の判断とした。参議院の比例選挙制度を拘束名簿式から非拘束名簿制に改悪したことが、派閥単位の選挙を解消できない原因と考えられるが、どのような認識をされているのか。

8 小泉総理が支持されたのは、従来の自民党政治の改革を公約としたからである。KSD問題、いわゆる久世発言、土地改良事業などにみられる、架空党員疑惑、党費の不明朗な納入問題は、行政の監督責任ならびに選挙制度、政治資金問題と密接不可分である。従って、これを解明し、不当な党費の返還を行うことを約束されたい。

二 外務省問題、機密費について

1 外務大臣と外務省事務当局との軋轢は目に余るものがあり「異常事態」である。行政への信頼だけでなく日本外交に支障や不信をもたらし、国益を損なう事態になりつつあることはまことに憂慮される。小泉総理は深刻に受け止める必要があるがどう考えているのか。外務省事務局の体質、手法の問題を改革することは必要であるが、外相との確執で日本の外交が混迷、混乱との印象を内外に与えていることは重大であり、看過すべきではない。任命権者としてまた外交の最高責任者として今日の外務大臣と事務当局の損なわれた関係をどうするのか所信を示されたい。

2 外交・安全保障問題に関する外務大臣の言動は軽率、稚拙さが目立ち、多くの波紋を呼び、駐米大使からも日米関係に懸念が示され、与党内では罷免の声があると伝えられる。日米関係、アジア外交など重要な案件が山積しているが、小泉総理としてこのまま田中外務大臣の言動でいいと考えているのか。特に、外務大臣としての資質に疑問はないと考えているのか。日本外交に支障を来すようなことがあれば総理の責任は免れないと思うがどう判断されているのか。

3 去る六日の、外務省改革要綱は外交機密費の今年度節減の数値を示していないことなどきわめて不十分で、チェック、決済体制など国民の納得できる対策が示されていないが、外務大臣はこれでいいと考えているのか。

4 官邸機密費に関する塩川財務大臣の無責任な国会での答弁は、閣僚として適格性を欠き、国民の不信を招くものであると考えるが、小泉総理の見解を問う。

5 官邸機密費、外交機密費問題は国民の政治不信をかっている最大の問題の一つである。「聖域なき構造改革」といいながら、肝心の足下が聖域になっており、小泉総理の看板に偽りありではないか。国民の税金がこれほど不当に使われた例はない。官邸機密費について責任の所在と改革案を示されたい。また、今年度機密費関係予算をそのまま成立させたが、補正減額の措置を取るべきだが、政府の見解を示されたい。

三 靖国神社の公式参拝について

1 小泉総理は八月十五日に靖国神社へ総理大臣として参拝することを明らかにしているが、すでにアジア諸国から強い批判がある。総理が国際協調を言いながらこれに反する行動をあえてとる理由は何か。加害者はその傷の痛みを忘れるのが常だが、被害者の心情に思いを及ぼすことは当然の配慮ではないかと思うがどうか。

2 一九九九年八月六日当時の野中官房長官は、政府として総理大臣はじめ、すべての国民が「慰霊」を行うことができ、各国首脳が来た時に献花できる環境を考えること、靖国神社は宗教法人格をはずし、特殊法人とし国家の責任で祭る、合祀されているA級戦犯を分祀するなどと政府の方針を示したが、小泉内閣はこの見解をどう受け止めているか。かつて故�ケ小平氏が「もし、日本でA級戦犯が分祀されるなら、私も日本にいった時に献花する」と語ったと聞いているが、総理はアジア諸国の思いをどう考えているのか。

3 この問題はこれまでも様々な経緯があり、ごく僅かの例を除いて総理の公式参拝は見合わされてきた。国民はもとより野党ならびに連立与党の中でも異論のあるところで、総理大臣としての靖国神社参拝は再考すべきだと考えるがその考えはあるか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一の1について

政府としては、聖域なき構造改革の一環として、政治の分野における構造改革を進めることとしており、首相公選制についての検討のみならず、選挙制度を始めとする様々な政治のシステムの在り方について不断の見直しをしていく必要があると考えている。

また、国民の政策形成への参加を促進していくことも改革の重要な柱であり、国民との積極的な対話を通じて、政策検討の過程を国民に明らかにし、広く理解と問題意識の共有を図っていくこととしている。このため、関係閣僚などが出席するタウンミーティングの開催、「小泉内閣メールマガジン」の発刊などに取り組んでいるところである。

一の2及び3について

首相公選制については、国民の政治参加の途を広げることの重要性から、政治の現実的課題として取り上げられていいのではないかと考えており、懇談会を早急に立ち上げ、憲法学や政治学の学者など、多くの識者の意見を聴きながら、慎重に検討を行い、国民的な議論を提起するための具体案を提示したいと考えている。

一の4から6までについて

健全な議会制民主主義の維持、発展のためには、選挙制度についての不断の見直しが必要であると考えている。衆議院については、小選挙区比例代表並立制の下で、既に二回の総選挙が行われているが、現行制度についても、見直すべき点があればこれを見直すべきであると考えている。

また、一票の格差の是正は極めて重要な問題と認識しているところ、現在、衆議院議員選挙区画定審議会において、平成十二年の国勢調査を踏まえ、選挙区間の人口格差が二倍以上にならないことを基本に選挙区の見直し作業が進められ、平成十三年十二月までに改定案の勧告がなされることとなっていることから、当面は同審議会の作業を見守ってまいりたい。

なお、御指摘の法律の取扱いと衆議院議員の総選挙の実施時期とを関連付けて論ずることは適当でないと考えている。

一の7及び8について

政党の改革や運営に関する問題については、それぞれの政党が、政治に対する国民の信頼を確立する等の観点から適切に対応すべきものと考えている。

二の1について

外務省においては、大臣と事務当局との信頼関係を構築しつつ組織改革を進めているところであり、今後とも、国際社会における日本国及び日本国民の利益の増進を図っていく考えである。

二の2について

小泉内閣総理大臣は、田中外務大臣を信頼しており、同大臣が引き続き外交政策の責任者として、諸案件の処理に全力を注ぐものと期待していると承知している。

二の3について

外務省においては、平成十三年六月六日に発表した外務省改革要綱において、外務省の報償費の改革方針を明らかにしたところであり、今後、この方針に基づき、報償費の厳正かつ効率的な執行の徹底を図っていくこととしている。

二の4について

小泉内閣総理大臣は、内閣官房の報償費に係る質問に対する塩川財務大臣の答弁が無責任であるとは考えていないと承知している。

二の5について

内閣官房の報償費については、今回の不祥事を契機に点検を行ってきたところであるが、その結果も踏まえ、平成十三年度の予算の執行について、次のような考え方の下で、厳正かつ効率的な執行の徹底を図っているところである。

(一) 報償費は、内政、外交を円滑かつ効果的に遂行するための経費であり、その目的にかなうものでなければならない。

(二) 報償費については、右の目的に照らして、これまでの経緯にとらわられることなく、その都度厳正に吟味を行った上で、内閣官房長官の判断に基づき執行する。

(三) 報償費の執行に当たって、事務処理の補助が必要となる場合には、複数の担当者に当たらせて二重のチェックを徹底する。

こうした執行の状況を踏まえながら、今年度の具体的な減額や平成十四年度予算の在り方を検討することとしている。

三の1及び3について

小泉内閣総理大臣は、今日の我が国の平和と繁栄は戦没者の尊い犠牲の上にあり、その気持ちを表することは当然であって、二度と戦争を起こしてはならないという気持ちからも、靖国神社に参拝する考えを有しているが、公式参拝として行うか否かについては、我が国国民や遺族の思い、近隣諸国の国民感情など、諸般の事情を総合的に考慮し、慎重かつ自主的に検討した上で判断すべきであると考えていると承知している。

三の2について

御指摘の野中内閣官房長官(当時)の発言は、個人的な見解として示されたものと承知している。いずれにしても、平和国家としての道を歩み、諸国民との友好増進を念願する我が国としては、国際関係を重視し、近隣諸国の国民感情にも適切に配慮しなければならないと考える。

衆議院の原文

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