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国内初の狂牛病患畜発生後の政府の対応に関する質問主意書
衆議院 第153回 第8号
質問本文
日本国内における初の牛海綿状脳症(狂牛病)に感染した乳用牛が発生したことが九月二一日、英国獣医研究所の診断によって確認された。狂牛病の感染源だといわれている異常プリオンを含む肉骨粉の危険性を承知していながら、流通を禁止するなどの十分な措置を講じてこなかった農水省の責任は重大である。肉骨粉の流通ルートなど事実を解明するため、以下質問する。
一 ここ二〇年の肉骨粉の年度別・国別輸入実績を明らかにされたい。またその肉骨粉を輸入した業者のすべて及び業者ごとの量を明らかにされたい。明らかにできない場合、それはなぜか、合わせて述べられたい。
二 一で輸入した肉骨粉は、どのような用途に、どの程度、消費されてきたか、明らかにされたい。
三 農水省は一〇月四日から狂牛病の主な感染源とされている肉骨粉等の輸入・製造・出荷について当分の間、一時停止の措置を講じて、その感染経路を遮断するとしている。すでに流通し使用されているもの、また流通過程にあるものについてはどう考えているか。
四 NHKが九月一六日、放送した『NHKスペシャル』では、英国農水省は三三三トンの肉骨粉を日本に輸出した記録が「英国狂牛病調査報告書」にあるが、日本はそうした記録はないとしている。その相違はなぜ生じたと考えているか。その事実関係とともに明らかにされたい。
五 わが国初の狂牛病であることが判明した千葉県の酪農家が飼育していた当該患畜の、肉骨粉摂取状況を明らかにされたい。
六 農水省に一月一〇日、「牛海綿状脳症(BSE)に関する質問書」を提出、同月一二日に質問書に沿って回答および説明を受けた。その際、飼料としての肉骨粉をウシに提供していないと明言されたが、その後の調査では九月二六日現在、一一道県で引き続き提供していたことが明らかになった。こうした事実をどう考えているか。またその肉骨粉の入手および販売ルートを明らかにされたい。
七 農水省は九六年四月、肉骨粉をウシなどに与えないよう行政指導をしてきたが、それがどれほどの強制力があり、その効果はどうであったか。その後も肉骨粉が与えられる危険性があるとは考えなかったか。またその後も与えられていたのは、なぜか。その責任をどのように取るべきだと考えているか。
八 狂牛病に感染したウシは発病まで二〜八年程度の潜伏期間があり、発症すると二週間から六か月で死亡に至るという。感染したウシの潜伏期間にそれを食すなどした場合に感染する危険性についてはどう考えているか。
九 武部勤農水大臣は九月二六日、参議院農林水産委員会で「いろいろな不手際」があり「国民の間に一層の不安を助長」したという状況に「深く反省している」と述べた。どういった「不手際」があって、どのような「不安」を来たしたとして「反省」しているのか。具体的に述べられたい。また今後、こうした「不安」をどのように解消していくと考えているか。
右質問する。
政府答弁書
一について
我が国の貿易統計によれば、骨付きの肉片や肉くず等を原料として製造されるいわゆる肉骨粉の年別・国別輸入実績は別表のとおりであり、過去二十年間に毎年約二十万トンの輸入実績がある。
なお、お尋ねの肉骨粉を輸入した業者及び業者ごとの輸入量については、企業の内部情報であることから答弁は差し控えたい。
二について
直近の二千年度の肉骨粉の輸入量を貿易統計でみると、約十七万トンであるが、その用途については統計上不明である。このため、輸入された肉骨粉の用途について配合飼料の製造業者から聞き取り調査及びアンケート調査を実施したところ、約十二万トンが家畜用飼料として利用されていることが推計され、残りの約五万トンがその他の養魚用飼料、ペットフード用、肥料用等に利用されているものと推測される。
三について
飼料の安全性の確保等を図るため、飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(昭和二十八年法律第三十五号。以下「飼料安全法」という。)では、飼料の製造等に関する規制措置を定めているが、飼料安全法第二条の二第一項に基づく飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令(昭和五十一年農林省令第三十五号。以下「成分規格等省令」という。)を改正し、本年九月十八日以降、反すう動物及びミンクに由来するたん白質を牛用飼料として製造することや使用することを禁止したところである。
また、飼料の製造業者に在庫として存在する肉骨粉、血粉その他の動物由来のたん白質を原料とするものについては、本年十月四日以降、これらの出荷の一時停止並びにこれらを含む飼料の製造及び出荷の一時停止を当該製造業者に要請したところである。
さらに、この一時停止の実効性をより確実にするため、成分規格等省令を再度改正し、同月十五日以降、動物由来のたん白質を飼料として製造し、出荷することを禁止したところである。
四について
欧州連合の統計では、千九百九十年から千九百九十六年までに英国から三百三十三トンの肉骨粉が我が国に輸出されたとの記録がある。しかしながら、我が国の貿易統計及び農林水産省動物検疫所の統計によれば、当該期間における英国からの肉骨粉の輸入実績はない。このような我が国の統計と欧州連合の統計との相違を解明するため、本年九月二十六日に英国に農林水産省の担当官を派遣し、英国政府(環境・食料・農村地域省)と協議を行ったところであるが、今般、英国政府から、
1 英国の統計の再精査の結果、日本に対して輸出が許可されたとされる量は、三百三十三トンではなく、合計百六十六トンであること
2 統計上の数量の違いについては、英国の担当部局による輸出国名や品目名の入力ミス等の原因によるものである可能性が高いこと
3 百六十六トンの輸出内容は、フェザーミール(羽毛粉)等鳥由来の製品である可能性が高いこと
との正式な回答を得たところである。
五について
本年九月十日から千葉県及び北海道の家畜保健衛生所の家畜防疫員が、関連農場等に対して立入検査及び聞き取り調査を実施した結果、牛海綿状脳症の患畜(乳用牛五歳)が確認された千葉県の農場及び北海道の患畜の生産農場において給与されていた配合飼料及びその他の飼料の銘柄が明らかになった。この結果を基に、同月十二日から独立行政法人肥飼料検査所(以下「肥飼料検査所」という。)の職員がこれらの飼料の製造工場に対する立入検査及び収去したサンプルの顕微鏡検査を実施し、また、千葉県及び北海道の職員が聞き取り調査を実施した結果、患畜に給与されていた飼料と同じ銘柄の飼料には、肉骨粉が使用されていなかったことが確認されている。
六及び七について
牛等の反すう動物由来の肉骨粉、血粉その他のたん白質を原料とするもの(以下「牛由来肉骨粉等」という。)の牛への給与については、「反すう動物の組織を用いた飼料原料の取扱いについて」(平成八年四月十六日付け農林水産省畜産局流通飼料課長通達)を飼料の製造業者及び販売業者、農業者の団体、都道府県等に対して発出し、その適切な取扱いについて周知したところである。これと併せて、全国の牛用配合飼料の製造業者に対して肥飼料検査所の職員が飼料安全法に基づく立入検査(一工場当たり年二回程度)を実施し、牛用配合飼料に牛由来肉骨粉等が使用されていないことを飼料工場において確認してきたところであり、この指導通達は一定の効果を果たしてきたと考えている。
しかしながら、今般、牛由来肉骨粉等が補助飼料等として、極わずかではあるが農家において使用されていたことが確認されたことは残念なことである。これまで国の補助事業により、農家段階で牛由来肉骨粉等を牛用飼料として使用しないよう、都道府県による畜産農家に対する地区講習会の開催を通じた啓発指導や巡回指導を実施してきたところであるが、今後は、動物由来のたん白質を飼料として使用禁止することを内容とする改正後の成分規格等省令の実効が確保されるよう万全を期してまいりたい。
なお、牛由来肉骨粉等を牛用補助飼料等として使用していた農家が、これらの補助飼料等を入手したルートについては、現在、農林水産省と都道府県とが協力して調査中である。
八について
牛海綿状脳症の人への感染機序については、いまだ十分に解明されておらず、人が牛海綿状脳症の潜伏期間中の牛の危険部位を食べることにより、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病に感染することについての科学的知見は得られていない。
なお、本年十月十八日から都道府県等の食肉衛生検査所等において、食用に供するすべての牛について、異常プリオンに関する検査を実施するとともに、と畜場法施行規則(昭和二十八年厚生省令第四十四号)を改正して、異常プリオンが蓄積するとされる脳、眼、せき髄等を食肉処理時において除去し、焼却することを義務付け、食肉等の一層の安全確保を図ったところである。
九について
武部農林水産大臣が本年九月二十日の参議院農林水産委員会で「いろいろな不手際」があり「国民の間に一層の不安を助長」したという状況に「深く反省している」と述べたのは、農林水産省と厚生労働省との連携が徹底しなかったこと、農林水産省内の連絡体制が十分に機能しなかったこと等から、対応に混乱を来し、食肉等の安全性に対して国民に不安を与えたことを述べたものである。
今後は、農林水産省において「報告、連絡、相談、点検、確認」を徹底し、同省内の連絡体制の強化を図るとともに、同省と関係省庁、都道府県との密接な連携をとりながら、食肉等の安全性に対する不安が解消されるよう、積極的な情報の提供に努めつつ、速やかに必要な措置を講じてまいる所存である。
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