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「武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案」等有事関連三法案に関する質問主意書

衆議院 第154回 第74号お答えすることは困難 ×2検討してまいりたい ×2個別の事案 ×2

提出者
民主党・無所属クラブ
提出日
2002年5月24日
内閣転送 2002年5月27日
答弁書受領日
2002年5月31日
提出から7日
答弁の項目数
28
質問 4,384字/答弁 8,383字

質問本文

「武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案」に関し、以下について質問する。

一 政府は、五月十六日に本法案の「武力攻撃事態」について、「おそれのある場合」「予測されるに至った事態」の定義に関する統一見解を示した。即ち、

〇「予測されるに至った事態」とは「我が国に対する武力攻撃の意図が推測され、武力攻撃を行う可能性が高いと客観的に判断される事態」、

〇「おそれのある場合」とは「我が国への武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していることが客観的に認められる事態」、

とされている。

この定義について、

1 「武力攻撃の意図を推測」したり、「客観的に判断」あるいは「認める」のは、誰が、どのように行うのか。

2 政府は、ある事態が「武力攻撃事態」に該当するか否かは、個別具体的に「客観的に判断される」、「客観的に認められる」場合としている。この場合、「客観的」な判断基準は何か。また本法の恣意的な適用を避けるためにも、適用に際して「対処基本方針」に、その客観的な理由を具体的に示すようにするべきと考えるがどうか。また、出来ない場合、それはいかなる理由によるのか。

3 「国に準ずる者」について、「予測されるに至った事態」や「おそれのある場合」については、具体的例示ないし客観的な基準が十分示されていない。具体的に、どのような者による、どのような行為が想定されるか。

4 自衛隊法第七十八条に定める「治安出動」の対象とされている「間接侵略」は、本法案における「武力攻撃事態」にあたる場合はありえないのか。本法案の「対処基本方針」に、「治安出動」が含まれる場合があるか。本法と「治安出動命令」との関係はどのようになっているのか。

5 以上、定義については未だ曖昧な点が多いが、少なくともこの定義を法文上明記することが必要と考えるが、政府の方針はどうか。必要でないと考える場合には、その理由は何か。

二 本法案第九条第十三項並びに第十四項によれば、「対処措置」の終了について、内閣総理大臣の判断により「対処基本方針の廃止」を閣議決定の後、国会に報告し公示することとなっている。しかし、対処措置を実施する必要がなくなったと国会が判断した場合の規定がない。民主的統制をより確実に担保するため、武力攻撃事態への「対処措置」を国会の決議などにより終わらせる規定を置くべきと考えるが、この規定を置くことについて、法制上の何らかの支障はあるか。法制上の支障がないとすれば、この規定を入れることに関しての見解はどうか。

三 本法案第九条に規定される「対処基本方針」の国会による承認手続きによれば、「予測されるに至った事態」における「対処基本方針」の国会承認は、「対処措置」が開始された後になってもよい形式になっている。しかし、「予測されるに至った事態」では、原則として事前の国会による承認とされている「防衛出動」時と比べて、緊急度が高いとは言えない。これについて、

1 民主的統制の観点から、「対処基本方針」は、「防衛出動」と同じく、原則として事前の国会承認とすべきと考えるが、そうすることによる法制上の不都合はあるのか。

2 法制上不都合がない場合、本法案ではどのような理由で事後の承認としているのか。

四 「武力攻撃事態」においては、迅速かつ的確な対応が求められる一方で、「対処基本方針」の一部について国会の同意が得られない場合において、問題の部分を除外した部分について国会の承認がなされ、「対処措置」の実施に移れるような規定を設けるべきと考えるがいかがか。

五 本法案第三条第四項において、「日本国憲法の保障する国民の自由と権利が尊重されなければならず、これに制限が加えられる場合は、その制限は武力攻撃事態に対処するため必要最小限のものであり、かつ、公正かつ適正な手続の下に行われなければならない。」と規定されているが、本規定によって基本的人権は、具体的にはどのように保障されるのか。「必要最小限のものであり、かつ、公正かつ適正な手続」と判断する具体的な基準は何か。今後の法整備にあたって、各個別法が本規定に反しないということを政府はどのように担保するのか。

六 本法案第二十二条に示された「事態対処法制の整備」について、第二十三条で「二年以内を目標」としているが、極めて曖昧な規定の仕方であって、何ら政府を拘束するものとなっていない。「その緊要性にかんがみ」としつつも、なぜ「二年」であり、なぜ「目標」であるのか。

七 本法案第二十四条において、武力攻撃事態以外の緊急事態への対処への施策を講ずるとしている。

1 具体的に、テロや不審船への対応について、政府は現行法制で十分対処は可能であるという認識か。

2 十分とする場合、現在の法制をどのように適用するのか、具体的な法令、適用条文を挙げての説明を求める。

3 不十分とする場合、具体的にどのような点が不十分と認識しているか。

八 「武力攻撃事態」への対処にあたって、本法案で規定される「対処基本方針」の国民への「公示」はどのように行うのか。刻々と変化する情勢、政府の対応状況など、国民への適正な情報公開・提供について、政府の責務として法文上に明記すべきと考えるが、どうか。さらに、公権力の行使に伴って生じた人権の制約に係る事実関係について、必ず公表するように明記する必要があると考えるが、どうか。

九 「武力攻撃事態」における司法手続について、政府は法整備の方針を本法案に明記すべきと考えるが見解はどうか。「武力攻撃事態」において、国民の権利が侵害されたときの不服申立て・補償・賠償などに関する規定、具体的手続などを可能にするために事後の司法審査についての具体的な法律の整備や手続きについて方針を明示すべきと考えるが、どうか。

十 本法案第二十一条第二項で、事態対処法制の整備への基本方針で、国際人道法の的確な実施の確保が謳われているが、文民保護、非人道的行為の処罰、捕虜の待遇等を定めるジュネーブ条約関連の国内法整備は、他の個別法適用の前提となるものであり、具体的にいつまでにどのような方針で整備するのか。

十一 政府は、本法案を「武力攻撃事態」における大枠を定める基本的法律としながら、これまで地方公共団体との十分な協議もなく、地方公共団体への「指示」、「代執行」を定めた。これは、地方自治の本旨をないがしろにするものである。地方公共団体は、具体的にどのような責務を負うことになるのか、そのためにどのような態勢整備と予算措置が必要となるのか。

十二 政府答弁では、「報道の自由を制約するものではない」としているが、法律上ではそのようなことは担保されていない。本法案で「報道の自由を保証する」旨、明記すべきと考えるがどうか。また、NHK以外の報道機関は、「報道の自由」の観点から、指定公共機関から除外すべきであると考えるが、政府の見解はどうか。

十三 本法案第二条第四項で、指定公共機関を政令で定めるとしているが、指定公共機関については法文上で明記すべきと考える。本法案並びに事態対処法制の個別法に明記するとの趣旨を本法案に書き込むべきと考えるがどうか。

十四 指定公共機関への「指示」が実施されない場合等の対処措置は、具体的にはどのように実施するのか、その方針・内容、手続きについて明示されたい。また、指示により損害が生じた場合の措置について、どう考えているのか。

十五 「周辺事態」との関係が未だに曖昧である。「周辺事態」のいわゆる六類型との関係について、政府は六類型すべての「周辺事態」と「予測事態」との同時認定を否定していないが、六類型ごとに可能性について説明されたい。

十六 「周辺事態」と「我が国への武力攻撃が発生した」事態が並存した場合、わが国周辺において活動する米軍に対して武器・弾薬は提供されるのか。その可否において、憲法や集団的自衛権との関係はどうか。

十七 「周辺事態」と「武力攻撃が予測される事態」とが並存した場合、地方公共団体と国との関係について、「協力」と「指示」とをどのように区別するのか。「協力」しなかった場合と「指示」に従わなかった場合、どのような違いがあるか。

十八 政府答弁では、米軍に対しては、日本法令を尊重する義務を負うという任意規定だけで、原則として日米地位協定以外には、なんら行動を縛られることはないとしている。米軍の行動について、現在の日米地位協定を見直す考えはないか。

十九 「武力攻撃事態」における行動に際して、米軍が万一、日本国民の生命・身体に危害を与えたり、人権や財産を侵害した場合の措置について、政府の対応方針を明示願いたい。特に、この場合、補償や救済措置は直接米軍に請求することになるのか、あるいは日本政府に請求することとなるのか。

二十 万一、内閣総理大臣が何らかの事情で任務遂行が不可能になった場合、本法案で規定されている権限の承継順位について、法案には規定がないが、政府はどのように対処する考えか。承継順位や手続等を法文上明記すべきではないか。

二十一 万一、国会が開会できない状況であった場合には、「対処基本方針」の承認手続きをどうするのか。

「自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案」について、以下質問する。

二十二 政府答弁では、戦闘行為が始まった場合、「戦闘地域」では自衛隊法第八十八条に基づく行動であれば、あらゆる武力の行使に係る行動について違法性が阻却されるとのことであるが、この解釈と、「武力攻撃事態」への「対処措置」との関係を整理する必要があると考える。「戦闘地域」の範囲はどのように定義され、法律上どのように規定されるのか。特に、「武力攻撃事態対処法案」及び同法案で整備される予定の個別法において、どのように規定されるのか。その場合、「戦闘地域」に残された市民の基本的人権の保障については、政府としてどのように考えているのか。

「安全保障会議設置法の一部を改正する法律案」について、以下質問する。

二十三 安全保障会議の下に、平時から存在する機関として「事態対処専門委員会」の設置が規定されており、「対処基本方針」などの策定作業で、実質的に相当な影響力を持つと考えられるが、想定される活動の概要、運営や組織のあり方、予算はどのようなものか。

二十四 「事態対処専門委員会」の「委員は内閣官房及び関係行政機関の職員のうちから」(第八条第五項)としているが、委員は関係行政機関の職員だけで十分であるか。広く民間などからも危機管理の専門家を常任委員とする方針はないか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一の1について

今国会に提出している武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案(以下「武力攻撃事態対処法案」という。)においては、武力攻撃事態の認定は、武力攻撃事態への対処に関する基本的な方針(以下「対処基本方針」という。)に記載されることとされており、この対処基本方針は、内閣総理大臣が安全保障会議(安全保障会議設置法(昭和六十一年法律第七十一号)第一条の「安全保障会議」をいう。)に諮問し、同会議において審議をした後、閣議において決定し、国会の承認を得ることとされている。

一の2について

「客観的に判断される」又は「客観的に認められる」とは、様々な事象の存在を主観を交えず合理的に判断して、「我が国に対する武力攻撃が発生する可能性が高い」又は「我が国への武力攻撃が発生する明白な危険が切迫している」と認められるという趣旨である。

対処基本方針において武力攻撃事態の認定について定めるに当たっては、我が国の情報能力を明示することとなり国の利益を損なう場合等不適当な場合を除き、認定の根拠となった事実等を可能な限り具体的に記載することを考えている。

一の3について

武力攻撃事態の認定は、事態の現実の状況に即して個別具体的に判断されるものであり、さらに、お尋ねの国に準ずる者の行為について想定を示すことは困難である。

一の4について

武力攻撃事態とは、武力攻撃(武力攻撃のおそれのある場合を含む。)が発生した事態又は事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態をいうが、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第七十八条にいう「間接侵略」は、外部からの武力攻撃には該当しないものである。

しかしながら、武力攻撃に該当しない間接侵略が発生し、「事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態」となれば、当該事態は、武力攻撃事態に当たるものである。この場合において、対処措置として治安出動が行われる場合には、対処基本方針に、当該治安出動に関する記載がなされることはあり得るものと考える。

一の5について

武力攻撃事態については、御指摘の五月十六日に政府が示した見解において具体的な説明が行われていることから、この見解における説明内容を武力攻撃事態の定義として法文上規定することは考えていない。

二について

武力攻撃事態対処法案においては、対処措置を実施する必要がなくなったと認めるときは、対処基本方針を廃止する閣議決定を行う旨を定めており、武力攻撃事態が終了し、一連の対処措置の必要がなくなれば、対処基本方針を速やかに廃止することとなる。また、政府が、対処基本方針についての国会の審議等を通じて示された国会の意思を尊重することは当然のことである。

三について

事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態においても、国民の被害を防止するための警報の発令、避難の指示等の措置、自衛隊の防衛出動待機命令及び防御施設構築の措置等を迅速に実施することが必要であるため、このような事態においても、対処基本方針を定めた後、直ちに国会の承認を求めることとしている。

なお、自衛隊法第七十六条の防衛出動については、武力攻撃事態への対処において中心的な位置を占める自衛隊の対処措置の中でもその中核をなすものであり、防衛出動を命ぜられた自衛隊は、我が国を防衛するため、必要な武力を行使することができることとなることから、その重要性にかんがみ、現行自衛隊法においても原則としてあらかじめ国会の承認を得ることとされているところである。

これに対し、防衛出動待機命令等については、現行自衛隊法では国会承認の対象とされていないが、今般、対処基本方針に記載し、新たに国会の承認を得ることとしたものである。

四について

対処基本方針についての国会の承認の求めは、当該対処基本方針を全体として承認するか否かという観点から国会の決定を求めるものであると考えており、部分承認等は考えていない。しかし、仮に、対処基本方針の一部について、これを行うべきではないとの国会の意思が議院の議決等により明示されれば、例えば、当該対処基本方針を変更した上で改めて国会の承認を求める等、政府としてこれを尊重して対応することは、法律に定めるまでもなく当然のことであり、御指摘のような規定を置く必要はないと考える。

五について

御指摘の規定は、基本理念として、憲法の保障する国民の自由と権利の尊重について明記しているものであり、武力攻撃事態への対処は、この基本理念にのっとって行われるべきものである。

武力攻撃事態への対処のために、国民の権利に「必要最小限」の制限が加えられるとしても、その内容については、武力攻撃事態対処法案の枠組みの下、今後整備する法制において個別具体的に対処措置を定めていく際に、制限される権利の内容、性質、制限の程度等と権利を制限することによって達成しようとする公益の内容、程度、緊急性等を総合的に勘案して、定められるべきものと考えている。

また、「公正かつ適正な手続」とは、公権力が国民に不利益を課す場合には、不利益を課す根拠規定が法律で定められなければならないこと、当該根拠規定が明確であり、かつ規定の内容が合理的でなければならないこと、手続面においてもその過程が適正かつ明確でなければならないことという要件を満たす必要があるとの考え方である。

今後整備する事態対処法制において、権利の制限について定めることとする場合は、その制限が武力攻撃事態に対処するため必要最小限のものであり、かつ、公正かつ適正な手続の下に行われることとなっているか否かについて、政府において十分に検討し、更には国会において御審議いただけるものと考えている。

六について

事態対処法制の整備に当たっては、関係機関の意見や、国民的議論の動向を踏まえながら、十分な国民の理解を得られるような仕組みを作る必要があると考え、法制整備の目標期間を「二年」以内としたものである。また、政府としては、この期間において法制の整備が図られるよう最大限の努力をするという趣旨から、この期間を「目標」としたものである。

七について

武力攻撃事態以外のテロ及び不審船事案については、これまで、警察・海上保安関係法、自衛隊法等によって所要の対処態勢を整えてきている。かかる態勢は、情勢の変化等に対応して不断の見直しを行う必要があるため、法制面の問題を含め引き続き検討してまいりたい。

テロ及び不審船に対しては、警察及び海上保安庁(以下「警察機関」という。)が、警察法(昭和二十九年法律第百六十二号)第二条、警察官職務執行法(昭和二十三年法律第百三十六号)第二条、第五条及び第七条、海上保安庁法(昭和二十三年法律第二十八号)第二条、第十七条、第十八条及び第二十条等の規定に基づいて第一次的に対処するが、警察機関によって対処することが不可能又は著しく困難な場合等には、自衛隊法第七十八条から第八十二条まで、第八十九条から第九十一条の二まで、第九十二条の二及び第九十三条の規定に基づいて、自衛隊が警察機関と連携しつつ対処する。

八について

公示については、特に重要かつ緊急を要する事項についてテレビ、ラジオ等を通じて発表する等、当該公示の内容等に応じて様々な方法を用いることが考えられる。

また、武力攻撃事態対処法案は、対処基本方針の変更について、閣議の決定があったとき及び国会の承認があったときは、当該対処基本方針の変更を、対処基本方針の廃止につき閣議の決定があったときは、対処基本方針が廃止された旨及び対処基本方針に定める対処措置の結果を、公示しなければならない旨を定めているところである。

いずれにせよ、政府としては、行政府と立法府の統一的な意思決定の下で武力攻撃事態に対処していく観点から、国会の判断に必要な情報を可能な範囲で開示することはもとより、武力攻撃事態への対処に際し、国民の協力が得られるよう、日ごろから情報の提供等国民の広い理解を得るための様々な努力を実施する考えである。

なお、武力攻撃事態への対処に際して制限される権利の内容や当該制限に係る手続等については、今後の事態対処法制の整備において、この武力攻撃事態対処法案の枠組みの下、慎重かつ適切に検討することとしている。

九について

武力攻撃事態における司法手続等については、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)や行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)等の既存の法令に従うこととなるが、武力攻撃事態という特殊な状況下における手続であることから必要とされる具体的な手続等の整備についても、今後の事態対処法制の整備に併せ、慎重かつ適切に検討してまいりたい。

十について

武力攻撃事態対処法案第二十一条第二項において、「事態対処法制は、国際的な武力紛争において適用される国際人道法の的確な実施が確保されたものでなければならない」と定められており、また、武力攻撃事態対処法案第二十三条には、事態対処法制を「二年以内を目標として」整備することとしているところである。

十一について

武力攻撃事態対処法案第十五条の指示や国による対処措置の実施については、「別に法律で定めるところにより」その要件等を具体的に定めた上で実施できることとなるものである。武力攻撃事態という状況下においては、万全の措置を担保するこれらの措置が必要であるところ、その要件等を定める法律を適切に定めることとしており、地方自治の本旨をないがしろにするとの御指摘は当たらない。

なお、地方公共団体の具体的な役割、対処措置を実施するための体制及び財政措置等については、今後整備していく「国民の保護のための法制」等において定めることとしている。

十二について

武力攻撃事態対処法案では、基本理念として、「日本国憲法の保障する国民の自由と権利が尊重されなければならず、これに制限が加えられる場合は、その制限は武力攻撃事態に対処するため必要最小限のものであり、かつ、公正かつ適正な手続の下に行われなければならない」と明記しているところである。また、報道の規制など言論の自由を制限することはもとより考えておらず、今後整備する事態対処法制においても報道の自由を含む国民の自由と権利が尊重されることは当然である。このようなことから、「報道の自由を保障する」旨の規定を置く必要はないと考えている。

また、放送事業者については、警報等の緊急情報の伝達のために指定公共機関として指定することを考えている。民間放送事業者が指定される可能性はあるが、現時点では、日本放送協会を主として考えている。新聞については、警報等の緊急情報の伝達の役割を担うことは一般には考えにくい。

実際にいかなる機関を指定公共機関として政令で指定するかについては、今後、個別の事態対処法制に定める事項ごとに当該機関の業務の公益性の度合いや、武力攻撃事態への対処との関連性などを踏まえ、当該機関の意見も聴きつつ、総合的に判断することとなる。

十三について

指定公共機関が実施する対処措置については、武力攻撃事態対処法案第二条第六号において、「法律の規定に基づいて実施する」ものと定められている。

今後整備される個別の事態対処法制においては、指定公共機関に実施を求めることが必要となる対処措置の具体的な内容が法定されることから、指定の対象となる公共機関の範囲も明らかになるものと考えている。

したがって、個別の機関の指定については、政令により定めることとしても差し支えないものと考えている。

十四について

武力攻撃事態対処法案第十五条第二項により、指定公共機関において指示に基づく所要の対処措置が実施されない場合には、別に法律で定めるところにより、国が自ら当該対処措置を実施することが可能であるが、これは、国が当該指定公共機関の対処措置を代わって実施する能力を有し、かつ、それを実施することが適切な場合に限られるものである。このような場合は、極めて限定されると考える。具体的には、今後、国民の保護のための法制等の整備に当たって検討していくことになる。また、国の指示に基づく措置の実施により指定公共機関が損失を受けたときは、武力攻撃事態対処法案第十六条の規定により、その損失に関し、必要な財政上の措置を講ずるものとしている。

十五について

武力攻撃事態及び周辺事態(周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律(平成十一年法律第六十号。以下「周辺事態安全確保法」という。)第一条の「周辺事態」をいう。以下同じ。)は、個別具体的な状況を踏まえて、それぞれの法律上の要件に該当するかが判断されるものである。したがって、御指摘の周辺事態の例のそれぞれの場合について武力攻撃事態の認定が行われる可能性について一義的にお答えすることは困難である。

十六について

お尋ねの場合において、周辺事態への対応としてのアメリカ合衆国軍隊(以下「合衆国軍隊」という。)に対する支援は、周辺事態安全確保法に基づいて行われることとなるが、周辺事態安全確保法に基づく支援においては、米側が武器(弾薬を含む。)の提供を受けることを必要としなかったことから、武器(弾薬を含む。)の提供は含まれないこととされている。

他方、我が国に対する武力攻撃が発生した事態への対応としての合衆国軍隊に対する支援については、今後、米側のニーズも踏まえ、具体的に検討し、必要な法制を整備することとなるが、我が国に対する武力攻撃が発生した場合には、我が国は、我が国を防衛するため必要最小限度の武力の行使をすることができるから、我が国を防衛するために行動している合衆国軍隊に対する支援は、一般に憲法第九条との関係で問題が生ずることはないと考える。

十七について

周辺事態安全確保法に基づく協力の求めと武力攻撃事態対処法案に基づく指示については、それぞれ別個の法律上の判断に基づき、その法律上の位置付けを明示した上で実施するものである。

周辺事態安全確保法に基づく協力の求めについては、地方公共団体の長は、関係行政機関の長からの求めがあったことを前提として、権限を適切に行使することが法的に期待されることとなるが、武力攻撃事態対処法案に基づく指示については、地方公共団体の長は、これに従う法律上の義務を負うものである。

十八について

合衆国軍隊は、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に我が国を防衛することを主たる目的の一つとして我が国との合意に基づき駐留しているものである。合衆国軍隊は、武力攻撃事態においても、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号。以下「日米安保条約」という。)及び日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「日米地位協定」という。)、国際連合憲章、国際人道法等の国際法に従って行動することとなる。また、一般国際法上、駐留を認められた外国軍隊には特別の取決めがない限り接受国の法令は適用されないが、接受国の法令を尊重しなくてはならないことは、当該軍隊を派遣している国の一般国際法上の義務である。このことは、我が国に駐留する合衆国軍隊についても同様であり、かかる考えに基づき、日米地位協定第十六条には合衆国軍隊の構成員及び軍属による我が国法令の尊重義務が定められているところである。

したがって、日米地位協定の改正は検討していない。

十九について

武力攻撃事態においては、合衆国軍隊は、我が国に対する武力攻撃を排除し、我が国及び国民の安全を守るために行動することとなるが、我が国に駐留する合衆国軍隊は、一般国際法上我が国の国内法令を尊重する義務を有していること、また、武力攻撃事態において合衆国軍隊は日米安保条約及び日米地位協定、国際連合憲章、国際人道法等の国際法に従って行動すること、にかんがみれば、武力攻撃事態における合衆国軍隊の行動が国民の基本的人権を不当に侵害することは一般に想定されない。

なお、武力攻撃による国民の被害には様々な場合があり、個別具体的な判断が必要と考えている。いずれにせよ、このような被害に対する補償の問題については、武力攻撃事態終了後の復興施策の在り方の一環として、政府全体で検討すべきものと考えている。

二十について

内閣総理大臣に事故のあるとき、又は内閣総理大臣が欠けたときは、そのあらかじめ指定する国務大臣が臨時に内閣総理大臣の職務を行うこととなる旨、内閣法(昭和二十二年法律第五号)第九条に定められている。小泉内閣においては、内閣発足に当たり、内閣総理大臣の臨時代理をあらかじめ第五順位まで指定して危機管理に備えており、万一の場合には、五人のうちで最も先順位の者一人が臨時代理となる。

したがって、武力攻撃事態対処法案において、承継順位や手続等を明記する必要はないと考えている。

二十一について

対処基本方針については、これを定めた後、直ちに国会の承認を求めることとしている。また、自衛隊の防衛出動についても、原則として、まず、国会の承認を求める旨を対処基本方針に記載し、別途国会の承認が得られた場合に出動を命ずることとされているが、特に緊急の必要があり事前に国会の承認を得るいとまがない場合には、対処基本方針に防衛出動を命ずる旨を記載して、防衛出動を命ずることができる。

万一国会が開会できない状況であった場合には、国会の機能が回復し次第、直ちに事後の国会承認を求めることとなる。

二十二について

自衛隊法第七十六条第一項の規定により防衛出動を命ぜられた自衛隊は、我が国を防衛するため、同法第八十八条に基づき、国際の法規及び慣例によるべき場合にあってはこれを遵守し、かつ事態に応じ合理的に必要と判断される限度内において、必要な武力を行使することができるとされている。

そもそも、外部からの武力攻撃が行われる際には、相手方は地域にとらわれず全く自由な作戦行動をとり、国民の生命や財産を脅かすものであり、自衛隊は、国民の生命や財産を守るため、敵を排除するという戦闘行為を行うこととなる。

このような戦闘行為に際し、行政法規等の国内法令に従えない場合があるとしても、自衛隊法第八十八条の要件を満たしている限りにおいて、それは同条に基づく正当な行為として許されるものと考えられるものである。

戦闘行為における自衛隊の行為の違法性阻却については右のように考えているところであり、したがって、自衛隊法及び武力攻撃事態対処法案において、御指摘のような自衛隊の武力の行使が許される「戦闘地域」というような概念をとっているわけではない。

また、外部からの武力攻撃が行われる際には、国民に対する避難や誘導を適時適切に実施し、戦闘が行われるような地域に国民が取り残されることがないように措置することが基本であると考えている。

二十三について

今国会に提出している安全保障会議設置法の一部を改正する法律案では、安全保障会議の下に、新たに事態対処専門委員会を置くこととしている。

国家の緊急事態に際しては、政府は、事態の認定、対処に関する基本的な方針の策定等の重大な判断を、極めて限られた時間的制約の中で的確に行うことが必要となる。事態対処専門委員会は、かかる政府の意思決定における安全保障会議の重要性にかんがみ、同会議に設けられる専門的な補佐組織であり、内閣官房長官の下で、平素から専門的な調査・分析を行い、その結果に基づき、同会議への進言を行うことにより、事態対処に関する同会議の審議を補佐することとしている。

なお、事態対処専門委員会の事務は、安全保障会議の事務の一環として、内閣官房が処理することとしており、予算についても、同会議の予算の中で処理することを考えている。

二十四について

事態対処専門委員会の委員については、内閣官房及び関係省庁の職員の中から専門的知見を有する局長級以上の関係者を任命することを考えている。かかる専門的知見を有する政府部内の関係者が、内閣官房長官の下で、平素から専門的な調査・分析を行い、その結果に基づき、安全保障会議への進言を行うことにより、事態対処に関する同会議の審議を迅速かつ的確に補佐することは十分可能であると考えている。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×2検討してまいりたい ×2個別の事案 ×2

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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