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「武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案」に関する質問主意書
衆議院 第154回 第109号個別の事案 ×1
質問本文
「武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案」に関し、次の事項についての政府の見解を問う。
一 民主的統制について
1 憲法六十六条の「文民」の具体的範囲いかん。例えば、武力攻撃事態において、制服組を辞職させて、防衛庁長官に任命することもできるのか。
2 対策本部が設置される「対処基本方針が定められたとき」(法十条一項)とは、具体的にいつか。対処基本方針の国会承認が得られなかったときは、対策本部はどうなるのか。
3 副大臣及び防衛庁副長官に制服組を任命することはできるのか。(法十一条六項、国家行政組織法十六条、内閣府設置法五十九条関係)
4 対策本部が設置されたときに対処措置を実施するために必要な権限が委任される指定行政機関の長に、防衛庁長官は含まれるか。(法十三条、法二条三号)
5 対策本部での意思決定は、どのように行われるのか。対策本部長が、対処措置に関する総合調整を行うときには、単独でできるのか。(法十四条)
6 対策本部長の求めに応じ、内閣総理大臣が、関係地方公共団体の長などに指示したり、代執行したりする場合、内閣総理大臣のその意思決定はどのように行われるのか。(法十五条)
二 地方公共団体との関係について
1 法七条に規定する「国の方針」は、どのように作成されるのか。「対処基本方針」(法九条)とはどういう関係にあるのか。地方公共団体は、その方針に従う義務はあるのか。(5/9桑原質問・福田答弁)
2 米軍基地の所在する地方公共団体の長に対する指示(法十五条「武力攻撃の排除に支障がある場合…指示する」)として予想される内容いかん。(5/8金子質問・片山答弁、5/20東門質問、中谷答弁)
3 自衛隊基地の所在する地方公共団体の長に対する指示として予想される内容いかん。
4 地方公共団体等がその損失に関し政府から必要な財政上の措置を講じてもらえるのは、対策本部長の総合調整や指示が行われた場合に限られている(法十六条)が、地方公共団体等が自主的に対処措置をとった場合に生じる損失について、財政上の措置が講じられないのは何故か。
三 法制の整備等について
1 法二十四条の「緊急事態」とは、具体的には、どのような事態か。
2 法二十四条の「必要な施策」とは、どんな事項が含まれるのか。法律整備も含まれるのか。また、その施策は、いつまでに講じられなければならないのか。
3 法二十四条は、何故この題名の法律に規定することができるのか。
4 事態対処法制の整備が政府の責任や義務として規定してあるが、立法の権限は国会にある。この法律によって、事態対処法制についての国会の立法権限が制約されることになりはしないか。(法二十一条、二十二条、二十三条)
四 自衛隊、米軍関係について
1 戦闘地域における国内法の適用に関し、自衛隊法八十八条を根拠にして、行政法規の適用がないとしているが、同条は、「武力の行使」について規定するもので、道路補修工事などの行為についても行政法規の適用がないとする根拠足りえないのではないか。(5/7岡田 5/9枝野質問・中谷答弁関係)
2 米軍の戦闘行為(条約上認められた戦闘行為、戦闘時に故意に危害を加えた戦闘行為など)により発生した損失に対する補償はどのように行われるのか。
右質問する。
政府答弁書
一の1について
先の答弁書(平成十三年五月二十二日内閣衆質一五一第六六号)でお答えしたとおり、憲法第六十六条第二項にいう「文民」とは「国の武力組織に職業上の地位を有しない者」を指すものと解され、政府としては、憲法で認める範囲内にあるものとはいえ、自衛隊も国の武力組織である以上、自衛官は、その職にある限り「文民」に当たらないが、元自衛官は、現に国の武力組織たる自衛隊を離れ、自衛官の職務を行っていない以上、「文民」に当たると解してきている。
このため、武力攻撃事態に至ったときであるか否かを問わず、自衛官を退職し、現に自衛官の職務を行っていない者を防衛庁長官に任命したとしても、その者が旧陸海軍の職業軍人の経歴を有する者であって、軍国主義的思想に深く染まっていると考えられるものでない限り、憲法第六十六条第二項に違反するものではない。
一の2について
今国会に提出している武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案(以下「法案」という。)第十条第一項にいう「対処基本方針が定められたとき」とは、法案第九条第五項に定める内閣総理大臣が作成した武力攻撃事態への対処に関する基本的な方針(以下「対処基本方針」という。)の案についての閣議の決定があったときを指すものである。
対処基本方針についての国会の承認の求めに対し不承認の議決があったときは、当該議決に係る対処措置は、法案第九条第十項の規定に基づき、速やかに終了されなければならない。その結果として、当該対処基本方針が廃止されることとなるが、その場合には、武力攻撃事態対策本部(以下「対策本部」という。)についても、法案第十九条の規定に基づき、廃止されることとなる。
また、政府としては、国会の意思が、対処基本方針の一部について、これを行うべきではないというものであれば、当該対処基本方針を変更した上で改めて国会承認を求める等これを尊重して対応することとなる。
一の3について
国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第十六条第三項において、副大臣は、その省の長である大臣の命を受け、政策及び企画をつかさどり、政務を処理することとされており、内閣府に置かれる副大臣及び副長官についても、内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第十三条第二項及び第五十九条第三項に、同様の職務内容が規定されている。したがって、内閣は、副大臣及び防衛庁副長官に、それぞれその職務内容にふさわしい者を任命することとなる。
一の4について
防衛庁は、内閣府設置法第四十九条第一項に規定する機関に該当し、法案第二条第三号に基づき、政令で定められた場合には、指定行政機関となり、防衛庁長官は法案に定める指定行政機関の長となる。
なお、法案第十三条は、指定行政機関の長は、対策本部が設置されたときは、対処措置を実施するため必要な権限の全部又は一部を当該対策本部の職員である当該指定行政機関の職員等に委任することができる旨を定めている。
一の5について
対策本部は、閣議決定された対処基本方針に基づき、指定行政機関、地方公共団体及び指定公共機関が実施する対処措置に関する総合的な推進を行うものであり、対策本部における意思決定は、対策本部長(法案第十一条第一項の「対策本部長」をいう。以下同じ。)が行うこととなるが、その際には必要に応じ関係する対策本部員等(同条第三項の対策副本部長、対策本部員その他の職員をいう。以下同じ。)の意見を聴くこととなる。また、法案第十四条第一項に基づく総合調整についても、対策本部長が行うこととなるが、同条第二項の規定に基づき関係する地方公共団体の長その他の執行機関及び関係する指定公共機関が申し出た意見を聴くことはもとより、必要に応じ関係する対策本部員等の意見を聴くこととなる。
一の6について
内閣総理大臣が法案第十五条の規定に基づき指示をし、又は自ら対処措置を実施するに当たっては、当該指示又は対処措置の実施に関する対策本部長の求めに応じ、対処基本方針その他の閣議決定に基づき、内閣総理大臣が判断することとなる。
二の1について
法案第七条の「国の方針」とは、法案第九条の規定に基づき政府が定める対処基本方針のことを主として指しているが、今後の事態対処法制の整備により、その他の国の方針を定める仕組みが創設されることも想定される。
法案第七条は、国と地方公共団体との役割分担について、その基本的な考え方を明らかにしたものであり、地方公共団体に義務を課すものではない。
二の2及び3について
法案第十五条第一項の規定による内閣総理大臣の指示については、法案によって内閣総理大臣に対し包括的に権限が与えられるものではなく、今後整備される事態対処法制において、その実施を指示することが必要となる対処措置の内容、要件等を具体的に定めた上で実施できることとなるものである。
したがって、このような地方公共団体の対処措置に係る事態対処法制が定められていない現段階において、内閣総理大臣の指示の内容を具体的に示すことはできない。
二の4について
法案第十六条の規定は、地方公共団体又は指定公共機関が対策本部長の総合調整又は内閣総理大臣の指示に基づいて対処措置を実施した場合について、当該措置の実施により生じた損失につき、政府が必要な財政上の措置を講ずることとしたものである。
対処措置を的確に実施するために必要な財政上の措置については、法案第二十一条第四項に基づき、今後の事態対処法制の整備に当たり、検討されるものと考えている。
三の1について
法案第二十四条の「緊急事態」とは、武力攻撃に当たらない大規模テロや武装不審船事案のような、国及び国民の安全に重大な影響を及ぼす緊急事態をいう。
三の2について
武力攻撃事態以外の緊急事態については、これまで、警察・海上保安関係法、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)、災害対策関係法等によって対処態勢を整えてきているところであり、今後とも、これを一層改善・強化するため、法制面の検討を含め、必要な措置を講ずることとしている。
緊急事態への対処態勢は情勢に応じて不断に改善を図る必要があることから、これらの措置については、期限を設定していないが速やかに検討を行い、結果を得られたものから随時実施することとしている。
三の3について
法案は、武力攻撃事態という国及び国民にとって最も緊急かつ重大な事態への対処を中心に国全体としての基本的な危機管理態勢の整備を図るものであり、その究極の目的は「我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保」にある。この目的を達成するためには、武力攻撃事態への対処のための態勢を整えるだけでなく、武力攻撃事態以外の国及び国民の安全に重大な影響を及ぼす緊急事態についても必要な施策が講ぜられる必要があり、このため、法案第二十四条において、武力攻撃事態以外の国及び国民の安全に重大な影響を及ぼす緊急事態への対処を迅速かつ的確に実施するために必要な施策を講ずる旨規定しているところである。
三の4について
法案は、政府が、この法律の施行の日から二年以内を目標として、関連法案の作成、提出等事態対処法制の整備を実施すべき旨を定めているものであり、国会の立法権限を制約するものではない。
四の1について
自衛隊法第七十六条第一項の規定により防衛出動を命ぜられた自衛隊は、我が国を防衛するため、同法第八十八条に基づき、国際の法規及び慣例によるべき場合にあってはこれを遵守し、かつ、事態に応じ合理的に必要と判断される限度内において、必要な武力を行使することができる。
そもそも、外部からの武力攻撃が行われる際には、相手方は地域にとらわれず全く自由な作戦行動をとり、国民の生命や財産を脅かすものであり、自衛隊は、国民の生命や財産を守るため、敵を排除するという戦闘行為を行うこととなる。
このような戦闘行為に際し、自衛隊が敵を排除するために状況に応じて、例えば道路法(昭和二十七年法律第百八十号)上の道路に関する工事や道路の維持に当たる行為を行うことも、武力の行使の一環として、自衛隊法第八十八条の認めるものとなり得るものであり、同条の要件を満たしている限りにおいて、行政法規等の国内法令に従えない場合があるとしても、それは同条に基づく正当な行為として許されるものと考えている。
他方、武力の行使以外の場面においては、行政法規等の法令を遵守すべきは当然であると考えている。
四の2について
武力攻撃による国民の被害には様々な場合があり、個別具体的な判断が必要と考えている。いずれにせよ、このような被害に対する補償の問題については、武力攻撃事態終了後の復興施策の在り方の一環として、政府全体で検討すべきものと考えている。
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