Kurage 質問主意書アシスト

ことばで探す › 衆議院 第159回

検視、検案、司法解剖等に関する質問主意書

衆議院 第159回 第104号

提出者
民主党・無所属クラブ
提出日
2004年5月19日
内閣転送 2004年5月24日
答弁書受領日
2004年6月29日
提出から41日
答弁の項目数
6
質問 2,072字/答弁 1,968字

質問本文

かねてから、誤認検視により、事件性のある事案が病死あるいは単なる事故として処理され、犯罪捜査の公平性を阻害する例がみられる。その背景にはわが国の検視から司法解剖に至る制度の不備と財政上の問題がある。死者及び遺族の人権が守られるよう、同時に社会的正義の実現が妨げられることのないよう、政府が死因決定の制度をより公正、厳格なものとするよう要望し、以下のとおり質問する。

一 刑事訴訟法第二二九条第一項で、「変死者又は変死の疑のある死体があるときは、その所在地を管轄する地方検察庁又は区検察庁の検察官は、検視をしなければならない。」と規定されている。そして、法務省は、この刑訴法上の検視とは「変死者又は変死の疑いがある死体に対して、その死亡が犯罪に起因するものであるかどうかを判断するために、五官の作用により死体の状況を見分する処分」であると解釈している。しかしながら、死因の決定を五官により、言い換えればほとんどの場合目視、触診及び穿刺で行うには限界があり、誤認検視につながる可能性が大きくなる。一方、検視の際は医師の立会いと医師による検案が行われるのが一般的である。刑事訴訟法制定当時とは科学技術の水準も変わった現在、検視の定義から「五官によって」との前近代的言辞を除き、医師の補助のもとにCTや薬物検査を行うことのできるようなものとすべきだと考える。政府の意見をうかがう。

二 都道府県警察が医師あるいは法医学者に対して検案及び司法解剖を委託する場合、警察法と警察法施行令に基づき、検案解剖委託費及び謝金を国庫より支弁することになっている。平成十五年度予算でみると、検案については検案謝金として一件三千円が検案を行う医師に対し、また、司法解剖については司法解剖謝金として一件七万円が鑑定人個人に対し支払われている。これらの金額は検案又は解剖の委託費としてはあまりにも低額であり、誤認検視や司法解剖が実際には行われなかったと疑われる事件の一因となっている、との指摘がある。一方、東京都においては、警視庁ではなく東京地検が鑑定の嘱託をし、その際は十三万円から十四万円程度、検査の内容によっては二十万円から三十万円を超える金額が鑑定人に対し支払われている。また、司法解剖に要する費用は一体あたり少なく見積もっても二十二万円かかる、との法医学者の試算もあり、現在警察庁予算から支払われている金額と大きな差がある。政府は、検案解剖委託費及び謝金の現状をどう考え、どういう性格付けをしているのか。もし、司法解剖謝金が鑑定書作成の対価であるとするなら、司法解剖全例について鑑定人に対し適正な鑑定書の提出を義務付けているのか。施行令における委託費が運用でいつのまにか謝金になり、それに技術料や補助員の人件費あるいは検査費が含まれないとすれば、それ自体法令に違反していることにならないか。

三 大学の法医学教室で行われている司法解剖については、大学の研究・教育に貢献しているとの側面もあり、それ故従来文部科学省の予算から支出されていた、との指摘も承知している。犯罪の増加と職員の減員のため多くの法医学者が司法解剖に明け暮れ、本来の研究に支障をきたしているとの現状からすると、この立論自体に問題があるが、文科省が国立大学に対し細部に亘って予算を措置してきた昨年度までは一応の根拠があった。しかし、国立大学が独立行政法人となった現在、国から大学法人に支出される運営費交付金が司法解剖に充てられるとの保証はなくなり、大学法人が検査施設の更新や、解剖や検査のための人員確保を行わなくなるおそれがある。そうした場合、現行の司法解剖のシステムそのものが崩壊することにならないか。

四 今後は、警察法等の趣旨を生かす意味から、また、国立大学法人の経営と司法解剖の実施を両立させるためにも、警察が、法医学教室に対し司法解剖を委託する際、解剖技術料、検査費を含めた委託費を支払う旨の契約を、鑑定人あるいは大学法人と結ぶべきであると考える。と同時に、検案についても、技術料は無論のこと、死因決定に資する必要な検査を含めた委託費を支払うべきである。これに関して政府の見解をうかがう。

五 薬物検査についても、個々の死体について充分な措置がとられているとは言い難く、そのために犯罪に起因する死亡が、病死あるいは事故死として処理される例が多いものと推測される。現在、科学警察研究所などの施設で、変死体について青酸カリ、トリカブト、覚醒剤、睡眠薬、濫用薬物以外の毒薬や医薬品に関する薬毒物スクリーニング検査が充分に行われているのか。また、政府の主導のもと、薬物の検査拠点を充実させる必要があると考えるがどうか。

六 そもそも、法医解剖を司法解剖と行政解剖に分類している国はほとんどない。行政解剖の結果犯罪の疑いが現れることもあり、犯罪可能性の有無によって、二種に分類するという制度自体、本末転倒であると言わざるを得ない。今後、法医解剖の制度を改めるため、検討する考えはあるか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第二百二十九条第一項に規定する検視(以下「検視」という。)は、変死者又は変死の疑いのある死体について、その死亡が犯罪に起因するものかどうかを判断するために、五官の作用により死体の状況を見分する処分と解される。これは、検視が、変死者又は変死の疑いのある死体が存在する場合には、その背後に犯罪が伏在していることが多いと考えられることから、それらの犯罪の発見及び捜査を的確かつ迅速に行うため、緊急に行う捜査前の処分であることによるものであり、このような検視についての解釈を変更する必要はないと考えている。

なお、医師等にCT検査を依頼したり、薬物検査を行ったりすることについては、右に述べた解釈の下においても、当該死亡が犯罪に起因するものかどうかを判断するため、遺族の承諾を得るなどして検視の機会にこれらを行うことが禁止されているものではないと考えている。

二について

警察法施行令(昭和二十九年政令第百五十一号)第二条第四号に掲げられている「犯罪鑑識に必要な検案解剖委託費及び謝金」としては、刑事訴訟法第二百二十九条第二項に基づき司法警察員である警察官が行う検視への立会いに係る死体検案謝金、同法第二百二十三条第一項に基づき警察官が鑑定を嘱託して行われる死体の解剖に係る死体解剖謝金等が計上されており、これらは、予算科目上、医師等に対して支払う謝金として区分され、所要の予算措置が講じられている。

警察官が刑事訴訟法の規定に基づき鑑定を嘱託する場合には、犯罪捜査規範(昭和三十二年国家公安委員会規則第二号)第百九十二条第一項により、鑑定の経過及び結果が簡単であるときを除き、鑑定人から、鑑定の日時、場所、経過及び結果を記載した鑑定書の提出を求めるようにしなければならないとされており、死体の解剖を伴う鑑定については、通常、鑑定人から鑑定書が提出されているものと承知している。

なお、死体の解剖は大学における医学教育・研究の一環として必要な業務であるという側面もあり、死体解剖謝金と医師等の行為との間に必ずしも対価性があるとは考えていない。

警察法施行令第二条第四号に掲げられている「犯罪鑑識に必要な検案解剖委託費」とは、司法警察員である警察官が行う検視に医師の立会いを求める場合又は死体の解剖を伴う鑑定を警察官が嘱託する場合に必要となる経費であり、こうした経費については警察法(昭和二十九年法律第百六十二号)第三十七条第一項の規定により国庫が支弁することとされている。これらの規定に基づき前述の死体検案謝金、死体解剖謝金等の予算措置が講じられているのであるから、「法令に違反している」との御指摘は当たらない。

三について

文部科学省においては、解剖学実習の必要性にかんがみ、従前から国立大学における解剖学実習のための予算(司法解剖分を含む。)を措置してきたところである。国立大学の法人化後において、国立大学法人に係る国の予算は、使途を特定しない運営費交付金として措置されることとなったが、解剖学実習は、大学の医学教育において必修の授業科目として位置付けられていることから、国立大学法人において、適切な対応がなされるものと考えている。

四について

死体の解剖を伴う鑑定は、刑事訴訟法の規定に基づく警察官から医師個人への嘱託により行われるものであり、御指摘のような委託費を支払う契約にはなじまないと考えている。

また、司法警察員である警察官が行う検視に立ち会った際に検案を行った医師に対しては、通常、遺族等から検案書の作成に要した費用が支払われるものと承知しており、重ねて警察から検案に係る御指摘の技術料や委託費を支払うべきものではないと考えている。

五について

都道府県警察の科学捜査研究所及び警察庁の科学警察研究所においては、変死者又は変死の疑いのある死体について、必要に応じ、覚せい剤や麻薬等各種薬物を検出するための所要の検査を行っていると承知している。政府としては、引き続き、都道府県警察の科学捜査研究所等において、所要の検査が行われるものと考えており、必要に応じ、これら施設の検査体制の充実を図ってまいりたい。

六について

刑事訴訟法に規定する手続以外の手続により行われた解剖において、当該死体につき犯罪と関係のある異常が認められたときは、死体解剖保存法(昭和二十四年法律第二百四号)第十一条により、死体を解剖した者は、二十四時間以内に解剖をした地の警察署長に届け出なければならないこととされ、これにより捜査機関への情報提供がなされ、適正な捜査活動の開始が期待されることから、刑事訴訟法に規定する解剖とそれ以外の解剖とが制度上区別されていることによる特段の弊害はないと考えている。

衆議院の原文

似た質問主意書

件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。

提出 2015年2月13日 井坂 信彦(維新の党) 答弁 2015年2月24日
提出 1997年10月17日 山本孝史 答弁 1997年12月2日
衆議院 第141回 第4号
提出 2000年5月25日 保坂展人 答弁 2000年6月2日
衆議院 第147回 第35号個別の事案 ×1
提出 2009年4月16日 鈴木 宗男(国民新党・大地・無所属の会) 答弁 2009年4月24日
提出 2009年5月7日 長妻 昭(民主党・無所属クラブ) 答弁 2009年5月15日

件名の語が重なる質問主意書

提出 2019年12月2日 早稲田 夕季(立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム) 答弁 2019年12月13日
提出 2004年11月25日 岩國 哲人(民主党・無所属クラブ) 答弁 2004年12月3日
衆議院 第161回 第51号個別の事案 ×1
提出 1997年6月18日 山本孝史 答弁 1997年9月30日
衆議院 第140回 第32号

この論点で次の質問を書くなら

アシストで並べる