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基地従業員の労務管理に関する質問主意書

衆議院 第160回 第55号

提出者
社会民主党・市民連合
提出日
2004年8月5日
内閣転送 2004年8月6日
答弁書受領日
2004年8月24日
提出から19日
答弁の項目数
3
質問 1,534字/答弁 1,169字

質問本文

在沖米軍基地で働く基地従業員に対する人命軽視の労務管理が大きな社会問題に発展している。

日米地位協定は、いわゆる間接雇用制度の原則を定めており、在日米軍基地内で働く基地従業員の法的雇用主は日本政府である。同時に、在日米軍基地内で働く基地従業員の労働条件等は我が国の労働関係諸法令が適用され、それによって規律されることは論を待たない。よって、在日米軍基地内で働く基地従業員に対する労務管理は我が国の労働関係諸法令や確立された労使慣行に反することであってはならない。

ところが、在沖米軍基地内で働く基地従業員に対し、我が国の労働関係諸法令に反するような労務管理が強行され、基地従業員の生命・身体の安全に具体的な危険を及ぼしている事案が発生していることが明るみになった。

今年五月、エクスチェンジサービス沖縄地域管理本部(OWEX)の管理下で、米軍嘉手納基地内の大型店舗「カデナメインストア」で働く日本人女性従業員二名が仕事中に過労で倒れた。全駐労沖縄地区本部ズケラン支部の調査によると、一人は二十代の妊婦で米国人監督者に早退を申し入れたが、「人員が足りない」として拒否され、仕事を続行したところ倒れて救急車で運ばれ、一時心肺停止の状態に陥ったが、一命を取り留めたようだ。

もう一人の女性も脳幹出血で倒れ、入院したという。しかも、かかる労災事故が発生し、労務管理の改善が強く求められているにも係らず、同じ職場で午前零時までの残業の後、翌日六時出勤を命ぜられてたことが発覚している。

全駐労ズケラン支部は、OWEX職場における人命軽視の労務管理の背景には、定年退職者の不補充による大幅な人員削減と就業時間の少ない常用パートの導入が進み、休憩や年休取得がままならない過重業務の押しつけがある、と指摘している。

私は、基地従業員に対する労務管理は我が国の労働関係諸法令が適用されるべきだし、我が国の労働関係諸法等が定める母性保護規定も当然に適用されるべきと考えている。政府は、現下OWEXの職場で行われている労務管理を是正させるべく速やかな対策を講ずるべきであると考える。

よって以下、質問する。

一 政府は、全駐労沖縄地区本部から指摘されているOWEXの職場における米国人監督者の労務管理について、いかなる調査をし、いかなる調査報告が得られたのか明らかにされたい。

二 政府は、OWEX職場の労務管理の改善について、OWEX及び関係機関に対し申し入れたか、申し入れたならその内容を示して、政府の認識を明らかにされたい。

特に、今回のOWEX職場における過重労働の原因の一つに、基地従業員の就業計画が直前になって示される問題がある。就業計画は、予め月の初めから月の終りまでの固定された就業計画を提示し、その変更があった場合においてIHA(諸機関労務協約)どおりに五日前に本人に通知すべきと考えるが、政府の認識を明らかにされたい。

三 日米地位協定第十二条第五項に基づく、いわゆる間接雇用制度の下で在日米軍基地で働く基地従業員の法的雇用主は日本政府であり、基地従業員の労働条件等については我が国の労働関係諸法令によって規律されるべきであるが、政府としては、現に関係諸法令が遵守されていると考えているのか、政府の見解を示されたい。

四 基地従業員の雇用関係・労働条件等を規律するMLC(基本労務契約)・IHA(諸機関労務協約)は、我が国の労働関係諸法令の範囲内で締結されるべきと考えるが政府の見解を示されたい。

五 MLC(基本労務契約)・IHA(諸機関労務協約)は、日米地位協定第十二条第五項の「別段の合意」に該当するかどうか、その根拠を示して見解を明らかにされたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一及び二について

全駐留軍労働組合沖縄地区本部から那覇防衛施設局に対し平成十六年六月二十八日に行われた日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「日米地位協定」という。)第十五条1(a)に規定する諸機関の一つである陸軍及び空軍エクスチェンジサービス沖縄エクスチェンジ(以下「エクスチェンジ」という。)の職場環境の改善に関する申入れに係る御指摘の件については、同局において、関係者からの事情聴取及び関係書類の検討により調査を行ったところである。

これまでの調査においては、御指摘の二名の女性の駐留軍等労働者がその職場において体調不良に陥ったことについては、その勤務状況との間の因果関係を確認するに至っていない。また、右二名以外の女性の駐留軍等労働者がその職場において深夜勤務の翌日に早朝勤務を行ったことについては、関係者の話を総合すれば、特別な行事に対応するため、上司からの強制又は命令によるものではなく、その打診に当該駐留軍等労働者が応じたものと認められた。那覇防衛施設局は、これまでの調査を踏まえ、エクスチェンジに対し、駐留軍等労働者の健康管理に万全を期すよう、また、無理な業務遂行がなされないよう申し入れたところである。

なお、御指摘の諸機関労務協約においては、駐留軍等労働者の通常の勤務時間は、その採用時において、本人に通知される旨規定されているが、通常の勤務時間を含む就業計画の変更について、本人に通知される旨の規定はない。他方、同協約においては、通常の勤務時間について、「防衛施設庁は、緊急の場合を除き、その変更の発効日の五労働日前に通知を受けるものとする。」と規定されている。

三及び四について

御指摘のいわゆる間接雇用制度の下においては、我が国に駐留するアメリカ合衆国(以下「合衆国」という。)の軍隊(以下「合衆国軍隊」という。)の施設及び区域に勤務する駐留軍等労働者の雇用主は日本政府であり、また、その使用者は合衆国軍隊であって、具体的な労働条件等については、御指摘の基本労務契約及び諸機関労務協約並びに船員契約(以下これらを合わせて「労務提供契約」という。)において規定されている。

現在、労務提供契約が我が国の労働関係の諸法令の定めに合致しない点も一部存在するが、それらについては、我が国の労働関係の諸法令に沿ったものとなるよう、従来から合衆国との間で協議し、労務提供契約の改正について調整に努めているところである。

五について

累次政府として答弁してきているとおり、日米地位協定第十二条5にいう「別段の合意」とは、同条6の定めをいうものであって、労務提供契約は右の「別段の合意」に当たるものではない。

衆議院の原文

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