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米軍普天間飛行場における高出力電磁波事故に関する質問主意書
参議院 第151回 第3号
質問本文
沖縄にある米軍基地は、存在そのものが「危険」である。したがって、基地で働く労働者は常に「危険」な労働環境の中で仕事に従事しているのである。
マスコミ報道で明らかになった普天間飛行場における基地従業員の高出力電磁波事故は、改めて基地労働の「危険」と労働安全衛生・安全管理の重要性を知らしめる衝撃的な事故となった。
マスコミ報道によると、二〇〇〇年五月八日、米軍普天間飛行場内のTACAN(電波発信施設)の屋上で作業中の基地従業員二人が高出力電磁波を浴びる事故が発生したとのことである。
二人の基地従業員は、キャンプ瑞慶覧施設営繕課所属のMLC(基本労務契約)従業員と伝えられており、その日、TACAN周辺に塀を設置する工事に従事していたようだ。
事故は極めて重大である。まず、TACANの危険性をあらかじめ日本人従業員に説明し、十分な安全管理の対策を取るべきであったにもかかわらずそれが実行されなかったことだ。その上に、TACAN周辺で作業をする際は電波発信の電源を切るべきであるにもかかわらず、かかる手だてを講じないで作業を命じたことである。基地従業員の生命・身体の安全に配慮を欠いたずさんな米軍の安全管理であると批判せざるを得ない。高出力電磁波を浴びた一人の者は、事故直後血小板の数が正常値を下回る発症があったとされる。電磁波による健康被害が世界中で問題になっている折に発生した今回の事故に怒りを覚えるものである。同時に、日米両政府に対し再発防止のための具体策と事故の真相を明らかにするよう強く求めるものである。
よって、次の点について質問する。
一、政府は、いつ、どこから、どのような方法で普天間飛行場における高出力電磁波事故の発生を知らされたのか明らかにされたい。また、マスコミ報道で明らかになるまで事実を伏せていた理由を明らかにされたい。
二、二〇〇〇年五月八日に発生したとマスコミが報道している普天間飛行場における高出力電磁波事故の正確な発生日時、発生場所、被害者の職種、年齢、性別、事故の内容、事故発生の端緒を明らかにされたい。
三、米軍普天間飛行場に存在するTACANの機能、事故当時の施設の概要、事故後に同施設を取り壊したことがあるか、あるならその理由を明らかにされたい。
四、事故当時基地従業員十人がTACAN周辺の塀設置工事に従事していたようだが、同工事の工期、工事内容、工事の目的を明らかにされたい。
五、TACAN周辺の作業に従事する際、電波発信の電源を切ることになっているようだがそのとおりか。また、一月二十四日、私が防衛施設庁石井道夫労務部長に面会した折、同部長は「事故当時電源を切っていなかった」と明言したが、なぜ電源を切らないで作業に従事させたのか明らかにされたい。
六、高出力電磁波を浴びた二人の基地従業員は、何の目的で建物屋上に登ったのか明らかにされたい。
七、事故発生当時、和英両文で書かれた「警告 放射線、高圧電源につき危険」と表示された警告板は設置されていたか明らかにされたい。また、事故後に設置した事実があるか明らかにされたい。
八、事故直後に普天間飛行場所属の放射線専門医が基地従業員二人を診察したようだが、その医師の氏名、診察内容とその結果を明らかにされたい。普天間飛行場には放射線専門医が配置されているのか明らかにされたい。
九、那覇労働基準監督署が労災事故の調査の一環で基地立入調査を求めたが拒否されたとの報道がなされているが、立入調査要求の経緯と結果を明らかにされたい。
十、労働災害の疑いのある事故が発生した場合、速やかに関係機関に通報し、労働基準監督署の基地立入調査を求めるべきと考えるが、政府の考えを明らかにされたい。
十一、今度の事故について全駐労沖縄地区本部が那覇防衛施設局山崎信之郎局長に抗議要請を行った際、同局長からまるで基地従業員に落ち度があったかのような発言があったと報道されている。発言の事実と内容を明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
御指摘の件(以下「本件」という。)については、平成十二年六月十五日、那覇労働基準監督署長は、駐留軍等労働者(以下「労働者」という。)二名から、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)に基づく保険給付の請求があったことからこれを知ったが、通常、請求者のプライバシー等にかんがみ、保険給付の請求があったことを公表していないことから、これを公表しなかったものである。
また、同月二十一日、那覇防衛施設局長は、沖縄県那覇渉外労務管理事務所長から、業務上災害等発生個人別報告書(平成十二年五月分)により報告があったことから本件を知ったが、沖縄県に駐留するアメリカ合衆国海兵隊(以下「在沖米海兵隊」という。)から聴取した本件の状況等にかんがみ、これを公表しなかったものである。
二、六及び八について
御指摘の普天間飛行場のタカン施設(以下「本施設」という。)周辺で保安さく設置工事に従事中の四十歳の男性労働者(職種は石工)が、平成十二年五月二日午前十時ごろから約一分間、削岩機の電源を探すため、電波を発信するためのアンテナが設置されていた本施設の屋根の上をのぞいたと承知している。また、同工事に従事中の四十七歳の男性労働者(職種は石工)が、同月三日午後三時ごろから約四分間、工事全体の配置を見るため、本施設の屋根に上がったと承知している。
同月八日、右両名が電波にさらされた疑いがあるとして、在沖米海兵隊安全部所属の担当者が右両名から状況を聴取し、ばく露量の試算を行い、当該ばく露量は微量であり人体への影響はない旨を右両名に説明したと承知している。また、同日、右両名が沖縄県立中部病院で検査を受けた結果、四十歳の男性労働者には何ら異常は認められず、四十七歳の男性労働者は、血小板の数値が正常値に比べて低かったため、その後二回検査を受けたが、当該二回の検査においては血小板の数値は正常値であったと承知している。
在沖米海兵隊によると、普天間飛行場には放射線専門医は配置されておらず、右両名が放射線専門医による診察を受けた事実はないとのことである。
三について
在沖米海兵隊によると、本施設は、普天間飛行場の西側部分に位置し、幅約三メートル、奥行約二・四メートル、高さ約三・六メートルのコンテナ製の施設の屋根に高さ約二・四メートルのアンテナが設置されており、航空保安無線施設の一つとして、電波により航空機の航行を援助するためのものであったが、老朽化のため、既に撤去されているとのことである。
四について
在沖米海兵隊によると、お尋ねの工事は、本施設周辺に保安のためのさくを設置する工事であり、工期は特に定められていないが、平成十二年五月一日ごろから約一週間作業を行ったとのことである。
五について
在沖米海兵隊によると、本施設から発せられる電波が地上の人の身体へ影響を及ぼすことはないので、本施設周辺の地上で作業を行う場合であっても、通常、電源を切ることはないとのことであり、御指摘の作業においても、このような理由から電源を切らなかったとのことである。
七について
本件当時、本施設の壁面の三か所に、英文で「DANGER」又は「WARNING」等と書かれた警告板が設置されており、その後、和文で「警告、放射線、危険」等と書かれた警告板一枚及び英文で「CAUTION RADIATION HAZARD」等と書かれた警告板一枚が、追加して同じ壁面に設置されたと承知している。
九について
那覇労働基準監督署から協議を受けた沖縄労働局においては、当初、前記二名の労働者が電離放射線にさらされた疑いがあり、その発生源の調査が必要であると判断したため、普天間飛行場への立入検査等を行うべく那覇防衛施設局を通じて在沖米海兵隊に打診したところ、在沖米海兵隊から、不明な事項については資料をもって回答するとして、立入りについては同意が得られなかったものである。
その後、同労働局においては、在沖米海兵隊からの提供資料により再度検討したところ、前記二名の労働者は電離放射線にさらされたものではなく、その発生源は存在しないことが判明したことから、その時点で、同飛行場への立入検査の必要はないと判断したものである。
十について
労働者に係る労働災害等が発生した場合、事故報告書が、アメリカ合衆国軍隊(以下「米軍」という。)から関係都県の渉外労務管理事務所等に提出され、これを受け、当該事務所長等は、業務上災害発生個人別報告書等を作成し、所轄の防衛施設局長等に報告することとなっており、当該防衛施設局長等は、当該労働災害等が労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)第九十六条又は第九十七条に該当する場合は、これらの規定に基づき、所轄の労働基準監督署長に所要の報告を行っている。
また、我が国がアメリカ合衆国に提供している施設及び区域への立入りについては、所轄の労働基準監督署において、労働災害等の状況に応じ、米軍の同意を得た上で実施しているところである。
十一について
御指摘の那覇防衛施設局長は、平成十三年一月二十三日、全駐留軍労働組合沖縄地区本部と団体交渉を行った際、前記二名の労働者が警告板の設置されている本施設に立ち入ったことに関して、安全対策上不完全な部分があったのかどうかを調査中である旨述べたものである。
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