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電話加入権に関する質問主意書
衆議院 第161回 第27号承知していない ×1
質問本文
平成十六年十月十九日に総務省の情報通信審議会は、NTTの施設設置負担金の段階的引き下げを答申した。既にNTTは施設設置負担金を廃止する方針を打ち出しており、答申を受けて施設設置負担金は数年後に廃止されるものと思われる。
施設設置負担金を払うことで発生する権利は、一般に電話加入権と呼ばれ、市場で取引されるなど、長年にわたって国民の財産となってきた。電電公社は昭和四十四年に発行した『加入事務(総論)』の中で、「電話加入権は財産権である」と明記している。NTTも平成六年ごろに配布されていた営業用パンフレットで「いつまでも大切な財産になる」と宣伝するなどしていた。そのため、広く国民は電話加入権が財産であるとの認識をもっていた。これを廃止することによる影響は計り知れない。
電話加入権等について、国民の財産権の保護及び消費者利益の観点から、政府に以下の項目について質問する。
一 平成十六年十月十九日の衆議院予算委員会において阪田内閣法制局長官は、「電話加入権も(中略)財産としての価値を有する限りにおいては、当然に憲法第二十九条一項に規定する財産権になる」と答弁している。その後委員からも指摘が出ているが、今回のように政府と政府が出資する特殊会社であるNTTの判断で、国民が持つ財産の市場価値を無くすということは、憲法で禁止される財産権の侵害にはあたらないのか。政府としてのお考えをお示しいただきたい。
二 答申では、電話加入権の税法上の扱いについて、減価償却を認めるなど、必要な措置を検討することを求めている。しかし、減価償却を認めるという方法では、法人や、店舗付き住宅などに電話を持つ個人事業者等は負担が軽減されるが、一般の個人は負担が軽減されないという不公平が生じる。こうした不公平を是正するために、確定申告での雑損控除を認めるなど、その他の何らかの措置を講ずるお考えはあるか。
三 この施設設置負担金については、廃止の検討が報道され始めた今年二月以降、「固定電話の施設設置負担金に関する質問主意書」「固定電話の施設設置負担金に関する再質問主意書」において繰り返し質問をしてきた。しかしながら、政府はこれまでの答弁で『今後も様々な観点から幅広く検討してまいりたい』『現時点においてお尋ねについてお答えすることは困難である』と施設設置負担金について明確に答えてこなかった。その間に、電話加入権の市場価値は約半分に減少している。政府が説明責任を果たさなかったために、「早めに売り抜けた人」と「保持し続けていた人」との間で著しい不公平が生じたと考えるが、政府のお考えはいかがか。
四 総務大臣が情報通信審議会に施設設置負担金の見直し等について諮問したのは、平成十六年四月二十日である。それ以後、審議会において施設設置負担金の廃止が検討されている間にも、約一万五千人が七万二千円の施設設置負担金を払って電話に加入している。また、現在も施設設置負担金を払って電話に加入する方法が残されている。消費者契約法第三条には、「勧誘をするに際しては(中略)消費者契約の内容についての必要な情報を提供するよう努めなければならない」としている。これまで「電話加入権は財産である」「いつまでも大切な財産になる」と電電公社・NTTが営業活動で繰り返し宣伝してきたことで、財産的な価値があるということは国民に広く認識されていた。それにも関わらず、審議会で検討されている間に、数年のうちに今後大きく財産価値が減少する可能性のあることを説明してこなかったことは、消費者契約法に照らして問題があると考えるが、政府のお考えはいかがか。
右質問する。
政府答弁書
一について
お尋ねは、新規に加入電話契約を締結する者(以下「新規加入者」という。)について施設設置負担金が廃止された場合には、その結果として、既存の加入者の電話加入権の市場価値がなくなることになり、憲法第二十九条との関係で問題が生ずるのではないかという趣旨と考える。
憲法第二十九条は、公権力による侵害から財産権を保護する趣旨の規定であると解されるところ、施設設置負担金の廃止は、第一義的には、東日本電信電話株式会社又は西日本電信電話株式会社(以下「NTT東西」という。)が加入電話契約に基づき新規加入者にどのような負担を求めるかという、NTT東西と新規加入者との間の契約上の問題であることから、基本的には同条の適用が問題になるとは考えていないが、これが同条の適用にかかわる問題であるとしても、施設設置負担金が廃止された場合においてもそのことにより既存の加入者の電話加入権の内容、すなわち、加入者が加入電話契約に基づき電気通信役務の提供を受けることのできる地位自体は何ら影響を受けるものではなく、また、施設設置負担金の廃止に合理的な理由がある限り、そのことにより既存の加入者の電話加入権の市場価値が減少又は消滅することになったとしても、それは財産一般について生じ得る環境の変化等に伴う資産価値の低下と同様のものであると考えられ、施設設置負担金の廃止が同条との関係で問題を生じることはないと考える。
二について
電話加入権については、現在、市場において需給関係に応じた価格が設定され、売買が行われており、電話加入権を市場において譲渡することにより投下資本を回収し得ることを前提に、法人税法(昭和四十年法律第三十四号)及び所得税法(昭和四十年法律第三十三号)において、減価償却できない無形固定資産とされているところである。平成十七年度以降の接続料算定の在り方についての情報通信審議会答申(平成十六年十月十九日答申)において、「携帯電話の新規加入料を廃止した際には、携帯電話の利用権について減価償却を認める等の措置が講じられた。仮に施設設置負担金を廃止することとなった場合には、政府においては、過去の措置等も参考に、電話加入権の税法上の取扱いについて必要な措置を検討することが求められる。」としているのは、新規加入者について施設設置負担金が廃止された場合には、電話加入権の市場価値が減少又は消滅し、これを市場において譲渡することが事実上困難となることが予想されるので、電話加入権を減価償却できない資産としている理由が希薄になると考えられるためであり、廃止前に施設設置負担金を支払った者の経済的負担を軽減することの検討を求める趣旨ではない。他方、一般の個人にとっては、施設設置負担金はいわゆる家計支出の一つであることから、そもそも減価償却の対象となるものではない。したがって、仮に電話加入権について減価償却を認めるという措置を講じたとしても、これをもって直ちに「不公平」が生ずるとはいえないと考えている。
三について
施設設置負担金の在り方については、平成十六年四月二十日に情報通信審議会に諮問し、以後答申に至るまで、専門的な事項を調査するために基本料等委員会を設置の上、当該委員会において十四回にわたり審議を重ねてきたところであるが、この間、専ら企業秘密に当たる事項を審議した一回を除き、すべて公開で開催し、審議の過程を明らかにするとともに、同年七月二十七日から八月二十七日までの間には答申案に対する意見募集も実施したところである。また、これらの情報は、すべて総務省のホームページにも掲載しているところであり、政府としては、十分な説明責任を果たしてきたものと認識している。
四について
消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)第三条第一項においては、「事業者は、(中略)消費者契約の締結について勧誘をするに際しては、消費者の理解を深めるために、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容についての必要な情報を提供するよう努めなければならない。」とされている。ここで、事業者が提供するよう努めなければならない情報とは、「消費者の権利義務その他の消費者契約の内容についての必要な情報」であり、契約内容以外の周辺的な情報まで含めることを意味するものではない。
お尋ねは、平成十六年四月二十日以降、NTT東西が電話加入権の市場価値が減少又は消滅する可能性を説明してこなかったことが消費者契約法上問題があるのではないかという趣旨と考えるところ、NTT東西が加入電話契約に関しいかなる情報提供を行ってきたのか承知していないため、断定的なことは申し上げられないが、電話加入権が市場においていかなる価格で取引されるかは加入電話契約の内容ではないことからすれば、NTT東西が電話加入権の市場価値に関する情報を提供しなかったことのみをもって、同法上問題であるとまでいうことはできないのではないかと考えている。
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