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子どもの人身売買に関する質問主意書

衆議院 第161回 第68号お答えすることは困難 ×1個別の事案 ×1

提出者
民主党・無所属クラブ
提出日
2004年12月2日
内閣転送 2004年12月3日
答弁書受領日
2004年12月14日
提出から12日
答弁の項目数
5
質問 2,728字/答弁 1,747字

質問本文

今臨時国会で成立した改正児童福祉法は、人身売買に関連する「子どもの人身売買」の被害者保護および加害者処罰を実現する上で、さらになお問題が残ると考える。ついては、以下の通り質問する。

1 政府は、人身売買の被害者保護に関し、「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人、特に女性及び児童の取引を防止し、抑止し、及び処罰するための議定書(以下、「人の取引に関する議定書」)」における被害者保護規定(六条)には留保条項があることを理由として、現行法制度の弾力的運用を内容とする国内行動計画の策定で十分であるという立場を取っている。しかし、「子どもの売買(取引)、子ども売買春および子どもポルノグラフィーに関する『子どもの権利条約』の選択議定書(以下、「子どもの権利条約の選択議定書」)」の被害者保護規定(八条及び九条)には、そのような留保条項はない。この被害者保護規定(八条及び九条)が、わが国の現行国内法制度においてどのように担保されるのか、政府は明らかにされたい。また、「子どもの権利条約の選択議定書」批准のためには、この被害者保護規定(八条及び九条)を実効的に担保する法制度の整備も不可欠であると考えるが、政府のご認識をお伺いしたい。

2 現在進められている「人身売買禁止法案」に関する議論を通じ明らかになったことは、実効的な被害者保護無くして加害者処罰を実現することは困難ということである。わが国における人身売買被害者の大半は外国人であり、しかも、その多くは非正規滞在外国人であると言われている。既に非正規滞在者となり、国際犯罪組織関係者より、「政府に助けを求めれば、直ちに退去強制処分を受け、帰国させられる」と脅迫されている被害者が、一時保護を目的とする短期滞在すら政府の裁量事項とされるような状況下で、保護を求めて自発的に出頭するとは想像し難い。したがって、最も必要とされている被害者保護措置の一つは、人身売買の被害者を入管法違反、売春防止法違反等を根拠として、直ちに退去強制処分の対象とするのではなく、国籍、在留資格の有無にかかわらず一時保護・救済の対象として取り扱うことであると考えるが、政府のご認識をお伺いしたい。また、人身売買被害者として出頭した者ないし被害者である疑いのある者については、当人が本当に人身売買被害者でないことが明らかになるまでは、自動的に入管法による退去強制処分の執行停止、売春防止法違反による刑事責任の一時免除が保障される必要があると考えるが、この点についても政府のご認識をお伺いしたい。

3 改正児童福祉法に規定される「子どもの人身売買」関連の規定は、「子どもの権利条約の選択議定書」および「国際組織犯罪条約の人の取引に関する議定書」に定められている「人身売買」の定義、目的、手段を正確には反映していないと考えるが、この点に関する政府のご認識をお伺いしたい。

4 「子どもの権利条約の選択議定書」は、第二条(a)において「子どもの売買とは、子どもが、いずれかの者または集団により、報酬または他の何らかの見返りと引換えに他の者に譲渡されるあらゆる行為または取引を意味する」と定め、その具体的な内容を、同第三条(a)において定めている。改正児童福祉法では、性的搾取を目的とする子どもの人身売買に関する規定および児童労働を目的とする人身売買の一部は含まれると思われるが、強制労働および臓器摘出についての明文の規定はない。改正児童福祉法に強制労働および臓器摘出は含まれるか、政府のご認識をお伺いしたい。

5 「人の取引に関する議定書」第三条(a)によると、人身売買とは、「他人の売春からの搾取、その他の形態の性的搾取、強制労働や強制奉仕、奴隷状態あるいは奴隷類似状態、苦役、臓器摘出」を目的として、「人の募集、搬送、移送、住居提供、受け取りを行うこと」であり、その手段としては、「力の行使またはその威嚇、あるいはその他の形態の強制、誘拐、詐欺、欺瞞、権力の濫用、あるいは弱みにつけ込むこと、またはある者に対して支配力をもつ人物の同意を得るための金銭や利益の授受」が含まれると定義されている。これらの規定が、改正児童福祉法のどの個所に対応するか、政府のご認識をお伺いしたい。

6 「人の取引に関する議定書」第三条(b)には「(a)に規定する手段が用いられた場合には、人身取引の被害者が(a)に規定する搾取についての同意をしているか否かを問わない。」と定め、さらに同(c)では、「搾取の目的で児童を採用し、運搬し、移送し、蔵匿し又は収受することは、(a)に規定するいずれの手段が用いられない場合であっても、人身取引とみなされる。」とある。したがって、人身売買の対象者が一八歳未満の場合には、不法な手段が使われず、また本人が同意した場合でも、性的搾取、強制労働、臓器摘出などの搾取を目的とする取引は、「人身売買」とみなされることになる。これら規定は、今回の改正児童福祉法では全く反映されていないと考えるが、政府のご認識をお伺いしたい。

7 今回の改正児童福祉法は、一八歳未満であることが明らかではない「子ども」に対する取り扱いについて規定していない。人身売買の犠牲となっている子どもは、一般には偽造旅券を利用したり、あるいは入国を容易にするために年齢を偽って成人として入国してくることが多いと言われ、また、思春期の女子は、一八歳未満かどうか区別がつかないことが多いということも一般に言われている。ユニセフ(国際連合児童基金)が最近完成した「南東欧における子どもの人身売買に関するガイドライン」では、被害者の子どもの年齢が不明で、かつ、その被害者が子ども(一八歳未満)であると信じる理由がある場合には、被害者は子どもとみなされ、年齢がはっきりするまで、子どもとして扱われなければならないと定めている。したがって、一八歳未満かどうかはっきりしないが、被害者が子どもと思われる場合、例えば旅券に一六歳と記載してある場合には、その旅券の記載年齢が虚偽であり、実年齢は一八歳以上であることが本国からの正式の出生登録証明書などによって明らかにされない限り、その被害者は子どもとして扱われるべきと考えるが、政府のご認識をお伺いしたい。さらに、特に性的搾取を目的として日本に送り込まれてくる一八歳未満の、いわゆる思春期の女の子ないし男の子について、その子どもが一八歳未満であるかどうか確定する証拠がない場合について改正児童福祉法に全く規定がないことは、実効性の観点から大きな問題であると考えるが、政府のご認識をお伺いしたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

1について

人身取引の被害者の保護に関しては、「人身取引対策行動計画」(平成十六年十二月七日人身取引対策関係省庁連絡会議決定)の中で、被害者が児童である場合も含め、人身取引の被害者を保護の対象として明確に位置付け、被害者の状況に応じてきめ細かな対応を行うこととしている。

また、「児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書」(以下「児童の売買等に関する児童の権利条約選択議定書」という。)第八条及び第九条は、締約国は児童の売買等に関する児童の権利条約選択議定書に定める犯罪の被害者である児童に対する保護、援助等の措置を採ること等について規定しているところ、政府としては、これらの措置については、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第十五条の二及び第二十七条、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第十二条及び第十五条、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第百五十七条の二から第百五十七条の四まで、第二百九十二条の二、第二百九十五条及び第二百九十九条の二等により、担保されていると考えている。

2について

本邦に在留する外国人が出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第二十四条各号に掲げる退去強制事由に該当する者である場合は、退去強制手続を執ることとなるが、退去強制事由に該当する者が人身取引の被害者である可能性があると考えられる場合は、当該外国人について一律に本邦からの退去を強制して本国に送還するという取扱いは行わず、必要に応じて仮放免した上で、被害の状況、退去強制事由に該当するに至った状況等を詳しく聴取し、その結果、当該外国人が人身取引の被害者であると認められるときは、在留特別許可を弾力的に運用して当該外国人の法的地位の安定化を図るなど、当該外国人の保護に努めることとしている。

なお、御質問の「刑事責任の一時免除」の意味するところは必ずしも明らかでないが、刑事手続においても、人身取引の被害者と認められる者については、当該事情をも十分に勘案した適切な対応が行われているものと承知している。

3、5及び6について

児童の売買等に関する児童の権利条約選択議定書は、第二条(a)において、「児童の売買」を「報酬その他の対償のために、児童が個人若しくは集団により他の個人若しくは集団に引き渡されるあらゆる行為又はこのような引渡しについてのあらゆる取引」と定義し、第三条1(a)において、児童の売買に関し、性的搾取等の目的のため、児童を提供し、移送し又は収受する行為が自国の刑法又は刑罰法規の適用を完全に受けることを確保すべき義務を規定している。我が国においては、児童福祉法の一部を改正する法律(平成十六年法律第百五十三号)第一条の規定による改正後の児童福祉法(以下「改正児童福祉法」という。)第三十四条第一項及び第六十条第二項並びに児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律第八条を始めとする児童の売買禁止等に関連する関係法律の規定により、当該行為が我が国の刑罰法規の適用を完全に受けることを確保しているところである。

なお、「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人、特に女性及び児童の取引を防止し、抑止し及び処罰するための議定書(仮称)」(以下「人身取引議定書」という。)の締結については、可能な限り早期に国会の承認を求めることを目指して、人身取引議定書を実施するための国内法整備の要否及びその内容について、関係省庁間での検討を鋭意進めているところである。したがって、人身取引議定書の規定との関係について、現時点でお答えすることは困難である。

4について

改正児童福祉法第三十四条第一項第七号及び第九号の規定により、児童を強制労働に従事させること又は児童の臓器を摘出することを目的として、児童を引き渡す行為や児童を自己の支配下に置く行為は、禁止されている。

7について

被害者が十八歳未満であるかどうかについては、個別具体的な事例に応じ、これを判断するために必要な資料が収集された上で、適切に判断されるべきものであると考えている。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×1個別の事案 ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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