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沖縄県立八重山病院及び県立北部病院等の産婦人科の存続・再開に関する質問主意書

衆議院 第164回 第237号お答えすることは困難 ×3趣旨が明らかではない ×3承知していない ×1検討してまいりたい ×1

提出者
日本共産党
提出日
2006年4月24日
内閣転送 2006年5月8日
答弁書受領日
2006年5月12日
提出から18日
答弁の項目数
12
質問 3,515字/答弁 2,928字

質問本文

多くの離島を抱える沖縄県においては、全国的な医師の地域的偏在のために、特に産科医の不足、不在は深刻な問題となっている。

地域医療の中核である県立八重山病院(石垣市)は、昨年八月から医師の確保ができず脳神経外科が休診し、さらに産婦人科の存続が危ぶまれている。同病院の産婦人科は、現在、九州大学産婦人科教室が派遣する医師二名と県立中部病院の研修医二名の四人体制で診察を行っている。しかし、九州大学からの医師二名の派遣は五月末で終了し、伊江院長は「二人体制では産科の存続は厳しい」と述べており、後任の産科医が確保できない場合には、他の二名の医師も離職せざるを得なくなり、産婦人科の休止という事態に追い込まれることになる。

また、県立宮古病院(宮古島市)では、常勤の脳神経外科医が不在で島での手術ができないという状態が続いている。

本島北部地域では、県立北部病院(名護市)の産科医が退職し、昨年四月から医師が不在のまま休止状態にある。

このため沖縄県をはじめ、大学、医療機関、医師養成機関等と連携し、県内外から産科医の派遣を含めて産科医の確保について、あらゆる努力を尽くしているが、沖縄県だけの取り組みでは限界があり、産科医の不足・不在は一向に改善されず、地域住民の不安は募るばかりである。

国においては、こうした危機的状況を打開するために、産科医の派遣・確保のための即効性・実効性のある緊急的な措置を速やかに講ずるべきと考える。

従って、以下の事項について質問したい。

一 県立八重山病院産婦人科の存続と産科医の派遣・確保について

1 離島のさらに離島である八重山地域では、これまで年間六〇〇人余の分娩があり、その処置を一手に引き受けていた県立八重山病院の産婦人科が休止するということになれば、母子の生命の安全への不安や経済的な負担から、今後、島では子供が生めない状態になるのではないかと危惧されている。同地域は、県立病院以外に分娩できる医療機関がないために、妊娠中の出血、破水、帝王切開等の緊急処置に対応するために医師の確保は不可欠である。こうした危機的な状況について、政府の認識を問う。

2 県立八重山病院の産婦人科の存続のために後任の産科医の派遣・確保について、政府においては、どのような努力をしているか、取組みの現状と見通しを問う。

二 県立北部病院の産婦人科の再開と産科医の派遣・確保について

1 県立北部病院の産婦人科医が退職し、産婦人科が休止して一年が経過するが再開のめどが立っていない。そのために、片道数時間かけて医師のいる県立中部病院(うるま市)などの他地域の病院へ救急搬送を行っており、救急車内で出産するという、きわめて異例な事態も生じている。

同病院の産婦人科の休止がもたらしている尋常ならざる事態について、政府の認識を問う。

2 政府は、本年四月、県立北部病院への防衛医官の派遣を決定したと聞いているが、派遣時期、派遣期間について伺いたい。また、同病院の産婦人科の再開の目途と、その後の二十四時間体制に向けた県立北部病院の医師派遣・確保のためのどのような努力をされているのか。

3 産婦人科の閉院のおそれのある、他の自治体病院に対する防衛医官の派遣の可能性について伺いたい。

三 県立八重山病院等の医師不足・不在の解決策について

1 離島等における産科医等の確保について、政府が、本年度予算において、離島等に勤務する医師が一時的に勤務地を離れる場合には、その医師に代わって患者を診察する代診医の派遣要請に応えるための制度の充実を図ることとし、国会で審議中の「改正医療法」第三十条の十二に基づき産科医等の確保を推進するための必要な措置を講ずることとしていることは承知している。いわゆる「代診医派遣要請制度の充実」とは、どのような施策で、どのような取組みを進めるのか。

2 県立八重山病院及び県立北部病院においては、「代診医派遣要請制度」等の充実によって産科医の派遣・確保が期待されるものの、両病院の状況はきわめて緊急を要する事態にある。従って、政府においては、即効性、実効性のある緊急避難的な措置によって、今の状況を打開する必要があると考えるのか、政府の対応策を伺いたい。

3 政府は、いわゆる「小児科医等の確保が困難な地域における当面の対応策」を「当面最も有効な手段方策である」として進め、産科医の確保が困難な地域について、圏域の設定、医療機関の連携による医療資源集約化・重点化を推進するための計画の策定を都道府県に要請しているとのことである。

政府は、同計画の策定がなされ、それが実施に移された場合には、沖縄県における県立八重山病院、同北部病院の産科医の不足・不在は解消されるものと考えているのか。

四 九州の離島における産婦人科及び産科医不足の実情について

1 離島の多い長崎県、鹿児島県においても、県当局をはじめ医療機関等と連携しながら、離島での産科医の不足の解消を図るために懸命の努力をしているが、産科医を確保することがきわめて困難な状況にある。島によっては、産科医不在のために本土での分娩を余儀なくされる事態も生じており、産科医不足・不在は、九州の離島においても深刻である。

人口一万人で少なくとも約一人の産科医が必要だとされているにもかかわらず、長崎県の対馬(人口三九、〇〇〇)、壱岐(人口三三、〇〇〇)、中通島(人口二三、〇〇〇)、福江島(人口四四、〇〇〇)、鹿児島県の種子島(人口三四、〇〇〇)、屋久島(人口一三、〇〇〇)、奄美大島(人口七〇、〇〇〇)、徳之島(人口二八、〇〇〇)、沖永良部島(人口一四、〇〇〇)等離島の多くでは、その水準に達していないとの指摘があるが、産婦人科及び産科医の実情がどのようになっているのか、政府の現状認識を問う。

2 これらの離島について、島毎の病院数(分娩可能な施設を含めて)、産科医数(常勤・非常勤別)並びに分娩をはじめ妊娠中の出血、破水、帝王切開等の緊急処置、二十四時間体制の有無の対応方がどのように行われているのか、その実情を具体的に明らかにされたい。

3 また、政府においては、かかる離島における産科医の確保のためにどのような努力をしているのか、取組みの現状と見通しを問う。

五 伊藤恒敏東北大学大学院医学系研究科教授は、朝日新聞紙上で医師不足について次のような趣旨のことを述べられている。

�@ 厚生労働省は、地域の医師不足解消策として、都道府県知事に医師派遣命令を与えるとか、へき地での診療経験を院長の資格や開業の条件にするとかいう方針を打ち出し、即効性や実効性を強調するが、一貫性があるとは思えない。

医師は常に技量を高められる職場を求めており、医師を派遣するにしても、育成という観点がないと効果が乏しい。

�A 医師をへき地に派遣する場合、それまで勤務していた病院を退職させることになり、医師は自分が望む病院に復帰できる保障がないと不安である。勤務医の労働条件と収入は開業医に比べ見劣りし、勤務時間も長く休日も取りにくい。地域の職場環境は一段と苛酷になり、悪循環に陥る。「地方の医師不在」がさらに深刻になる。

�B 院長や開業の資格に、へき地医療の経験を義務化するのも、医師育成の視点がなければ、単なる数合わせで、医療の質が下がるのではないか。

�C 医師の育成には、働きながら学ぶ研修が不可欠で、時間もかかり、現場には指導医も必要である。

�D 医療政策を立案する場合に重要なのは、医師不足という「症状」の背後にどんな「病態」があるかを見極めることであり、その分析が足りない。長い目で、医師を育成しようという観点やビジョンが感じられない。

�E その上で、同氏は、大学が育てる専門医と地域に必要な総合診療医を育成するためには大学と地域の病院と行政(国等)が一体になった「医師育成機構」の設置を提案している。

専門医の育成を軸に、地域の第一線の総合診療もできる医師を十五年から二十年かけて育てる体制の構築である。同時に医師には多様なキャリアパスを準備し、専門医になるためのトレーニングや、総合診療医としての技量を磨ける環境を整える。こうしたことにより、医師のへき地に派遣される不安も解消でき、専門医や総合診療医として現場に立てる。

不足しがちな地域にも、医師が常にいるという状態が、実現できるのではないか。

――と指摘している。

政府は、同氏の指摘及び建設的な提案�@から�Eのそれぞれについて、どのように考えるのか見解を伺いたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一、二の1及び三の2について

沖縄県立八重山病院(以下「八重山病院」という。)及び沖縄県立北部病院(以下「北部病院」という。)における医師の確保及びこれらの病院の所在する地域における医療の確保については、これらの病院の開設者であり、かつ、県内の医療の確保について責任を有する沖縄県において対処されるものであると考えており、沖縄県においては、八重山病院の産婦人科について、八重山地域における必要な診療科であり、産婦人科医師の確保に最大限努めていくこととしており、北部病院の産婦人科についても、産婦人科医師の確保になお一層の努力を行い、できるだけ早い時期に再開できるように努めているものと承知している。

内閣府においては、沖縄県を支援するため、八重山病院及び北部病院を含めた県立病院で不足している産婦人科医師の確保について、全国に向けて公募を行っているほか、本年度予算では、沖縄県の離島等における医師の確保策の検討を推進するため事業費を計上している。なお、現時点においては、八重山病院の産婦人科医師は確保されていないと承知している。

二の2について

防衛庁において、北部病院に産婦人科医師を本年五月中に派遣することを目標に、具体的な派遣時期を検討しているところであり、また、派遣期間については一年間とすることを考えている。北部病院の産婦人科の再開及び二十四時間体制に向けた産婦人科医師の確保については、北部病院の開設者等である沖縄県において検討されるものと承知しているが、内閣府においても、沖縄県を支援するため、全国に向けて産婦人科医師の公募を行っている。

二の3について

個々の病院における医師の確保については、病院の開設者において行われることが基本であり、現在のところ、防衛庁においては、北部病院以外の地方公共団体が開設した病院に対する産婦人科医師の派遣について検討を行っておらず、その可能性についてお答えすることは困難である。

三の1について

御指摘の「代診医派遣要請制度」とは、へき地又は離島に勤務する医師の負担を軽減するため、当該医師が最新の医療の動向を調査するため学会へ参加するなどの理由により一時的に勤務地を離れる場合等において、当該医師に代わって患者を診察する代診医の派遣要請にこたえるための制度を指すものと考えられるが、この制度においては、従来、各都道府県庁や中核的医療機関等に設置されたへき地医療支援機構が、へき地医療の拠点病院等に対し医師の派遣要請を行い、当該病院等からへき地診療所等に医師が派遣されるよう調整を行ってきたところである。平成十八年度予算においては、当該制度に対する国庫補助を拡充し、へき地医療支援機構に、非常勤医師を置くことにより、仮にへき地医療の拠点病院等において派遣すべき医師の確保が困難な場合であっても、へき地医療支援機構が自ら当該非常勤医師を、へき地診療所等に派遣することが可能となるようにしたところである。

三の3について

御指摘の計画の策定及び実施が、八重山病院及び北部病院の産科医師の不足・不在の解消に資するか否かについては、沖縄県が関係市町村、医療関係団体等との協議を行って当該計画において定める各医療機関の医療連携体制及び医療資源の集約化・重点化の内容如何によるものと考えている。

四の1について

御指摘の九州の離島における産婦人科及び産科医師の実情については、地域によっては産科医師等の偏在があるものと認識しているところである。

四の2について

九州の離島における島毎の病院数、産科医師数、帝王切開等の緊急処置を行う体制及び二十四時間体制の有無については、第一義的には、病院等の開設許可を行う各県において把握されるべきものと考えている。

四の3について

離島等における産科医師の確保については、これまでも離島等に勤務する医師に代わって一時的に診療を行う代診医の派遣要請にこたえるための支援を行ってきたところであり、本年度予算においては、さらにその充実を図ることとしている。また、第百六十四回国会に提出した良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案(以下「改正法案」という。)において、離島等の医療における産科医師等の医療従事者の確保を推進するため、都道府県が地域の医療関係者との協議の場を設け、必要な施策を定めることとする旨の規定を設けることとしているところである。

五の�@から�Bまでについて

御指摘の「へき地での診療経験を院長の資格や開業の条件にする」ことについては、厚生労働省において全国知事会からの要望を受けて、社会保障審議会医療部会で議論されたところであるが、改正法案には規定されておらず、また「都道府県知事に医師派遣命令を与える」ことについては、全国知事会からの要望はなく、社会保障審議会でも議論されておらず、改正法案には規定されていない。

なお、改正法案においては、特定の地域や診療科における医師の偏在問題への対応案として、都道府県知事等が、医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第三十一条に定める公的医療機関の開設者や管理者に対し、へき地医療等の確保に関し必要な措置を講ずるよう命ずることができる旨の規定を設けることとしているところであるが、必要な措置については個別の状況に応じて適切に講じられるものであると考えている。

また、特定の地域や診療科における医師の偏在により、勤務医が厳しい勤務状況に置かれている場合があることは承知しているが、勤務医の収入が開業医に比べ劣ることの結果「地方の医師不在」が生じているという御指摘については、具体的にそのような事実を把握していないことから、お答えすることは困難である。

五の�Cについて

御指摘の「医師の育成」の意味が必ずしも明らかではないが、医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第十六条の二第一項の規定により、診療に従事しようとする医師は、二年以上、大学附属病院等において臨床研修を受けなければならないこととされている。また、臨床研修においては、臨床研修指導医が研修医を指導することとされているところである。

五の�Dについて

御指摘の「医師不足という「症状」の背後にどんな「病態」があるかを見極めること」及び「長い目で、医師を育成しようという観点やビジョン」の意味が必ずしも明らかではないが、平成十五年から厚生労働省、総務省及び文部科学省が開催している「地域医療に関する関係省庁連絡会議」において、地域における医師の確保の現状の分析に努めるとともに、医師法において、医師としての人格をかん養し、将来専門とする分野にかかわらず、医学及び医療の果たすべき社会的役割を認識しつつ、一般的な診療において頻繁にかかわる負傷又は疾病に適切に対応できるよう、研修医に臨床研修を義務付けているところである。

五の�Eについて

御指摘の「医師育成機構」の意味が必ずしも明らかではないため、「医師育成機構」の設置により「不足しがちな地域にも、医師が常にいるという状態」を実現することができるかについて、お答えすることは困難である。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×3趣旨が明らかではない ×3承知していない ×1検討してまいりたい ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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