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安倍首相の「慰安婦」問題への認識に関する質問主意書

衆議院 第166回 第110号お答えすることは困難 ×1

提出者
社会民主党・市民連合
提出日
2007年3月8日
内閣転送 2007年3月12日
答弁書受領日
2007年3月16日
提出から8日
答弁の項目数
10
質問 2,134字/答弁 1,079字

質問本文

米国議会下院で、「慰安婦」問題に関して日本政府に謝罪を求める決議案(以下決議案)が準備されている。これに対し安倍首相が総裁を務める自民党内部から「河野官房長官談話」見直しの動きがあり、また首相自ら「米決議があったから、我々が謝罪するということはない。決議案は客観的な事実に基づいていない」「当初、定義されていた強制性を裏付けるものはなかった。その証拠はなかったのは事実ではないかと思う」と述べ、談話見直しの必要性については「定義が変わったということを前提に考えなければならないと思う」と述べたことから、米国内やアジア各国首脳から不快感を示す声があがっている。

同時に安倍首相は、米国に対して「引き続き理解を得るための努力を行っている」と述べている。米下院外交委アジア太平洋地球環境小委員会のファレオマバエンガ小委員長もまた、「米国を訪れる安倍首相に恥ずかしい思いをさせたくない」と述べ、下院決議の採択を四月下旬に予定される首相訪米後へ先送りすることを明言した。首相訪米に先立ち、日本政府は米国の誤解を解き、「慰安婦」問題に対する態度を明確にすることが求められている。

一方、新聞報道によれば、安倍首相は「河野談話が閣議決定されていると誤認していたこともあり、河野談話を継承すると表明した」(二〇〇七年三月六日・産経新聞)とされている。「河野談話」については明白な政治の決定プロセスを欠いていることも米国の誤解を生む一因と考えられるため、「河野談話を継承する」と首相や官房長官が明言している現内閣において閣議決定を検討すべきでは、という意見もある。

さらに、米国議会下院では、日本軍当局が慰安所運営に直接関わったことを示す証拠として中曽根康弘元首相の回顧録『終わりなき海軍−若い世代へ伝えたい残したい』(発行年月日:一九七八年六月一五日、発行所:株式会社文化放送開発センター出版部、編著:松浦敬紀)が提出された。同書の中で中曽根元首相は、「三千人からの大部隊だ。やがて、原住民の女を襲うものやバクチにふけるものも出てきた。そんなかれらのために、私は苦心して、慰安所をつくってやったこともある。」(同書第一刷九八頁)と記述している。「慰安婦」「慰安所」に関する証言を得ることは年々困難になっている。日本の首相経験者が当時大日本帝国の軍人として直接的に慰安所設立・運営に関わり証言まで残している以上、日本政府には早急かつ充分な調査を期待するものである。

従って、以下、質問する。

一 《安倍首相の発言》について

1 「定義が変わったことを前提に」と安倍首相は発言しているが、何の定義が、いつ、どこで、どのように変わった事実があるのか。変わった理由は何か。具体的に明らかにされたい。

2 「当初、定義されていた強制性を裏付けるものはなかった。その証拠はなかったのは事実ではないかと思う」と安倍首相は発言しているが、政府は首相が「なかったのは事実」と断定するに足る「証拠」の所在調査をいつ、どのような方法で行ったのか。予算を含めた調査結果の詳細を明らかにされたい。

3 安倍首相は、どのような資料があれば、「当初、定義されていた強制性を裏付ける証拠」になるという認識か。

4 「理解を得るための努力」とは具体的にどのような行為を指しているのか。複数あればすべて明らかにされたい。

5 安倍首相は、「決議案」のどの部分が、どのように「客観的な事実に基づいていない」と判断しているのか。文言ごとにすべて明らかにされたい。また政府は、指摘部分以外はすべて「客観的な事実に基づいて」いるという認識でよいか。

二 《米下院外交委アジア太平洋地球環境小委員長の発言》について

1 米下院外交委アジア太平洋地球環境小委員長はなぜ安倍首相が「恥ずかしい思い」をすると考えたのか。安倍首相の認識を示されたい。

2 米下院で「慰安婦」問題に関して「決議案」が採決された場合、安倍首相は「恥ずかしい思い」をするのか。安倍首相の認識を示されたい。

三 《「河野官房長官談話」の閣議決定》について

1 「河野官房長官談話」が閣議決定されていないのは事実か。事実であるなら、どのような扱いなのか。

2 安倍首相は、「河野官房長官談話」を継承すると発言している以上、「河野官房長官談話」を閣議決定する意思はあるか。ないのであれば、その理由を明らかにされたい。

3 政府は「慰安婦」問題について「すでに謝罪済み」という立場をとっているが、いつの、どの文書や談話をもって謝罪しているという認識か。すべて示されたい。

四 《中曽根康弘元首相の回顧録》について

1 安倍首相は、中曽根康弘元首相が「慰安所をつくってやった」という事実を知っていたか。

2 「慰安所」設立・運営に対し、軍の関与のもとでいかなる「強制」があったか、政府は中曽根康弘元首相への調査を行ったか。行ったのであれば、調査結果をすべて明らかにされたい。

3 行ってないのであれば、政府は中曽根康弘元首相への調査を行う予定があるのか。時期・調査項目など詳細について明らかにされたい。行う予定がなければ、なぜ行わないのか理由を示されたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一の1から3までについて

お尋ねは、「強制性」の定義に関連するものであるが、慰安婦問題については、政府において、平成三年十二月から平成五年八月まで関係資料の調査及び関係者からの聞き取りを行い、これらを全体として判断した結果、同月四日の内閣官房長官談話(以下「官房長官談話」という。)のとおりとなったものである。また、同日の調査結果の発表までに政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかったところである。

調査結果の詳細については、「いわゆる従軍慰安婦問題について」(平成五年八月四日内閣官房内閣外政審議室)において既に公表しているところであるが、調査に関する予算の執行に関する資料については、その保存期間が経過していることから保存されておらず、これについてお答えすることは困難である。

一の4について

在米国日本大使館を始めとする政府関係者から、米国議会及び行政府関係者等、各方面に対し、日本政府の立場について十分説明し、米国側の理解が得られるよう最大限努力している。

他方、説明の相手方との関係もあり、それらの説明の個々の事例について明らかにすることは差し控えたい。

一の5について

御指摘の決議案については、米国議会で今後議論されていくものでもあり、政府として、その問題点を一つ一つ取り上げて意見を述べることは差し控えたいが、全般的に、慰安婦問題に関する事実関係、特に、慰安婦問題に対する日本政府の取組に対して正しい理解がされていないと考えている。

二の1について

御指摘の米国の小委員長の発言の理由について推測を述べることは差し控えたい。

二の2について

御指摘の決議案については、米国議会で今後議論されていくものであり、これが採択された場合という仮定に立った質問にお答えすることは差し控えたい。

三の1について

官房長官談話は、閣議決定はされていないが、歴代の内閣が継承しているものである。

三の2について

政府の基本的立場は、官房長官談話を継承しているというものであり、その内容を閣議決定することは考えていない。

三の3について

御指摘の件については、官房長官談話においてお詫びと反省の気持ちを申し上げているとおりである。

四の1について

御指摘の回顧録の中に御指摘の記述があることは承知している。

四の2及び3について

関係者からの聞き取り調査について、特定の個人を識別することができる情報を記録していること等から個々の内容は公表しないこととしており、御指摘の調査については、答弁を差し控えたい。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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