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パレスチナ人の子どもの国籍等に関する質問主意書

衆議院 第168回 第280号お答えすることは困難 ×1

提出者
社会民主党・市民連合
提出日
2007年11月30日
内閣転送 2007年12月5日
答弁書受領日
2007年12月11日
提出から11日
答弁の項目数
15
質問 2,421字/答弁 2,573字

質問本文

本年六月に一部の市町村に対し、重国籍の子どもが国籍選択届をしているか否かに関する照会がなされたという情報があること、および本年十月三日の法務省民事局民事第一課長二一二〇号通知により、今後はパレスチナ人父母の子どもに対し日本国籍を付与しないという取扱いに改められたことを踏まえ、以下の点を質問する。

一 国籍選択届の照会について

(1) 本年は、国籍法の改正により父母両系血統主義が採用されてから二十二年目にあたり、当時国際結婚により生まれた子どもが国籍選択の期限を迎えることになる(国籍法十四条一項)。

法務省は、自民党のプロジェクト・チームの依頼を受け、このような期限を迎えた子どもが国籍選択届をしたか否かという照会を一部の市町村に対し行ったという情報があるが、調査の目的は何か。

(2) 調査の対象となった子どもの特定は、どのような手段でなされたのか。

(3) 調査の対象となった子どもの数、および国籍選択届を行っていた子どもの数は何人か。

(4) 法務大臣は、期限内に日本国籍の選択をしない重国籍者に対し、書面により、国籍選択をすべきことを催告することができる(国籍法十五条一項)が、平成十五年七月十七日の参議院法務委員会における答弁(会議録二十三号一三頁)によれば、当時までに催告した例はないとされている。

今回の調査は、新たに催告を行うためのものであるのか。

二 国籍選択の催告について

(1) 国籍選択の催告を受けた者は、一か月以内に日本国籍を選択しなければ、自動的に日本国籍を失う(国籍法十五条三項)が、政府は、このような国籍の剥奪について、国民の理解が得られると考えるか。

(2) 日本国内に居住する者が日本国籍を失った場合、在留資格の取得の申請および外国人登録の義務を負い、これらの義務を怠った場合は、刑事罰を科される(出入国管理及び難民認定法二十二条の二、七十条一項八号、外国人登録法三条一項、十八条一項一号)。自動的に日本国籍を失った者は、これらの義務を知らない可能性が大きいが、戦後すぐに在日朝鮮人・台湾人と結婚した日本人女性が外国人登録法違反に問われた例をみても分かるように、今回もまた、刑事罰に問われる危険性は大きいと思われる。

政府は、それでもなお、国籍の剥奪について国民の理解が得られると考えるか。

(3) もともと国籍選択制度は、一九七七年の欧州理事会閣僚評議会の決議の勧告を参考にしたものであるが、この勧告に従った国は、イタリアのみであり、しかも一九九二年には、そのイタリアも国籍選択制度を廃止している。さらに一九九七年には、同じ欧州理事会閣僚評議会が「国籍に関するヨーロッパ条約」を採択し、この条約によれば、出生により重国籍となった子どもがその国籍を保持することは、締約国の義務とされている(十四条一項a号)。

このような状況において、国籍選択の催告を行い、それに従わなかった重国籍者の日本国籍を剥奪することは、国際的な非難を招くことにもなるのではないか。

三 外国居住者への催告について

(1) 国籍選択の催告は、重国籍者が外国在住などにより所在を知ることができない場合は、官報への掲載によることができるが(国籍法十五条二項)、政府は、このような手段による催告も行うつもりか。

(2) 官報による催告は、事実上、重国籍者の目に触れないわけであるから、日本国籍を失う危険性が高いが、このような国籍の剥奪は、国民の理解が得られると考えるか。

(3) 官報による催告の場合に限り、届出による国籍再取得の可能性が認められている(国籍法十七条二項)が、国籍選択届と異なり、法務局を窓口としており(同施行規則一条一項)、面倒な手続が予定されている(昭和五十九年十一月一日民五第五五〇六号民事局長通達第一)。

官報による催告が事実上重国籍者の目に触れないことを考慮すれば、もっと手続を簡素化すべきではないか。

四 パレスチナ人父母の子どもの国籍について

(1) 国籍法二条三号は、「日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき」、子どもは日本国民とする。従来、日本でパレスチナ人父母から生まれた子どもは、この規定にもとづき日本国籍を認められてきた。その数は十四人とされている。

本年十月三日の通知により、この取扱いを変更し、このような子どもに日本国籍を認めないとした理由は何か。

(2) 本年十月五日の法務大臣の閣議後記者会見によれば、外務省に対する照会の結果として、このような通知が出されたとのことであるが、外務省は、どのような回答を行ったのか。

(3) 閣議後記者会見によれば、法務大臣は、「本国に帰っても、難民ではありませんから、きちんと住むことができる」と述べているが、問題は、このような子どもが日本にいる間の保護である。

日本が承認していないにもかかわらず、パレスチナが日本出生の子どもを保護できるとする根拠は何か。

(4) 閣議後記者会見によれば、法務大臣は、「純粋なパレスチナの血の方が、日本の国籍を取得するというのは、いかにもおかしい」と述べているが、国籍法二条三号の解釈に関する平成七年一月二十七日の最高裁判決は、子どもが生物学的に日本人の血統であるか、それとも外国人の血統であるかを問題としていない。

法務大臣の発言は、この最高裁判決の趣旨に反するのではないか。

(5) 本件通知は、国籍法二条三号の適用を否定するのみであるが、外国人登録や戸籍などの実務において、一般的に「パレスチナ国籍」という記載を認めるのか。

(6) 閣議後記者会見によれば、法務大臣は、パレスチナの旅券が有効とされていることを理由のひとつとして挙げているが、台湾の旅券も同様に有効とされている。

「パレスチナ国籍」を認めるのであれば、「中華民国国籍」も認めるべきではないのか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一の(1)について

御指摘の調査(以下「調査」という。)は、出生により重国籍となり、国籍選択を要する者であって国籍の選択期限が到来した者のうち、国籍選択を行った者のおおよその割合を把握することを目的として行ったものである。

一の(2)について

調査の対象者は、任意に選択した十二の法務局又は地方法務局において国籍選択を要すると判断した者のうち、昭和六十年一月から同年五月までに出生した者とした。

一の(3)について

調査の対象者数は三百二十人であるが、国籍選択を行っていた者の数は、管轄法務局外に転籍したため国籍選択の有無について調査を行わなかった七十五人を除いた二百四十五人のうち、四十九人であった。

一の(4)について

調査の目的は、一の(1)についてで述べたとおり、国籍の選択期限が到来した者のうち、国籍選択を行った者のおおよその割合を把握することにあり、国籍法(昭和二十五年法律第百四十七号)第十五条の催告を行うためのものではない。

二の(1)について

国籍法では、国籍は一つであることが望ましいという国籍唯一の原則の理念に基づき、重国籍を解消するため国籍選択制度を採用し、所定の期限内に国籍の選択をせず、その上で法務大臣からの国籍選択の催告を受けたにもかかわらず国籍の選択をしない場合には日本の国籍を失うとされているものであり、法務省としては、このような国籍選択制度は合理的なものであると考えている。

なお、法務省としては、国籍選択義務の履行は重国籍者の自発的な意思に基づいてされるのが望ましく、また、日本国籍の喪失については本人はもとよりその家族の身分関係にも重大な影響を及ぼすことから、催告の要否については慎重に判断すべきものと考えている。

二の(2)について

御指摘の法律に基づいて刑事罰が科されるか否かは事案ごとに判断されるべきものであり、二の(1)についてで述べたとおり、国籍法が採用している国籍選択制度は、国籍は一つであることが望ましいという国籍唯一の原則の理念の下に設けられた合理的なものであると考えている。

二の(3)について

二の(1)についてで述べたとおり、国籍法が採用している国籍選択制度は、国籍は一つであることが望ましいという国籍唯一の原則の理念の下に設けられた合理的なものであると考えている。

三の(1)について

二の(1)についてで述べたとおり、催告の要否については慎重に判断すべきものと考えているが、国籍選択の催告を行うことが相当と判断される場合において、催告を受けるべき者の所在を知ることができないときその他書面によって催告をすることができないやむを得ない事情があるときは、官報への掲載によって催告を行うこととなる。

三の(2)について

国籍法が採用している国籍選択制度は、二の(1)についてで述べたとおり合理的なものであると考えており、法務省としては、官報への掲載による催告制度も必要なものであると考えている。

三の(3)について

昭和六十年一月一日から施行された国籍法及び戸籍法の一部を改正する法律(昭和五十九年法律第四十五号)によって新たに設けられた国籍法第十七条に基づく国籍の再取得の制度は、帰化の場合と異なり、法務大臣に対する届出のみによって日本国籍を簡易に取得することを可能とするものであり、また、その届出に際し提出すべき書類についても、国籍法施行規則(昭和五十九年十一月一日法務省令第三十九号)等において、同法第十七条の要件該当性及び戸籍の編製のために必要な事項の判断に係るものに限られているものであって、法務省としては、国籍の再取得の手続を更に簡素化することは考えていない。

四の(1)について

従来、パレスチナ人については、国籍法上、国籍を有しない者として取り扱ってきたが、パレスチナは国家として承認されていないものの、最近のパレスチナ地域における諸情勢、国家に近い形態が整備されているパレスチナ暫定自治政府(以下「パレスチナ自治政府」という。)の体制整備等の現状にかんがみると、パレスチナ人を国籍を有しない者と取り扱い、御指摘のような子に日本国籍を取得させる必要はないものと考えられることから、御指摘の通知により取扱いを変更したものである。

四の(2)及び(3)について

法務省からの照会に対し、外務省は、近年のパレスチナ情勢やパレスチナ自治政府の体制整備等の現状を説明した上で、(1)オスロ合意�T(千九百九十三年)に基づき、ガザ地区及び西岸地区におけるパレスチナ人による自治が合意され、イスラエルからパレスチナ自治政府に対し段階的に土地の管轄権が委譲されてきており、この委譲された地域においてパレスチナ人は居住する権利を有していると言うことができる、(2)仮に、パレスチナ人が日本において不当な扱いを受けた際には、在京パレスチナ常駐総代表部に必要な保護や支援を求めることができる、(3)オスロ合意�U付属書�V第二十八条の二、七、八において、パレスチナ人に対し旅券を発行するパレスチナ自治政府の権限が明示的に規定されており、同旅券は多数の国々で有効なものとして認められており、我が国も平成十四年十月十八日の閣議決定により、関連政令の一部を改正し、同旅券を承認している旨の回答を行った。

四の(4)について

平成七年一月二十七日最高裁判所第二小法廷判決は、ある者が父又は母である可能性が高くても、これを特定するに至らないときは、国籍法第二条第三号の「父母がともに知れないとき」に該当すると解釈し、子に日本国籍の取得を認めたものである。御指摘の法務大臣の発言は、パレスチナ人父母が特定されている場合について、その子が日本国籍を取得することに疑義がある旨を述べたものであり、右判決の趣旨に反するものではない。

四の(5)について

外国人登録、戸籍等においては、「パレスチナ」と記載することになるものと考えている。

四の(6)について

国籍法上、パレスチナ人については、従来、国籍を有しない者として取り扱ってきたが、他方、台湾の権限ある機関の発行した旅券等に相当する文書を所持する者については、国籍を有しない者として取り扱ってきておらず、御指摘のように両者を同列に論ずることは困難である。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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