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発見から二十年を迎える旧陸軍軍医学校の人体標本等に関する質問主意書

衆議院 第171回 第101号

提出者
民主党・無所属クラブ
提出日
2009年2月6日
内閣転送 2009年2月12日
答弁書受領日
2009年2月17日
提出から11日
答弁の項目数
5
質問 2,126字/答弁 627字

質問本文

国立感染症研究所が所在する新宿区の旧陸軍軍医学校跡地から大量の人骨が発見されて今年で二十年を迎える。この人骨は旧陸軍軍医学校の標本類又は標本作製用あるいは医学教育用に集められた死体の一部とみられることから、現在、厚生労働省が現状のまま保管している。

厚生労働省が保管しているこの人骨に対して、舛添要一厚生労働大臣は二〇〇八年五月十四日の衆議院厚生労働委員会において、「今大切に保管されています人骨の身元確認、これはさらなる技術革新その他の手を用いまして、できるだけ身元確認につながるような努力を今後とも続けていきたいと思います。」と答弁した。

また、二〇〇八年六月二十三日に川崎二郎元厚生労働大臣が旧陸軍軍医学校の元看護師と面会して約束した人体標本を埋めたとされる新たな場所の調査は未だ着手されていない。

以下、今後の人骨問題に対する国の対応について質問する。

一 人骨が発見された一九八九年、厚生省(当時)は新宿区による人骨の身元確認調査依頼に対し、国立栄養研究所長名で調査を「行う考えはない」(国栄発第二九六号 平成元年八月八日)と回答していた。また、厚生労働省はこれまで、土地の管理者の立場から人骨の由来調査を行い、調査の結果、人骨は国が処分した人体標本に由来すると推測されるため、それまで人骨を保管していた新宿区から引き取り、現状のまま保管することになったと説明してきた。舛添厚生労働大臣の「身元確認につながるような努力を今後とも続けていきたい」とする答弁はこれまでの国の姿勢から一歩踏み込むものであり、発見当初の新宿区の依頼に沿うものであると評価できる。よって、国の身元確認調査に対する考え方を明らかにされたい。

二 旧陸軍軍医学校の元看護師の証言にある国立国際医療センター戸山病院の戸山五号宿舎(以下「戸山五号宿舎」という。)は職員の宿舎として使用されていることから、代替の宿舎を確保するなどにより調査が可能となった時点において対応するとしている。今般、「高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律」において国立国際医療センターを独立行政法人とする準備に必要な規定が施行されたが、戸山五号宿舎の代替宿舎確保の見通しが検討されているのか否か明らかにされたい。

また、舛添厚生労働大臣は先の答弁で「独法化するとかなんとかいう問題とは全く切り離して、きちんと国として対応してまいりたい」と答弁している。国の国立国際医療センター独立行政法人化への対応と人体標本調査に対する考え方を明らかにされたい。

三 元看護師の証言には財務省所管の国家公務員宿舎旧若松住宅が所在する場所に人体標本を埋める作業を手伝ったとの話がある。財務省は二〇〇八年四月十日、参議院厚生労働委員会において、旧若松住宅の事案について二〇一一年七月までの退去要請期間が経過したのち、何らかの調査を行うことを検討するとしているが、厚生労働省の戸山五号宿舎と同様、国の責任で人体標本の調査を行うべきであると考える。旧若松住宅の現在の入居状況と具体的な処理方針、人体標本の調査に対する考え方を明らかにされたい。

四 防衛省は二〇〇八年六月十一日、陸上自衛隊衛生学校の彰古館が保管する七十一個の人体標本リストを明らかにした。『日本病理学会雑誌 第三十一巻』の「軍陣病理学について」(陸軍軍医中佐 平井正民)や『大東亜戦争陸軍衛生史巻6』の「軍陣病理」(大橋成一病理部長)、『衛生学校三十年の歩み』の「彰古館のあゆみ」などに明らかなように、旧陸軍軍医学校が保管していた戦傷標本等が彰古館に現在も保管されている戦傷標本等に該当すると思われる。しかし、標本リストは戦傷標本が多く見受けられるものの受入日や関連戦役、関連資料など標本履歴の欠如がはなはだしい。このような保管状況に照らして、衛生学校が標本を人体の一部として尊厳を持って取り扱っているとは到底思えない。これらの人体標本とその記録は厚生労働省が保管する旧陸軍軍医学校の人体標本等の身元確認調査、及び今後予定されている戸山五号宿舎と旧若松住宅の調査に寄与する重要な資料となるものである。防衛省は陸上自衛隊衛生学校「彰古館」の人体標本の保管状況をどのように認識しているのか、また、厚生労働省や財務省が行う今後の人体標本調査に協力する意思はあるのか明らかにされたい。

五 旧陸軍軍医学校跡地で発見された人骨は厚生労働省の調査報告に記載されている通り、鑑定結果では「日本人が含まれていることもあり得るが、少なくとも一般日本人集団の無作為標本ではない可能性が大きい」とされている。国際人道法では、戦場での死者を保護することが第二回赤十字条約(一九〇六年)で定められており、「戦場から集められた戦死者」から標本を作成することは国際法に触れる行為であると考えられる。国は、人間の尊厳を前提に、日本国として標本とされた外国の人々の身元確認に最大限努力すべきであり、戦後処理の問題として人骨問題の真相究明に取り組むべきと考える。この人骨問題に国際人道法と戦後処理の観点から取り組むという考え方に対する国の認識を明らかにされたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

政府としては、今後とも、御指摘の人骨の身元確認に資する技術開発の動向等も踏まえつつ、身元確認につながるよう、できる限りの努力を行ってまいりたいと考えている。

二について

厚生労働省としては、現在、御指摘の戸山五号宿舎に入居している職員の代替宿舎の確保について、関係府省等との調整に努めているところである。

また、御指摘の調査については、国立国際医療センターの独立行政法人移行後においても、国として、必要な対応を行ってまいりたい。

三について

御指摘の若松住宅には、平成二十一年一月末現在で五十三世帯入居しているところである。これらの被貸与者に対しては、平成二十三年七月末までに退去するよう要請しているところであり、すべての被貸与者の退去完了を待って、当該宿舎の用途を廃止することとしているが、その際に何らかの調査を行うことを検討する必要があると考えている。

四について

現在、陸上自衛隊衛生学校の彰古館においては、旧陸軍等に係る医療に関する史料等の一部として、病理に関する七十一の標本を保管中であるが、これらについては、適切に整理を行いつつ、人体の一部として尊厳を損なわないよう管理しているところである。

また、防衛省としては、厚生労働省及び財務省から要請があった場合には、必要な協力をしてまいりたい。

五について

政府としては、土地の管理者として必要な対応を行うなど、今後とも、御指摘の人骨問題について適切に対処してまいりたいと考えている。

衆議院の原文

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