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厚生年金の給付における世帯類型に関する質問主意書
衆議院 第171回 第559号お答えすることは困難 ×3承知していない ×2
質問本文
厚生労働省は二〇〇九年五月二六日、世帯の種類別に受給額を試算した結果を社会保障審議会年金部会に示した。その結果、厚生労働省がモデル世帯とする「夫が(厚生年金に)四〇年加入片働き」という世帯以外は、受給額が現役世代の手取り収入の五割を切ることがわかった。
厚生労働省年金局長は「夫が現役時代に主に正社員であった世帯のうち、約六割の世帯が妻が厚生年金に加入しておらず、片働き世帯に分類されると私どもは考えております。約六割でございます。」と、現在の年金受給者におけるモデル世帯の割合は六割という認識を示しているが(二〇〇九年五月二六日、参議院予算委員会)、同時に「労働力調査によりましても、夫が雇用者である世帯のうち、五二・五%、平成十九年の平均でございますが、五二・五%の一千十三万世帯が妻が雇用者ということでございますので、過半が共働き世帯というのが現役世代の傾向になってきております。」とも答弁している。また「社会保障審議会少子化対策特別部会 第一次報告−次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向けて−」(二〇〇九年二月二四日)において、「労働力調査」の結果をもとに、「従来は、共働き家庭は少なかったが、一九九七年以降、専業主婦世帯数を上回り、その後も増加を続けている」という報告がされている。
モデル世帯が実態に即していないとすれば、年金制度の構造的問題であるとともに、更なる国民不信を招くことになりかねない。
従って、以下、質問する。
一 厚生年金におけるモデル世帯とは何か。
二 厚生労働省がモデル世帯に定めている「夫四〇年加入片働き」の世帯について、下記1〜4の条件をすべて満たしている世帯という認識でよいか。1〜4以外に「夫四〇年加入片働き」の世帯の定義がある場合は、詳細を示されたい。
1 二〇歳までに結婚している世帯。
2 夫婦が同い年である世帯。
3 四〇年間結婚生活を継続している世帯。
4 夫は四〇年間厚生年金に加入し、妻は四〇年間加入していない世帯。
三 「夫四〇年加入片働き」のモデル世帯に関し下記について明らかにされたい。
1 現行制度の年金水準は、「夫四〇年加入片働き」をモデル世帯としていることは間違いないか。
2 「夫四〇年加入片働き」がモデル世帯に定められたのはいつか。
3 「夫四〇年加入片働き」をモデル世帯に定めた根拠を示されたい。
4 「夫四〇年加入片働き」がモデル世帯に定められた時点で、「夫四〇年加入片働き」の世帯の、当時の総世帯数における割合は何パーセントだったか。
5 年金局長の発言について、「夫が現役時代に主に正社員であった世帯のうち、約六割の世帯が妻が厚生年金に加入しておらず」という世帯は、必ずしも一の定義と一致しないのではないか。一致するのであれば、モデル世帯が複数存在することになると考えられるがいかがか。
6 政府は、現在は共働き家庭が過半数であり、増え続けているという認識か。
7 政府は、現在も「夫四〇年加入片働き」がモデル世帯として適切と考えるか。
8 モデル世帯を「共働き世帯」に変更すべきと考えるがいかがか。すべきでないとするなら、その根拠を示されたい。
四 二〇〇九年度現在、下記の世帯についての、総世帯数における割合は何パーセントか。調査していないのであれば、していない理由を明らかにされたい。また、早急に調査すべきと考えるがいかがか。
1 「夫四〇年加入片働き」の世帯について。
2 「共働きで、夫婦とも四〇年加入」の世帯について。
3 「共働きで、夫四〇年加入、妻二七年一一月加入」の世帯について。
4 「共働きで、夫四〇年加入、妻七年一月加入」の世帯について。
5 「男性単身者、四〇年加入」の世帯について。
6 「女性単身者、四〇年加入」の世帯について。
五 二〇五〇年度時点での、下記の世帯についての、総世帯数における割合は何パーセントと試算しているか。また、その試算の根拠となる計算方法を示されたい。試算していないのであれば、していない理由を明らかにされたい。また、早急に試算すべきと考えるがいかがか。
1 「夫四〇年加入片働き」の世帯について。
2 「共働きで、夫婦とも四〇年加入」の世帯について。
3 「共働きで、夫四〇年加入、妻二七年一一月加入」の世帯について。
4 「共働きで、夫四〇年加入、妻七年一月加入」の世帯について。
5 「男性単身者、四〇年加入」の世帯について。
6 「女性単身者、四〇年加入」の世帯について。
右質問する。
政府答弁書
一及び二について
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)上は、モデル世帯といった考え方はなく、お尋ねについては、平成二十一年財政検証における世帯類型の一つである「夫のみ就労」についてのものと考えられるが、これは、夫が厚生年金に加入している男子の平均的な賃金で四十年間就業し、妻がその全期間にわたり専業主婦(短時間労働等により収入を得ていたが、国民年金の第三号被保険者であった者を含む。)であった同年齢の夫婦の世帯のことである。
三の1について
お尋ねについては、国民年金法等の一部を改正する法律(平成十六年法律第百四号)附則第二条第一項において、満額の老齢基礎年金二人分の額と男子の平均的な賃金で四十年間就業した場合の老齢厚生年金の額との合計額の男子平均手取り賃金に対する比率が五十パーセントを上回ることとなるような給付水準を将来にわたり確保する旨が規定されているところである。
三の2について
厚生労働省としては、基礎年金制度が導入された昭和六十年の年金制度改正以降、「夫のみ就労」世帯に係る年金の給付水準についての資料を作成してきているところである。また、三の1についてでお答えしたとおり、平成十六年の年金制度改正において、将来にわたる給付水準の目標が法律上規定されたところである。
三の3、7及び8について
お尋ねについては、夫が国民年金の第二号被保険者である世帯においては、妻が第三号被保険者である割合が高いこと、女性の就業形態が多様であり共働きの世帯について標準的な類型を設定することが困難であること、過去の制度改正においても同様の世帯を念頭においた給付水準を示しており、継続的に給付水準の変化を示すためには同一の指標に基づくことが適当であると考えられたからであり、このような理由は現状においても当てはまるものであると考えられる。
三の4について
お尋ねについては把握していない。
三の5について
御指摘の答弁については、「夫のみ就労」世帯について述べたものではなく、当該世帯の総世帯に占める割合をお答えすることが困難であることから、これに関連するデータをお答えしたものである。
三の6について
お尋ねについては、夫婦の公的年金の加入状況に着目してみると、国民生活基礎調査によれば、夫が第二号被保険者である世帯のうち、その妻も第二号被保険者である世帯の割合は、平成十七年度が二十八・四パーセント、平成十八年度が二十八・〇パーセント、平成十九年度が三十一・八パーセントとなっている。
また、夫婦の雇用状況に着目してみると、労働力調査によれば、夫が非農林業に従事する雇用者(賃金等の収入を伴う仕事を月末一週間に一時間以上行った者に限る。以下同じ。)である世帯のうち、その妻も非農林業に従事する雇用者である世帯の割合は、平成十八年平均で五十一・六パーセント、平成十九年平均で五十二・五パーセント、平成二十年平均で五十三・四パーセントとなっており、近年、増加している。
四について
厚生労働省としては、これまでも、年金受給者が現役時代にどのような働き方をしたかについて、抽出調査を実施してきているところであるが、お尋ねの割合についてまでは把握していない。
五について
お尋ねの割合について試算を行うためには、今後、約四十年にわたる個人の職歴について一定の前提を設定する必要があるが、個人の働き方について妥当性のある前提を設定することは困難であることから、そのような試算は行っていない。
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