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株式会社国際協力銀行法案に関する質問主意書
衆議院 第177回 第143号趣旨が明らかではない ×1
質問本文
政府が、平成二十三年二月二十五日に国会へ提出した株式会社国際協力銀行法案に関して、次の事項について質問する。
一 日本政策金融公庫(国際協力銀行部門)の過去二十年間の役員(国際協力銀行部門関係の前身組織の役員を含む。)の中で元国家公務員がいる場合、その氏名、生年月日、任期及び元国家公務員の最終官職をあきらかにされたい。
二 同法案は、財務省の天下りポストを増やしたいだけとの指摘もあるが、東日本大震災を踏まえ、政府としてそういう指摘のあるものに労力を費やす同法案を取り下げる考えはないか。
仮に政府として同法案を取り下げると答弁されるならば、以下の質問への答弁は省略されたい。
三 東日本大震災の大復興に向けて、日本政策金融公庫も適切に役割を果たしていかねばならず、組織の分離には相応の労力を要するなどが考えられるため、同法案を修正して日本政策金融公庫から株式会社国際協力銀行(以下「新JBIC」という。)の分離をとりやめることは当然と考えられるが、政府もそういう見解でよいか。
四 経済産業省から東京電力への天下り(適切な再就職等監視委員会が立ち上がっていない中での前資源エネルギー庁長官が東京電力の顧問に就任しているケースを含む。)について、枝野官房長官は、記者会見において「チェック体制が甘くなっていたのではと疑義をもたれる人が多数いるのは当然だと思うし、結果的にそのことで多くの国民に迷惑をかけているということを踏まえれば、社会的に許されない。今後させないということについて最大限のことはしていきたいと思っている」と答えた。すなわち、菅内閣は、東京電力への官僚の天下りを以前は容認していたが、東京電力の原発事故を受けて天下りはなくすという意見にかわった。
同法案によって日本政策金融公庫から分離される新JBICへの官僚の天下り(適切な再就職等監視委員会が立ち上がっていない段階における官僚の新JBICへの再就職を含む。以下同じ。)を認めないと断言できるか。
五 新JBICに対して官僚の天下りがあれば、新JBICの業務へのチェック体制が甘くなり、新JBICの業務や財務上の問題が発生する可能性や想定外の損失を被る可能性が高くなると考えるが、政府の見解も同じでよいか。
六 日本政策金融公庫の国際部門又は新JBICは、米国南テキサス州で東京電力や東芝が出資して進めている原発建設プロジェクトに対してどうかかわっていくのか。
七 英国の英国輸出開発公社の設立年月日、組織・人員、融資規模などはどうなのか。
八 同法案の策定についてフランスのCOFACEを参考例としているのか。これを例にしているのであれば、COFACEは民営化されているので、新JBICは同法案を修正して民営化するという理解でよいか。
この理解にならないならば、フランスのCOFACEが民営化されているのにもかかわらず、民営化できない理由を詳細に説明されたい。
九 同法案では、新JBICの株式を政府が、常時全額保有する旨の規定が置かれているが、政府が新JBICの株式を売却すれば、東日本大震災の復興財源にもなると考える。政府は、復興財源にするよりもなぜ全額保有をしなければならないのかを詳細に説明されたい。
十 KfW IPEXの分離に関し、KfWが行っていた商業金融が、KfWの信用力で競争条件を歪めているとして、商業金融を分離したため、KfW IPEXは銀行法上の銀行となって監督は連邦金融監督庁が行うとなったが、同法案においてもこの例を参考にしているのか。これを例にしているならば、同法案を修正して新JBICも銀行法上の銀行となって、監督は金融庁が行うことでよいか。仮にこの修正をしないならば、KfW IPEXの分離の例にもかかわらず、こうした修正をしない理由について詳細に説明されたい。
十一 日本政策金融公庫の国内業務勘定には政府から補助金が投入されているが、いわゆるJBIC勘定と「責任財産」は区別されてないため、WTO補助金協定違反の疑いを極力排除することを、同法案の提出理由としているのか。
仮に、そうだとするならば、わざわざ日本政策金融公庫から新JBICを分離しなくともよく、責任財産の分離だけすればよいが、なぜ、そういう取扱いをしないのか。
十二 日本政策金融公庫・国際協力銀行部門の業務の機能強化による我が国企業の海外展開支援として、船舶、鉄道等の分野における先進国向け輸出金融、短期の「つなぎ資金」を供与する「投資金融」、日本企業が外国企業を買収するための資金等を供与する投資金融、等(以下「機能強化業務」という。)を掲げているが、これらの業務を日本の民間金融機関はできないのか。
日本の民間金融機関ができる業務をなぜ、新JBICがやろうとするのか。
十三 日本政策金融公庫・国際協力銀行部門の業務の機能強化により、民間金融機関の業務を圧迫すると考えられるが、仮に圧迫しないとするならば、なぜ、圧迫しないのか、詳細に説明されたい。
十四 十二の機能強化業務について、直貸しはしないという理解でよいか。
右質問する。
政府答弁書
一について
株式会社日本政策金融公庫国際協力銀行(国際協力銀行及び日本輸出入銀行を含む。)の過去二十年間(平成二十三年四月二十六日前の二十年間をいう。)の役員のうち、所管省庁において保存が義務付けられている関係書類等によって把握できた常勤の国家公務員の退職者(職務の専門性等を踏まえ、専ら教育、研究又は医療に従事した者、国家公務員としての勤務が一時的であった者及び国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)第十九条第四項等の規定に基づき退職手当を支給されていない者を除く。)の氏名(生年月日、最終官職)及び任期は、それぞれ次のとおりである。
馬淵晴之(昭和四年二月一日、ウルグアイ国駐箚特命全権大使)が平成元年四月二十四日から平成三年七月十日まで、岩崎文哉(昭和十一年四月一日、大蔵省印刷局長)が平成元年六月三十日から平成三年九月十三日まで、山口光秀(昭和二年九月十六日、大蔵事務次官)が平成二年五月二十二日から平成六年五月十三日まで、吉田文毅(昭和十二年十月十九日、特許庁長官)が平成二年十一月一日から平成四年六月三十日まで、高瀬秀一(昭和十一年一月四日、キューバ国駐箚特命全権大使)が平成三年七月十日から平成五年八月二十九日まで、山崎高司(昭和八年八月十日、大蔵省大臣官房付)が平成三年九月十三日から平成四年七月三十一日まで、南学政明(昭和十三年二月十一日、中小企業庁長官)が平成四年七月十五日から平成七年七月十六日まで、江沢雄一(昭和十四年一月七日、大蔵省国際金融局長)が平成四年七月三十一日から平成七年七月十日まで、保田博(昭和七年五月十四日、大蔵事務次官)が平成六年五月十三日から平成十三年六月二十九日まで、鏡味徳房(昭和十七年五月十八日、大蔵省関税局長)が平成七年七月十日から平成十一年九月三十日まで、中田哲雄(昭和十六年十一月六日、中小企業庁長官)が平成七年七月十六日から平成九年七月二十八日まで、白川進(昭和十九年五月十九日、通商産業省基礎産業局長)が平成九年七月二十八日から平成十一年九月三十日まで、林康夫(昭和十七年八月五日、中小企業庁長官)が平成十一年十月一日から平成十二年六月二十三日まで、内田富夫(昭和十七年十一月八日、スウェーデン国駐箚特命全権大使)が平成十一年十月一日から平成十二年十月三日まで、大塚功(昭和十七年八月三日、大蔵省大臣官房付)が平成十一年十月一日から平成十三年二月十六日まで、長瀬要石(昭和十三年一月二十七日、経済企画庁調整局長)が平成十一年十月一日から平成十三年六月二十九日まで、篠沢恭助(昭和十二年三月一日、大蔵事務次官)が平成十一年十月一日から平成十九年九月三十日まで、岩田満泰(昭和二十二年二月十一日、中小企業庁長官)が平成十二年七月十七日から平成十五年九月三十日まで、河村悦孝(昭和十六年三月三十一日、モロッコ国駐箚特命全権大使)が平成十二年十月三日から平成十四年十月六日まで、浜中秀一郎(昭和十九年二月十日、ポルトガル国駐箚特命全権大使)が平成十三年二月十六日から平成十四年九月一日まで、田波耕治(昭和十四年九月十日、大蔵事務次官)が平成十三年六月二十九日から平成二十年九月三十日まで、志賀櫻(昭和二十四年一月十九日、東京税関長)が平成十四年九月一日から平成十五年一月十七日まで、古屋昭彦(昭和二十一年十月五日、地球環境問題担当大使)が平成十四年十一月十五日から平成十八年四月十一日まで、岩下正(昭和二十三年一月一日、財務省会計センター所長)が平成十五年四月十四日から平成十八年十月三十一日まで、岡本巖(昭和二十一年六月二十五日、資源エネルギー庁長官)が平成十五年十月一日から平成十七年九月三十日まで、齋藤浩(昭和二十八年一月三十一日、経済産業省産業技術環境局長)が平成十七年十月一日から平成十九年九月三十日まで、松井英生(昭和二十五年四月十九日、経済産業省大臣官房商務流通審議官)が平成十九年十月一日から平成二十年九月三十日まで、大村雅基(昭和二十八年一月二十一日、財務省大臣官房付)が平成二十年七月二十七日から現在まで、細川興一(昭和二十二年六月十七日、財務事務次官)が平成二十年十月一日から現在まで、渡辺博史(昭和二十四年六月二十六日、財務省財務官)が平成二十年十月一日から現在まで、板東一彦(昭和二十九年三月十日、経済産業省大臣官房審議官)が平成二十年十月一日から現在までである。
二について
株式会社国際協力銀行法案(以下「法案」という。)を取り下げる考えはない。
三について
法案を修正する考えはない。
四について
法案の規定により設立が予定されている株式会社国際協力銀行(以下「会社」という。)の役員については、主務大臣の監督の下で、会社が適材適所の人事を行うべきものであると考えており、その際、識見及び能力を有しないにもかかわらず特定の府省庁を退職した公務員であるという理由のみによって同一府省庁出身者が何代にもわたって特定の役員ポストを占めるような問題が生じないよう、適切に対処してまいりたい。
五について
会社の業務におけるリスク管理については、今後とも主務大臣の監督の下、会社が適切に対応すべきものと考えている。
六について
会社の本プロジェクトへの関わりについては、福島第一原子力発電所の事故に対する検証を踏まえるとともに、当該事故により米国における原子力政策等にどのような影響があるかという点も含めて、注意深く見守りながら対応を検討していく必要があると認識している。
七について
お尋ねの「英国輸出開発公社」とは英国政府の一部局であるECGD(Export Credits Guarantee Department)のことを指すものと思われるが、ECGDの設立は大正八年六月二十一日、人員は二百二十六名(平成二十一年四月一日から平成二十二年三月三十一日までの平均)であり、現在、融資業務は行っていないと承知している。
八から十までについて
法案の策定に当たっては、特定の国の機関を参考例とはしていない。会社は、国の政策を実施するための政策金融機関であることから、その発行済株式の総数を政府が保有し、主務大臣である財務大臣の監督に服することとしている。
十一について
お尋ねの点については、法案の提案理由とはしていない。
十二及び十三について
お尋ねの「機能強化業務」は、国際競争の激化や長期・巨額の外貨の調達難といった海外ビジネスをめぐる環境の変化を受け、民間金融を補完する政策金融による支援を期待する経済界からの声を踏まえ、我が国企業の海外事業を支援するために行うものである。なお、会社の業務運営については、行政改革の趣旨にのっとり、これまでも民業補完を旨としているところであり、法案においても、第一条において「一般の金融機関が行う金融を補完することを旨とし」と規定しているところである。
十四について
御指摘の「直貸し」の意味は必ずしも明らかではないが、我が国の法人等又は出資外国法人等が海外において行う事業に直接又は間接に充てられる資金の貸付けについては、法案第十一条において会社がその目的を達成するため行うものとされている。
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