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東日本大震災により発生したがれき処理に係る政府の対応等に関する質問主意書
衆議院 第177回 第176号検討してまいりたい ×1
質問本文
三月十一日午後二時四十六分、宮城県牡鹿半島の東南東約百三十キロメートルを震源地とするマグニチュード九.〇の大地震が発生した。それに伴う巨大津波により、特に岩手、宮城、福島の三県の沿岸部では甚大な被害が発生し、一九九五年の阪神・淡路大震災を超える死者が出て、更には、津波により冷却機能が破壊された東京電力福島第一原発では、一号機から四号機まで炉心が融解し、多量の放射線が発生する事態が生じている。政府は、東日本大震災発生後、政府内に乱立していた震災対策組織を三本部に集約する等、復旧、復興に向けた態勢をようやく整えつつあるが、具体的な復旧、復興に向けたグランドビジョンの策定はおろか、実際の作業は始まっていない。その最大の原因は、阪神・淡路大震災の約一.七倍、岩手、宮城、福島の各県でそれぞれ約六百万トン、千六百万トン、二百九十万トン、合計で約二千四百九十万トンにも上ると言われている、震災により生じたがれきの処理が遅々として進まないことにあると考える。がれきを処理して初めて復旧を始めることができ、最終的な復興も可能となるのであり、がれきの処理は、まさに被災地復興に向けた「一丁目一番地」の課題である。また迅速な処理の実現を図るには、何よりも政府による強力なリーダーシップが求められる。右の認識の下、民主党、そして民主党・無所属クラブ所属の議員により構成され、当方も所属している政策集団「北辰会」の中で議論された内容を基に、以下質問する。
一 政府による明確なタイムスケジュールの設定について
(一) 本年四月三十日の新聞報道(例えば同日付の北海道新聞夕刊)によると、政府、特に環境省として、東日本大震災により発生したがれきの処理を完了するまでに必要とされる時間は三年であるとの想定をしていることが明らかになったとのことであるが、一方で、五月十日付の新聞報道(例えば同日付朝日新聞朝刊)では、本年八月までにがれき処理を終える方針を、政府として近く緊急災害対策本部を開き、正式に発表するとのことである。政府として、今次の震災により発生したがれき処理に要する時間はどれくらいであると想定しているのか、その根拠とともに見通しを改めて示されたい。
(二) 今次の震災により発生したがれきの処理は、第一義的に被災地の市町村が担うこととなっていると承知するが、まずは政府として、がれき処理に向けた明確な時間軸を設定すべきであると考える。例えば、漠然と三年という見通しを出すのではなく、最初の数か月のうちに写真アルバムや位牌等、個人物の収集や、震災で亡くなられた方々のご遺体の捜索を終わらせる、その後の数か月でがれきをすべて撤去するといった、具体的かつ明確なタイムスケジュールを政府が設定し、各市町村に示すべきだと考えるが、政府の見解如何。
二 いわゆる縦割り行政の打破について
(一) がれきの種類について、倒壊家屋等は環境省、津波により陸上に上げられた船舶等は海上保安庁、海中・漁場にあるものは水産庁、放射能による汚染が懸念される福島第一原発付近のがれきについては経済産業省、文部科学省と、がれき処理一つをとっても担当省庁は多岐に渡り、それが迅速な処理の足かせとなっていると考えるが、政府の見解如何。
(二) (一)で指摘した弊害を打破し、迅速な撤去を進めるためにも、一元的にがれき処理を担当し、処理に係る法的根拠等を整理し、各市町村をバックアップする部署を政府部内に設置すべきだと考えるが、政府の見解如何。
三 所有権等について
(一) 車や漁船、家屋等、個人の所有権が発生するがれきの処理について、政府は一般的な指針を示しているものの、最終判断はあくまで市町村、現場任せになっていると承知するが、確認を求める。
(二) 各自治体によるがれき処理が迅速に進まない最大の要因の一つに、この所有権の問題があり、このことが各自治体に後に所有者と起こり得るトラブルを懸念させ、迅速な処理をためらわせる要因となっていると考える。政府として、例えば今後半年間を経過すれば、所有者の確認、承諾なしに処理を進められるといった法的措置を取ることをはじめ、後にどのようなトラブルが生じても、訴訟に係る費用等をはじめ、最終責任は国に帰するといった態勢を取ることが必要ではないのか。政府の見解如何。
四 仮置き場・廃棄場の確保について
(一) 被災三県のうち、がれきの仮置き場・廃棄場を確保できているのは宮城県のみであり、他の二県では十分な仮置き場が確保できていないと承知するが、政府として右の現状を正確に把握しているか。
(二) 東北三陸沿岸はリアス式海岸が続き、埋め立て地としての仮置き場・廃棄場の確保はできない現状を鑑みる時、隣接する他県の協力が不可欠であると考える。右につき、政府としてあくまで各市町村、現場任せの方針を取るのではなく、被災地の要請をまとめ、被災三県と他都道府県とのつなぎ、コーディネーターとしての役割を果たしていく必要があるのではないか。政府の見解如何。
(三) がれき処理に当たり、再利用可能なものは資源として活かすという、リサイクルの視点を持つことが、がれきを迅速に処理する上で非常に重要であり、仮置き場・廃棄場を確保する上でも有意義であると考えるが、政府の見解如何。
(四) 今回津波により被害を受けた地域を復旧、復興し、人々が生活する空間を再建するために、がれきを土地を埋め立てる土台として活用するという方法もあるかと考えるが、政府の見解如何。
五 処理業者の確保について
(一) 政府として、がれきを実際に処理する専門業者を、現場の各市町村が十分に確保できているか否か、現状を正確に把握しているか。
(二) 例えば津波により陸上に上がっている漁船を解体するにしても、そのノウハウを有している被災地域の造船業者のうち、震災後も営業している業者はほんの一部でしかないと承知する。各市町村が主体となり、業者を選定するにしても、迅速な処理を進めるという観点から、政府としても、各市町村に専門業者を紹介する等、つなぎ役としての役割を果たすことが求められているのではないか。政府の見解如何。
(三) 政府がつなぎ役として各市町村のがれき処理、解体の専門業者を紹介するにしても、可能な限り被災地における雇用を優先する、被災地の業者が処理、解体にあたれる機会を増やし、被災地における経済効果に十分な配慮をする等、被災地に経済的利益が波及する仕組みを作るべきであると考えるが、政府の見解如何。
六 福島第一原発周辺の放射性物質にさらされたがれきについて
(一) 福島第一原発周辺の放射性物質にさらされているがれきは、廃棄物処理法を根拠とする通常の災害廃棄物として扱えず、また放射性廃棄物の扱いを定めてはいるものの、その対象は原子力事業者から出たもののみであり、原発外の廃棄物が汚染されたケースを想定していない原子炉等規制法の適用ともならず、処理にあたっての明確な法的根拠がないと承知するが、確認を求める。
(二) 新聞報道によると、政府、特に経済産業省原子力安全・保安院と環境省が、本年五月九日より福島第一原発事故により放射線に汚染されたがれきにつき、その量や種類、放射線量等の測定を始めるとのことであるが、右の結果はいつ頃までに取りまとめられ、誰によりどのようにして公表される見通しでいるのか説明されたい。
(三) 政府として、(二)の結果を公表した後、実際にどのように放射線に汚染されたがれきの処理を進める考えでいるのか。福島第一原発周辺のがれきは、原子力安全委員会による指針によれば、レベル3の極低レベル放射性固体廃棄物に該当すると考える。右は、専門技術を持つ放射性物質処理業者により処理されるべきものであると考えるが、この場合でも処理の主体はあくまで現地の自治体が第一義的に担い、処理作業もそれに係る費用についても、他のがれき処理の場合と同様、現地の自治体が担うこととなるのか。それとも、異なる措置を取るのか、政府の見解を説明されたい。
七 処理に係る費用について
(一) 政府として、平成二十三年度第一次補正予算の中で、災害廃棄物処理に三千五百十九億円、廃棄物処理施設の復旧に百六十四億円、合計三千六百八十三億円をがれき処理に係る費用として計上しているが、今次の震災により発生した約二千四百九十万トンにも上るがれきの最終的な処理に係る費用は、合計でいくらになると考えているか。政府の見解如何。
(二) 仙谷由人内閣官房副長官は五月八日、テレビ番組に出演した際、今次の震災により発生したがれきの処理について「思い切った特例措置を議論しており、ぜひ国直轄の方向でやりたい」との発言をしていると承知する。右は、政府として費用負担はもちろん、処理自体も国が一義的に担うという意味か。明確な説明を求める。
右質問する。
政府答弁書
一について
お尋ねについては、環境省が平成二十三年五月十六日に公表した「東日本大震災に係る災害廃棄物の処理指針(マスタープラン)」(以下「マスタープラン」という。)において、東日本大震災により生じた廃棄物(以下「災害廃棄物」という。)の処理に係るスケジュールを示しているところである。具体的には、地域特性や処理の効率性を踏まえ、原則として、現在住民が生活を営んでいる場所の近傍にあるなど生活環境に支障が生じ得る災害廃棄物については同年八月末まで、その他の災害廃棄物については平成二十四年三月末までをそれぞれ目途として、仮置場への移動を完了するとともに、腐敗性等がある災害廃棄物については速やかに、木くず又はコンクリートくずであって再生利用を予定しているものについては劣化、腐敗等が生じないようにかつ再生利用の需要を踏まえつつ設定した適切な期間内に、その他の災害廃棄物については平成二十六年三月末までを目途に、それぞれ最終処分を完了することとしている。
二について
お尋ねについては、環境省が岩手県、宮城県及び福島県に対し、県、市町村、関係省庁の地方支分部局等からなる「災害廃棄物処理対策協議会」の設立を促し、円滑かつ迅速な災害廃棄物の処理を進めるための協力体制を整備するなど、同省が中心となって関係省庁とも連携した取組が進められているところであり、御指摘のような問題は生じていないと考えている。
三の(一)について
お尋ねの「一般的な指針」とは、平成二十三年三月二十五日付けで被災者生活支援特別対策本部長(当時)及び環境大臣から関係県知事に通知された「東北地方太平洋沖地震における損壊家屋等の撤去等に関する指針」のことを指すものと思われるが、瓦礫等の処分を行う市町村等は、必要に応じて同指針を参考にしつつ、現地の状況に応じて適切に判断しているものと承知している。
三の(二)について
迅速に瓦礫等の処理を進めるためには、現地の状況に応じて適切に判断することが必要であるため、既存の法律の解釈を示した運用指針等を関係者に周知してきたところである。
四の(一)について
現在、岩手県、宮城県及び福島県においては、災害廃棄物の仮置場の確保が進められ、当面の瓦礫等の搬入には対応できているが、仮置場の更なる確保に努めているところであると承知している。
四の(二)について
環境省においては、岩手県、宮城県及び福島県に職員を派遣するとともに、二についてでお答えした「災害廃棄物処理対策協議会」への参加等を通じ、被災地における災害廃棄物に係る諸課題の把握に努めているところであり、また、全国の地方公共団体に対し、災害廃棄物の処理への協力を要請している。これらの取組により、広域的な災害廃棄物の処理体制を整備し、災害廃棄物の迅速かつ円滑な処理を推進してまいりたい。
四の(三)及び(四)について
御指摘のとおり、災害廃棄物を可能な限り再生利用することは重要であると認識しており、例えば、マスタープランにおいては、木くずを木質ボード、ボイラー燃料等として利用することや、コンクリートくずを埋立材として利用すること等について示しているところである。
五の(一)について
現在、被災地の市町村等においては、瓦礫等の仮置場への搬入作業を行う事業者が確保され、搬入作業が行われているが、瓦礫等の焼却等については、今後、処理の進捗に応じて必要な処理業者の確保等が進められていくものと考えている。
五の(二)について
お尋ねについては、例えば船舶の解撤を行う事業者について市町村等からの問い合わせがあった場合には、関係省庁で連携して適切に情報提供するなどの対応をとることとしている。
五の(三)について
お尋ねについては、瓦礫等の処理を行う業者を選定する市町村等の意向が尊重されるべきと考えるが、政府としては、被災地における雇用を優先すること等について、可能な限り配慮される必要があると考えている。
六の(一)について
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)においては、放射性物質及びこれによって汚染された物については、同法の適用を受ける廃棄物には含まれないとされている。また、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)においては、原子力発電所等の敷地外に存在する、放射性物質によって汚染された物の廃棄は想定されていないところである。
六の(二)について
御指摘のとおり、福島県内の災害廃棄物の仮置場においては、経済産業省原子力安全・保安院が、災害廃棄物の放射性物質濃度の測定を、また、環境省が、空間線量率の測定を実施したところである。同院による測定結果は、平成二十三年五月中を目途に発表するとともに、同院のホームページにおいて公表する予定である。また、同省による測定結果は、同月十七日に発表するとともに、同省のホームページにおいて公表したところである。
六の(三)について
政府としては、福島県内の災害廃棄物の仮置場における災害廃棄物の放射性物質濃度及び空間線量率の測定結果を基に、放射性物質による汚染の実態を把握した上で、専門家の意見を踏まえつつ、今後の対応を検討してまいりたい。
七の(一)について
お尋ねの「最終的な処理に係る費用」について、平成二十三年度第一次補正予算における災害廃棄物処理事業においては、現時点で入手可能な情報に基づき、災害廃棄物の処理に必要な事業費を六千八百億円程度と推計している。
七の(二)について
御指摘の発言は、東日本大震災により生じた瓦礫等の処理について、政府が積極的な役割を果たしていく必要があるという考えを示したものと承知している。
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