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台風十二号被災地の復旧対策及び今後の防災対策等に関する質問主意書
衆議院 第178回 第25号検討してまいりたい ×2
質問本文
平成二十三年九月三日に高知県東部に上陸した台風十二号により、西日本から北日本にかけて記録的な大雨となり、とりわけ紀伊半島では、多数の人命が失われ、土地や家屋、社会資本に甚大な被害が発生した。
野田内閣には、迅速に被災者救済、被災地復旧支援、防災体制の整備に取り組むことを求める。
被災地である奈良県を故郷とする国会議員としては、視察してきた被災状況を踏まえて委員会審議の場で具体的に質したい点が多々あるのだが、民主党が強硬に決めた僅か四日間の国会会期の中では、その機会さえ得られない。
従って、次の事項について質問する。
一 「コンクリートから人へ」という方針の妥当性について
奈良県の被災地域では、古い橋梁や道路は破損し、多くの集落が孤立した。電気、水道、電話、ケーブルテレビが同時に不通となり、通学に危険を伴うことから小中学校や高校も休校状態である。
しかしながら、自民党政権時代に整備に取り組んできた新しい道路、トンネル、橋梁が残ったことにより、かろうじて応急的復旧のための資材や食料等を搬送するルートが一部残されている。過疎が進む中にあっても、地元自治体が「命の道」の整備を求めてきたことの正当性を改めて痛感する光景であった。
また、和歌山県では、砂防ダムが崩落した土砂を食い止めたことによって、多くの人家が崩壊を免れている。まさに「コンクリートが人を救った」と言える状況である。
これまで民主党政権は、「コンクリートから人へ」を合い言葉に、道路やダムの建設を無駄な公共事業として切り捨ててきた。自民党政権時代の委員会審議においては、民主党所属国会議員が「B/C」という言葉を多用して、利用者数が少ない地方の道路整備を不要であると喧伝してきた。
台風十二号では、主に奈良県、和歌山県、三重県に於いて甚大な被害が発生したが、昨今は過去の想定を超える規模の集中豪雨や地震が多発しており、全国的に「大規模災害に強いインフラ整備」を推進する必要があると考える。
よって、次の質問をする。
�@ 野田内閣においても「コンクリートから人へ」という方針は変更されないのか。仮に変更しないとすると、その理由を伺う。
�A 道路整備の必要性を判断する基準として、利用人数をベースとした「B/C」を重視する方針を継続するのか。
�B 国民の生命を守ることを重視するのであれば、人口が少ない地域であっても、高規格道路の整備、橋梁の改修、砂防・治水ダムの整備、河川改修、土砂崩れ対策の推進が必要だと考えるが、如何か。
二 激甚災害指定について
�@ 台風十二号被害につき、激甚災害指定を行う予定はあるか。あるとすれば、指定時期の見通しを伺う。
�A 激甚災害指定は、費用の積み上げ後に行うこととされているが、被災地の早急な復旧・復興を可能とするために、激甚災害指定の迅速化に向けた改善策を検討する用意はあるか。
三 復旧対策と予算措置について
台風十二号被害の拡大は、現在も進行中である。奈良県では、河道閉塞や土砂ダムが全域に多発していることから、再び豪雨に見舞われた場合には大きな災害が発生する可能性がある。また、被災者が当面の生活を送るためにも、瓦礫の撤去、物流を支える道路の仮復旧などが急がれる。
よって、次の質問をする。
�@ 紀伊半島各地の河道閉塞箇所、土砂ダムについて、地点別に如何なる対策を講じる予定なのか。
�A 台風十二号によって破損した紀伊半島各地の道路や橋梁、土砂崩れ発生地点の復旧について、地点別に如何なる対策を講じる予定なのか。
�B 安全上の理由から被災地域の小中学校や高校に通学することが困難な児童・生徒の教育について、如何なる対策を講じる予定なのか。
�C 台風十二号被害への緊急的な対策のために、平成二十三年度予算の予備費を活用する用意はあるか。
�D 平成二十三年度第三次補正予算には、台風十二号被害対策費用につき、十分な金額を計上する用意はあるか。
�E 平成二十四年度予算概算要求については、既に各府省からの提出は締め切られたと承知しているが、台風十二号被災者の生活再建や被災地復旧に要する費用も積み上げられているのか。関係府省ごとに、具体的な内容を伺う。
四 生活基盤の再建について
�@ 奈良県の被災地では、吉野杉に代表される林業が主要産業であるが、林道や幹線道路の破損によって機能停止状態である。被災地の林業再建について、如何なる支援を行うのか。
�A 奈良県、和歌山県、三重県では、道路の本格復旧まで、県外からの観光客が激減した状態が続くと思われる。被災地の観光関連産業に対して、如何なる支援を行うのか。
五 大規模災害対策の強化について
台風十二号によって、奈良県では、これまでの予想を超える災害のパターンを確認した。
まず、各所で深層崩壊が発生したことが大きな特徴である。そして、十津川村では、崩落した土砂に押し出された河川水が対岸にせり上がり、対岸の家屋を破壊した。また、五條市大塔町では、土砂崩落によって上流に河川水がせり上がり、家屋を破壊した。更には、土砂崩落による河道閉塞や土砂ダムが全域に多発した。
今後、他の都道府県でも同じパターンの災害が発生する可能性は否めず、全国民の安全のために、早急に新たな対策に着手していただきたいと願う。
よって、次の質問をする。
�@ 深層崩壊、崩落土砂に押し上げられた河川水による対岸の破壊、土砂ダムなど、「大規模土砂災害のメカニズム」の研究に早急に着手する用意はあるか。
�A 大規模土砂災害の「監視」、「警戒」について、改善するべきだと考えている点は何か。
�B 大規模土砂災害の「監視」、「警戒」のシステム確立に向けて、具体的に予算措置を行う予定はあるか。仮にあるとしたら、その内容と規模を伺う。
�C 奈良県では、避難した場所が被災し、死亡者や行方不明者が出るという惨事となった。前述したように予想を超えた河川水の動きが起きたためである。今後、全国的に「山や河川の形状に応じた適切な避難場所」の再検討が必要だと考えるが、内閣として如何なる取組みを行うのか。
�D 奈良県では、間伐後に放置された木が、河川増水時に流木となって橋梁や家屋を破壊したと思われる地点が複数箇所あった。あるべき対策についての考えを伺う。
右質問する。
政府答弁書
一の�@及び�Bについて
政府としては、社会資本整備については、国民にとって本当に必要なものかどうかを見極め、真に必要なものを戦略的かつ重点的に進めることが重要であると考えており、国民の生命・財産を守るために必要な道路の整備、橋梁の改築及び修繕、水害・土砂災害対策等を推進してまいりたい。
一の�Aについて
お尋ねの「利用人数をベースとした「B/C」」とは、費用便益比を指していると思われるが、道路整備の効果は、費用便益比で算定している走行時間の短縮等にとどまらず、災害時の救助及び救援活動の支援、緊急物資の輸送等多岐にわたると考えている。
このため、現在、国土交通省においては、道路の果たす防災面の機能を適切に評価する手法について検討しているところであり、その検討結果等を踏まえ、道路事業の多様な目的及び効果に見合った評価手法の充実を図ってまいりたい。
二の�@について
お尋ねについては、平成二十三年八月二十九日から九月七日までの間の暴風雨及び豪雨による災害についての激甚災害並びにこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令(平成二十三年政令第二百九十九号)により、激甚災害及びこれに対し適用すべき措置の指定(以下「激甚災害等の指定」という。)を行ったところである。
二の�Aについて
激甚災害等の指定に当たっては、関係省庁及び地方公共団体による被害状況の調査の結果等に基づき、指定基準(「激甚災害指定基準」(昭和三十七年十二月七日中央防災会議決定)及び「局地激甚災害指定基準」(昭和四十三年十一月二十二日中央防災会議決定)をいう。)を満たすものを指定しているところである。
政府としては、被害状況の把握において簡素な方法を用いること等により、今後とも、速やかに、激甚災害等の指定を行ってまいりたい。
三の�@について
お尋ねの「土砂ダム」については、平成二十三年九月十六日午後二時現在、十七か所で確認しており、これらのうち五か所については、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成十二年法律第五十七号。以下「土砂災害防止法」という。)に基づき、国土交通大臣による緊急調査を実施し、水位計や監視カメラ等の設置により土砂災害の監視や警戒を行い、避難体制の確保に努めているところである。また、緊急調査を実施した五か所のうち、満水となり越流のおそれがあり、緊急に対応する必要性の高い奈良県五條市大塔町赤谷及び和歌山県田辺市熊野の二か所については、国土交通省による排水等の緊急的な対策工事に着手したところである。
三の�Aについて
平成二十三年九月十六日午後二時現在、お尋ねの道路及び橋梁については、三重県、奈良県及び和歌山県(以下「三県」という。)で八百を超える箇所の被害が報告されており、今後も調査の進捗に応じ増える見込みであるが、通行規制については、国土交通省が管理する国道では、最大で十九区間あった通行止め区間の全てで通行規制が解除されており、三県が管理する国道では、最大で六十四区間あった通行止め区間が二十四区間に減少しているところである。また、お尋ねの土砂災害については、三県で八十七か所の被害が報告されている。
このため、同省においては、再度災害の防止の観点からの技術指導等を目的として、同省国土技術政策総合研究所、独立行政法人土木研究所の職員等からなる専門家を現地に派遣し、今後の対策等の検討を行っているところである。
また、同年九月八日に同省及び三重県で「熊野地域公共土木施設復旧プロジェクトチーム」を、同月九日に同省及び奈良県並びに同省及び和歌山県で「道路復旧支援チーム」をそれぞれ発足させたところであり、現在、同省において、三県における被災施設等の復旧工法の検討を行う等の支援を行っているところである。
政府としては、今後とも、三県の被災施設等の早期復旧に向けて全力で支援してまいりたい。
三の�Bについて
お尋ねについては、各教育委員会及び各学校において、学習面での配慮等を含め、適切に対応されるものと考えているが、被害の状況や各教育委員会からの要望等を踏まえ、政府としても必要な支援について検討してまいりたい。
三の�C及び�Dについて
今後、被害状況が明らかになる中で、財政措置が必要と判断される場合には、平成二十三年度予算の予備費の活用や平成二十三年度第三次補正予算への必要な経費の計上も視野に入れてまいりたい。
三の�Eについて
平成二十四年度予算概算要求の提出期限は、平成二十三年九月末としているところであり、現時点では、各府省庁から財務省へ提出されていない。
四の�@について
お尋ねの被災地の林業再建に当たっては、林道の復旧が急務であると考えており、今後とも、関係地方公共団体と連携しながら、被害の実態把握に努めるとともに、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律(昭和二十五年法律第百六十九号)に基づく災害復旧事業等により、早急に林道の復旧が行われるよう支援してまいりたい。
四の�Aについて
お尋ねの被災地の観光関連産業への支援については、観光庁において、観光事業者に対し、公的金融機関による融資等の支援策に関する情報提供を行ったところである。
五の�@について
お尋ねについては、国土交通省において、関連する調査研究を進めており、そのうち特に深層崩壊については、平成二十二年八月に、これまでの研究を基に、全国の深層崩壊推定頻度マップを公表したところである。今後は、深層崩壊の頻度が特に高いと推定される地域を中心に更に調査を実施するなど、学術的に未解明な部分が多い大規模土砂災害のメカニズムについて、科学的知見の蓄積を図るべく、引き続き、調査研究を進めてまいりたい。
五の�A及び�Bについて
お尋ねについては、現時点においては、大規模土砂災害の「監視」及び「警戒」に関するシステムの確立のための具体的な予算措置を行う予定はないが、土砂災害防止法に基づく緊急調査の実施や土砂災害緊急情報の通知等を通じて土砂災害の監視や警戒を行っているところであり、今後とも正確かつ迅速な情報の把握及び提供に努めてまいりたい。
五の�Cについて
政府としては、「防災基本計画」(昭和三十八年六月十四日中央防災会議決定)に基づき、地形、災害に対する安全性等に配慮した避難場所の確保等が図られるよう、これまでも、地方公共団体に対して適切に対応するよう促してきたところである。
引き続き、今般の災害に係る避難の実態を把握し、適切に対応してまいりたい。
五の�Dについて
御指摘の「間伐後に放置された木」による被害の状況は明らかではないが、いずれにしても、林野庁においては、森林管理・環境保全直接支払制度等により、可能な限り伐採木を林外に搬出する間伐を推進しているところであり、また、必要に応じ、残存木や枝条等が斜面下部へ流出することを防ぐための木柵等や、渓流に流出した流木を捕捉するための施設を設置する等の流木災害の防止対策を推進しているところである。
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