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利用者選択のための貸切バス事業に係る情報提供に関する質問主意書
衆議院 第190回 第141号検討してまいりたい ×2
質問本文
「貸切バスの需給調整規制廃止に向けて必要となる環境整備方策等について」(平成十年六月二日運輸政策審議会自動車交通部会答申(以下、「答申」とする))において、「(貸切バスは)利用に当たって事前に事業者を選択することが可能であり、市場における事業者の競争を通じて、良質、安価なサービスの提供を期待しうる事業分野であると考えられる」とし、市場における競争と選択によって価格の下落と併せて安全面を含む質の向上への期待が示された。さらに答申では、市場競争による貸切バス事業の質の向上のためには、「利用者及び旅行業者には、自己の責任の下、貸切バスに関する様々な情報をもとに、運賃のみならず、より良いサービスを評価し、選択し、利用することが求められる」としている。
しかし、一般の利用者と貸切バス事業者や旅行業者の間には大きな情報の不均衡があることは明白であり、利用者自身の安全確保及び貸切バス事業の健全化に繋がるような利用者による選択を可能にするためには適切な情報提供の仕組みが必要である。この観点から、次の事項を質問する。
一 利用者が「より良いサービスを評価し、選択」(「答申」)するためには、どのような情報が必要であると考えているか。またそうした情報の提供が確実に行われるために現在取っているまたは取ることが検討されている措置をお示しいただきたい。
二 この度の軽井沢スキーバス転落事故では、利用者は旅行業者の販売するツアーを通して当該バス会社の利用に至った。利用者が安全・良質なバスを選択できるようにするという観点からみれば、旅行業者のツアー販売サイトでツアーを選ぶ際にも、ツアーで利用されるバスについて消費者が情報を入手できなければならないと言える。しかし現状では、転落事故に関わった旅行業者を含む多くの旅行業者のツアー販売サイトにおいて、利用するバスや事業者についての情報(運転者の数、バス事業者の加入する任意保険・共済等)は十分に示されていない。
1 現在、貸切バスを利用したツアーの広告に際し、利用するバスやその事業者についての情報の表示を旅行業者に対して求めるガイドライン等は存在するか。存在する場合は、特に運行会社・実車距離・運転者の数・貸切バス事業者の加入する任意保険や共済の四点それぞれについての表示の要否について、お示しいただきたい。
2 貸切バスの安全に関する十分な情報が旅行業者のツアー販売サイトにおいて提供されるようにするために現在取られている措置及び今後取る予定の措置があればお示しいただきたい。現在取られている措置がある場合は、なぜ運行業者や運転者の数を始めとする安全に関わる基本的な情報の掲示を行わない旅行業者が依然として多数存在するのかについて、考えられる理由をお示しいただきたい。無い場合は、そうした措置をとる必要性の認識があるかどうか及び現在対策が準備されていない理由をお示しいただきたい。
三 高速ツアーバスの新高速乗合バスへの移行以前には、「高速ツアーバス運行事業者リスト」が存在した。「高速ツアーバス運行事業者リスト」の様に、事業者に関する情報の提供を利用者に行うことを目的とした貸切バス事業者のリストは現存するか。無い場合、作成予定はあるのか。
四 平成二十七年度における、「貸切バス事業者安全性評価認定制度(以下、「安全性評価認定制度」とする)」の認定事業者(二十六年度又は二十七年度に認定)で関東に事業所を置く全二百十九事業者のうち、平成二十五年から二十七年の三年間に何らかの行政処分を受けた事業者は六十九事業者(三十一・五%)に上る。評価別では、三つ星事業者では四十一事業者中十四事業者(三十四・一%)、二つ星事業者では七十二事業者中十九事業者(二十六・四%)、一つ星事業者では百六事業者中三十六事業者(三十四%)となっている。
1 これら事業者にみられる行政処分に該当する違反事項は、安全性評価認定制度の申請条件や評価基準にみられる「安全性に対する取組状況における法令遵守事項に関する違反」(国土交通省「『貸切バス事業者安全性評価認定制度』の概要」より)に該当するものはないのか。また、「安全性に対する取組状況における法令遵守事項に関する違反」を構成する違反とは何か。
2 国土交通省はホームページにおいて、安全性評価認定制度の目的として、「貸切バスの利用者や旅行会社がより安全性の高い貸切バス事業者を選択しやすくする」こと、「貸切バス事業者の安全性の確保に向けた意識の向上や取り組みの促進を図り、より安全な貸切バスサービスの提供に寄与すること」の二点を挙げている。認定事業者の約三割が過去三年以内に行政処分を受けており、またその中には行政処分を繰り返し受ける業者が一定数存在する現状において、安全性評価認定制度は利用者の事業者選択に十分に寄与しているといえるか。また、「貸切バス事業者の安全性の確保に向けた意識の向上や取り組みの促進」、とりわけ法令遵守の徹底に繋がっているといえるか。この二点について理由とともにお示しいただきたい。
五 国土交通省自動車局の「輸送の安全を確保するための貸切バス選定・利用ガイドライン(以下、「ガイドライン」とする)」において、「輸送の安全性等を判断する上で参考となる情報」の一つに「国土交通省の行政処分情報」が挙げられている。しかし先述の通り、安全性評価認定制度で三つ星を獲得した事業者でも三割が何らかの行政処分を受けているのが現状であり、単に行政処分歴の有無だけでは安全性の判断に寄与しないのは明白であり、利用者が行政処分の情報を参考にするのであれば違反行為の重大さまで考慮しなければならない。翻って国土交通省の行政処分情報検索システムを見るに、そこでは行政処分事業者名・行政処分の内容・ごく簡単な違反行為の概要・違反点数等が列挙されるに留まり、一般の利用者がそこから違反行為の重大さ、ひいては事業者の安全性を判断するのは困難と言える。
一般の利用者が国土交通省公開の行政処分情報をどのように活用して「輸送の安全性を判断する上で参考」(ガイドライン)となし得ると想定しているのか、見解を具体的にお示しいただきたい。また、行政処分情報について利用者の利便性を向上させる予定があれば併せてお示しいただきたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
貸切バスの利用者(以下「利用者」という。)が、より良いサービスを評価し、選択するためには、貸切バス事業者(道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第九条の二第一項に規定する一般貸切旅客自動車運送事業者をいう。以下同じ。)の安全性に係る情報(以下「安全情報」という。)等の提供が重要と考えている。
現在、貸切バス事業者の安全情報として、国土交通省のホームページにおいて、公益社団法人日本バス協会が貸切バス事業者の安全性や安全の確保に向けた取組状況を点数化して評価し、その安全性に対する取組が優良な貸切バス事業者であることを認定し、その結果を公表する貸切バス事業者安全性評価認定制度(以下「安全性評価認定制度」という。)における認定の取得状況や、貸切バス事業者に対し国土交通省が過去三年間に行った行政処分の情報を公表しているところである。
また、本年一月十五日に長野県北佐久郡軽井沢町の国道十八号線碓氷バイパス入山峠付近において発生した貸切バスの事故(以下「本件事故」という。)を受けて国土交通省に設置された軽井沢スキーバス事故対策検討委員会において、貸切バス事業者等が公表及び周知をすべき貸切バス事業者の安全情報の内容の拡充やその公表及び周知の方法等について、具体的な対応策を検討しているところである。
二について
旅行業者(旅行業法(昭和二十七年法律第二百三十九号)第二条第一項に規定する旅行業の登録を受けた者をいう。以下同じ。)が、同法第四条第一項第四号に規定する企画旅行に参加する旅行者を募集するため広告をするときは、同法第十二条の七の規定に基づき、旅行者が提供を受けることができる運送等サービスの内容等を表示してしなければならないとされているが、その具体的内容を示している「企画旅行に関する広告の表示基準等について」(平成十七年二月二十八日付け国総旅振第三百八十七号国土交通省大臣官房総合観光政策審議官通達)においては、御指摘の「運行会社・実車距離・運転者の数・貸切バス事業者の加入する任意保険や共済の四点」を含め、貸切バス事業者に係る情報を表示することは求められていない。また、一般社団法人日本旅行業協会及び一般社団法人全国旅行業協会が平成十七年に作成した「旅行広告・取引条件説明書面ガイドライン」においても、御指摘の「運行会社・実車距離・運転者の数・貸切バス事業者の加入する任意保険や共済の四点」を含め、貸切バス事業者に係る情報を表示することは求められていない。なお、軽井沢スキーバス事故対策検討委員会において、旅行業者の広告における貸切バス事業者名及び当該貸切バス事業者に係る安全情報の明記について、検討しているところである。
三について
貸切バス事業者の安全情報を利用者に提供することを目的として、現在、国土交通省のホームページにおいて、安全性評価認定制度における認定を取得している貸切バス事業者のリストを公表しているところである。
四の1について
安全性評価認定制度における「安全性に対する取組状況における法令遵守事項に関する違反」に係る事項は、道路運送法第四十条の規定に基づき、国土交通大臣が貸切バス事業者に対して自動車その他の輸送施設の当該事業のための使用の停止若しくは事業の停止を命じ、又は許可を取り消す事由となり得る法令違反に係る事項と一致している。
四の2について
安全性評価認定制度は、行政処分の情報だけでなく、貸切バス車両へのデジタル式運行記録計やドライブレコーダー等の装置の設置状況等も評価するものであり、また、一定の法令違反等が認められた貸切バス事業者については認定種別の降格や認定の取消しが行われ得るものであることから、安全性評価認定制度における認定の取得状況を公表することは、一定程度、利用者に対する貸切バス事業者の安全情報の提供並びに貸切バス事業者における安全性確保に向けた意識の向上及び取組の促進に資するものであると考えている。
五について
現在、国土交通省がホームページ等により公表している行政処分情報は、行政処分等の年月日、事業者の氏名又は名称、行政処分の内容、違反行為の概要、違反点数等であり、一定程度、利用者が貸切バス事業者を選択するに当たっての参考となっているものと考えている。本件事故を受け、現在、利用者に対して迅速に行政処分情報の提供を行う手法等の検討を進めているところであり、引き続き、利用者の行政処分情報の利用についての利便性の向上に努めてまいりたい。
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