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安倍総理の「議会については、私は立法府の長」との発言に関する質問主意書

衆議院 第190回 第280号

提出者
民進党・無所属クラブ
提出日
2016年5月19日
内閣転送 2016年5月23日
答弁書受領日
2016年5月27日
提出から8日
答弁の項目数
3
質問 1,417字/答弁 462字

質問本文

安倍総理は、平成二十八年五月十六日の衆議院予算委員会において山尾志桜里議員の質問に答え、「議会については、私は立法府の長であります」と答弁している。

また、平成二十八年五月十七日の参議院予算委員会において福山哲郎議員の質問に答え、「私は、立法府の、私としては」とも答弁している。

芦部信喜の『憲法 第六版』(岩波書店)によれば、日本国憲法は「内閣に行政権の主体としての地位を認め、内閣総理大臣に首長としての地位と権能を与え」ていると考えられるが、「国会と政府との関係については議院内閣制を定めている」とも示されている。言うまでもなく、芦部信喜の『憲法』は、日本国憲法の通説的解釈を示すものとして、広く認識されている。

これらの安倍総理の発言について疑義があるので、以下質問する。

一 立法府の長ならびに行政府の長の定義について、政府の見解を示されたい。

二 安倍総理は衆参の予算委員会で、連日、立法府の長であるとの発言を行っているが、言い間違いの水準を超えていると考えられる。安倍総理は行政府の長であり、芦部が言うように、「内閣に行政権の主体としての地位を認め、内閣総理大臣に首長としての地位と権能を与え」られていると思われるが、かかる衆参の予算委員会での安倍総理の真意はどのようなものか。政府の見解を示されたい。

三 安倍総理のかかる発言は、平成二十八年五月十九日の東京新聞が報じるように、「国会は自分のコントロール下にあると思っているから、口をついて出るのかもしれない」のではないか。政府の見解を示されたい。

四 安倍総理は、平成二十八年五月十六日の衆議院予算委員会において、山尾志桜里議員の「社会が求めているこの待機児童の問題、保育士さんの給与をどうするのかという問題」について、「逃げずにこの場で、保育も一歩進めたい」という「心意気」はないのかという質問に答え、国会は「行政府とは別の権威として、どのように審議していくのかということについては、各党各会派において議論しているわけでございます。その順番において私がどうこう言うことはないわけであります」「今の御発言は委員会のまさに権威そのものを傷つけている」と答弁している。芦部信喜の『憲法』が示すように、わが国の「国会と政府との関係については議院内閣制を定めている」。議院内閣制においては、内閣総理大臣が与党党首であることは一般的であり、二元代表制のように両者の立場が完全に分離されているわけではない。報道各社の報じるところの首相動静を見ると、例えば、平成二十八年五月十三日の十一時五十七分から十二時十五分には、参議院自民党の国対委員長らが国会情勢の報告のために安倍総理に面会しており、自民党の総裁でもある安倍総理が自民党の国会対策に無関係であるような発言は実態に即していないと思われる。国会会期中、安倍総理と自民党の国対幹部との面会はしばしば行われていると承知しているが、かかる事実があるにもかかわらず、安倍総理の意向は国会運営に全く反映されていないといえるのか。政府の見解を示されたい。

五 安倍総理は、国会会期中、自民党の国対幹部との面会をしばしば行い、自民党総裁として国会運営の方向性も指示しているため、「国会は自分のコントロール下にある」との認識の下に、「議会については、私は立法府の長」としばしば言い間違えているのではないか。政府の見解を示されたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

お尋ねについては、いずれも法律上の用語ではなく、明確な定義があるものではないが、一般に、「立法府の長」は立法機関である国会を構成する衆議院及び参議院の議長を指すものとして、「行政府の長」は行政権の帰属する内閣の首長たる内閣総理大臣を指すものとして、それぞれ用いられていると承知している。

二、三及び五について

御指摘の平成二十八年五月十六日の衆議院予算委員会における安倍内閣総理大臣の答弁は、「行政府の長」の単なる言い間違いであることは明白であり、「国会は自分のコントロール下にあると思っている」等の御指摘は当たらない。

また、御指摘の同月十七日の参議院予算委員会における安倍内閣総理大臣の答弁は、立法府のことについて、政府としてお答えする立場にはない旨を述べたものであり、「立法府の長である」と発言したものではない。

四について

一般に、議会と政府とを分立させつつ、政府の存立を議会の信任に依存させる統治制度である議院内閣制の下においても、議会の運営に関することは議会で決められるべきことであると承知している。

衆議院の原文

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