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TPPの今国会での承認と関連法の成立に反対しTPPの交渉見直しを求めることに関する質問主意書

衆議院 第192回 第90号

提出者
無所属
提出日
2016年10月27日
内閣転送 2016年10月31日
答弁書受領日
2016年11月4日
提出から8日
答弁の項目数
6
質問 1,698字/答弁 1,747字

質問本文

TPPについては、交渉経過や結果の説明が十分でなく、その影響についても政府の見通しが甘く、影響を被る産業への支援や対策も十分でないとの批判が根強く残っている中で、政府は今国会でTPPを強権的に承認し関連法を成立させようと躍起になっている。

そこでお尋ねする。

一 米国の大統領候補者に名乗りを上げている共和党及び民主党の候補者はいずれもTPPに反対しており、また米国民の半数以上も反対しているが、その理由を政府はどのように考えているか。

二 共和党及び民主党のいずれの大統領候補者が勝利を収めても米国はTPPに反対することになる。そのような中、なぜ日本だけが率先してTPPに賛成しなければならないのか。

三 これまでTPPの交渉に参加した国の賛否の状況と締結に向けた今後の見通しはどうか。

四 二〇一七年の「核兵器禁止条約」制定交渉開始を定めた国連の決議案に対して政府は賛成しないとのことである。その理由は米国が反対するからとのことであるが、ことほど左様に米国の顔色だけを窺って追従しているならば、結局TPPも米国が反対すれば政府も同様に反対するのではないか。

五 国益や国民の生活を優先するならば、我が国があえてTPP推進のけん引役にならずに、慎重に各国と議論を積み重ねて機が熟すのを待つべきではないか。

六 政府はTPPで日本の実質GDPが押し上げられる一方、農林水産物の生産減少額が僅かであり、各種の支援や対策で十分凌げると試算する。しかし、アメリカ通商代表部のホームページでは「TPPは、エネルギー、環境技術、生物工学などのアメリカ企業を有利にする」とし、日本への影響として農産物では甘味資源作物の百%生産量減少を筆頭に牛肉で七十五%、豚肉で七十%、パインアップルで八十%それぞれ減少を見込んでいる。そうなれば沖縄県を始め我が国の農畜産業は壊滅的な打撃を被り、離島地域の殆どが崩壊すると予想している。またTPPは関税や保険、サービス、教育等二十一分野に及ぶが、その全ての分野で影響が出るとしている。政府はこのような見通しが米国政府にあることを承知しているか。

七 質問六に関連して、米国政府のこのような見通しと比べると、政府の試算は余りにも楽観的であり、現実を直視していないと思われるが、どうか。

八 今国会での質疑において、経済成長の指標GDPの「十四兆円拡大の時期はいつか」との質問に対して、政府は「いつか分からない」と答え、また「八十万人の雇用増の産業とは」との質問に対して、答弁がないという有様である。このような状況を鑑みると、政府はTPPによる国内への影響をきちんと調査・分析・把握・対策の樹立をしていないのではないか。

九 質問六〜八に関連して、政府は米国政府の見通しを参考として、TPPによる影響を再度検証して見直すべきではないか。

十 質問六に関連して、米国政府は「TPPはアメリカ企業を有利にする」と公言してはばからないのであるから、政府も我が国の産業や国民生活を第一義とし、米国への追従をやめてTPP交渉を進めるべきではないか。

十一 TPPには現在十二か国が参加し「環太平洋諸国」と標榜しているが、世界第二位の経済大国となった中国が対象となっていない。巷ではその理由として「TPPが対中国ブロック経済圏」との手厳しい批判もある。政府が言うようにTPPが「世界の自由で開かれた公正な貿易のルール作り」であるならば、なぜ中国を入れないのか。

十二 質問十一に関連して、中国をTPPに入れた上で、交渉を最初からやり直すべきではないか。

十三 TPPの今国会での承認と関連法の成立に関する審議や国民への説明について、政府は建設的・具体的に議論を積み重ねるとか、丁寧に説明すると言いながら、交渉過程を一切明らかにしないで結果を見て議論を進めるべきだとしたり、資料を全て黒塗りで提出したりするなどおよそ話と実態がかけ離れた形式的なものとなっている。今一度原点に立ち戻って、今国会での承認と関連法の成立を諦めて、国会での審議や国民への説明を丁重に行うべきではないか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一から五まで及び十について

政府としては、我が国以外の環太平洋パートナーシップ(以下「TPP」という。)協定交渉参加国の国内の議論についてお答えする立場にないが、昨年十一月のTPP首脳会合において、十二箇国の首脳は、TPP協定の早期発効を目指すことを確認している。

TPP協定は、アジア太平洋地域に、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的価値を共有する国々と共に、二十一世紀にふさわしい新たな経済ルールを作り、人口八億人、世界経済の四割近くを占める広大な経済圏を生み出すものであり、安倍内閣の「成長戦略の柱」となるものである。政府としては、TPP協定を早期に発効させ、その効果を実現させることが極めて重要であると考えており、我が国が率先して動くことで、早期発効に向けた機運を高めていきたいと考えている。

六及び七について

米国にとってのTPP協定の意義や影響等については、米国政府が様々な形で対外的に説明を行っていることは承知している。我が国としては、昨年十二月二十四日に内閣官房が公表した「TPP協定の経済効果分析」において、農林水産物への影響を個別品目ごとに精査し積み上げ、この結果を一般均衡モデル(いわゆるGTAPモデル)に組み入れ、その上で、TPP協定の広範な合意内容及び生産性向上や労働供給増の効果を含めた成長メカニズムを明らかにする必要があることを踏まえ、TPP協定の経済効果についての包括的な分析を行ったものであり、政府の試算が楽観的である等との御指摘は当たらないと考える。

八について

「TPP協定の経済効果分析」において、「TPPが発効し、その効果により我が国が新たに成長経路(均衡状態)に移行した時点において、実質GDPは二・六%増、二〇一四年度のGDP水準を用いて換算すると、約十四兆円の拡大効果が見込まれる」との分析結果を示しているところである。この分析は、GTAPの静学モデルを使用しているが、時系列でどれだけ増えるかではなく、最終的に新しい均衡状態になった時に、今よりどれだけGDPが増えるかを示すものである。具体的に何年後にGDPの増加が達成されるのか、モデル上示すものではない。また、この分析は、TPP協定が我が国経済全体に与える効果を示す目的で行ったものであり、産業別の影響は算出していない。

政府としては、昨年十一月二十五日に「総合的なTPP関連政策大綱」を決定し、必要な対策を順次講ずるとともに、農産物の重要品目が確実に再生産可能となるよう、交渉で獲得した措置と合わせて、引き続き万全の措置を講じていくこととしている。

九について

「TPP協定の経済効果分析」は、事前に、この分野に精通した国際経済学者三名による学術的な確認を得ているものである。また、分析に用いたモデルは、GTAPモデルという世界で一般的に使われているものであり、世界銀行による試算や海外の著名な研究所であるピーターソン研究所による試算も同様のモデルを用いており、その結果もそれぞれGDP二・七%増、実質所得二・五%増とほぼ同じとなっており、見直しの必要はないと考える。

十一及び十二について

TPP協定はアジア太平洋地域に開かれた協定であり、中国が協定の求める高い水準を満たす用意があることを示した上で、正式に参加表明する場合には、これを歓迎したい。

十三について

政府としては、合意内容を正確かつ丁寧に説明することを通じて、国民の懸念や不安を払拭するよう最大限努力してきた。昨年十月の大筋合意後、国会や全国で約三百回実施してきた説明会等で合意内容について情報を全て提供して丁寧に説明をしてきた。この過程において、協定内容等に関する各種資料、分野別や中小企業向けの資料など計四千ページ以上の資料を内閣官房のホームページに掲載する形で公表した。

また、交渉中は、情報開示に関して厳しい制約がある中においても、交渉の現状等に関し記者ブリーフィング等でできる限り丁寧に説明を行った。その内容も内閣官房のホームページに掲載する形で公表し、約五百ページに及ぶ。

今後とも、国会の御審議に十分応えられるよう、TPP協定の各規定の内容や趣旨、解釈等について、丁寧に説明していく考えである。

衆議院の原文

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