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テロ等準備罪に関わる逮捕の要件が法文上当然明らかであるか否かに関する質問主意書
衆議院 第193回 第188号
質問本文
平成二十九年二月三日、衆議院予算委員会で、金田法務大臣は、テロ等準備罪の法案に関して、「準備行為がなければ逮捕できない。これは、実務上の運用でそういうことにするということなのか、それとも今検討中の法制度の仕組みとしてはっきりとそのように明確にするということなのか」との山尾志桜里議員の質問に対して、「テロ等準備罪につきましては、合意に加えて実行準備行為が行われたときに処罰の対象とすることを検討中であります。実行の準備行為が行われていない段階で逮捕することはできない、そういう考え方でございます」と答弁した。
さらに金田法務大臣は、「逮捕状を請求する際にも、実行準備行為の嫌疑があることを疎明する必要があります。実行準備行為が行われていない場合にはその疎明ができないからということになろうかと思いますが、現在検討中でございます」と答弁したが、これに対し、「実務上の運用の話をされているのか、法文上明確にされるのか」との質問に対して、「準備行為が行われなければ逮捕できないものとして立案することを現在私どもは検討いたしております」と答弁した。
三月二十一日、「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案(「本法案」という。)が閣議決定されたと承知しているので、以下質問する。
一 本法案では、「合意に加えて実行準備行為が行われたときに処罰の対象」とし、「実行の準備行為が行われていない段階で逮捕することはできない」ものであるという理解でよいか。
二 本法案は、「準備行為が行われなければ逮捕できないものとして立案」された結果、それが法文上当然明らかであるという理解でよいか。
三 二について、その根拠条文を明示されたい。
四 本法案では、「合意に加えて実行準備行為が行われたときに処罰の対象」とし、「実行の準備行為が行われていない段階で逮捕することはできない」ことは、実務上の運用でなされるものではないということで、間違いはないか。
五 本法案では、「実行の準備行為が行われていない段階で逮捕することはできない」ことは、法文上当然明らかであるという理解でよいか。
六 五について、その根拠条文を明示されたい。
七 本法案では、「逮捕状を請求する際にも、実行準備行為の嫌疑があることを疎明する必要があります。実行準備行為が行われていない場合にはその疎明ができない」ために、逮捕状が発給されず、逮捕されないということが法文上当然明らかであるという理解でよいか。
八 七について、その根拠条文を明示されたい。
九 一から八について、法文上当然明らかではないのであれば、「準備行為が行われなければ逮捕できないものとして立案することを現在私どもは検討いたしております」との金田法務大臣の答弁は修正されたという理解でよいか。
十 日本国憲法第三十三条では、「何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない」と規定されるが、テロ等準備罪の逮捕の要件が本法案の条文上で当然明らかではなく、実務上の運用で行われるとすれば、国民の人権を侵害するおそれが排除されない。本法案ではかかる懸念はないということで間違いないか。
右質問する。
政府答弁書
一から十までについて
今国会に提出している組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案による改正後の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号。以下「改正後組織的犯罪処罰法」という。)第六条の二第一項においては「その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、当該各号に定める刑に処する」と規定し、同条第二項において「その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは」、「同項」すなわち同条第一項「と同様とする」と規定しており、これらにより、同条に規定する計画行為に加えて計画をした犯罪を実行するための準備行為(以下「実行準備行為」という。)が行われない限り、同条の規定による処罰の対象となるものではないことが明確にされている。
また、同条に規定する計画行為に加えて実行準備行為が行われた嫌疑が存する場合でなければ、逮捕状による逮捕について定める刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第百九十九条第一項にいう「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるとき」、緊急逮捕について定める同法第二百十条第一項にいう「罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合」、現行犯人について定める同法第二百十二条第一項にいう「現に罪を行い、又は現に罪を行い終わつた者」又は同条第二項にいう「罪を行い終わつてから間がないと明らかに認められるとき」との要件が満たされることはあり得ないから、法律上、改正後組織的犯罪処罰法第六条の二の罪の嫌疑による逮捕をすることができないことは明らかである。
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